ゼレンスキー大統領は「反攻作戦の手を緩めるつもりはない」と述べて冬季攻勢を示唆、ウクライナ軍のタルナフスキー准将もCNNの取材に「天候の変化=泥濘期が訪れても歩兵中心の攻勢に大きな影響はなく、最大の突破はトクマク以降に発生する」と述べた。
反攻作戦を成功させるためには最低でトクマクに到達しなければならない
訪米中のゼレンスキー大統領は反攻作戦について「私はプーチン大統領が何を望んでいるのか良く知っている。ロシアは多くの軍人を失ったため一時的な戦いの停止を必要としているが、現在進めている反攻作戦の手を緩めるつもりはない」と述べ、泥濘期(田畑や未舗装道路が春の雪解けや秋の長雨が通行不可能になる現象)が予想される秋冬の攻勢継続を示唆したが、ウクライナ軍のタルナフスキー准将もCNNの取材に「反攻作戦における最大の突破はこれからだ」と語った。

出典:GoogleMap ザポリージャ周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)
タルナフスキー准将は昨年秋のヘルソン反撃を指揮、現在はウクライナ南部の反攻作戦に参加するタブリア作戦軍(基盤戦力は第35海兵旅団と第55砲兵旅団)の司令官を務めており、CNNの取材に「秋から冬にかけての天候は作戦上の障害になりうる。秋の長雨は大地を泥濘ませるため戦車のような重装備の移動を困難にさせるかもしれないが、我々は少人数編成の歩兵部隊で前進(徒歩での移動)しているため、天候の変化が反攻作戦に大きな影響を及ぼすとは考えていない」と言及。
さらに反攻作戦の推移についても「最大の突破はトクマク以降に発生するだろう。現在のロシア軍は防衛ラインの厚み(もしくは深さ)に頼っており、前進する上で最も問題になっているのはスロヴィキン・ラインで構築された防衛ライン=広大な地雷原、対戦車溝、対戦車障害物の向こう側に用意したコンクリート製陣地ではなく、十字路、森林ゾーン、森林ゾーンと森林ゾーンの間に設けられた地雷原だ」と述べ、反攻作戦を成功させるためには「最低でウクライナ軍がトクマクに到達しなければならない」と強調している。

出典:3-тя окрема штурмова бригада
ウクライナ軍とロシア軍の戦いは当初から(大小様々な)森林ゾーンを巡る争いで、戦場に存在する無数の森林ゾーンはほぼ陣地化されており、これをウクライナや海外では「要塞」と表現することが多いものの、これはコンクリート製の巨大な構造物という意味ではなく、森林ゾーンに設けられた陣地もしくは塹壕は「直接視認するのが困難」なため歩兵を送って1つづつ潰すしかない。
ロシア軍がバフムートまで辿り着くの時間を要したのも、ウクライナ軍の反攻作戦がゆっくり進展しているのも「森林ゾーン」を潰しながら前進しているためで、反攻作戦に参加しているウクライナ軍兵士はCNNに「占領された土地を最終的に解放する大砲ではなく人間の仕事で、このプロセスには精神的なタフさと忍耐力が必要だ。約300mの区間を解放するのに1ヶ月半かかった」と明かしたことがあるが、単一弾頭の砲弾と比較して「制圧面積が5発分以上」とも言われるクラスター砲弾が状況の改善に役立っている可能性がある。

出典:UNITED24 MEDIA
どちらにしても「歩兵部隊」と「砲兵装備+無人機」で攻めるウクライナ軍にとって泥濘期は致命的な障害にならず、ロシア軍が冬季攻勢でバフムートを制圧したので同じことをウクライナ軍が出来ない理由もないため、秋から冬にかけても反攻作戦は止まらない(夏よりも前進するのに苦労する可能性はある)と考えた方が良さそうだ。
因みにポーランド国営放送(PAP)の取材に応じたモラヴィエツキ首相は22日「我々は現在も武器(締結済みの契約と事前に合意された武器・弾薬)を提供し、武器輸送(NATO加盟国が提供する武器のウクライナ移送)を組織することでウクライナを支援しているが、先日の国連演説のようにポーランド人を侮辱する発言を二度とするなとゼレンスキー大統領に言いたい。ポーランドの名誉を守ることは私の義務であり、共和国政府の最も重要な責務だ」と述べた。

出典:PRESIDENT OF UKRAINE
参考:Premier Morawiecki: nasi przeciwnicy w oparciu o film “Zielona granica” chcą splugawić polski mundur
参考:Premier: Chcę powiedzieć prezydentowi Ukrainy Wołodymyrowi Zełenskiemu, żeby nigdy więcej nie obrażał Polaków
武器支援を停止したいうメディアの報道を否定したドゥダ大統領も「ゼレンスキー大統領の発言に動揺ではなく憤慨した」と述べており、まだポーランドのウクライナに対する感情は「落ち着いていない」と言える。
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※アイキャッチ画像の出典:Об’єднаний пресцентр Сил оборони таврійського напрямку
ゼレンスキー大統領の演説原稿の草案作成や原稿チェックをする担当者に、ロシア情報部の手が伸びてきているのでしょうかね?
