ウクライナ戦況

英国がスターストリークのウクライナ供与を検討中、フレアでは妨害不可

英国政府はウクライナにスターストリーク供与を検討中で、低空飛行を余儀なくされているロシア軍機にとって良くないニュースと言える。

参考:Defence Secretary statement to the House of Commons on Ukraine: 9 March 2022

レーザー誘導なのでフレアや電子妨害といった対策が通用せず、スティンガーよりも有効射程が長い

英国のウォレス国防相は8日、ロシア軍は戦い方を変更して空爆と大砲による民間施設への無差別攻撃を行い始めたと指摘して「ウクライナ軍も戦い方を変える必要がある、ウクライナ軍の防空能力を強化してロシア軍の空爆を抑制することが重要だ」と語り、英陸軍が保有するスターストリーク供与の検討を始めたと明かした。

出典:U.S. Marine Corps photo by Lance Cpl. Rachel K. Young スティンガー

スターストリークは携帯式防空ミサイルシステム(MANPADS)の一種だが西側標準のスティンガーよりも有効射程(Iは7km/改良型のIIは7km以上)が長く、レーザー誘導なのでフレアや電子妨害といった対策が通用しないという特徴を備えており、S-300に迎撃されるリスクを最小限に抑えるため低空飛行を余儀なくされているロシア軍機にとって妨害の効かないスターストリークは非常に危険だ。

ウクライナ空軍の戦闘機や防空システムを潰せればMANPADSが届かない高度を飛行できるのだが、未だに制空権確保も敵防空網制圧も達成できていないためスティンガーやイグラが猛威を振るう低高度を飛行するしかなく、ウクライナ軍発表でロシア軍は計138機(残骸が画像で確認できたのは24機)を防空システムとMANPADSによって撃ち落とされている。

出典:Міністерство оборони України 撃墜されたSu-34

まだ英国政府はウクライナにスターストリークを供与すると決定していないが、ロシア軍にとっては良くないニュースだろう。

因みにウクライナの諜報機関もロシア軍が8人の指揮官を解任、別の指揮官を後釜に据えて戦い方を変更してきたと述べており、民間施設への無差別攻撃以外でも新たな動きが出てくるかも知れない。

関連記事:次々と撃ち落とされるロシア空軍機、1日で9機も航空機を失う

 

※アイキャッチ画像の出典:Sgt Mark Webster / OGL v1.0

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コメント

    • 無無
    • 2022年 3月 10日

    ここで考えられる指揮官解任はほば2つのパターン
    単に使えない奴か、あるいは民間を巻き込む攻撃を拒否したまともな人間だったからか、
    何にせよウクライナには朗報ではない

    15
    • A
    • 2022年 3月 10日

    数はどの位になるのだろう。
    とりあえず早く送るのが重要かと。

    6
      • きっど
      • 2022年 3月 10日

      英語版Wikipediaを見ると、8連装自走装甲発射機に搭載されたバージョン(HVM SP)が108両は調達済みの様です
      3連装軽量発射機(HVM LML)は16システム有るらしいけれども、1システムの構成数が分からないな……

      2
    • 3
    • 2022年 3月 10日

    それより最新型でなくてもいいから中距離以上の対空ミサイル送らんの?
    操作要員を教育する時間は無いが、義勇兵で送れば解決だろうし。
    元々S-300は数があまりないから、撃破されたのも含めて足りているとは思えない。

    15
      • てつ
      • 2022年 3月 10日

      S-300の予備弾を送ると一番いいでしょうが、保有しているのはMiG-29と大体同じ東欧諸国ですからね。
      スペック的にはパトリオットは勿論、本邦の中SAMや台湾の天弓3等も良さそうですが、訓練や当該国の防空もあって送るのはなかなか難しいでしょう。
      世界中で余っていそうといえばホークあたりでしょうか。

      6
      • G
      • 2022年 3月 10日

      同じ地対空ミサイルとはいっても、携帯式と中距離以上のものとでは価格も保有数も戦略的・戦術的価値も桁違いであるため、大幅な自国防衛力低下につながることを各国が嫌っているのだと思われます
      戦闘機提供の話に関しても、提供の可能性を口にした国はあくまで代替戦闘機が用意され、戦力の空白期間が生じない状況になったら、という話でしたし

      3
    • tofu
    • 2022年 3月 10日

    航空目標に対してレーザー誘導って大変そうだけど、訓練間に合うのかな

    4
      • 無無
      • 2022年 3月 10日

      それはだな、英語を話す国籍不明の義勇兵が操作するわけだよwwwwww
      問題は供与が実現するか否かにかかってる、プーチンはイライラしてるのは間違いないし、何と因縁をつけるやら

      12
    • 名無し
    • 2022年 3月 10日

    ウクライナのS-300がそもそも生きているのがわからない。
    Su-57とかなにしてんの。対空レーダー網かいくぐって殺せるはずじゃないの。

    1
      • ウーン
      • 2022年 3月 10日

      さすがに量産型が2機しかないSu-57を最前線に投入するのは、ロシアにとってリスクが高すぎるのでは?

