ウクライナのマリャル国防次官やシルスキー陸軍司令官は「街の郊外で前進を続けておりバフムートの戦術的包囲に近づいている」と主張したが、21日以降に登場した視覚的証拠の数は激減しているため、両軍の戦い小康状態に入ったのだろう。
参考:На флангах Бахмута бои затихают, но украинские войска понемногу продвигаются – Маляр
この3日間で観測された変化は非常に乏しく、両軍の戦い小康状態に入った解釈するのが妥当だ
プーチン大統領は市内の99%以上を制圧したことを受けて「バフムート解放作戦の完了」を21日に宣言、しかしウクライナのマリャル国防次官やシルスキー陸軍司令官は「MiG-17モニュメント付近を保持しているのでバフムートは完全に制圧されていない」と反論したが、もはやウクライナ側の主張は誤差の範囲で軍事的には大した意味をもたず、セベロドネツク、リシチャンシク、ソレダルでも一定期間「ウクライナ軍はポジョンを失ってない」と言っていたの同じだ。
さらにマリャル国防次官やシルスキー陸軍司令官も「ウクライナ軍は街の郊外で前進を続けており、バフムートの戦術的包囲(マリャル国防次官は半包囲と表現)に近づいている」と主張し、3日間ほど様子を見てみたが21日を境に両軍の交戦は激減、ウクライナ側も「バフムート郊外の側面部における戦闘の激しさは減少したたものの、ロシア軍は部隊の交代を行い側面部の守りを強化しており、我々は少しずつ前進している」と主張のトーンが幾分か低下している。
この3日間で観測された変化は非常に乏しく、➀のロシア軍陣地をウクライナ軍が破壊したことで推定前線が200mほど南に下がり、ロシア軍が➁を砲撃して➂に国旗を掲げたため「MiG-17モニュメントが設置されていた広場」はロシア軍の手に落ちた可能性が高く、ウクライナ軍が保持しているかもしれない住宅エリアや工場エリアは大きく損傷しているため「ここを失っている=市内最後の区画から撤退した」と判断する観測者も多いが、まだ視覚的に確認されていない。
イワニフスキーの南で確認された視覚的証拠➃➄は、ロシア軍が水路沿いの陣地を未だに保持していることを示しており、➅に至っては「ウクライナ軍が奪還したと思われる地域」にロシア軍兵士が存在することを示しているため、このエリアは思っているほどクリシェイフカ方向に前進できていない可能性がある。
➆の視覚的証拠はウクライナ軍によるロシア軍陣地への砲撃を示しているが、3日間で登場した視覚的証拠の数を21日以前と比較すると激減しているため、両軍の戦い小康状態に入った解釈するのが妥当だ。
ウクライナ軍が「バフムートの戦術的包囲」に向けて動いているのかは何とも言えないが、最も戦力密度が高いバフムート方面で前進するには「ロシア軍と同様にメートル単位の戦い」を要求されるため、ハルキウ方面で見せた電撃的な前進と包囲はほぼ不可能(反攻用の機械化戦力と弾薬を全てぶち込むなら可能かも?)だろう。
追記:モスクワの国防省で煙が発生し、空襲警報が発令中のキーウで爆発があったと報告されている。
関連記事:ウクライナ軍、バフムートを半包囲して敵を殲滅する機会を得ている
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※アイキャッチ画像の出典:93-тя ОМБр Холодний Яр
これからウクライナ軍がどう動くのか、あるいはそもそも動けるのかもよくわかりませんが、とにかくバフムト包囲制圧作戦はいったん終了したということでしょう。
ロシア軍の部隊は空挺軍の精鋭師団や、ワグネル社の部隊から、陣地の防御を行う予備役の旅団、大隊と交代し、しばらくは様子見で、余裕があればさらにMiG-17の記念碑の方からイワニフスキーへ攻撃を行うかもしれませんが、そのへんはウクライナ軍の出方次第、西側戦車を装備するウクライナ軍の新編成旅団がどのへんに現れるかでしょう。
