レーダー照射問題で再燃したトルコとギリシャの対立はエスカレートしており、ギリシャは「トルコの主張が馬鹿げているので相手にしない」と主張したが、トルコは「我々と張り合うのは不可能なので挑発を止めろ」と警告した。
参考:Greece is not Türkiye’s equal economically or militarily: Erdoğan
参考:Greece FM sends letters to UN, NATO over absurd Turkish claims
トルコとギリシャが衝突するような事態になれば、NATO加盟国内でもギリシャ支持とトルコ支持に分裂する可能性も
エーゲ海や東地中海の問題で対立するトルコとギリシャはレーダー照射問題で揺れており、ギリシャ側は「レーダー照射を行っていない」と疑惑を否定しているが、トルコ側は「F-16がS-300からレーダー照射を受けたことを証明するためレーダーログをNATO加盟国に提出する」と発表するなど互いに一歩も引かない構えだ。

出典:Jerry Gunner/CC BY 2.0 トルコ空軍F-16C
さらにトルコの戦勝記念日に絡んだ一連のやり取りでも両国の関係が拗れており、エルドアン大統領は今月3日に「ギリシャは過去の歴史から学ぶべきで行き過ぎは代償は大きくなる。決してイズミールを忘れてはならない。その時が来れば必要な措置を講じるだろうし、突然、一晩中攻撃するかもしれない」と述べ、ギリシャの挑発行為が行き過ぎれば「武力行使も辞さない」と示唆したため大きな注目を集めていたが、両国の非難合生はさらに加速している。
ギリシャをテロリストの訓練センターだと非難していたソイル内相は5日「イスタンブールで拘束されたPKKの構成員はギリシャのラブリオで軍事訓練を受けた後、トルコへのテロ攻撃の準備を行っていた」と発表、エルドアン大統領も「我が国に非礼の限りを尽くすギリシャに念を押しておくが、政治、軍事、経済のどれ一つをとってもギリシャはトルコに及ばない」と述べ、ギリシャの国力でトルコと張り合うのは不可能だと示唆した。

出典:Presidency Of The Republic Of Turkey
これに対してギリシャのミツォタキス首相は「エーゲ海の島々に対するトルコの主張は馬鹿げているので、これ以上はコメントもしない」と述べ、ギリシャの立場を説明する書簡を国連安保理、国連事務総長、NATO事務総長に送る予定らしい。
エーゲ海の島々に対するトルコの主張とは「ローザンヌ条約とパリ条約によってエーゲ海の島々は非武装化が義務付けられている」という内容で、キプロス危機以降のギリシャは「ダーダネルス海峡とボスポラス海峡の非武装化(航行権の自由)を相殺するため設定されたエーゲ海の島々の非武装化は、モントルー条約で両海峡の管理権(商船の航行は自由を保障し軍艦の航行のみトルコ政府が制限可能)をトルコが取り戻したため、エーゲ海の島々に課せられた義務も終了した」と主張。
この解釈には様々な見方があるので「エーゲ海の島々に関する非武装化義務」に関して統一された答えが出ておらず、ギリシャは「トルコの侵略からエーゲ海の主権を守るため」という理由で島々に軍や国境警備隊を配備、イスラエルの協力を得てエーゲ海の島々にカウンター・ドローンシステムを張り巡らせている最中だ。

