ウクライナ大統領府はクリミアを含むロシア軍占領下の住民に「解放に備えた準備」を始めるよう呼びかけており、今直ぐ防空壕と十分な水を用意して空のバッテリーに充電しておくよう勧告している。
参考:В ОП призвали жителей оккупированных территорий подготовиться к деоккупации
ウクライナは前線から遠く離れたクリミアの住民にも解放に備えた準備を促す
ウクライナ軍は先月29日に南部戦線=ヘルソン州で反撃を開始したばかりで本作戦は「電撃戦」ではないと主張しているが、クリミアを含むロシア軍占領下の住民に「解放に備えた準備」を始めるよう呼びかけており、今直ぐ防空壕と十分な水を用意して空のバッテリーに充電しておくよう勧告している。
特に前線から遠く離れたクリミアの住民にも「準備」を促しているため、ロシア軍にクリミアの防衛を意識させ「前線に集中する戦力の分散」を狙った情報戦か、特殊部隊やパルチザンなどによる破壊活動の増加を示唆している可能性もあり、ロシア軍は今以上にクリミアの守りに注意を払わなければならないだろう。
そのクリミアについて南部司令部も「ロシア軍がクリミアで利用可能な人的資源の強制動員を開始した。これがクリミア防衛に投入されるのか、ヘルソン地域に向かうのか注意深く監視しているが、ヘルソンに向かう全てのルートは我々の火力による管理下だ」と述べているのが興味深い。
📷Since the start of Russian invasion in February 2022, Ukrainian Special Operations Forces (SSO) and Chief Directorate of Intelligence (HUR) conducted a number of raids in occupied #Crimea. Photos below reportedly show one of such raids. #UkraineRussiaWar pic.twitter.com/GSYCFXkqJ2
— MilitaryLand.net (@Militarylandnet) September 3, 2022
因みにウクライナ軍特殊部隊は小型ボートでクリミアに浸透している可能性があるらしい。
関連記事:米シンクタンク、ウクライナ軍の反撃は目に見える形で進展を遂げている
※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
6月のセベロドネツク・リシチャンシクの攻防では一時ウクライナ軍包囲、大量投降がロシア系報道に見られましたが、裏付ける映像もなく包囲前の撤退が明らかとなりました。
戦力の撃滅に失敗してもウクライナのルハンシク州での政治的中央を奪取した成果の誇示は主要都市を落とせなかったロシアの政治的必要性を裏付け、東部奪取の一環にしても両都市の奪取は戦略目標だったのでしょう。
地理的に突出したセベロドネツクへの進出はウクライナの政治主導との観測もありましたが、ロシアの戦略目標の裏返しとみればそれも合理性ある見方に思えます。
翻ってウクライナが加えた南部への圧力に呼応してロシアが戦力を移動させたのはこの戦いの直後でした。
続く各補給処の攻撃や交通上の要衝の破壊は時期的に見てHIMARSの入手が前提にあることは疑いなく、ロシア戦闘機へのHARM搭載もおそらくその一つなら、ウクライナの南部への圧力は現在の状況からの逆算で始めたと見て差支えなさそうです。
東部で戦力を取り逃がしたロシアはインパクトによる政権転覆(≒非ナチ化)と一気呵成の東部奪取(≒非軍事化)の両方を逃しましたが、逆に南部でこの両方の危機に陥っています。
南部への戦力移動はヘルソン失陥が政治的ダメージとなる認識に等しく、キエフ撤退と異なり退路を失ってまで正規軍を残留させる判断はその深刻さの裏付けです。
当然ウクライナの南部戦略はこのロシアの反応を呼ぶための布石だったのでしょうし、ロシアの読みに従うなら、ヘルソン奪還はインパクトによるプーチン政権転覆を招くということになるのでしょう。
仮にドニプロ川西岸が戦争の行方を左右するなら、クリミア奪還も現実的な話であるように思えてきます。
ロシア軍に失点を帳消しにするような打ち手があるのでしょうか。
以前は都市・集落単位での占領報告でしたが最近のロシア側の前進・占領地区拡大報告が、セメント工場占領とか発電所制圧というような建物単位の、みみっちい内容になってきていたので、案の定進軍が完全に止まってついには押し返され始めましたね。
サキ飛行場爆破の時もクリミアから逃げ出す人で橋溢れかえったし
今回のよびかけで少しはパニック起きそう
多分クリミアのロシア人にもロシア軍の公式発表に不信感抱いてる人も少なからずいるだろうし、なりより2014年のクリミア侵攻でウクライナ人の反感を買ってるから、自覚のある人はそろそろロシア本国へにげようとしそう…
開放するのは結構だけど、ウクライナはそこの場所を維持防衛できるんですかね?
