ナゴルノ・カラバフ紛争で価値を示したトルコ製UCAV「バイラクタルTB2」はウクライナに侵攻したロシア軍相手にも効果を発揮して世界中を驚かせているが、ロシア軍を悩ませる無人機はTB2だけではないらしい。
参考:‘Game-changing’ drones helping Ukraine in battle for the skies
TB2やPunisherもロシア軍の戦争遂行能力を削り取っていくにはもってこいの兵器なのだろう
英The Times紙によればウクライナ軍は国産ドローン「Punisher/パニッシャー」を使用してロシア軍の燃料や弾薬の集積所、電子戦装置を襲撃、これまでに60回の襲撃ミッションを成功させて敵のダメージを与えていると報じており、開発元の現地企業UA Dynamicは「人命を危険に晒すことなく遠距離が敵を攻撃する方法としてPunisherは世界で一番安価な方法だ=ドローン2機、管制システム、関連費用を含む提供パッケージは19.6万ドルらしい)」と主張している。

出典:Армія Інформ / CC BY 4.0
Punisherは3kgまでの爆弾を搭載して最大45km(電動推進式/巡航速度39km/h)の距離を飛行することが出来る小型ドローンで、TB2のようにEO/IRセンサーは搭載していないため「Spectre」と呼ばれるUAVで目標指定の標的の位置を割り出し、座標を転送されたPunisherは目標に爆弾を投下して撮影された画像(搭載された攻撃結果を記録するためだけのカメラ)で戦果を確認するというシステムらしい。
UA Dynamicは「ウクライナ軍の複数部隊(特殊部隊)がPunisherを使用してロシア軍と戦っている」と英The Times紙に明かしたが、具体的に何機のPunisherがどこの配備されているのかについては不明だ。

出典:Оперативне командування “Північ”
勿論TB2やPunisherで10万を超えるロシア軍を殲滅できる訳ではないが、英国のウォレス国防相も「ロシア軍の侵攻が停滞しているのはウクライナ軍が非常に巧妙な計画を実行しているためで、(検証はできないものの)ウクライナ軍がUAVを使用して補給部隊を効果的に攻撃しているのを私も知っている」と述べており、TB2やPunisherも巨大な戦力維持に欠かせない補給部隊や物資の集積所を襲撃して戦争遂行能力を削り取っていくにはもってこいの兵器なのだろう。
まだ交戦途中なので詳しいことは不明だが、個人的にも戦争終結後にUCAV/UAVがロシア軍にどれだけのダメージを与えたか必ず調べなければならない。
追記:英The Times紙はウクライナ軍は現在TB2を20機運用していると報じているので、一先ずトルコから5機以上のTB2が引き渡されたのかもしれない。
ロシアはウクライナとの戦争に予備役を動員するための準備を始めたとミハイル・ホドルコフスキー氏が言及している。
モスクワに戦争がやって来た、、、https://t.co/olmZbitLiH pic.twitter.com/rrQsGlsljQ
— 航空万能論GF (@grandfleet_info) March 4, 2022
関連記事:ロシア軍にとって凶報、追加発注分のバイラクタルTB2がウクライナに到着
関連記事:英メディア、ロシア自慢の電子妨害装置がバイラクタルTB2の阻止に失敗
※アイキャッチ画像の出典:UA Dynamic
お知らせ:記事化に追いつかない話題のTwitter(@grandfleet_info)発信を再開しました。 |
あとは火力投射量に優れる有人固定翼機がロシア軍の車列に打撃を与えたらマジでロシアとしては撤退を考えるレベルになりそうだけど
それができないということは、リスクが高いと考えられる程度にはまだロシアの防空も機能はしてるんだろうなぁ
数十キロの車列ってアメリカ軍相手なら死のハイウェイまっしぐらだぞ…
それやってしまったら双方むしろ引けないレベルになるんじゃ無いかな。都市部に関しては民間人の退去勧告してなるべく頑丈な建物残して掃討する為のFORBとか使いそうだが。
ウクライナにここまで西側支援入ってくるとなると、中国辺りが安価なドローンとか無線機とか提供しないのかね。演習でそれなりに協力しているならやってやれない事はないと思うが。
湾岸戦争の時のバスラハイウェイ「死の道」を思い出すな。
それな
ウクライナがトルコからバイラクタルを導入する、て聞いた時は電子戦に強いロシア軍相手に戦力になる訳ないやろ、電波妨害されて片っ端から叩き落とされるわ…、て思ったんやけどなぁ
シリアやイランで魅せたロシア軍の電子戦スペシャリスト達は何処へいってしまったんや
RPG‐7の弾頭をドローン化したウクライナ軍の秘密兵器 UJ-32 Lastivka
リンク
1発 5千万とか1億とかって
日本もこういうのに目を向けて欲しい
カネがないのでF15の改修やめてこれ作りますか?
