ウクライナ空軍は「大晦日に発射された計98発のShahed-131/136と各種ミサイルの内87発を撃墜した」と発表、さらにオレシュチュク司令官は31日「これまでにロシア軍が発射したミサイルと無人機の約85%を撃墜した」「Shahed-131/136だけで3,095機を撃墜した」と明かした。
参考:В Новогоднюю ночь Россия атаковала 90 “Шахедами”, сбили − 87
参考:Успех сбития вражеских целей – 85%: Олещук отчитался о работе ПВО во время войны
参考:Patriot сбил уже 15 российских “Кинжалов” – Воздушные силы
ウクライナ空軍は2022年2月24日以降、ロシア軍が発射したミサイルと無人機の約85%を撃墜
ロシア軍は大晦日の夜にShahed-131/136と各種ミサイルを計98発発射、ウクライナ空軍のオレシュチュク司令官は「Shahed-131/136を87機撃墜した」と発表したが、ハルキウに撃ち込まれたS-300(対地モードで発射された迎撃弾)は迎撃できずに着弾した。
種類 | 発射数 | 撃墜数 |
Shahed-131/136 | 90機 | 87機 |
S-300の迎撃弾 | 4発 | 0発 |
Kh-31P | 3発 | 0発 |
Kh-59 | 1発 | 0発 |
98発 | 87発 |
防空シールドをすり抜けたShahed-131/136はウクライナ西部のリヴィウに着弾し、ウクライナ蜂起軍(UPA)を指揮したローマン・シュヘヴィチの博物館を破壊、100年前にバンデーラ(ウクライナ人にとっては国民的英雄)が学んだドゥブリャニの大学も攻撃を受けたたらしい。
撃墜されたShahed-131/136も「完全に無力化された」という訳ではなく、人口密集地に落下した残骸が被害を引き起こしており、オデーサ、ムィコラーイウ、ヴィーンヌィツャなどでも被害が確認されている。
因みにオレシュチュク司令官は31日「2022年2月24日以降、ウクライナ空軍はロシア軍が発射したミサイルと無人機の約85%を撃墜した」と、イグナト報道官も「5月4日以降、パトリオットシステムはロシア軍のキンジャールを15発撃墜している」と明かした。
種類 | 発射数 | 撃墜数 |
Shahed-131/136 | 3,940機 | 3,095機 |
X-101/555/55 | 1,360発 | 1,045発 |
Kalibr | 834発 | 397発 |
Iskander-K | 154発 | 62発 |
キンジャール | 不明 | 15発 |
6,288発 | 4,614発 |
オレシュチュク司令官が明かした数字(Shahed-131/136、X-101/555/55、Kalibr、Iskander-K)にキンジャールの数字を足しても85%に達しないのは、主にShahed-131/136以外の無人機=Lancet、KUB-BLA、観測UAVなどの撃墜数が含まれていないからで、その他を全て含めると「約85%を撃墜した」ということになるのだろう。
パトリオットシステム(3セット)が配備されている都市ではキンジャールやIskander-Mの迎撃が可能だが、それ以外の地域には弾道ミサイルに対する保護が提供されておらず、イグナト報道官はパトリオットがカバーしていない地域について「弾道コースで飛んでくるIskander-MやS-300/S-400」「高高度から目標に急降下するKh-22」の迎撃は不可能と、オデーサの攻撃に使用されるK-300P(P-800の地上発射バージョン)についても「10m~15mの低空を超音速で飛行するため迎撃できない」と述べている。
追記:明けましておめでとうございます。2024年もゆるゆると興味深い事柄(ウクライナ関連、各国の安全保障政策、防衛産業の動向、武器取引、CIAが探している黒いヘリコプターなど)を取り上げていくつもりなのでよろしくお願いします。
関連記事:ロシア軍に大規模なミサイル攻撃、ウクライナ軍は158発中114発を撃墜
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Army photo by Sgt. Alexandra Shea
新年早々最悪な事になったよホント、2024年は何も起きなきゃ良いんだけど
管理人様・読者の皆様、明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします。
年末、キエフの高層ビルに、ミサイルが直撃する映像がSNSに流れていました。
撃墜したとしても、落下による被害も生じるため、なかなか難しいものですね。
>CIAが探している黒いヘリコプター
コレデスネー
リンク
あけましておめでとうございます。
3セットのPAC-3は、多分、全部キーウにいるのですね。
弾道弾/超音速巡航ミサイルからの都市防空にあと何セット必要でしょう。
1セット/都市として、ハルキウ/ザポリージャ/ムィコラーイウ/
オデーサ/リヴィウ/ドニプロの6都市で6セットくらいでしょうか。
今の予定ではドイツから1セット追加の予定だけだったと思います。
S-300ベースのフランケンSAMで代わりができると良いのですが。
ゆるゆると取り上げると宣言してるネタが割と物騒な件についてw
あけましておめでとうございます。今年も管理人さんの記事を楽しみにしています。
今シャヘドの撃墜には何をメインに使ってるんでしょうかね?