ロシアは北朝鮮に派兵の要請と国営企業に志願兵のにノルマを課すという話も聞こえてきてるので
再度、犠牲をいとわない攻勢をかける可能性もありそうなのですが
仮にクリミアまで解放できるならロシア軍は大劣勢に陥ってますし、クリミアとロシア本土は海峡で切り離されているので防衛は比較的容易だと思います。ウクライナ軍は訓練と装備が足りていませんが、頭数だけは大規模動員でロシアの参戦兵力を大きく上回っています。
その犠牲を厭わない攻勢は既にやり尽くしてそのゆとりは無いでしょう
たとえ今から全国民に招集をかけたとしても、HIMARSで弾薬がまともに前線に送れないから
素人な兵士にろくな武器も無い肉壁同然なものでしょう
さすがに「ノルマを課されて出した志願兵」は戦力としてはかなりレベルが下がると思う。少なくともそのレベルに士官や下士官の訓練を受けた人はいないはずなので、仮に頭数がそろっても満足に指揮系統に組み込めるかも怪しい。肉盾以上の戦力化をするには1~2年は必要。
橋の破壊で補給を断ったので西岸自体は時間の問題だと思うけど、ヘルソン自体はどうするのかな。政治的に死守の命令が出てるであろうロシア軍が立てこもったら、市街戦にしても、包囲しつつ砲撃して降伏待ちでも市内が悲惨なことになりそう。
ヘルソンですが、恐らくウクライナ軍は無理攻めを避けて兵糧攻めに徹するのではないでしょうか。
要は、マリウポリ攻防戦が彼我の立場を変えて再現される感じです。
只、マリウポリと異なり、季節はこれから秋の泥濘期を経て冬へと向かう為、既に一部の掲示板で言われていますが「果たしてロシア軍は冬季装備をちゃんと用意出来るのか?」と言う問題が有ります。
その為、既に周辺の橋を破壊されて補給を断たれているヘルソンのロシア軍は下手をすると「冬場に全員凍死・遺棄された兵器は全部ウクライナ軍に鹵獲される」と言う、一体何時の冬戦争の時のソ連軍だよと言うオチが有るのかも知れません。
秋の泥濘期というのが意味がわかりません。
知識を深める為に教えて頂きたいです。
私が知る限り、収穫を終えた農地には刈り取られた植物の根が残ります。雨や雪が降っても、土に張った根があるので春の様な泥濘にはなりにくいです。
春に泥濘となるのは、冬に凍結によって根が凍結膨張により細胞壁が破壊されて、気温の上昇によって土と一緒に溶けて、土に含まれるバクテリアや微生物の作用で分解が進み、春雨により泥濘期と呼ばれるプリンのような液状化現象となる訳です。
秋に泥濘期?収穫後にプラウで天地返した圃場に大雨が降るか、洪水でも無い限り起こる原理が不明ですが、雪が降ったり、大地が凍結する前に莫大な量を収穫をしながら翌年の為の土作りする日数的な余裕あるの農家の農地は何ヘクタールあるのでしょうか。
秋の泥濘期とは何を意味する現象ですか?