元記事に人が持っている写真がありますが、大型のラジコン飛行機くらいのサイズですね。車輪が無いのでRCグライダーのようにハンドローンチでしょうか。
機体は白いですがスチレンの押し出し整形かな。このサイズだと塗装の重さもバカにならないんですよね。
自殺ドローンではなく爆弾を投下するのでしょうか。動いているターゲットに当てるのは難しそうですが、渋滞で止まっている補給車両なら当たるでしょうね。場所もばっちり分かっているのだし。
はからずも近代兵器の実験場になってるし、こちらからウクライナへの援助は決して無駄でない
原発対策、無人機、我が国にも必要な情報が次々と入る
何よりも、これでロシア軍の実力が計れる
パニッシャー
罰を与える者か
ピッタリな名前だな
>EO/IRセンサーは搭載していないため「Spectre」と呼ばれるUAVで目標指定の標的の位置を割り出し
キャリアー特化で再利用可ってこと?それならすごい安上がりではありそう。
???「ヴィットマン連れて来たらメッチャ狩れるのでは?」
なお路肩は泥濘地な模様
これは教育されてしまいますねえ
通信環境がウクライナ側に味方しているのも大きいだろうね
はっきりとはしないけれど、通信が未だ健在なのは欧米側がかなり協力しているからだろうと思う
でなければ未だ民生用のネット回線すらほぼ全土で健在なのは説明がつかない
民生用の遮断すらできないんだから、軍用回線はほぼフリー状態なんだろう
であれば、無人機のコントロールは簡単だろう
ロシアお得意のはずの通信遮断→欺瞞情報
ロシア軍お得意のはずの通信遮断→欺瞞情報のコンボは一体どこへいってしまったのか。
クリミアの反省から、
ウクライナは衛星、無線、有線と通信の多重化をすすめたことも功を奏してるかと
ロシア軍の一部以外は、第二次世界大戦みたいな無線環境だからなのか
UAVの電波妨害が全く出来ないだろうし、まさにUAVやりたい放題の環境が揃ってますね
開戦直後からウクライナ政府が国民にドローンの供出を呼び掛けていたね。
軍用ドローンでなくても、一眼レフ載せられるくらいのドローンならソフトターゲット用として十分だし、オモチャくらいのでも市街地で数ブロック先の偵察には使える。
実際はかなりの数のドローンを創意工夫して使っていると思う。
それはそうと、防弾チョッキと鉄帽などの援助が決まりましたね。
ドイツと同じじゃんとか色々意見はあると思うけど、現行法でできる最大限の物的支援がされるのは喜ばしいと思う。
自衛隊迷彩の装備が、1人でもウクライナ人の命を救ってくれれば。
所詮はラジコンを大きくしたようなものなので戦闘機がいればただの的になると思うのですが、戦闘機が展開できていないのでしょうかね。
ジェット戦闘機で小型低速のラジコン飛行機は撃墜できない
レーダーで捉えられると思うので撃墜可能だと思うのですが、本当のところはどうなんでしょうかね。
技術的には可能だと思うよ。
しかし、戦場でそれが上手くいくとは限らないし何より効率が悪い。安全が確保された中で実験として一対一で戦うとかでない限り困難。A-10が模擬戦でF-22を撃墜したような感じ。
例えるなら、流鏑馬を自衛隊員に戦う手段として習得して欲しいとは思わないでしょ?
それが難しいらしい。
映らないことはないらしいが、それがドローンなのか自然物(鳥など)なのか、マルチパスなのか、の判別ができないとのこと。
戦闘機は空中で静止できるヘリコプターも撃ち落とせるはずですし、RCSの小さなステルス機も撃ち落とせるはずですから、ドローンも撃ち落とせると思うのですが、実際のところどうなんでしょうか?