去年からウクライナ軍の防空ミサイルは枯渇が懸念されてましたが、一応まだなんとかなってるようですね。
まさか対空砲での撃墜が大部分ということはないと思いますが、意外とそこそこ割合高かったりするんでしょうか。
そして、3000機撃墜と聞けばカッコいいですが。
対空ミサイルを最低でも3000発消費させた、と考えると兵站へ与える負荷としてはなかなか重いですね。大量生産でシャヘド側の生産コストはどんどん下がるわけですから、より安い対策を何か作らないとコスト負けします。最終的には日本も他人事ではないですよ。これ止められる兵器は日本にはありませんので。
リンク
日本に迎撃用ミサイル何基あるんだろうと調べていたら、防衛省のサイトにウクライナでの戦訓を意識したポンチ絵がありましたが弾道ミサイルや高価なミサイルにしか言及せずシャヘドはガン無視ですねえ。
正直、この手のハイローミックス飽和攻撃には打つ手無しなんでしょう。
BMDだけでも想定している装備の6割しか調達できていないと1年くらい前にコメント出してましたね。
仰る通りです。
イスラエルのアイアンドームでも、飽和攻撃で突破されていますからね。
対日本で考えれば、大型バラ積み船などに、シャヘドのラックを載せて、奇襲=発射できると思います。
日本は、初動で迎撃できない事も、想定する必要がありそうですね。
皆さん明けましておめでとうございます。
しかしバンデーラは「ウクライナの国民的英雄」と言うにはかなりアレな人物で、西部のよほどガチガチなナショナリスト以外からはさほど支持されていないそうですが…
ウクライナの国民的英雄()ってなんかパッとしないんですよね。フメリニツキーもそうだけど、ウクライナ最大の英雄という声もあれば、ロシアに国を売っただの賛否両論で広範な支持が国内でも得られていない。ポーランドやロシアに長年支配された複雑な経緯だったり、ソ連からの独立後のナショナリズムを考えると仕方がないのかもしれないけど。
シャヘドはただのデコイだからな
かといってデコイを無駄に撃つのは無意味
今回ミサイルは全て命中している事から(迎撃されなかっただけで外れた可能性はあるが)
まさに「必要最低限」のシャヘド(デコイ)の数を見極めたのではないか
デコイとはいえ無視できない破壊力があるのが悩みどころですな
この場合、撃墜しなくても問題無いものならデコイになりませんからね。
去年はついにオーストラリアの絶滅戦争は話題にならなかった……
あけましておめでとうございます。
今年の年末こそは例年通りエアーウルフのネタ記事で盛り上がりたいもんだ。
何年か前の4月のネタにはコーヒー吹いてしまいました。(笑)
そんな日が戻ってきてほしいですね。
管理人様、いつも丁寧な情報発信ありがとうございます。
そして、こちらに来られる皆様、豊富な知識と考察に感心すると共に、いつも勉強させてもらってます。
ミリタリーは、(軍事)技術、政治、経済、歴史、等、まだまだ知らなくては行けないことが沢山あるなと痛感しています。
今年もよろしくお願い致します。
(新年早々に大変な事が起きてますが、被災地の皆さんがどうか無事で有りますように。)