      31
        • アムロ行きまーす
        • 2022年 3月 10日

        1機や2機で戦況をひっくり返す…ガンダムかな?

        9
        • G
        • 2022年 3月 10日

        それに被弾しなくてもすぐにSu-57用メンテパーツ不足で邪魔な置物になるだけですからね

        2
      • tofu
      • 2022年 3月 10日

      生産数少ないから出し惜しみしがちなのと、そもそも無誘導爆弾で攻撃するくらいだからステルス機投入する意味があんまりなさそう
      あと、ステルス性そんなに高くない説あるし被撃墜リスクが…

      18
      • nanananananana
      • 2022年 3月 10日

      Su-57なんて初期作戦能力があるかどうかもわからないし

      23
        • 匿名
        • 2022年 3月 10日

        シリアで実戦テスト﹙弱いもの虐め﹚していた様な >Su-57

        2
      • VOL
      • 2022年 3月 10日

      ウクライナ西部ジトーミル地域(Zhytomyr)にて、Su-57に似た航空機が爆弾を投下している様子が撮影されたらしい。

      リンク

        • NHG
        • 2022年 3月 10日

        Su-57の飛行音は独特だから冒頭もうちょっとあったら判別できるのに惜しい
        飛行音は「su-57 飛行音」でググると出てくる
        しっかし爆発音コワイヨ

      • 四凶
      • 2022年 3月 10日

      今どれくらいあるのかね。シリアで使ったテスト機10〜11機の内、4機で今ハッキリしてるの量産2機以上だろうけどお金無いしね。

      Su-57用の耐レーダミサイル無くったって、既存の耐レーダミサイルでもウクライナをアウトレンジできるほどの射程あるはずなんだけどな。

    • や、やめろー
    • 2022年 3月 10日

    日本もないにかこういうのあげたいよね

    4
      • 無印
      • 2022年 3月 10日

      他国に譲れるほど弾があるのかどうか…

      13
      • きっど
      • 2022年 3月 10日

      日本だと該当するのは91式携SAMや93式近SAMに、81式と11式短SAM/基地防空用SAMだね
      93式近SAMだと発射機単独で戦闘可能だけれども、81式/11式短SAM/基地防空用SAMはレーダーと発射機が別車両に分かれたシステムなので(対ソ連の陣地戦/基地防衛が前提だったからか?)、現地での隠蔽と移動を繰り返す戦闘様式だと向いていないのかもしれない

      3
        • 匿名
        • 2022年 3月 10日

        外部目視照準器とか、ADCCSなどへのリンクとか準備しているし、
        センサー系とシューター系を分離して、生存性とか抗堪性向上を意図しているのかな?
        陸自さん、空自の支援とか諦めていたでしょうし。

        5
      • 伝説のハムスター☆☆☆
      • 2022年 3月 10日

      短距離はもう有り余ってるんだから中距離以上のやつ送ろうよ
      S-300はもう限界だしこのままだとじり貧だぞ

      1
        • 伝説のハムスター☆☆☆
        • 2022年 3月 10日

        他人のツリーに書き込んでしまった

        1
    • おわふ
    • 2022年 3月 10日

    長期戦になってくると糧食や燃料の方が喜ばれるかも。
    後は民生でいいので輸送トラック。

    13
      • A
      • 2022年 3月 10日

      ならばランクルと日野の二トンで。

      12
        • 58式素人
        • 2022年 3月 10日

        まだ生産していれば、ですが。
        某国産H社のアクティ・クローラーを勧めます。
        これならば、現状のウクライナの路外を運行できるかな。

        7
        • tarota
        • 2022年 3月 10日

        日本は武器送れないから代わりにランクル1000台くらい送ればいいのに
        携行ミサイル積んだら相当厄介だよ

        6
          • くらうん
          • 2022年 3月 10日

          もちろんサンルーフ付きですね

          1
      • 2022年 3月 10日

      自分も民生トラックがいいと思ってたけど、右ハンドル車でも喜ばれるかな?
      北米生産分を回す?

