ウクライナ戦況

ドニエプル川左岸地域へのウクライナ軍上陸、まだ誰も確認できていない

米国の戦争研究所(ISW)はロシア人軍事特派員やロシア人情報源の情報に基づき「コザチ・ラヘリの西にウクライナ軍兵士が上陸した」と報告したが、ウクライナのマリャル国防次官は9日「軍も参謀本部もドニエプル川左岸地域への上陸を確認していない」と述べた。

参考:Минобороны о “рейде через Днепр”: Не подтверждаем по состоянию на сейчас

まだ誰も確認していないウクライナ軍によるドニエプル川左岸地域への上陸

ロシア人軍事特派員(Русской Весны)やロシア人情報源(Рыбарь)は「コザチ・ラヘリの西にウクライナ軍兵士が最大7隻のボート(6人~7人乗り)で上陸した」と報告、米国の戦争研究所(ISW)もロシア人の報告を取り上げているが、ウクライナのマリャル国防次官は9日「軍も参謀本部もISWが言及したドニエプル川左岸地域への上陸を確認していない」と述べている。

出典:GoogleMap ヘルソン周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

この件についてウクライナ側情報源(Реальна Війна)は「国防省情報総局の特殊部隊と軍の兵士はドニエプル川を渡河して敵を急襲、コザチ・ラヘリ周辺の陣地からロシア軍1322大隊を追い出し、その過程で交換用の金貨(捕虜になったウクライナ人を連れ戻すためのロシア人捕虜)も補充した。我々はコザチ・ラヘリを迂回してチェルブルダ方向に前進している」と述べているため、非常に大胆な戦況マップも登場しているが、まだ視覚的には何も確認されていない。

どちらにしても小型ボートでは重装備を運ぶことができず、兵站面でも限界があるため、ドニエプル川左岸地域に上陸していたとしても大規模な作戦を行うのは難しいだろう。

関連記事:ドニエプル川の戦い、ロシア軍はダチのウクライナ軍にイスカンデルを使用
関連記事:ドニエプル川の戦い、ウクライナ軍が築いた足場にロシア軍が反撃を開始

 

※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ

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コメント

    • 謎の密使
    • 2023年 8月 09日

    確かに、戦況を誇張したり虚偽の戦況を流す事による情報戦の疑いも有りますね
    逆を言えば両軍共その程度の話しか流せないと言う事は、これでウクライナ軍の夏季反攻は終了と言う可能性も有りますが

    12
      •    
      • 2023年 8月 10日

      ハルキウ奪還も同じような状況だったよ
      まずロシアの軍事ブロガーが騒ぎ出し、西側は徹底的に隠蔽、小出しに情報出してきた

      3
        • 名無しさん
        • 2023年 8月 10日

        重装備のない状態での渡河作戦において、橋頭保にいる部隊は非常に危険にさらされるので、ウクライナ側が積極的に公表しようとしないのは当然かと思います。ちなみにロシア側もゼレベツ川の渡河作戦の時は極力、情報を抑え、ウクライナ側が早い段階で警鐘を鳴らしていましたね。

        5
    • Institute for the Study of War
    • 2023年 8月 09日

    ISWでしょ
    修正お願いします

    2
    • 2023年 8月 09日

    200キロもあるんだから少数の歩兵が警備の目をかいくぐってボートで上陸することは可能。
    ただし本格的な上陸侵攻をするなら道路が接続されてるところでないと補給で死ぬから上陸ポイントは限られる。そういうところはロシア側の防御も固い。

    15
    • くらうん
    • 2023年 8月 09日

    コザチ・ラヘリでBTR-82が破壊されている様子と砲撃(チェコのRM-70によるとされているが詳細は不明)が確認されました。
    少なくともここで戦闘が起きているのは確実の様です。
    リンク

    10
    •    
    • 2023年 8月 10日

    最近としては割と大きめの進展くさいな
    結構浸透してそうな話がポロポロと

    橋頭堡は…西側の架橋車両や浮桟橋が少なくなく供与されてるしやろうと思えば可能ではないか
    ソ連製装甲車の多くは渡河能力あるしドニエプル河ひあがってるし
    砲兵追いやるくらい浸透できればよいな

    最近始まった事でもないのに、ロシア軍が撃退出来ていなかったってのはお察し事案かね?

    3
      • ポンポコ
      • 2023年 8月 10日

      皆さんもおっしゃっていたように、ドニエプル河の大部隊の渡河はないでしょうから、ゲリラ戦程度でしょう。大部隊が渡河がないだろう理由は、継続性と必要性です。

      継続性とは、大部隊が渡河した場合、その後の補給が困難だということです。

      必要性とは、南部の総攻勢でもウクライナ軍はドニエプル河の左岸で戦っていますが、渡河したわけではないですからね。

      それよりも、渡河したウクライナ軍の「金貨を得た(交換用の捕虜)」という表現が面白かった。

      ウクライナ兵の捕虜の数はロシア兵の捕虜の数の何倍か(たぶん数倍)であり、原則1対1の交換なのでウクライナ兵捕虜は常にプールされているので、ロシア兵の捕虜がたまると双方で捕虜交換が行われる気配があるのですね。捕虜交換と遺体交換はそういう感じがありますね。

      4
      • ふふ
      • 2023年 8月 10日

      航空優勢がとれないから工兵が地雷処理さえできないと言ってるのに、航空優勢のないところで工兵が架橋できるとは思えない。

      9
    • bbcorn
    • 2023年 8月 10日

    兵站から考えたらロシア軍に維持できるとは思えないけどね。

    2
    • りにあ
    • 2023年 8月 11日

    渡河するとしたら今月末のスーパームーン干潮と思いました。ザポリージャ戦線は熱波中は反転攻勢休止ですかね。レオパルドはドイツ製なので冷房なさそうですし。ロシア軍は寒波・熱波かまわず突撃していますが。
    また、レオパルト2は、F16来るまでは、いっそ防御用に専念したほうがいいかもしれません。

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