ゼレンスキー大統領はイラン製無人機によるインフラ攻撃を防ぐためG7緊急会合で「高度な防空システムの提供」を要請したが、フランスとイタリアがSAMP/Tの共同提供に向けて準備を進めているらしい。
参考:Armi all’Ucraina, ora tocca a Meloni. Ma sui nuovi aiuti a Kiev crepe nella maggioranza
ゼレンスキー大統領が要望していたSAMP/Tの提供にフランスとイタリアが合意、メローニ首相が計画を承認すれば11月中にも正式発表されるらしい
ゼレンスキー大統領はG7緊急会合で「ロシアがイランに徘徊型弾薬Shahed-136を2,400機も発注している、ウクライナ軍の指揮管制システムに統合された防空システムを提供してほしい」と要請、これを受けて米軍のミリー統合参謀本部議長はラムシュタイン会議後「統合された多層式防空システムをウクライナに提供する」と発言していたが、これまでに提供が発表されたのは旧式のHAWKシステム(改良ホーク)と短距離防空システムのクロタルだけだった。

出典:nicubunu/CC BY-SA 2.0 HAWKシステム
ウクライナに提供される統合された多層式防空システムは低高度をカバーする短距離の防空システム、中高度をカバーする中距離の防空システム、高高度をカバーする長距離の防空システムで構成され、米国が提供したNASAMSやドイツが提供したIRIS-TSLMは短距離~中高度をカバーする防空システムで、フランスとイタリアが共同提供に向けて準備を進めているSAMP/Tは待望の高高度をカバーする長距離の防空システムだ。
SAMP/Tに接続される長距離レーダーのArabelは最大100個の目標を同時に追尾することができ、Aster30(作動範囲は高度3,000m以上の目標に対して100km/高度3,000m以下の目標に対して50km)を使用して同時に16個の目標と交戦することが可能で、Aster30Block1(PAC-3弾に相当)なら射程600kmクラスの弾道ミサイルを迎撃することもできる。
ウクライナにAster30Block1対応のSAMP/Tを提供するのかは不明だが「フランスがウクライナにSAMP/TランチャーとAster30を、イタリアが長距離レーダーのArabelを提供することで合意した」と報じられており、新たに政権の座についたメローニ首相が「SAMP/Tのウクライナ提供」を承認すれば11月中にも正式発表されるらしい。
さらにイタリアもスペインが提供したアスピーデシステムを3セット提供する可能性があるとLa Repubblica紙は報じている。

出典:MBDA 写真のミサイルはアスピーデ2000
因みにロシア軍によるウクライナへのインフラ攻撃は続いており、31日朝もウクライナ全土に大規模な攻撃が行われ電気や水道といった設備に大きな被害が発生した。
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※アイキャッチ画像の出典:Italian Army/CC BY 2.5
この多層式防空システムを提供されるとして配備先はやっぱりキエフなんでしょうか。発電施設も大事だしどうするんだろ。まあ、何にせよ早く届けてほしいものだ。日本をHAWKが退役予定なら送ればいいのに。03式は絶対無理だし。
廃棄装備も対中戦力の備蓄で重要らしいよ。
廃棄して鉄屑にしてんのに。
入札情報サイトjudgit!だと2020年に三菱がホークミサイルの改修や保守管理事業を落札しているので、まだ使う気なんじゃないですかね。
同じく入札情報サイトNサーチでは昨年は日油がホークミサイル処分のために約2000万円で事業落札してますが、廃棄理由と本数は書いてありませんでした。
こういうのって取得費用と本数は書いてあったりするけど、処分費用は1本いくらかかるんだろう。
自衛隊はミサイル備蓄が少ないので、いざという時のためにHAWKでもあるほうがいいと思う。
中国が飽和攻撃を何度も仕掛けてくれば、すぐに迎撃弾は無くなるだろうから。