      1
    • 無能
    • 2022年 3月 10日

    イギリスやアメリカは亡命政府の件でも積極的で徹底抗戦の姿勢だけと
    最近フランスやドイツの名前を聞かない気がする
    やっぱNATO内部で温度差あんのかね?

    7
      • 無無
      • 2022年 3月 10日

      見方を変えれば、これはスラブとアングロサクソンの世界的主導権争いに関わる小競り合いだから、ゲルマンやラテンは醒めてるのかも
      海で隔たれた米英と比べて陸続きの欧州諸国とは、問題への温度差だけでなく利害関係や概視感があっても不思議ない

      1
      •  
      • 2022年 3月 10日

      フランスのマクロン大統領はプーチンからイタ電大量に来て過労死しそうじゃん(ググれば写真出る)

      ドイツくんは・・・
      ■ドイツ、ウクライナに戦闘機移送せず 首相「話し合いで解決を」
      リンク

      3
      • STIH
      • 2022年 3月 10日

      お花畑な思想をロシアの出汁にされた独仏が、今更主体的な行動ができるとでも?
      フランスはあれだけ顔に泥を塗られても電話会談を欠かさずおこなってるな。ドイツは適当に支援物資を送りつつ、自分の国の悲惨な軍備状況をなんとかすることに精一杯なんでは。

      7
    • 戦略眼
    • 2022年 3月 10日

    結局、ロシア領を攻撃出来ない兵器だけ送るのね。
    戦闘機は、出し惜しみ。

    2
      • tofu
      • 2022年 3月 10日

      どっちみち、戦闘機があったところで積極的に飛ばせるわけでもないからなぁ
      ロシアのSAMはウクライナのほぼ全土を射程に収めてるというアメリカの分析なので、安易に飛ばしてもパイロットが失われるだけっていう

      6
    • 匿名
    • 2022年 3月 10日

    他のPSAMと異なりセンサーシューター分離可能で残存性高めれます
    リンク
    他のPSAMと異なり三脚3連可能で直前ガス冷却不要で即応性高いです
    リンク
    他のPSAMと異なり車載FLIRと統合すると最大7km狙えます(他は5km)
    リンク

    更にイグラ系がポ製の最新のでも側面レーザー近接信管で調整破片を撒き散らすだけなのに対しこれは超音速で徹甲榴弾が直撃するんで重AHだろうがレーザー警報なった瞬間即死で最新の光波妨害装置も終末速すぎで対応不可です

    6
      • けい
      • 2022年 3月 10日

      以前に見た記憶あって見て回ったけど、
      今のウクライナの対ロシア防空ではバッチリ合うな、地上ですら戦車以外なら撃破できるのは強すぎる

      狙われたら高機動回避か、戦車並みの重装甲防御以外は対策無いのも強いな
      (すぐにマッハ3.5まで加速できるのも強いな、速度で振り切れない)

      レーザー誘導だから視界が通らないとって欠点はあるが、この状況ならバッチリだ

      英国面がなければ思いついても実用化しない兵器だけど、ちゃんと完成してる

      4
      • coke
      • 2022年 3月 10日

      1枚目の写真。目標が右弦側に移動して、それを追っかけて発射したら、レーザー誘導する人大変なことになりそう。

      3
    • えぞ
    • 2022年 3月 10日

    なんか、Su-57らしき機体が確認されたとか エンジン音とシルエットがそれっぽい?
    しかも低高度で無誘導爆弾落としている……なんだそれ

    リンク

    3
    • ブルーピーコック
    • 2022年 3月 10日

    ロシア軍の練度と制度を改革したにも関わらず、10年前に失脚したアナトーリ・セルジュコフが復帰してきたら怖いな。冬戦争の再現になりかねない。
    ただまあ、改革の内容からか軍では人気が無いし、ブランク長過ぎて今さら出てきてもどうにもならんか

    1
    • ななしさん
    • 2022年 3月 10日

    ウクライナの畑から、次は英国製の地対空ミサイルが収穫されるんだね。
    何て肥沃な大地でしょう!

    5
    • 2022年 3月 10日

    ロシアがついにSu-57を実戦投入したとされる動画が出てるがフェイクかどうかわからんな…
    特に開戦初日にゲームのリプレイとか大量に出回ってたし

      • 無題
      • 2022年 3月 10日

      低空で爆撃するのにSu-57使うのはさすがにフェイクにしか見えないな

      4
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