水分よる環境への影響より、戦闘による火花で燃えやすい乾燥した植物火災の影響の方があると思います。
夏は植物が障害となりクローラー車両しか入り込めない土地も刈り取り終わった土地の秋冬は車輪車両が簡単に走れるので、身を隠すのが難しくなる代わりに進軍速度は速くなる。
暖冬で夜凍結、昼解凍ならば泥濘というより泥だらけ程度。3年住んでの肌感覚です。
気象や農業の専門家では無いので、長々と書かれているご質問の全てに答える事は出来ませんが、ロシアやウクライナでの「秋の泥濘期」とは、秋に長雨が降る為に現地の土壌(未舗装の道路も含む)がドロドロになってしまう現象です。
只、秋の泥濘の場合は、それから暫くして寒気が来て冬になりますので、土壌は凍結します(その代わり、想像を絶する寒さがやって来ます)。
それが春の雪解けでまたドロドロになるのが「春の泥濘期」です。
この状況に関しては、WW2の独ソ戦に関する戦史関連本を読むのが手っ取り早いかと思います。
実際、1941年秋から冬にかけて起きたドイツ軍のモスクワ攻略失敗も、最初は秋の泥濘期が来て前線部隊の前進・補給ルートが混乱した後、歴史的な大寒波が襲い掛かって来た結果、冬季装備の輸送等に失敗したドイツ軍はモスクワ攻略を諦める事になりました。
御回答ありがとうございます!
秋の長雨による泥濘ですか。
ひまわりの根張り地表から地中へ70センチ程度
大麦小麦は50センチ程度
とうもろこしは60センチ程度
作土層での根の密度は、大麦=小麦>とうもろこし>ひまわりなので、長雨で泥濘が酷いとすればひまわり畑かなとは思います。
7月に撮影された戦場写真の中に泥まみれの兵士とBMP装甲車があったので、塹壕掘りで雨が降った為に泥濘んだと考える方が自然だなと考えています。
砲弾の炸裂で掘り返された土地も塹壕と同じく泥濘むことから、春の泥濘期が特別ではあるが、厳冬期の凍結を除き、いつだって雨が降れば泥濘む時は泥濘むものと理解すべきなのかもしれません。
ドンバスでの戦闘では泥詰まりで西側製の銃が使い物にならずAK47が重宝された事例もあるように装備の損耗は激しくなるのだろうと予想します。
泥水吸ったクローラーは凍結するとブッシュが割れて履帯が切れやすくなりますし。
過去の戦史と同じ戦場ですから、同じように歴史を繰り返すのでしょうね。
ウクライナ特殊部隊は小型ボートでクリミアに入っていたのか。確かに侵入は簡単そうだな。代わりに撤退は難しそう。しかしからのバッテリーを埋める電力はあるのだろうか。
ゼレンスキー大統領は、7、8月にウクライナ人にロシア軍占領地から避難するよう呼び掛けていました。ウクライナ政府によると、8月に避難したウクライナ人は合計63,000人足らずだったそうです。
リンク
本文記事の通り、ロシア軍がクリミアで強制動員を始める兆候があり、またルハンスク州でも1万人の強制動員が計画されているそうです。
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ロシア軍は、これまでハルキウ州、ドネツク州、ルハンスク州でウウライナ人を強制動員しているので、ウクライナ政府はロシア軍によるさらなる強制動員を恐れて、自国民に占領地からの避難を呼び掛けているのだろうと思われます。
冬の訪れまでに終わらなくてもいい、来年までかかっても10年かかってもいいから、ウクライナが正当な領土を残らず回復できるといいですね。
ロシアの社会学者グリゴリー・ユージンが今年5月にインタビューに答えた記事「ロシア人の多くがプーチンを支持している? いや、事態はもっと深刻だ」ではロシア人社会に関し興味深い見解が述べられています。
まず、「特別軍事作戦を支持しますか」というアンケートの回答率は(5月時点で)15%に過ぎないということ。その理由として、
>アンケートの質問に否定的に答えれば、深刻な結果に直面する危険がありますからね。
>誠実に答えることは権力に歯向かうことだと自覚しているのです。なので、相当数の市民たち、より勇気のある人たちは、質問に答えることを拒否しています。
と語っています。
直近のアンケートで否定的な意見が増えたのは、もしかすると強い危機感から回答率が向上した結果かもしれません。
ウクライナ当局がそういったロシア市民の隠れた部分の変化を把握し、情報工作に出ている可能性は十分にあると思います。