ロシア凍結資産の差し押さえを前提にしたウクライナ防衛力強化の話が進んでおり、ゼレンスキー大統領は記者団の質問に「ウクライナの戦闘機ニーズは新型機250機でスウェーデン=グリペン、フランス=ラファール、米国=F-16の3ヶ国と並行協議を行っている」と明かした。
参考:EU pressure builds on Belgium to allow use of Russia’s frozen assets
参考:Saab ready to open plant in Ukraine for Gripen fighter jets
参考:Винищувачі Gripen здатні сідати на трасі та застосовувати усі наявні в Україні ракети – Президент
この戦闘機がロシアとの戦いに役立つのか、戦後のウクライナ防衛に寄与するのかは戦争がどこまで長引くかに左右される
ウクライナはグリペンEを100機~150機調達するための意向書に署名し、ウクライナとスウェーデンの間でグリペンE調達に向けた作業が本格化したものの「この調達にかかる資金をどこからもってくるのか」については確定しておらず、クリステション首相もジョンソン国防相も「両国は購入に向けた最初のステップとしてグリペンE購入資金の調達方法を検討している」と述べ、スウェーデンとEUはロシア凍結資産の活用を協議しているが、大半の凍結資産が保管されているユーロクリアの拠点=ベルギーはこれに反対している。

出典:President of Ukraine
既に凍結資産の運用収益を財源にしたウクライナ支援は行われているものの、現在議論されているのは「凍結資産自体を差し押さえてウクライナに対する賠償に充当する」というもので、米国やドイツを含む多くの西側諸国は法的リスクを恐れて凍結資産自体に手を出すことを躊躇してきたが、トランプ大統領は「ウクライナを防衛するため凍結資産を差し押さえるか、別の方法で活用すべきだ」とG7に要請、メルツ首相も「凍結資産の1,400億ユーロをウクライナの防衛力強化に充てるべきだ」と述べ、EUも凍結資産を戦時賠償に活用する仕組み提示し「この違法な戦争の費用はロシアが負担すべきだ」と主張。
しかし、ベルギーのデウェーフェル首相は「それを実行するならEU全体で法的リスクを負担し、もしもの事があってもベルギーが返済しなくても済むように保証してほしい」と要求し、この態度についてはEU加盟国から「これまでユーロクリアの法人税はベルギーのものだと主張してきたのに、リスクを分散したい時だけ『ユーロクリアは欧州全体のものだ』と行っているようなものだ」と批判されており、ベルギーは凍結資産から生じた利益に対して36億ユーロの税金を徴収している。

出典:European Union
ベルギー政府は「徴収した税金の全てをウクライナ支援に宛てている」と説明しているが、実際には全額がウクライナに送られているわけではなく、デウェーフェル首相も「我々が戦争で儲けていると言う人もいるが、それは(凍結資産から徴収した税金のうち)10億ユーロを手元に残しているからだろう。我々の立場から言えば資産凍結に対するリスクとしての10億ユーロは非常に少額だ」と説明したものの、ベルギーのウクライナ支援額はデンマーク、スウェーデン、ドイツと比べて相対的に小さく、これもEU加盟国の一部を苛立たさせる要因の一つらしい。
つまりウクライナのグリペンE調達資金の大部分は「ロシア凍結資産を差し押さえて活用できるかどうか」に、ユーロクリアの拠点があるベルギーが凍結資産の差し押さえに同意するかにかかっているが、すでにロシア凍結資産を差し押さえことを前提にした(戦後の?)ウクライナ防衛力強化の話が進んでおり、ゼレンスキー大統領は記者団の質問に「ウクライナの戦闘機ニーズは新型機250機でスウェーデン、フランス、米国の3ヶ国と並行協議を行っている」「戦闘機ニーズを満たす新型機としてグリペン、ラファール、F-16(恐らくBlock70/72)が選定された」と明かしている。

出典:President of Ukraine
つまりロシア凍結資産を活用したウクライナの戦闘機需要は250機で、ものすごくドライな言い方かもしれないが「凍結資産の資金をスウェーデン、フランス、米国の3ヶ国に配分しなければならない」という意味になり、これは国際的な力学への配慮というより「ウクライナ防衛にフランスと米国を関与させたい」というウクライナ側の政治的意図が強く働いている可能性が高い。
まぁ動機や意図は兎も角、ウクライナの新型戦闘機調達は「資金問題」さえ解決できれば比較的スムーズに進むと思われるが、この戦闘機がロシアとの戦いに役立つのか、戦後のウクライナ防衛に寄与するのかは戦争がどこまで長引くかに左右される。
関連記事:ウクライナがグリペンE購入を要請する意向書に署名、問題は購入資金の調達
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Kelsea Caballero





















ベルギーも綺麗事やっているように見えて、儲け・権益を確保しているところに、ヨーロッパらしい狡賢さを感じますね。
欧米他国(ベルギー除く)は、ベルギーに法的リスクを押し付けてリスクヘッジしようとしてるわけで、これまた凄い話しだなと。
日本メディアを中心に、感情的で単調な論議を見かけるわけですが、欧米国家間で金融面の強かなやり取りしていることを感じますね。
