ウクライナ戦況

ウクライナ侵攻348日目の戦況、ルハンシク州のビロホリウカは宇軍が保持

ロシア側の情報源はクレミンナ周辺での反撃で合わせて「ビロホリウカを占領した」と再三主張していたが、ここをウクライナ軍が保持していることを示す視覚的証拠が登場、リシチャンシク方面からシヴェルシク方面への前進は阻止されている。

チャシブ・ヤールとイワニフスキーを保持できればバフムートの補給は失われないが、、、

ウクライナ軍参謀本部の発表によれば依然としてロシア軍はクピャンスク、リマン、バフムート、アウディーイウカ、ヴーレダー方面で攻勢に出ており、戦線自体に大きな変化は観測されていなもののウクライナ軍にとって良いニュースが1つある。

ロシア側の情報源(ドネツク人民共和国を含む)はクレミンナ周辺での反撃で合わせて「ビロホリウカを占領した」と再三主張していたが、ここをウクライナ軍が保持していることを示す視覚的証拠が登場、ビロホリウカ全体をウクライナ軍が保持しているのかは不明だが、ここを保持出来ているということは「シヴェルシク方面への前進は阻止されている」と解釈していいだろう。

バフムート方面も新たにロシア軍が前進したという報告はないが、幾つかの観測者は「ブラホダットネ北の高台をロシア軍が支配し西に向かって進んでいる=M03の物理的遮断を狙っている。この動きはウクライナ側とロシア側の情報で裏付けられている」と指摘しており、ソレダル北西の高台陣地はもう機能していない=ロシア軍に破られた可能性がある。

出典:GoogleMap バフムート周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

まだバフムート北西に約13kmもの開口部が開けているので包囲網の口を閉じるには相当時間がかかるが、バフムートへの安全な移動ルートはベルヒフカ経由のⒶと00506を使ったⒷⒸの3つしかなく、舗装道路のⒸを失うと補給や予備戦力の移動に支障を来すため「チャシブ・ヤール」と「イワニフスキー」だけは絶対に守らなければならない。

逆を言えば両拠点を保持し続ける限り「バフムートの補給は失われない」という意味なので、この辺りの戦いがバフムートの運命を左右するのだろう。

上記の動画がⒸ経由でバフムートに移動するウクライナ軍の様子で、道路がロシア軍の砲撃で破壊されている気配はない。

関連記事:ウクライナ侵攻346日目の戦況、ロシア軍がドンバス全体で攻勢に出る

 