何しろ7割のミサイルが失われているのに、しつこく攻撃するような国もあるんだから。
単純に高高度の目標に十六発同時迎撃可能って凄いなって思ったけど、
やはりこれは現場がガッツポーズするくらいに凄いんだろうか。
今日は五十発中四十四発撃墜したそうだけど、
手数が増えれば完封も可能に…なれば良いな。
同時迎撃出来るのと撃墜出来るのは別の話なので分けて考えるべき。16目標に関しても確実を期すなら一つの目標に1発だけとは思えないので同時に32発をコントロールする感じだと思う。そうするとミサイル本数的には結構厳しくなってくるから継戦能力からするとどうなんだろうな。
ウクライナも残りの数か自信があるのか1目標1発でやっている感じだし、ウクライナでのIRIS-Tの撃破率60%でカタログスペック通りみたいな話もあったように思うのでやはり1発だけで狙っている感じはする。
〉同時迎撃出来るのと撃墜出来るのは別の話なので分けて考えるべき。
うん、だからこそ手数がって話だったのだけど。
やはりイランみたいな調達先も考えれば、
ロシアそのものの残弾数の底が見えてても、
先が見通せないうちは必中をお祈りして一発づつが基本方針か・・・。
手数に余裕があれば完封を目指せるのか、
ハエタタキしながら発射や調達の阻止で被害を無くせるのか、
当のウクライナはどの方向を見てるんだろなぁ。
日本は、差し当たり、廃用したHAWKを解体するのではなく、
一定期間(米軍のように次の次ができるまでとは言いませんが)
保管をするようになってほしいですね。
HAWKの機体そのものの運動能力は今でも劣っていないと思います。
昨今話題の、中東の某大国では、射耗したフェニックスAAMの替わりに、
HAWKを改装して使っていると聞いたことがあります。
前にも書きましたが、現在の射統システムに統合ができれば良いなと。
素人考えですが、同じセミアクティブレーダーホーミングのものが
あれば良いなと思います。
>中東の某大国では、射耗したフェニックスAAMの替わりに、HAWKを改装して使っていると聞いたことがあります。
その某大国空軍が保有するF-14AにHAWKを搭載しようとした計画ですね
実際に搭載した写真が有るので有名ですが、結局この計画は互換性の問題が出た為に中止され、後に残っていたフェニックスをレストアして試射に成功したと言う話が伝わっています
そうでしたか。
HAWKを載せるのはうまくいかなかったのですね。
教えていただきありがとうございます。
ただでさえ足りていない予算をHAWKの保管費に当てるなら03式の弾を一発でも多く買うほうがいいと思いますが、この辺は人の考え方にもよるんでしょうね、、
兵器の保管って、そのなにかかるものなのですか?
ロシアで、そんなにお金をかけて保管してたのかなあ?
保管って言ってもそんな簡単なものではなく、屋内に保管して、少しオーバーホールすれば動くように、かなり高精度な状態で保管しなくてはなりません。整備員もいるし建物の空調設備もいる、建物を建てる土地もいる。金のかかる話です。アメリカには広大な砂漠があり、そこに飛行機の墓場と呼ばれる、退役した軍用飛行機をまとめて保管してある場所があります。屋外に置いてあるのは基本的に部品取り用で、二度と空に戻ってくることはない機体になっております。しかし、屋内に保管されている機体もあり、この機体はtype1000と呼ばれています。これらtype1000に分類された機体(F117などetc)は、高確率で再就役することがある機体であり、日頃から整備をしています。少し話がずれましたが、防衛装備品の整備とは、金がかかり、大変なものです。個人的には大金叩いてもやる価値があるとは思いますが。
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戦闘機の戦力が不足するウクライナではS-300が生命線になってるけど、
残弾も心許ないし、S-300運用国で提供してもらえる所も限られてるので、
長射程高高度対応の地対空ミサイルが手に入るなら嬉しいニュースになるはずだが…