ウクライナの「反攻作戦」が泥濘機が終わるのを待って始まったのは、機甲突破するつもりだったためで、でも実際はそれは頓挫したので、今思えば冬の間からじりじり進んでおいたほうが良かったのかもしれません。最近のウクライナ軍の進展はロシア軍が予備戦力を使い果たしつつあるしるしでしょうし、回復する暇を与えないのは大事なことでしょう。
ウクライナ側も大きく進むほどの戦力があるのか分かりませんが、まだローテーションする余力はあるようだし、砲弾や無人機などの装備は西側からコンスタントに提供されているので、粘っこくやるほどウクライナ有利になると思えます。
冬には西側の戦車も歩兵戦闘車もまだ届いてなかったですから、どっちにしろバフムトを守るので手一杯でしたよ
反転攻勢を6月頭に始めたのが5月頭には始められたかも、ぐらいの選択の余地しかなかったです
前線の機動もそうだけど輸送路も当然影響を受ける
WW2でもドイツ軍が泥濘対策にハーフトラックを活用したりしたようにね
特に砲兵への影響は大きいから火力支援の供給が滞れば歩兵突撃なんて自殺と変わらない
ワグネルと同じような歩兵特攻主体で打通を目指すのか、、奪還すべき距離はバフムートの比じゃないけど正気か、、?攻勢はともかく伸び切ったラインの補給は、、?
ウクライナ軍は少数編成の歩兵でジワジワ浸透する戦法を採用しているので、ワグネルのような歩兵特攻は行わないと思います。
バフムートの戦いと違って、防御側のロシア軍の方がウクライナ軍より損害は大きいです。
また、泥濘期は全ての車両が動かせないという訳ではありません。
泥濘期のバフムートの戦いでは、ウクライナ・ロシアの両軍が軍用トラックで補給していました。
ウクライナ軍はT0408道路沿いに南下しているので補給は行えると思います。
ウクライナがやれば浸透でロシアがやれば特攻になるんだから戦勝は近いな!
ロシア軍(ワグネル)と今のウクライナ軍の戦い方は全然違いますからね。
ロシア軍(ワグネル)の戦い方は、第1陣が突撃して全滅したら第2陣は武器を持たずに突撃します(以降はその繰り返し)。
ワグネルの元戦闘員は「100人中、3人が生き残ればいいほうだ」と述べていましたね。
今のウクライナ軍は上記のような戦い方をしておりません。
戦い方が全然違うのでちゃんと区別する必要があります。
戦勝が近いかどうかは個々人が自由に考えればいいと思いますよ。
相手の文を理解出来てない。
最初の文からウクライナはゾンビアタックも督戦隊攻撃もしてないと言うとろうが。
返しのレベルが低い。
「歩兵特攻」の定義は不明ですが、ウクライナ軍が現在行っている防衛線への浸透と、ワグネル含むロシア軍がバフムトで見せた、損害を顧みない力押しは、明らかに別物ですよ。
華々しくも無く進捗も遅いですが、ロシアの防衛線を突破した事は事実ですし、着実に地雷や疎塞を撤去し機動戦の為の経路を開啓している様に見えます。
トクマクまでは依然として距離がありますがこのままの勢いを維持できるのであれば2024年の春辺りまでにはトクマクまでたどり着けるのではないでしょうか。 しかしそれだけ突出すると危険なので東はマーンやステポヴェ、西はポロヒー辺りまで突出部を広げる必要があると思います。 ロシア軍とウクライナ軍の余力次第ですけどね。
訂正 「西はマーンやステポヴェ、東はポロヒー辺り」でした。
補給もそうだし損害が許容できないレベルになりそう
まぁウクライナはまだまだ人的損害は許容できるし動員追加でかければいいけど、戦後どうするつもりなんだろ?