反撃作戦の指揮を執るのは、どこかにいなくなったザルジニ参謀総長ではなくシルスキー司令官かもしれませんが、どこの方面に西側戦車を投入するかを決定する責任は非常に重大といえます。
アメリカでは債務上限引き上げを議会、共和党が認める条件は、大幅な支出削減、予算削減であり、債務不履行回避のためにバイデン大統領が合意すれば、ウクライナ軍への支援も当然大幅に減るかもしれません。
「どこかにいなくなったザルジニ参謀総長ではなく」って、
まだ分からないですよ。よく分からない怪情報が飛び交って
ますが、まだザルジニが存命の可能性は充分ありますね。
健在ならなぜアピールしないのか謎ですけど、ウクライナの
深謀遠慮の作戦の可能性もなくはないです、自信はないですが。
ザルジニー総司令官は前線視察の際に、ロシア軍のミサイル攻撃で頭部に重症を負ったと、日経新聞に出ています。
一説には、ゼレンスキー大統領がロシアに居場所をリークしたする話が出ています。
どうなることやら。
そうなんですね!じゃあ怪情報じゃなくて事実ですか。
すみません。バフムート撤退をゼレンスキーに進言
していたとかは聞いていましたが、、、。
ザルジニー総司令官頭部に負傷して開頭手術とロシアメディアが報じているのを日本のメディアが報道しているのです。
結局、これまでと変わらずソースはロシアです。
ミサイルで重傷の話はスプートニクソースですから個人的には虚実半々かなと
まあでもこれだけ言われて表に出して健在をアピールしないあたりを見るとまあ表に出られる状態ではないのでしょう
ザルジニー総司令官の最新映像が出てきましたよ。
リンク
動画内で日付確認出来ない以上は証拠として弱いと思いますがウクライナ語で言ってくれているということでいいんですかねこれ
無事ならよかった
私の住んでいる国ではスプートニクとロシアトゥデイはブロックされているので読めないのですが、
ウクライナプラウダにザルジーニさんのビデオが掲載されています。
Ukrainska Pravda — Thursday, 25 May 2023, 17:43
ウクライナ軍、ロシアのプロパガンダの嘘を払拭するため、ザルジーニとの動画を掲載
今までだんまりを決め込んでいたのは、ロシアのメチャクチャなプロパガンダ広報の鼻を明かすのが
目的だったようにも思えます。
反論しないことで話に尾ひれがつく。
さすがウクライナ人、ロシア人のメンタリティをよく理解している。
④はウクライナ軍がロシア軍(90名?)と戦闘中の動画で、⑤はロシア軍が水溜まりの水を濾過せずに飲んでいる動画ですね。
⑤の動画を見るに今のロシア軍は水不足だと思います。
⑥の動画は蛸壺に隠れているロシア兵をウクライナ軍が一つずつ掃討している動画ですね。
バフムート側面のウクライナ軍は歩兵主体なので、戦場を洗浄するのに時間が掛かっていると思います。
「東部戦線異状なし、報告すべき件なし」ですかね。
日々、戦死者は出てるんでしょうけど。
バフムトでもクレミンナ方面でも小康状態が続き、ザポリージャ方面やヘルソンでも動きはない。アウディーウカではロシア軍が包囲に向けた動きを再開したが、それほど動きは早くない。ここ数日の戦線の大きな動きは2日で終わったベルゴロド逆侵攻のみだ。両軍は次の動きに備えて作戦小休止に入った可能性がある。
そんな中ザルジニーの失踪が続いている。ロシア側は国営ロシア通信が今月初めにヘルソンで攻撃された結果重体で、開頭手術を受け今後の任務継続が困難との見方を伝えた。日本の大手メディアも引用する形で報じた。ウクライナ側は当然否定したが、無事を証明する動画やビデオメッセージは公開されなかった。
