ドイツの要請で旧ソ連製のBMP-1をウクライナに提供することになったギリシャでは「なぜドイツ人は直接武器をウクライナに渡さないのか?なぜ時間のかかる複雑な方法に拘るのか?」と批判の声があがっているらしい。
参考:В Греции критикуют Германию за схему поставок Украине БМП в обмен на немецкие Marder – СМИ
参考:Griechen zerlegen Panzer-Pläne von Kanzler Scholz
ショルツ首相が不可能だと主張することは大抵実現するという皮肉
ギリシャはドイツからマルダー歩兵戦闘車を受け取り、ギリシャはウクライナに旧ソ連製のBMP-1を提供することで両国が合意、これを受けてショルツ首相は「この方法なら旧ソ連製の戦車(歩兵戦闘車)をウクライナに早く届けることができる」と誇らしげに語ったが、ギリシャ国内では「なぜドイツ人は直接武器をウクライナに渡さないのか?なぜ時間のかかる複雑な方法に拘るのか?」と批判の声が上がっている。
ショルツ首相はロシアがウクライナに侵攻したことを受けてウクライナへの武器支援を容認、これまで対戦車ミサイルなど多くの殺傷兵器を提供してきたが、ウクライナが新たに要請してきた西側製の戦車、装甲車輌、大砲などの提供には否定的で「ウクライナ人が扱い慣れた旧ソ連兵器を送る」という口実が形骸化しているにも関わらず、今だにショルツ首相は「旧ソ連兵器」に拘るたため姿勢を崩していない。
ショルツ首相は重装備の直接供与ではなく間接供与を「ウクライナ人が扱い慣れた旧ソ連兵器を送る」という名目で行っているが、ポーランドは「ウクライナ提供で生じる戦車のギャップをドイツが必ず埋める」という約束を信じてT-72を手放したのにドイツの提案はどれも要求を満たすものではなく、政府関係者が「騙された」と公言するほど両国間の交渉は暗礁に乗り上げている。
ギリシャはポーランドを教訓にしたのかは不明だが、旧ソ連製のBMP-1をウクライナに送るのは「提供分と同数のマルダー歩兵戦闘車を受け取ってから」という条件を付けており、ギリシャ国防省の関係者によれば「提供されるマルダーはギリシャ軍のチェックを受けた後にオーバーホールが行われ、再度ギリシャ軍のチェックを受けた後にギリシャカラーに塗装されるため最初のマルダーが到着するのは早くても2ヶ月後だ」と述べているため、ギリシャが提供するBMP-1がウクライナに到着するのは8月以降だ。
もしウクライナが旧ソ連製のBMP-1提供を望んでいるなら致し方ないが、ドイツを訪問した最高議会のステファンチュク議長は「古い旧ソ連製兵器でも戦うことが出来るが、より近代的な兵器のほうが役に立つ。T-72やBMP-1を提供するためチェコやギリシャにレオパルド2やマルダー歩兵戦闘車を与えるのではなく、これをウクライナに直接提供してほしい」と要請している。
そのためギリシャ国内では「なぜドイツはウクライナ人が欲しいと訴えているマルダーを直接提供しないのか?なぜ時間と手間ばかりかかる複雑な方法に拘るのか?」と批判の声が上がっており、スペインがレオパルド2A4のウクライナ提供準備を進めているという報道も飛び出したことでショルツ首相の立場は更に微妙なものになってしまった。
ショルツ首相はウクライナとロシアの対立を解決するのに役立たない殺傷兵器の供与は容認できないと、ロシア産の天然ガスや石油は欧州に欠かせないのでSWIFTからの露排除は困難だと、重装備の提供はロシアを刺激して戦いのエスカレーションを招くだけだと主張してきたが、独メディアは「ショルツ首相が不可能だと主張することは大抵実現する」と過去に皮肉ったことがある。
もしかしたら今回も国内外から批判を浴びてショルツ首相が最後に折れるかもしれない。
関連記事:スペイン、ウクライナが熱望していたレオパルド2A4の提供を準備中
関連記事:欧州の壁になると主張するウクライナ、潜水艦提供についてドイツと協議
関連記事:ポーランド、T-72の代わりを提供すると約束したドイツに騙された
※アイキャッチ画像の出典:Sonaz / CC BY-SA 2.0 DE