ウクライナのラプチナ退役軍人大臣が、10人に1人(400万人)が軍除隊者・戦没者遺族になるという見通しを、産経新聞のインタビューで答えています。
戦後も、対ロシア・ベラルーシの軍役を継続する必要がありますから、民間経済の先行きは見通せないですね。
経済的影響もさることながらそんな大量の退役軍人というとまーーたウクライナの政治が…
右派系準軍事組織とか誕生してもおかしくはなさそうで恐ろしいすねぇ
ゼレンスキーの後任は苦労しそうだ
戦後どうするかも損害をどの程度許容するのかも、それはウクライナが決めてウクライナがその責任を負うことだと思いますが、しかし今はまだロシアを追い出さなければ「戦後」そのものがないという認識とちがいますかね。
補給線は、未だロシアの方が長大だと思うんですけど・・・。
そして、各所で補給線を圧迫しているのはウクライナ軍の方だと思いますけど。
「歩兵特攻」がどんなものを指すのか不明ですが、既に書かれている様にウクライナ軍は少数部隊での浸透と言うべきでしょう。
やはり泥濘期は止まる理由にはならんか
まぁ良くも悪くも現在の進撃速度なら多少効率が下がるくらいだしな
>> ロシアは多くの軍人を失ったため一時的な戦いの停止を必要としているが、現在進めている反攻作戦の手を緩めるつもりはない
ここを読むと損害の大きさは本当にロシア>ウクライナだったんだな
しかし無理攻めをするとウクライナも同じように被害を出しかねない
時間をかけて前進するしかないようだ
このところウクライナがずいぶんポーランドを怒らせているようだが、一体ゼレンスキーは何を思っているのだろうか
>このところウクライナがずいぶんポーランドを怒らせているようだが、一体ゼレンスキーは何を思っているのだろうか
ぶっちゃけ武器支援という面だけ見れば、ポーランドは出せる兵器は出し尽くして「用済み」ではあるからな…。もう宇とポーランド関係は、戦後を見据えての外交駆け引きのフェーズに入ったって話でもあるのかも。ウクライナも経済復興の為に金は欲しいし。
えーとこの戦争があと何年で終わるかなんて予測出来てる人居ます?(開発プランだけの兵器とかの話なら戦後を見据えてるでしょうけど)
ポーランド与党が選挙戦控えてヒートアップしただけでは
ウクライナは当面クリミアの維持、ドネツク・ルハンスク両州の奪取でロシアの最低限のメンツが立つと読んでいるのではないでしょうか。それがロシア軍を分断する圧迫となってサポリージャ・ヘルソン両州からの撤退を促しているように見えます。
ロシア政治はヤクザ式なので、メンツが潰れる死守→軍の潰走は選べないのでしょうし、南部まで失陥すれば選挙後も徴兵できるだけのメンツはもはや残らない気がします。
WW1みたいな砲撃戦、消耗戦になってるから陣地の奪取自体にはそこまで意味はないのかも
ただ圧をかけ続けて耐えられなくなったら一気にグラっと行くと思う
ここのところのロシア軍の損害は兵器よりは輸送トラックが圧倒的に多いらしい。
ロシア南部の燃料インフラ破壊と兵站つぶしで燃料とそれを運ぶトラックが足りない。
精製済み燃料の輸出を禁止したことからもかなりまずい状況だね。
冬になればロシア軍は燃料にも困ることになるだろう。
ロシア軍は泥濘期に立て直しも休むこともできそうにない。
泥濘期に入る前に南部からは撤退することをすすめるわ。
乗用車やブハンカみたいな貨物車、馬車に戦車の燃料のドラム缶を積んで輸送位はするでしょうね。
去年の春先にZマーク入りの中国製オート三輪を使ってましたが、泥道でも走れて1t詰める優秀なヤツでしたので、こういう状況では重宝するでしょう。
>>単一弾頭の砲弾と比較して「制圧面積が5発分以上」とも言われるクラスター砲弾が状況の改善に役立っている可能性がある。
M42とM46の子弾頭がどんなもんで一体どんな威力かを無視して面積そればっかっすよね。てかHEの弾殻片は一体どんだけ飛び回るか想像も出来てない感じだし曳火はしない設定なのか知らんし色々怖いわ。
ウクライナもポーランドも異常な反露同盟であり、アメリカの言うところの悪の枢軸だ。見方が変われば評価も変わる。西側バイアスに冒された人達へのメッセージだ。
日本人は西側の国民なんだから西側の視点にそった評価で行動すればいいと思うが
何故わざわざ敵側の視点に立って評価せにゃならんのよ
正義も悪もない厳然たる科学的事実に基づいて全く問題のない処理水のトリチウムを
人類の敵だの何だの騒ぎ立てたのは中ロですが
善悪とか言う以前に、まずそれを論ずる十分な知的レベルに達していないと感じます
あなたは中ロの行いを正義だと思えますか?
