ウクライナ戦況

ロシア軍がアウディーイウカ方面で大きな前進を遂げ、ネタラブも占領

ウクライナ人が運営するDEEP STATEは26日夜、アウディーイウカ方面について「ロシア軍がソキル方向とノヴォオレクサンドリヴカ方向で部分的に成功した」と言及し、27日に更新した戦況マップの中で「両方向におけるロシア軍の印象的な前進」と「ネタラブ占領」を報告した。

参考:За сьогодні ворог проявив значну активність в районі Очеретиного
参考:Мапу оновлено!
参考:Авдеевское направление: бои на участке Очеретино — Соловьево, продвижение ВС РФ к Яснобродовке обстановка по состоянию на 14.00 26 мая 2024 года

アウディーイウカ方面の情報量が多いので他の方面の更新は別でまとめる予定

シルスキー総司令官は23日「最も激しい戦闘がポクロウシクとクラホヴェの両地域で起きている。敵は最も訓練された部隊をスタロミハイリフカからベルディチの間に突撃作戦に投入し、我が軍の防衛を突破しようとしている。この攻撃は装甲車輌、オートバイ、バギー、徒歩によって行われる」と言及、DEEP STATEとRYBARも26日までに「ロシア軍がウマンスキーを占領した」と報告していたが、さらに大きな変化が確認された。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

DEEP STATEは26日夜「ロシア軍がオチェレティネ周辺で大規模な活動を見せた」「ロシア軍がソキル方向とノヴォオレクサンドリヴカ方向で突撃作戦を実施して部分的に成功した」「ウマンスキー北での攻撃は撃退された」と報告し、27日に更新した戦況マップの変化は非常に印象的なものがある。

DEEP STATEは「ロシア軍がオチェレティネの北で1km以上前進した」「ロシア軍がノヴォオレクサンドリヴカ郊外に到達した」「ロシア軍が線路沿いに前進した」「ロシア軍が線路沿いから南に前進した」「ロシア軍がソキル方向に前進した」「ロシア軍がソロヴィオーヴェの南で前進した」「ロシア軍がネタラブを占領した」「ロシア軍がネタラブの南に支配地域を広げた」と報告。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

RYBARも「ロシア軍がオチェレティネとソロヴィオーヴェの間でソキル方向に前進した」「ロシア軍がノヴォオレクサンドリヴカ郊外で支配地域を拡大させた」「ロシア軍がソロヴィオーヴェの南西で前進した」と報告、後者の2つはDEEP STATEの報告範囲内に埋もれているため27日の戦況マップに記載していないが、DEEP STATEとRYBARは「ロシア軍がソキル方向に支配範囲を広げてノヴォオレクサンドリヴカ郊外にも到達した」「ロシア軍がネタラブを占領した」という評価で一致した。

26日と27日の戦況マップを見比べるとロシア軍の支配範囲が如実に広がっており、ウクライナ軍が守るノヴォオレクサンドリヴカ、ソキル、ノヴォポクロフケ、ノボセレフカ・ペルシャ、ヤスノヴロディフカ、カルリブカの維持が怪しくなっている格好だが、個人的に興味深いはRYBARが主張するオチェレティネの北、アルハンヘルズケの西にあるロシア軍支配範囲=DEEP STATEが認めていないロシア人だけが主張する支配範囲(黄色の範囲)だ。

ここはRYBARの主張を否定する視覚的証拠が複数登場しているため「ロシア軍は黄色の範囲を支配していない」と思われるが、ロシア軍がオチェレティネの北で1km以上前進したのが事実なら、ここを守るウクライナ軍兵士は退路を遮断される恐れがあるためカリノヴェ方向に後退するしかないだろう。

因みにアウディーイウカ方面の情報量が多いので他の方面の更新は別でまとめる予定だが、クピャンスク方面やバフムート方面で観測された変化の方がアウディーイウカ方面より危機的と言える。

追記:ロシア軍がネタラブ集落内で国旗を掲げる様子。

関連記事:ロシア軍がウマンスキーを占領、クピャンスク方面でもイワニフカに侵入
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※アイキャッチ画像の出典:WarGonzo

