ウクライナのクレバ外相は26日、米国が提供を決めたパトリオットシステムの配備時期について「通常1年かかる訓練内容を圧縮して6ヶ月以内に運用できるようになる」と明かした。
参考:The AP Interview: Ukraine FM aims for February peace summit
参考:Зеленский об энергетике: Готовимся к следующему году, не только к зимним месяцам
パトリオットの運用が始まるのは来年の6月以降=暖房が必要な冬場には間に合わないという意味
バイデン政権はゼレンスキー大統領の訪米に合わせてパトリオットシステムやJDAMが含まれたウクライナ支援パッケージを発表、ウクライナに提供されるパトリオットは1基(レーダー、管制システム、発電機、ランチャー車輌×6輌~8輌=PAC-3形態なら最大128発/PAC-2形態なら64発)に過ぎないが、作動範囲内に存在する固定機、回転翼機、無人機、巡航ミサイル、弾道ミサイルといった脅威を高精度で迎撃することができるためインフラ攻撃の抑止(カバーできる範囲は1つの都市を守る程度)に役立つと期待されている。
問題はパトリオットが「ウクライナ領内でいつ運用できるか」で、米欧州陸軍の司令官を務めたこともあるマーク・ハートリング元中将は「通常の手順でパトリオットを扱えるようになるまで何ヶ月もの訓練(内容を圧縮しても6ヶ月間はかかると見られている)が必要で、このシステムのエンジニアを育てるには1年程度必要だ」と指摘していたが、クレバ外相は26日「通常1年かかる訓練内容を圧縮して6ヶ月以内に運用できるようになる」と明かした。
仮にドイツで実施されるウクライナ軍兵士の訓練が終わるのが6ヶ月後だった場合、パトリオットの運用が始まるのは来年の6月以降=暖房が必要な冬場には間に合わないという意味だ。
まぁ予想されていたことなので大きな驚きはないが、ウクライナはインフラ攻撃による被害を具体的に明かしていないため正確な実態は不明なもののゼレンスキー大統領は「現在も停電が続いて約900万人(12月26日時点)の国民が電力供給から切り離されている」と明かしており、ロシア軍は復旧作業で電力供給が改善した頃を見計らい攻撃をしているため「国民の1/4ぐらいが慢性的に電力供給から切り離されている」のかもしれない。
因みにメディアに取り上げられる機会は少ないが、停電下での生活(電力が止まると暖房も給水も通信も止まる)に関する現地メディアの記事を読むとウクライナ人の苦労は想像以上で、この状況を「あと数ヶ月間も我慢しなければならない」と考えると心が痛くなる。
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※アイキャッチ画像の出典:Photo Credit: U.S. Army PAC-2ランチャー
数日程度電気止まってプロパンガスと水道は使える状態体験しましたけどまぁキツいですね…
情報も車で充電したスマホか電池のラジオと新聞あとは口コミで…
米陸軍(パトリオット特技兵)出身の義勇兵はさすがに無理でしょうか。
灯火管制の影響もあるだろうとは思いますが、
停電状態のキーウ市街の写真は痛ましい姿ですね。
やっぱりパトリオットの「通常1年かかる訓練内容を圧縮して6ヶ月以内に運用」が制約になりますね。日本のパトリオットは少なくとも1年、来年あたりから中国vs台湾の影響で圧縮6ヶ月になりかねません。
問題は、高価なパトリオットで迎撃するのにふさわしいターゲットをどうやって見分けるかではないでしょうか。
安価な自爆ドローンを同時に多数撃ってく攻撃は、網みたいなのでゴソッと捕獲する方法はないものか?
半年ですか。。。この冬には全く間に合わないですね。。。
パトリオットは必ず破壊する、と息巻いていたロシアが、調子に乗らなければよいのですが
これも情報戦でしょうか
凍えるウクライナと見ると、心が痛みます。偽善でも○○します。大金持ちだったらあれこれも可能なのに
リアルタイムに理不尽な残虐悲劇を見ていると、やるせない。ありえない
日本からの発電機がようやくブチャに届いたそうで。少ないけど無いよりはずっといい
パトリオットが届く前に、他の防空手段を、少しでも早く多く!
年末ロシアの無差別攻撃がこわい
空軍基地の爆発で、攻撃の手が止まる(弱まる)ことを期待してますが・・・どうでしょうか?