ザルジニーなら最近在欧州米軍司令官と電話会談を行った…とありますが
本人のフェイスブックで発表していますね。
証拠として弱いな…
ロシアのプロパガンダに利用されてるんだから動画のひとつでも出すべきだと思うが
別にプロパガンダに利用されていても問題ないのでは。
ウクライナとしてはザルジニー総司令官が仕事をしていれば問題ないですし。
ロシアはザルジニー総司令官を非常に警戒しているのが分かりますね。
だよね なんか小出し小出しで無事である確証が薄く逆に危険な状態なんじゃないかって疑ってしまう ロシアの将軍も似たような事例はあったけどウクライナは信用が大事で、尚且つ国を代表する将軍なんだから早く疑惑を払拭すべきだと思う
というかザルジュニー司令官はウクライナ国内だとゼレンスキー大統領を上回る人気を持ってるから下手に氏んだとか負傷したとか情報出せないんだと思うで
ロシア側も戦果確認がしたいからかわざと色んな情報の洪水流してザルジニー本人が生きとるわいボケーと出てくるのを待ってるんだと思う。
ゼレンスキーが政敵ザルジニーを抹殺するために、ロシアに座標をリークした説まで流してるからな。
ザルジニー総司令官は前線視察の際に、ロシア軍のミサイル攻撃で頭部に重症を負ったと、日経新聞に出ています。
確かに、ゼレンスキー大統領がロシアに居場所をリークしたする話が出ていますね。
どうなることやら。
この辺り狐と狸の化かし合いだからね。
宇側も拡散された偽情報を中途半端に否定して、露側をだますようにしてるかもしれない。
何が正しいのかは全くわからん。
嵐の前の静けさと言えばいいのかな でもこの後のウクライナ反攻が失敗、もしくは不発で終わったら今のバフムトみたいな状態が全戦線で起こってそのまま事実上の休戦状態になりそう(というかもうなってる気も)
ロシア側の選択肢としては
①ドンパス制圧作戦を続行する
②限定的な攻勢を行い内外の目を欺きながら今後の方針を検討する
③守勢に転じてウクライナ軍の反攻作戦を叩きのめす
①は冬春攻勢に投じた努力量以上のものが必要で、目標達成には十分な準備期間と追加動員が必要になる。国民にどう説明するかが問題。そもそもバフムト戦の結果を見ると、ロシア軍の攻勢ドクトリンに問題があり、戦闘効率を改善しないと目標達成は難しいだろう。
②は現時点で今後の方針を見いだせないが、従来の方針に変化がないように欺瞞するため、小規模な攻勢を継続し、時間を稼ぐ状態。①と③の中間で、①寄りの②もあれば③寄りの②もある。
③は、航空優勢の確保、陣地構築、カウンター用の機甲部隊の整備、弾薬備蓄に注力する。主導権をウクライナ側に預ける形になる。大ぴらに宣言すると、自力では戦争に勝てないのかと国内強硬派からの反発が大きいだろう。
③寄りの②が現実的だと思うが、強硬派は断固①、百歩譲って①寄りの②なんでしょうね。
プリゴジンがバフムトで失った兵士が2万人と言ったから負傷者入れたらワグネルの総兵力近くになる。
ウクライナが取り戻すとしても大損害は覚悟しなきゃならんし、それだけの価値が廃墟のバフムトにある筈もない。
無駄にしがみ付いて不利な位置で砲撃喰らってるだけなら有利な位置まで兵を引くのが合理的。
取り返す価値なしには同意しますが、ワグネルが制圧するのに大損害を出したからウクライナが取り返すのにも同様に損害が出る、という理屈には同意できないですね。
「それなりにまともな建築物の残ってる都市」と「廃墟」では攻略の難易度が桁違いかと。
今後はロシア軍は防衛に徹して
平和のための停戦論を様々な手段で仕掛けてくるんでしょうね
ウクライナ軍の反攻作戦が上手くいくことを祈るしかない
バフムトの戦いはだいぶ前からバフムト周辺区域の戦いになってますよね。だから都市部だけをどうこうというのはだいぶ前に過ぎ去ってるのではないかと。お互いの部隊がバフムト周辺区域に展開してにらみ合っているという状況となっています。