当たり判定がだいぶ違うと思うのですが。ドローンなんて小さいものにミサイルが完璧にヒットするとは考えづらいかなぁ。コスパ悪いし。
ここまで低速だと従来の戦闘機での対処は難しいかと
逆に地上からの対処は、専用の装備があれば対戦車ミサイル/ロケットを迎撃するよりは簡単だと思うけど
例えばイスラエルのドローンドームみたいなシステムが使われた時実際どうなるかというのはちょっと気になる
TB-2はともかく、PunisherはRPG-7の弾頭に翼を生やしたただのラジコンだぞ。むしろ戦闘機でどうやって戦えと
戦闘機が戦闘軌道で飛んでいたとしても、Punisherの速度は遅く機銃で狙いづらいし、ミサイルを打てば大赤字
むしろ対空戦車のシルカかツングースカを呼んでくるべき
呼んだところで到着できるかだって? そんなのシルカ
ツングースカは燃料切れで放棄されウクライナ軍によって焼き払われた
パンツィーリもタイヤバーストで現地にたどり着けず
いくら大金を積んで対策しても稼働できなきゃ意味がない
RPG-7弾頭のドローンは別のドローンでした。ダジャレを言いたいがために確認がおろそかになりました。すいません
俺は嫌いじゃないよ
ということは、費用対効果を度外視すれば戦闘機でも撃墜可能ということでしょうか?
ミサイルで簡単に撃墜できるように思うのですが。
かなり難しいのでは?
巡航速度39km/hではドップラー効果が殆ど生じないので、上空からパルス・ドップラー・レーダーで探知するのは困難でしょう(地面からのクラッターとUAVからの反射波を区別できない)。ちなみにF-15Jのレーダーは150km/h以下の探知は航空機ではないとして無視する設定だそうです(そうしないと車を大量に誤探知してしまう)。
小型で電気推進だから赤外線放射も機影も極小で光学的な捕捉・照準も難しいでしょう。戦闘機のセンサはもちろん、IRミサイルのシーカーで捉えられるかも怪しそうです。目視での発見もかなり難しいでしょう。
捉えられたとしても、発見・照準にはUAVに合わせてかなり低空、低速で飛行する必要があり、すると歩兵発射型の対空ミサイルで戦闘機側が撃墜されるリスクが高まる。
機銃で撃墜しようにも、近距離でないと探知できないので低速飛行で急旋回する必要がありで、加えて小さい上に速度差が非常に大きく、命中率も低いでしょう。
ずっと大型・高速の攻撃ヘリでさえ、戦闘機で撃墜するのはかなり非効率らしいです。
そりゃ出来るでしょ。
ただ問題は費用というか「リソース」だね。
金銭の問題じゃなくて、制空権も確保できてなきゃ対空兵器の排除もできてない空域で有人戦闘機を運用し、消耗品であるミサイルを消費するとか低速の目標を危険な低空で時間を掛けて射撃するとか、割に合わんにも程があるでしょ。
どうかすると数千万もしない、いるかいないかはっきりしないUAVのために数十億円の戦闘機を飛ばして張りつけるとかやってて戦争経済が成り立つはずもなく
米軍やロシアがベトナムやアフガニスタンに音を上げたのも、そういうアンバランスの破綻が理由でもあるんだよね
わざわざこれを叩き落とすために戦闘機が速度を下げ、飛行高度も下げて低空に降りてくるのはリスクが高すぎるんじゃねーの
飛行コースと射点が噛み合えばスティンガーでもワンチャンあるくらいでは?
レーダーで捕捉するには小さすぎる、遅すぎる。ルックダウンでもクラッターに紛れるし、映っても鳥と識別できない。
撃墜するためのミサイル1発でドローン数機~数十機分のお値段で効率が悪すぎる。
だからドローン対処は各国が頭を悩ませてる。
RCSが小さいステルス機も接近すればレーダーで捉えられるので、ドローンも捉えられるように思うのですがどうなんでしょう?