出典:w:en:User:Future Perfect at Sunrise / CC BY-SA 3.0左:トルコが主張する6海里 右:ギリシャが将来的に主張するかもしれない12海里
つまりトルコは「ローザンヌ条約とパリ条約で義務付けられた非武装化を遵守しろ」と要求しているのに対し、ギリシャは「主権を守るための権利を行使しているに過ぎず、NATOやワルシャワ条約機構が創設されたことに伴い各国が非武装化義務を停止しているため、ギリシャも同様の権利を有している」と主張しているため対立が発生しているのだが、ギリシャはエーゲ海の領海を現行の6海里から12海里に拡張する可能性もチラつかせているため、これも両国間の火種になっている。
ウクライナ問題の影で目立たたないが日に日に両国間の対立はエスカレートしており、もしNATO加盟国同士が東地中海やエーゲ海で衝突するような事態になれば、加盟国内でもギリシャ支持とトルコ支持に分裂する可能性があるのでウクライナ支援に支障を来すかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:Greek Air Force
実際ギリシャとトルコが戦ったらどちらが勝つんでしょうね?
明後日は別名「スミルナの大火」とよばれるトルコによるギリシャ人大虐殺が起こった日なのです ギリシャ人にとっては重要な日でどう考えても穏やかに済みそうにないのです
日本人の船長が貴重な絹の積荷を海に捨ててギリシャ人を救った英雄伝はそこそこ有名なエピソードです(ギリシャ版エルトゥールル号遭難事件かな?)
あとエルドアンはインフレなのに政策金利のり利下げという金融政策の常識に反する政策を断行してて心配、反対する官僚を更迭してまでやってるので大丈夫すかね?
門外漢なので床屋談義です。
インフレで利下げってあれですけど、ある程度内需あり、食料などの基礎的消費財を致命的に輸入に頼っていない、経済成長中だし人口も然りなどの条件を満たせば更なる国家成長エンジンの燃料にならないですかね。
もっともトルコ国民の生活は厳しい(国民が等しく報われない)ことになるでしょうが。
自衛隊の無人機にTB2SとかTB3とかアキンジを推す人いるけどこういうの見てもトルコ製無人機を自衛隊に導入すべきと主張するんかな
まあ、未だに警告しあっているだけですしね。しかもどちらが悪いなどはわからない。
対ソ的にトルコをNATOに引き入れたのは仕方なかったのかも知れんけど、やっぱりあらゆる意味で異質なトルコをNATOに引き入れたのは失敗だったのでは?
少なくとも現在の情勢でトルコがNATO加盟国に相応しい西側の国とは思えん
今までも散々書かれてますがトルコは地政学上重要な位置ありますからね
NATOがトルコを引き入れたのは必然だったでしょう
でもNATOから外せばロシア側に付いて、状況を掌握できなくなってたかもしれんからNATO入りは正解だった。
しかしそれもアメリカが制御できてた時代まで。バイデンになってアメリカが弱腰になりトルコが出しゃばっても止める奴が居なくなってしまった。
もうこれからあかんかも、、
誰も止められんでしょ。
例えば仮にロシアが消滅したとすれば
NATO的にはトルコは用済みになるのかな?
その場合用済みになるのはトルコなのかNATOなのか果たして結果はいかに。
中立を保ってくれれば良いが、ロシア陣営に引き込まれるよりはマシでは?
近代トルコは日本をお手本に脱亜入欧を目指してましたが、建国時に今の西欧と揉めたものでソ連と結んでましたから、それを切り崩すのが欧米の戦略、それがトルコ本来の方針が一致したからです
そうでないと地中海いちえんに社会主義国が増えてたでしょう
レーダー問題水掛け論は真偽がわからないとしても、他所の国の記念日をNATO事務局が祝ってるところに難癖つけて取り下げさせるってのはお行儀の良いことじゃないですよね。
現実問題として、軍の近代化率や戦力量の差から言って戦争が起きたらトルコが圧勝するのは疑いようないですけど、それ以前のグレーゾーン領域でもギリシアかなり不利なんですよね。
上で示されている通りギリシアの領土であるエーゲ海の島々とギリシア本土の間にはクレタ島の北部やリムノス島の南に広い公海領域があります。公海といってもギリシア空軍のスクランブル警戒空域にガッツリ入っているのは想像に難くないですが、例えばトルコ軍がこの範囲で大規模な空軍や海軍の演習を数ヶ月に渡って実施するような事があったとします。この時点でトルコは国際的に非難轟々でしょうけど、それでも戦争はしていません。ここで困るのはギリシアで、軍事的緊張はギリシア経済の柱である海外の観光客を遠ざけるのに十分な効果があるし、そういう見通しが立った時点で株も為替も売りオペになってギリシア経済全体への被害は相当になるでしょう。
今回懸案になっているレーダー照射問題の真偽は分かりませんが、そういう境界領域の戦いを仕掛けられている時にギリシアの政府や軍や末端兵士が理性的な対応を貫徹できずに交戦の口実を与えてしまう可能性というのはある訳ですよね。まぁ、そこまで行ったら欧州のどこからか分かりませんが第三者が介入してくる可能性はあると思いますが、少なくとも問題の主導権は殆ど常にトルコ側にあるんだと思います。
トルコというかエルドアンはNATO抜けてロシアにつきたいなら付けばいいだろうに。何のメリットがあるか知らないが。
ここ確か地中海のガス田権益も絡んでるんだっけか
トルコの急激な成長の原資が確かこのガス田開発の際に出るであろう利益の前借りだから引けるはずがないんだよな
「政治、軍事、経済のどれをとってもトルコには及ばない」とはエルドアン君ペルシア帝国皇帝やスルタンみたいなことを言うな。
実際に希土が開戦したらNATOのどの国がどっちにつくのかは気になる
NATOに直接関係はないけど日本ならどっちになるだろうか
レーダー照射問題って本来ならここまで緊張が走る
行為だったんだなあ
再発防止を求めるだけとか生温いし、舐めた国家体制で良いとは思えませんねえ
彼方からの「敵国だ」という明確な意思表示なわけですから