※アイキャッチ画像の出典:ЦАПЛІЄНКО_UKRAINE FIGHTS

ウクライナの二転三転する政権人事、レズニコフ国防相の解任問題を先送り前のページ

夏までにLeopard1A5を20輌以上、2024年中までに100輌以上をウクライナに供給次のページ

関連記事

  1. ウクライナ戦況

    首都を巡る攻防戦、ゼレンスキー大統領が自身とキエフの健在ぶりをアピール

    ゼレンスキー大統領は「ウクライナの運命は今夜の戦いで決まる」と語って注…

  2. ウクライナ戦況

    ロシアの作戦は破綻、何れ目の前の事実を受け入れる瞬間がやってくる

    ゼレンスキー大統領は15日、ウクライナで実行している特別軍事作戦が既に…

  3. ウクライナ戦況

    ロシア軍がベルディチを占領、さらにノボカリノベも占領された可能性

    DEEP STATEとRYBARは「ロシア軍がベルディチを占領した」と…

  4. ウクライナ戦況

    ロシア軍の大規模攻撃が懸念される中、ポーランドのドゥダ大統領がキーウに到着

    ロシア軍による民間施設や政府施設への大規模攻撃が懸念される中、ポーラン…

  5. ウクライナ戦況

    ウクライナ軍、クルスク攻撃に使用したダンボール製無人機のテスト映像を公開

    ウクライナ軍がロシア領クルスク州の飛行場を攻撃するに使用したダンボール…

  6. ウクライナ戦況

    ウクライナ軍、46日間で鹵獲したロシア軍装備の数が1,000を突破

    軍事アナリストが運営するサイト「Oryx」は10日、ウクライナ軍が鹵獲…

コメント

    • 鼻毛
    • 2023年 2月 07日

    いつのまにか当たり前のように思っていましたが、いつも戦況のまとめありがとうございます。

    50
      • ホテルラウンジ
      • 2023年 2月 08日

      本当に管理人に感謝してます。
      戦況まとめはこのブログの一番実力が出てる所と思います。
      地図が分かり易いですし、この状況図にした根拠も説明されていまして、手間をかけられてますよね
      耳目を引く派手なニュースばかりを追いかけるのではなく、各ニュースを理解するに当たって知識の前提を共有させる戦況まとめは地味ですが、そこに力を入れられてる所に情報の品質の高さが出てきますよね。

      44
        • ため息
        • 2023年 2月 08日

        戦況の地図の細かさ、驚くほどです。また全体を俯瞰した分析や、
        武器弾役の情報など僭越ながら大変参考にさせていただいております。

        12
          • キジトラ
          • 2023年 2月 08日

          管理人さま本当にご苦労さまです。歴史や世界情勢に興味があっても軍事はズブの素人の私はいつもこの場所で情報を得させて貰っています。
          また、宇・露どちらに寄っていても感情的にならない皆さんの高いレベルの議論にも敬服しています。

          14
          • 匿名
          • 2023年 2月 08日

          管理人ありがとうございます。ロシア側の情報がかなり誇張が多いので、ウクライナ側と一緒に分析してもらうと戦局が分かりやすい。
          無視してもよいが、日本にもロシアが大勝するとヨーロッパのポーランド輸送ルートが危なくなったり影響あるので、ロシアの戦局知ることは必要なのでありがたいです。

          3
    • ため息
    • 2023年 2月 08日

    ロシアはバハムート市街地でもじわじわと制圧を進めていますが、
    バハムート周辺郊外地域の侵食が進んでいますね。

    チャシブ・ヤールとイワニフスキーはバハムートの補給の要なので、
    ウクライナにとって絶対に死守なのですが、さらにここをロシアが
    打通すると、クラマトルスク南東まで要塞化できる主要都市がない為、
    ロシアは一気にそこまで進撃する事を想定しているのかもしれません。

    そうすると、道路H20-T0516 のラインに圧力がかかり、要塞化された
    シヴェルスク・スリャビンスク・ドルジェキーウカ・コンスタンチノフカ
    さらにジェルジーンシク・アルテーモヴェ・アウディーイウカが包囲・
    兵站の危機に陥ります。また鉄道ラインを復旧させれば、ドネツク全域に
    おけるロシア側の攻勢が加速します。

    やはり調べれば調べるほど、バハムートは戦略的に非常に重要な都市で、
    双方が戦力を注ぎ込むのも納得です。チャシブ・ヤールとイワニフスキー
    、あとベルヒフカの攻防は、紛争全体の戦況を左右するかもしれません。

    12
    • kitty
    • 2023年 2月 08日

    ロシアとしてはバフムートで、スターリングラードの夢をもう一度って感じなんですかねえ。

    2
      • ななし
      • 2023年 2月 08日

      実際にはスターリングラードでのドイツの市街戦の悪夢を味わってるのがロシアという…
      当時のドイツと違って現状では後方遮断されそうにないですが、西側戦車の到着に怯えながら戦うという意味では似たようなものでしょうか

      7
    • せい
    • 2023年 2月 08日

    こんな狭い土地で数ヶ月もジリジリ攻防を繰り広げてるんだよなぁ。
    ほんとウクライナはよく耐えてると思う。
    それだけにやっぱりこの土地には象徴的な意味が出来てしまってるんだろうなぁ。