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これを読んで、なぜドイツがウクライナ紛争の介入に消極的なのかが少しだけわかったような気がした
日本も他人事じゃないわな
対中朝ではもう謝り外交せにゃならんという意識は欠片もないですねぇ
数百年単位で見れば迷惑の掛け合いなんて「お互い様」だなと思うし
これはお互いに注意すべきところ
歴史を都合の良い時期だけ切り取って利用しないこと
秀吉まで遡って持ち出すのに、元寇には触れないだの、そういうご都合主義は軋轢を産むだけで無意味
一旦「千年」と書いて、抵抗があって縮めたんです。かえっておかしくなりましたね
敗戦国だからとか色々あるけど結局は金‥金なの
ガス止められたら経済即死するから矢面に立ちたくないんすよ
腹の中じゃ、はよ領土手放して停戦しろって考えてるってのが見え見えだな。
財政面でさんざんドイツやEUに迷惑かけておいてこれである。
そういう次元の問題とは別だと思うが。
そういう経済面のみで世界を語ろうとするとロシアの罠から抜けられたませんよ。
ドイツこそロシアが敗北したときには、どの面下げてヨーロッパで生きていくつもりなのか、
戦争の行く末に予断を許さないとは、ドイツの有り様が裏目に出る可能性も高いということ
まぁそんなドイツの金に寄生するんじゃあんま偉そうなことは言えんでしょ…要するに、ドイツのエネルギー問題をロシア依存から脱却する多国間支援も無しに感情的にドイツを責めても意味がない。ロシアは敗北するだろうけど、別に普通に暮らせると思いますよ、ドイツ。どの面下げて、なんてのはあなたの感情だけの話で、それ以上でも以下でもない。
戦争の途中で悟り顔するのは傲慢ですよ、まだ帰結を読むほど条件はそろってないのにね
嗤う
以前から思っていましたが、ショルツ首相とドイツの政財界は間違い無くロシアのポチで「さっさと停戦してロシアとビジネスを再開したい」と言うのが本音でしょうね。
後、イタリアやフランスもロシアのポチの匂いがプンプンしますから、今後のウクライナ情勢の行方次第では今後のEUがどうなるか楽しみです(皮肉)。
ここでロシアが負けるとEUがどんな行動を示すのか楽しみです!
独仏伊抜いたらもうEUにろくな国残ってなくてワロタ
やっぱ大英帝国って神だわ。これからも島国同士仲良くしようやぁ
ポチっていうかロシア産の天然資源が無いとドイツの重化学工業が大ダメージ食らうからそこの配慮でしょう
仮に中東やアメリカが安価にLNGや原油を供与したらこんなにグズらないだろう
国際社会の空気読めないのは、過去から続くドイツ人の気質かな?
発想が極端から極端に行くのも。
まぁ、日本も他国の事は言えないけど。今回の外圧で日本も平和ボケから目覚めて普通の国になって欲しい。
(極端な軍事優先はやめて欲しいが。)
平和ボケ言いたいだけでしょ…
日本には基本「平和ボケ」か「半端暴論ミリオタ」そのどっちかしかいないからねぇ…どっちも害悪なんだけど
西側兵器に慣れるまで数ヶ月かかるのだから、取り敢えず今を凌ぐ使い慣れた東側兵器がウクライナに行くようにするのも間違いではないのでは
今を凌ぐのに2ヶ月かけてりゃ世話ないと思います。旧ソ連規格をかき集めるのにも限界が近づく現状、どのみち西側規格を使う羽目になる。ならば早いほうが良い
それに記事の中にもこうあるので全く間違っている
>もしウクライナが旧ソ連製のBMP-1提供を望んでいるなら致し方ないが、ドイツを訪問した最高議会のステファンチュク議長は「古い旧ソ連製兵器でも戦うことが出来るが、より近代的な兵器のほうが役に立つ。T-72やBMP-1を提供するためチェコやギリシャにレオパルド2やマルダー歩兵戦闘車を与えるのではなく、これをウクライナに直接提供してほしい」と要請している。
ショルツ首相は、若いころはバリバリの社会主義者で、旧ソ連や旧東ドイツの指導部から”目をかけられていた”ほどの人物でした。今回のウクライナ戦争について、彼が腹に一物あるのは想像に難くないでしょう。
それはさておき、6/3付けのシュピーゲル誌(英語版)が辛辣なショルツ政権批判を行って話題になっていますー”なぜドイツの武器供与はこんなにも遅いのか?”