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コメント

    • もへもへ
    • 2024年 5月 27日

    ハリコフ方面での反撃が成功すれば増援は来る。
    それまでは耐えるしかない…

    3
      • もちもちさんちの
      • 2024年 5月 27日

      反撃に成功することを祈るより、新規動員が来ることの方を祈ったほうがよさそうだ。

      28
        • BOB
        • 2024年 5月 27日

        「敵は最も訓練された部隊をスタロミハイリフカからベルディチの間に突撃作戦に投入し、我が軍の防衛を突破しようとしている。この攻撃は装甲車輌、オートバイ、バギー、徒歩によって行われる」

        こんなゴリゴリの戦場の鬼が殺意MAXで襲いかかって来るのに、強引に連れて来られた未熟な動員兵は地獄を見るだけだろうな

        45
      • ルイ16世
      • 2024年 5月 27日

      プロイセン流内線作戦による各個撃破戦術ですか
      ウクライナ軍が何らかの新戦術、若しくは新兵器により機動部隊がロシア軍防御陣地を容易に突破可能になれば機動戦が可能となり成功の可能性はあると思います
      ただどちらも戦場でまだ確認されていません

      5
        • マミー
        • 2024年 5月 27日

        ハリコフ方面で反転攻勢しても、ロシア軍がそれに付き合う必要が無いから、引き込み次第引き上げて滑空爆弾落として終わりでは?

        30
    • マダコ
    • 2024年 5月 27日

    ハリコフ方面に兵力をさかれた影響が出てきてますかね?ここでの成功次第で、スームィ方面の侵攻があるかもですね。増援の効果を薄めるという意味でも、兵力に勝るロシア軍が、意図的に戦線を伸ばしそう。

    17
    • 理想はこの翼では届かない
    • 2024年 5月 27日

    またもや情報が溢れて管理人さんが機器的状況に!?

    19
    • 黒丸
    • 2024年 5月 27日

    対人地雷とクラスター砲弾を廃止したのは西側の政策ミスだったのではと考えます。
    こういうバギーや軽車両での突撃攻撃を阻止するにはちょうど良かったのでは。

    7
    • たむごん
    • 2024年 5月 27日

    メジャフ~池?~カルリフカに、地形を生かした防衛線を築いた方がいいと、コメント欄で指摘されていた事を思い出します。

    (1)ウクライナ軍の損害
    (2)ロシア軍に与えた損害
    (3)後方防衛線の整備状況

    アウディーイウカ方面は、アウディーイウカ陥落後の上記点が気になります。

    5
    • つぐみ
    • 2024年 5月 27日

    この調子だと今年の年末くらいまでにロシア軍はクラマトルスクかスラビャンスクに到達してそうな勢い 徹底抗戦を堅持する姿勢が変わらなければ、このまま戦争4年目に突入しそうだね

    23
    • 無名
    • 2024年 5月 27日

    さすがにアウディーイウカ周辺からハルキウに部隊を引き抜いてはいないと思いますけど、アウディーイウカ周辺を守る兵士がハルキウに続々と援軍が送られてる話を聞いたら、「そんなに兵士がいるなら何でこっちに今まで送ってくれなかったんだ。」って思うでしょうね。やる気無くしそう。

    22
    • jimama
    • 2024年 5月 27日

    もう押されたらその分押し込まれてる感じというか1944年以降のドイツみたく何の展望もなくただ防いでる感がある
    F16さえみたいな声あるけど中古の戦闘機が来たぐらいでひっくり返るならここまで押し込まれない
    NATOの参戦待ちなのかもしれんけど核攻撃抜きにしても、接近拒否を何とか突破して後方を確実に損害無しで叩く手段を見つけたとかでもないと参戦はしないんでないかなあと
    地上軍(米抜き)はただでさえ少ないし航空優勢ないとほぼ確実に勝てない、少なくともエアランドバトル(エア抜き)では現代の塹壕線を突破できないと去年に証明されたようなものだし

    32
    • 暇な人
    • 2024年 5月 27日

    これは全部ハリコフに引き抜いたパターンかな?

    4
      • cosine
      • 2024年 5月 27日

      ※ただしクリンキは除く

      4
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