あとはIRSTなども有効だと思います。
ミサイルより高価なバイラクタルTB2とかなら、ミサイルで撃墜する方が効率が良いと思います。
ドローンといっても、お値段は高価なものから安いものまでありますから。
そりゃ接近すれば可能だろうけど、いつどこ飛んでるかわからない数メートル以下のドローンを探し回るために、CAP出すって考えただけでも超低効率でしょう。ジェット燃料だってバカにならない。
IRSTは赤外線放射をとらえるものだから、内燃機関を搭載した機体ならともかく、ここの記事で紹介されているドローンはモーター駆動だからIRSTなんて尚更見つけにくそうだけど。
捜索は地上からのミリ波レーダーやFLIRの方がまだいいでしょう。各国のカウンタードローンもそっちの方向性だし。
ウクライナの防空システムが生きているとするなら、どこに高射部隊が潜んでるか分からない状態で戦闘機が自ら長時間レーダー作動させて索敵するのは無茶ですね
ましてこんな小型UAV狩るために
本邦も連隊隷下の対戦車中隊を維持し自爆ドローンみたいな96MPMSを置き重迫中隊と連携しナンバー中隊はLAV化と01LMAT大量装備でマジで無敵の普通科部隊を構想してたりします
射程15kmのMPMSであれば一個連隊が遅滞戦闘し続けるの延々掩護できるわけで接触する敵を追い払い続けるなら人員がISRするので必要なのは対戦車火力の継続であろうなと
3kgのHE運搬するラジコンは斥候(持てるなら)が使うといいかもしれませんが本邦の場合は正確無比な重迫火力があるので120mmRTから射出できる対戦車ドローンならいいかもしれない
しかしこの敵弾薬と燃料を集中的に狙う戦術は今後世界に広まりそうだな。特に防御に回る国に。
ドローンによって戦場認識能力が飛躍的に向上した今、敵の脆弱部を簡単に発見・攻撃できるようになった。そして補給のない軍隊なぞただの鉄屑、動けない敵は自分から兵器を棄てる事が今回証明された。
まあロシアの杜撰な補給計画やらウクライナの国土の特性なんかもあるが、参考にはなるだろうな
正面対決よりも補給線を叩くほうが被害も少なく有効なのは、18世紀以前の戦争から行われてる古典的法則ですがな。
ポイントは、UAVだのドローンといった新要素がそういう用途に向いてると確認できたこと。
これは我々にも応用できるし、また我々も対策を考えないとならない
ロシアに戦闘機があって、レーダーで探知できても、五月雨に現れたら全部は対処できなくなりそう。
NATOからの支援で早期管制機やグローバルホークからの情報がもらえれば、ウクライナは高価値標的を探して、迎撃されないタイミングを探って攻撃できてしまう気がします。
ロシアの迎撃体制が整っていて、ドローンで攻撃できなかったとしても、迎撃する側に労力をかけさせて疲弊させることができるし、見えないドローンからいつ攻撃されるかわからないという精神的な圧力を地上の兵士にかけられるのは、大きなメリットだと思います。
自爆ドローンでないなら、攻撃された後レーダーで追跡するとかで運用拠点割り出して攻撃出来ないもんかな?
いくらなんでも繰り返しやられ過ぎでしょ。
追記の予備役招集開始って、ロシアが末期戦の様相を呈するにはいくら何でも早くないか。まだ攻めてる最中で息切れって、どんだけ兵士を喪失してんだ。あるいは見えない誰かからモスクワを守るために招集しているのか。こうなると次は20歳台以上強制徴兵も見えてくるぞ。
常識で考えるなら後方要員の増強がメインかなとは思うけど
治安部隊をいきなり突入させて全滅させるような無茶苦茶やったりもするし分からんね
実際に戦地へ送るかどうかは兎も角、国内の風紀引き締めに予備役招集で危機ムードを煽りたいのかもしれませんね…
多分逆効果だと思いますが
戦闘の長期化予測をも含んでるのだろう、前線の兵士の疲労や精神的ケアの必要は長引くほど高まり、潜在的な戦力は低下するばかり。
可能ならば次々と兵員を交替していかないと、軍が持たない
大義なき戦争にはつきものの病理がすでに出てるね
運用者のリスクを下げつつ、相手に損失と恐怖を与える兵器としてはドローンは現在もっとも効果的だと思う。特に大型の軍事車両をを大量に投入してるロシア軍にとっては脅威になる。