日本政府が凍結している、ロシア中央銀行などの元本を流用すれば、日本『納税者』が法的リスクを背負うということを言い換えられるわけですがそういった話しは少ないなと感じます。
追記です。
日本目線で見れば、実はこれ他人事ではないんですよね。
ドイツが有名ですが、他国が信用できないため(冷戦も終了したため)、米英仏などからゴールドを引き上げてきました。
トランプ政権(アメリカ)が信用できないとして、ニューヨーク連銀などが保管しているGOLDを一層引き上げる流れもあります。
日本は外貨準備だけで、約200兆円(9月末時点)あるわけですが、『ほとんどの米国債・金などがアメリカに預けてある』わけです。
『日本にメリットあるの?』主権免除を無視して介入する前例を作ると、日本にメリットがあるのかというとかなり面倒くさいということは、理解しておくことも重要かなと思います。
絵に描いた餅
《どんなに巧みに描いてあっても食べられないところから》何の役にも立たないもの。また、実物・本物でなければ何の値打ちもないこと。
まあ戦後がどうなるかはわかりませんが、一つ言える事はロシアは今後EUに資産を預けると言った事は無いという事でしょうね
EUに資産を預けないのは別に構わないんですけど、実質世界の金融を握っている日欧米(ドル+円+ユーロ+英ポンドで通過取引高の90%を占める)に資産預けなくてどこで使うんですかね……
ロシアの外貨準備って戦争前から2割がゴールドでしたしその傾向が更に強まるのでは?
この戦争はゴールドの価値を爆上げさせた。と同時にロシアのような国家にとってドルやユーロは西側の都合次第で価値が毀損する安心できる資産ではない事を証明しました。
で、そのゴールドとやらはどうやって使うんです?
金っていうのは唯一没収されない最後の資産であって、現状西側通貨が世界の総取引量の9割を占めているんだから金だけ持っててもそもそも取引出来ないんですよね
まあBRICSは一応対応してるんですけど、そこだけで賄えるならそもそもロシアは2014年以降の制裁で困っていないし、共通通貨構想にしてもそもそも信頼がないので…
相手がゴールドを決済手段として提示しても取引してくれない場合(その理由が制裁や他の理由であれ)があるとしましょう。
その相手にドルやユーロを提示しても取引してくれないと思いますよ?
ぶっちゃけ現代ではドルやユーロは主要な決済手段ではありますが必要不可欠なものではないでしょう。
国際貿易において元は日本円よりも多く使用されており(中国自身は実に半分が元決済)ゴールドは容易に元などの通貨と交換する事が出来ますから。
ロシアのような国家にとっては西側通貨で資産保有する事の取引上の利便性は殆ど存在せずリスクばかりが大きいのです。
ドルやユーロが必要不可欠じゃないって西側諸国と一切取引が出来なくなるけど本気で言ってるんですか?
人民元なていう信頼性に劣る通貨、先進国は誰も相手にしてくれませんよ
というか外国通貨建ての債務まだ沢山残ってますけどそれはどうするんです?別にデフォルトしてもいいですけど格付けと信頼が地に落ちて投資家にそっぽ向かれるかクソみたいな条件で融資されることになりますけど
まだ先の投稿が反映されてませんが、話がちょっとずれている後半について。
ロシアは既に2022年にデフォルトしてて、技術的デフォルト=決済インフラを利用できないためとして、その後は結局ルーブル建て払いを続けていたはずです。(一応当初はロシア系欧州内バンクが兌換していたと思いますがもうそれは行われていないはず)
それで実際ロシア債は国債格付けからはジャンク債になっており、今はモスクワ証券取引所のみの取引で、国内と非欧米としか取引しておりませんよ。
なので仰る状態には既になっているのです…
追記
それでも今年の初めごろに停戦を目論んだ投機が話題になったのはまさしくマネーショートなだけで、今はまた欧米にとってはジャンクなままだと思います。
国際取引に復帰するには結局決済システムへの復帰=制裁解除が必要ですね。ロシアとしては最低限の停戦条項の一つです。あまり話題になりませんが。
なかなか反映されないので前半の金について端的に。
金が外貨準備高として記録されるのは価値が保証されるからで、金はロシアが持ってようがアメリカが持ってようが金です。購入国はおそらく障害少なにドル兌換できます。
だから金取引は物理的障害があったとしても有効で、だからこそ多くの国が安全通貨として金を蓄えているのです。
そもそも論としてゴールドだけでは貿易するのに量が足りないのでは……
最近の金やら銀の暴騰の背景がそれです。
各国の中央銀行が、ドルやユーロの外貨準備を削減して代わりに金を買いまくってます。
いくらドルに価値があるといっても、本当に必要なときに使えないのでは意味がないですから。
そもそも差し押さえられたのは身から出た錆びみたいなものなのでロシアの自業自得で勝手にしろとしか……
そもそも西側金融機関が信用出来ないとしてじゃあ何処に預けるの?となるとグローバルサウスやら他のBRICSの遵法や道徳心なんて信用出来ませんし
もし彼らが今の欧米と同じロシアと対立する立場だったら下手したら2022年の段階で法律云々なぞそんなの関係ねぇ!で好き勝手中抜きして使ってそうですし……
力による領土変更に反対してるのに財産の分取りは許されるのでしょうか
それこそロシアが自らその大義を与えたので……
0か100かという単純な話ではないのではなくて付随する各種事象が行為に説得力や妥当性を与えるものですし
最近でもイラク、アフガニスタン、シリア、リビア等西側の順法、道徳心なんて信用されてるの?