リンク
また、スペインからウクライナへのレオ2A4の供与について、スペイン政府はドイツの事前許諾が必要として、”急いでいない”としています。
ショルツ首相も、民間人大量虐殺が発覚したときにはとても憤っていて
野党の突き上げもあり、それで火器提供が進展したのだと思いますが
やがて本人も国民も、状況に「慣れて」しまうのですね。
それで7月にゲパルト6両とかにトーンダウンする。怖いことです。
8月までに何人が戦死するんだろうね。
持っててもどうせ整備不良で動かないんだから、とっとと手放してウクライナ人に修理させれば?
北朝鮮がクワッドに参加したいと言い出し、それを許さぬ中国が北朝鮮に侵攻したとして、日本は北朝鮮に10式戦車などを提供出来るでしょうか?
私は無理だと思います
提供すれば性能を事細かに調べられるでしょう、第三国にも流出するかもしれません、リスクが大きすぎます
ドイツが方式に拘るのは当然の話です
ドイツにとってのウクライナと日本にとっての北朝鮮では、ちょっと比較対象としては難ありな気がしますねぇ、、、
あと、多分ですがドイツが最も懸念してるのは技術流出ではなく、ロシアの対独感情悪化やそれに付随するエネルギー貿易への影響では?
レオパルド2A4って最新型かな?
大分陳腐化していると思うが。
設定が上手くないね、北朝鮮ごときが入れないのがクワッドの性格であり、もし北朝鮮が加盟できる条件を充たせるならば、もうそれは日本の敵国ではないし、そんな国ならばクワッドより先にまず南北統一をやるって
成り立たない物語は参考になりません
そもそもドイツ国民がどう考えているのか外野にはわからない。
ケーニヒスベルクの占領等武力による領域変更を受けた側でもあるし、
他国を侵略した側でもある。立場や背景によってさまざまな意見があるだろう。
ただしドイツは議院内閣制であってショルツ首相の政策は民意に沿った内容のはずで、
それを他国がとやかく言うのは間違っていると思う。
まして今回の戦争はウクライナとロシア間のもので、
ウクライナ支援はあくまで各国の善意によるものでしかない。
法的根拠を与えるべき国連の機能不全こそ問題だろう。
まあ確かに。
ウクライナはNATOですらなくて、ロシアの片割れみたいな国だもんな。
勿論ロシア弱体化を狙って武器の支援をするのは、西側としても理にかなってるが、他国に強要される謂れは無いわなぁ。
でも今後を考えると、一寸困るかも。
しかしこれぞ国連の本質
戦勝国に都合よく戦後世界を構築しようと企んだ結果がこれ、まさに勝者による自滅
問題は、お人好しが国連に何かを期待したり、あわよくば常任理事国になりたいだの、国連の意義を勘違いしていること
平和のためには国連改革でなく新しい国際機構こそ求められる
ドイツの事情は冒頭ななしさんが張ってくれたリンク先インタビュー記事が参考になりますよ。
一例として、
>侵攻直後の「ロシアを徹底的に叩くんだ!」という雰囲気は一段落して、ドイツにとってベストな戦争の終わらせ方を考える人が増えているように感じました。
ギリシアがドイツ政府の姿勢を責めるのは、単に武器支援による自国の不利益を避けたいからだと思います。陸上重装備は当面出番は無いかもですが、トルコとは緊張した紛争関係にあるわけで抑止力低下は極力避けたいでしょう。
ロシアの脅威に対し軍事力大増強を計画中のポーランドも似たようなものかと。
つまりは、善意だけではなく各国の様々な思惑が交錯しているてことだと思います。
ゼレンスキーのエンドステートがどこにあるのかが重要。以前言っていた2022年2月24日以前の段階、なのか、最近の発言での2014年2月23日以前の段階なのか。後者に徹底的に拘るのならば東部・南部・クリミア半島の全ての奪還を意味し、それには半年や1年でケリがつくとも思われない。となるとNATOは今後何年もウクライナへ兵器供与を継続せねばならないわけだが…そんなことが可能なのかどうか。善悪の問題ではなく、ウクライナが他人の財布と装備で戦争をしている事実は軽んじてはならないでしょう。
ドイツを非難するのは簡単、7兆円の対ウクライナ支援予算を投入しているアメリカにもっともっと兵器供与しろと叫ぶのも簡単、ですが勧善懲悪の思考レベルで国際政治や各国の国家運営が動いていないという現実も認識すべきでしょう。NATO各国だって何千何万も余剰兵器を抱えているわけはない、今現在だって余裕綽々でウクライナ供与しているわけじゃないんですから。
NATO各国の足並みをそろえるためには、各国が必要としている化石資源の分配や補填に関しての調整ありきですよ。そこに手を付けなければいつまでも各国国情が邪魔をして一枚岩になることはありえない。