お、水族館辺りからのコメントかな?
ごめん。どういう意味?
ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)を表す隠語です
ありがとうございました。
市民の声さん、ここは戦局を議論する場所だから啓蒙ごっこしたいなら書き込みしないでください。あなたはいつも一方の勢力を稚拙な表現で罵ってばかりで不快です。
誰も聞いてないしもう論調そのままでいいんで名前だけ変えてもらえません?
目に入るだけで不愉快なんで。
ところで肝心のクラスター爆弾を作っている企業は西側にどの程度残っているのだろうか
軽く検索したところ、アメリカに2企業、韓国に2企業あるようだが、アメリカはもう製造はしてない的な話を昔聞いた事があるのだけど。
まだ生産しているのならば問題なかろうが、米軍の在庫限りの話になるならばウクライナの前進も危ういものになるのではないだろうか?
ウクライナの歩兵戦術ってWW1から出現した浸透戦術の現代版みたいなのでワグネルのゾンビ戦術と一緒にするのは流石に見識を疑いますわ。
しかしまあ、マシンガンと砲兵の火力+障害物が歩兵の接近を拒否した結果、打開するために戦車が生まれたのに
今度は工業力の発展が対戦車火力と地雷の高密度展開を可能とするようになって戦車の接近を拒否するようになり、また歩兵による浸透戦術が重視されるようになるのを見ると輪廻めいた感があります
歩兵の損失を減らすために新しいテクノロジーを導入するとなるとやっぱりロボット兵器が有力になるのでしょうか
二足歩行ロボット兵器なんてマンガチックな空論だと思っていましたが、塹壕掃討用に必須になる時代が来ても驚かなくなりました
>ウクライナの歩兵戦術ってWW1から出現した浸透戦術の現代版みたいなのでワグネルのゾンビ戦術と一緒にするのは流石に見識を疑いますわ。
ではどう違うのかご説明願います
ちょっと前のコメントでs32gtさんが簡潔に説明していますので、ご一読されると良いかと思いますよ。
そのs32tさんの説明にこの名前空白は「便所の落書き」みたいな返ししてたので言うだけ無駄だと思いますよ
”「歩兵部隊」と「砲兵装備+無人機」で攻めるウクライナ軍にとって
泥濘期は致命的な障害にならず”
泥濘期になれば、”砲兵装備”は道路からは降りられないのでは。
居場所がすぐにバレそうな気がします。
緒戦の時も、ロシアが道路から降ろした(?)戦車などが沢山捕獲されているし。
農家のトラクターが戦車を回収していたけど、できれば、農家のトラクターに接地圧が
負けないくらいの車両と、軽くて大威力の火器が欲しいですね。
ミサイルは高価で数が足りないだろうから、MRLと無反動砲かな。それと無人機と。
それだと宇露両軍泥濘期に砲弾の発射量落ちてないとおかしいのでは?ここでもそういう話は聞いた事ないけど・・・
50tを越えるMBTと随伴車両が大挙して進撃する長大な道の確保は難しくても、
その半分の重量の自走砲と少数の支援車両が幹線道路からちょいと外れて攻撃する火力点とそこへの短い往復経路なら確保できる、と言うことでは。
勝手知ったる我が国土とはいえ敵の支配地域に進撃するなら川や用水路にちょっと細工をして「人口の泥濘地」なんかも作られてる畏れがありますが、自軍支配地内ならその心配はほぼないでしょうし。
初夏の始まりと共にウクライナの反抗作戦が始まったけど、今や夏も終わってそろそろ秋に入る時期か…季節の移ろいを感じる