    7
    • TKT
    • 2023年 2月 08日

    しかしバフムトの市街も、ロシア軍がどんどん中心市街に近づいていて、このままだと包囲が完成する前に陥落しそうな感じです。

    あるいはやはりウクライナ軍の方がロシア軍に完全包囲される前に、退路が確保されているうちに、すでに一部の部隊の退却や、脱出を始めているのかもしれません。市街に残る後衛が機械化部隊ならば、残り少ない退路を一気に退却することも可能かもしれません。

    ゲラシモフ参謀総長の方は、クレミンナ方面で機械化部隊を使う作戦の方を優先していそうで、そっちから先にスラビヤンスクに向かうかもしれず、ウクライナ軍はバフムトの防御にばかり兵力や弾薬を使っていられません。

    ブラホダットネの方向から、M03号線道路の制圧に成功した場合は、そこからさらに北上して、ミンキフカの制圧を狙うかもしれませんし、またサッコ・イ・ヴァンテッティの方からナイキフォリカ、M03号線道路の方に向かうこともでき、要するにバフムトをスルーしてスラビヤンスクに向かうことも可能になるでしょう。

      • ため息
      • 2023年 2月 08日

      バハムートは周辺の包囲が完了しないと陥落は困難だと思います。
      ワグネルのプリゴジンが10mごとに防衛線があると言っています。
      この数ヶ月で数キロしか進んでいないので、兵站を遮断しなければ
      容易には陥落しないですし、ウクライナも大軍を注ぎ込んでいますから。

      ウクライナのバハムート撤退もプリゴジンが否定していますね。
      撤退は包囲の完成か、ゼレンスキーが政治的決断をした時だけでしょう。

      スリャビンスクはシヴェルスクとリマン攻略が必須ではないでしょうか。
      シヴェルスク方面のビロホリウカをウクライナが保持ということは、
      ロシア側が撃退されたか交戦中ということですね。ここは取ったり
      取られたりなので、ウクライナも兵員を増強しているのかもしれません。

      ロシアは要塞化された都市を時間をかけて攻略しているので、数週間で
      劇的に戦線が変化するとは思えません。ウクライナも武器弾薬が劣勢でも
      防御に徹しているので、簡単に戦線は崩壊しないのではないでしょうか。

      8
        • 2023年 2月 08日

        プリゴジンも現金なものですね。
        去年の西欧のクリスマス前にバフムト陥落したとか
        クリスマスまでには余裕でバフムトが陥落するだろうとか
        戦果を誇示して、結果誤報でロシア情報の真価を落としていました。

        それが、2軍に落とされた今は、バフムトは落ちないと言い出したのが面白いですね。
        ロシア正規軍には死んでも協力したくないのですね。

        これもロシアが力を発揮できなくて弱い印象を持たれる原因の1つかもしれませんね。
        ロシア製兵器の名誉挽回はできるのでしょうか ?

        3
    • 2023年 2月 08日

    ソレダル西の高地は簡単に墜ちないと言われてたけど早かったな。
    自軍陣地をウクライナ側が砲撃してる動画があったから撤退したか壊滅したのだろう。
    道路がない孤島みたいな場所だし即席で作った陣地で物資の集積場所もない。
    ソレダルから撤退した敗残兵がメインだし無理もないか。

    3
    • 2023年 2月 08日

    陣形の名前でもウクライナが負けてる模様

    19. 軍事速報の大将2023年02月08日 10:54
    バフムトがウ軍が包囲の中に飛び込む無限鶴翼の陣になってて草
    20. 軍事速報の大将 2023年02月08日 10:56
    >>19
    無限翼の陣と呼ぼう
    カッコいい

    2
      • 2023年 2月 08日

      > 無限翼の陣
      これウクライナ軍のハルキウ侵攻の時に親露派が使ってて
      釣りの伏せで、ウクライナ軍全滅したと連呼してて
      恥ずかしい物言いになってた。

      これ使うと同類に見られて
      可哀想な人に見えるから
      やめた方が良いよ。

      2
    • 戦略眼
    • 2023年 2月 08日

    Leopard1が100両以上供与される。
    どんな姿で、どんな活躍をしてくれるかな。

    1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  2. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
  3. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  4. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  5. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
PAGE TOP