都市部が注目されるのはロシア側の事情のせいで実際の所あんまり意味はないんですが、ここを制圧したとする事でこの地域全体で勝利したという話題に摩り替えたいのでしょう。
プリゴジン氏はバフムトを勝利してスラビャンスクを落とし、更にはドニプロへ迫って、ドンバス全域を制圧するとしてロシア側の目標を漏らしていましたが、現在はそんな大それた目標をどうこうは出来ません。従って、この地域の戦いは最早瓦礫の山でしかない都市部を得る為だったという事にしておかなければならないのでしょうね。
ここらへんが他の地域との戦いの大きな違いと言えるでしょう。同じ陥落するとしてもバフムトはマリウポリとは違う訳です。一時的に都市部のみから多くの敵を追い払う事には成功しましたが、相手がその気なら戻ってこれる位置にいる為、この地域から敵を完全駆逐して制圧したとは言いがたい状態です。依然としてこの地域は最前線で係争状態のままですね。
ウクライナ側としては6月にプリゴジンがアレコレ言っている状況を確かめる向きもあるのかも知れない。
いや前線が見通しのきかない市街にあるか都市外の平原にあるかだと状況はかなり違います
砲兵による効果的な火力支援が出来るかできないかが変わってくるからです
砲兵戦においては未だ南北の高台を占拠し続けるロシアがこの戦域においてかなり優位で市街から前線を追い出されたことは痛手です
バフムトはとっくの昔に瓦礫の山ですよ?都市部だから奪い合う意味があった訳です。逆を言えば、ロシア側も瓦礫の山と平原に囲まれてそこから身動きが取りにくくなります。
ちなみに、マリウポリの場合はちゃんとウクライナ軍を追い出してから都市部を掃討してました。今回は逆に追い払えないから都市部制圧率とかいう数字で勝敗を言い張るしかなくなってる訳です。現在のバフムト領域戦は都市部も含めた戦線ラインの押し引きにしかなってませんよ。ロシア軍にしても、どこに立て篭もれるというんですか?
ロシア側が幹線道路を攻め上れないのもウクライナ側が良いポジションを押さえてるせいです。双方共にそうやって身動きが取れなくなってる訳です。都市部のみに戦力の大半が居ると思ってる訳ではないですよね?都市部に居るのはこの地域の戦力の極一部です。
良くも悪くも西側で戦車戦術の勉強をしてきたエリート部隊は、エアカバーも無しに参戦突破する気にはならないでしょうから。
F16が届くまでは仕事しないんじゃないですかね。
近いうちに大規模反抗作戦が始まると予想されてきましたので
各地での局地的な反撃もそれに連動するものだと見ていました
バフムート郊外での反撃もその1つです
しかしながらこれはあくまで局地的な反撃ですので
そこにつぎ込まれる戦力は限定的です、ロシア軍が増援を出しましたので
ウクライナ軍の進撃が鈍化し戦況が膠着し始めるのは道理でしょう
それよりも注目すべきは
ウクライナ軍が反抗作戦をどう計画しているのかですね
バフムートにロシア軍を引きつけたうえで別の場所で実施されるのか
それとも別の何かがあるのか
もしかすると、反抗作戦は延期される可能性もあるかも知れません
西側戦車等が供与されましたので
反抗作戦を実施すればいくらかの戦果をあげることはできるでしょう
しかしこれで戦争に勝利できるかと言えば難しいと言わざるを得ません
陣地を要塞化して守りを固めるロシア軍を相手に攻め手に回るのです
ハルキウの大突破を超えるスーパーミラクルが必要になります
ここへ来てF16戦闘機の供与が現実的になって来たのは
このままただ戦っても埒が明かないという共通認識ができてきたからではないでしょうか
西側戦車と戦闘機の供与が必要、これは当初から言われてきた事ですが
それがようやく実現する道が見えてきました
F16が供与され配備されてから、満を持して反抗作戦を実施する可能性もあると思います