それらの紛争は経緯含めて語らねば意味がないのでは?
戦争=悪ではないですが流石に米と露では理論武装では比較にならないのでは……リビアなんて寧ろ欧米はやる気ないのを国際社会からの突き上げで仕方なく介入したようなものですし
自衛以外は戦争=悪でしょ
経緯含めて~なんて幾らでも恣意的に歪められるからそんなんで是非を論じるなど論外
差し押さえではなく「凍結」ですよ
ここを履き違えると「なんでロシア資産を流用するのに問題があるんだ?」という発想になりやすいです
>そもそも西側金融機関が信用出来ないとしてじゃあ何処に預けるの?
それこそ信用問題であり「一度でも預入資産を没収した事がある金融機関」というのは「一度でも顧客資産を横領した返済しなかった金融機関」のようなものであり、それ以外の「そんなことをしたことはない金融機関」と比べたら論外レベルになってしまうのです
23年頃からずっと続いている話題ではありますが、金銭面でのリスクは支援国間で分散可能であっても、信頼面でのリスクが特定の国に偏在することは避けられないので、被害担当でない国との温度差は激しい案件ですね。
主権免除の凍結資産に手を付けるなら信用貨幣の原則に挑む事になってしまいます
差し押さえられた側も差し押さえた側も得しないどころか、確実に別の国・別の貨幣にまで飛び火するでしょう
国際経済がヘタすると物々交換に退化ようなリスクに比べれば、戦闘機数百機供与のメリットなど霞むようなモノです
この危ない試みより、素直に西側諸国(日含む)が増税をしてその分をウクライナ支援にした方が何倍も良いと考えます
侵略戦争なんて誰も得しないのになぜやるのかという話で
それの結果一つでしかない事象に言っても仕方ないのでは?
侵略戦争初めた時点でその国の信用なんて既に無くなってる訳ですし
それは嘘でしょ、世界一戦争して侵略してるアメリカって国を日本は最も信用してる。
力による政権交代が、力による現状変更では無いとするなら話は別だが。
少なくともアメリカが冷戦以降あからさまに国土名目の侵略戦争した事はありませんし併合もした事もありませんね
アフガンにしろイラクにしろグレナダにしろ国土割譲を求めてません、前者二つは対テロ戦争的側面もあります
ベトナム戦争は同盟国南ベトナムのための防衛戦争で湾岸戦争もクウェートの主権のための防衛戦争です
なんで冷戦以降限定?国土名目であるかや併合有無は侵略戦争であるか否かとは関係ないけど
対テロ戦争であるかも戦争の国際法的正当性と関係ないし
南ベトナムは傀儡国家と言い得るし、第一次湾岸はともかく第二次湾岸(イラク戦争)は明らかに侵略戦争でしょ
Su-27の後継に米国から退役するF-15をレストア近代化してEX相当にして売却とかしませんかね。
金を買い増ししとこうかな
現在下落中らしいですよ>金
だからですよ
凍結資産を当てにするのウクライナや西側的には懐が痛まないのでいいんですが、接収するならせめて停戦条約に明記してそれが発効されてからにするのが筋でしょう。
相手が無法だからこっちもやりたい放題やっていいというわけではないし、せっかく金融市場で築いてきた信用を破壊する行為だと思う。特に西側は直接戦争している訳では無いし、このままでは揉めたら勝手に資産を接収するのが西側という悪評がつく。
別に悪評ついてもどうせ西側の金融機関使わないといけないから平気という声もありますが、ロシアはともかくグローバルサウスなどの信用も吹っ飛ぶのは良くない。
まあ、ロシアがEUにしている、されてるいる嫌がらせを考えれば、もう両者が和解することは直近数十年(少なくともプーチンの存命中)は望めないだろうし、互いに資産接収し合うのは普通の流れではあるかなって。
ロシア資産使うなら、ウクライナはより東欧にお金が流れるよう調整した方がいいと思うのだけど、そこら辺は地上兵器で調整かけるのかな?
ロシアは早く民間機返せよ
正直アメリカの安保よりフランスがイニシアチブとって集団的自衛権の行使をEUが確約する形が丸いのでは?ドイツだと地域の安定性というか、フランスがおフランス仕草してまとまらないのは目に見えてるし。
金融システムの信頼性を損なってまで支援する必要あるか?手数料ぐらい貰ってないと割に合わないだろ、ってベルギーがなるのも自然だとは思う
ユーロファイターはなぜスルーされてるのか…