バフムート方面について複数のロシア人達は「ボダニフカ郊外やクロモヴォ周辺でのロシア軍前進」を主張していたが、ウクライナ人が運営するDEEP STATEも11日「残念なことにロシア軍が成功を収めている」と報告してボダニフカ郊外やクロモヴォ周辺でのロシア軍前進を認めた。
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バフムート周辺の状況は「ウクライナ軍の苦境」が鮮明になり、特にベルヒフカ貯水池周辺では3km以上も後退している
バフムート方面について複数のロシア人達は「ロシア軍がボダニフカ郊外に到達した」「クロモヴォ付近で支配範囲を広げた」「クリシェイフカの戦術的高地を制圧した」と主張していたが、ウクライナ人が運営するDEEP STATEも11日「ロシア軍の歩兵部隊と装備がボダニフカの東で発見されたため敵が前進している。残念なことにクロモヴォ付近(標高188.6m)に対するロシア軍の攻撃も成功を収めている。さらにバフムートとイワニフスキーの間でも前進してウクライナ軍は標高144mの地点を失った」と報告。
DEEP STATEはロシア人が投稿した視覚的証拠ⒷとⒸとに基づき標高188.6m(ボダニフカ付近~O-0506付近~クロモヴォ付近=黄色矢印の部分)での前進を認め、さらに標高144m=バフムートの西に位置するクロモヴォ~T0504の間(黄色矢印の部分)でロシア軍が前進していると主張しているが、後者の部分についてロシア人は何も触れておらず、この主張を裏付ける視覚的証拠も見つかっていない。
さらにボダニフカ集落内でもロシア軍の激しい砲撃=Ⓐが確認されており、DEEP STATEは「今後もロシア軍はバフムートからイワニフスキーへの前進を試みるだろうが、最も重要な攻撃ルートはバフムートからチャシブ・ヤールへの前進で「標高199.4m付近」を失えばイワニフスキー方面の防衛条件は極度に悪化し、そこから少し西に行けば標高の高い尾根の上にあるチャシブ・ヤールがある。この街は物資の集積地であるクラマトルスク防衛にとって不可欠な存在だ」と述べている。
因みにロシア人ミルブロガーが運営するRYBARは11日「ロシア軍がO-0506沿いのクロモヴォ北で敵陣地を占領した。ボダニフカ東郊外でも激しい衝突が続いており、この方向でもロシア軍が前進している。バフムートの南でもクリシェイフカ付近の要塞を巡って戦闘が続いている」と報告している。
ロシア人達が主張していた「前進」を裏付ける視覚的証拠が登場したため、残念ながらバフムート周辺の状況は「ウクライナ軍の苦境」が鮮明になり、特にベルヒフカ貯水池周辺では3km以上もウクライナ軍は後退してる格好だ。
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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
ウクライナ軍は山まで下がって守るつもりなのか?
バフムート方面は既に遅滞戦闘からの撤退戦に移行してるように見える(政府側がどういった命令を出してるかは別にしても)。バフムート中心部を確保していた時とは違って、ウクライナ軍が有利なポジションを維持できていないため、撤退すること自体は戦略的に問題はないだろうが、場所ごとに大分撤退後退距離に差が出ており、秩序だった後退が出来ているのかが不安ですね。
素人目線でも貯水池方面が3km前進されているのは早すぎな気もしますし、そのまま浸透される可能性もあるため、不利なポジションを全て捨てて一気に防御を固められる地点まで引いただけとは思いますが。
クリシチウカ高台陣地を取られたのにまだクリシチウカの集落に残ってるのもよくわからん。
計画的撤退なら高地より先に集落から撤退しないと撃たれ放題になってしまうのに。
集落は完全に破壊されてて既に身を隠すところもない。
そこも不安要因ですね。仰ってる点も含めて、隣接している味方部隊との連携をする間もなく、後退を余儀なくされているのであれば、多くの兵員と兵装を殲滅されてしまう。
バフムートを取り返して国全体の士気高揚と諸外国へのアピールに繋げたかったウクライナ政府にとって、戦略的な価値が無いと言われ続けてきたバフムートで戦果をあげるどころか、大きな損失を出して、なおかつ一気に後方都市まで進出されてしまったら、軍部にだけ責任転嫁をする事も出来なくなり、当然、政府にも責任追及が起こりそうです。
現地にはロシア軍より怖い冬将軍が君臨してますから・・・
廃墟の中にかろうじて残されたわずかな地下室に籠る方が、外に出て東部戦線の吹雪に野晒しで吹かれて立ったまま氷結するよりはマシかなと。
冬になると野営拠点の構築の難易度が極端に上がるのが東部戦線のあるあるですね。
ここのところずっとロシア軍の攻勢が成功してるって話しか出てこないけど、ウクライナが防衛準備始めたとかなんとかってのと合わせると、
下手したらこれウクライナ軍の防衛線崩壊し始めてるんじゃないの?
個人的には一応秩序だった撤退に見える
ただ対応力は下がってきてる感じがするからそのうち突破に対応できなくなるかもしれない
同意見です。まだ現状では、ウクライナ軍の組織力は減退してはいるものの失われてはいないと思います。
問題は、砲弾や弾薬の枯渇(アメリカ援助の停滞)と、兵員の枯渇(動員の限界)のどちらの深刻度が高いのか。もし後者である場合、後ろに下がったところで兵站線が多少短くなっても改善に繋がらず、さらに押し込まれる危険が高い。
私の生え際も間もなく前進します
おそらくウクライナの反攻作戦のように成功するだろう
武運を祈る
報復のきらめく剣が前進して栄養不足になった毛髪を刈り取るのかしら
自分は髪の毛が細いのに数が多すぎるんで、髪が虚弱体質ぽいです
髪の毛が後退しているのではない。私が前進しているのである。by孫正義
頭部戦線の話題は、仲良く出来て偉いですね
ちょっとここ、ハゲが多すぎませんかね?
本来はフサ軍vsハゲ軍のはずなのに、ハゲ軍の戦力が多すぎるように感じます
一方、フサ軍も「俺はフサだ!フサフサなのだ!」といったプロパガンダが多すぎるように思えます
見えます…
私には、ちょうど今の季節のシベリアのように凍てついて、一本の草木の姿も見えない未来が… 😌
バフムトは戦略的に無価値と断じられ続けてきたけど、バフムトが制圧されたら西側に位置するコンスタンチノフカ、クラマトルスク、スラビャンスクへの橋頭堡になっていずれはドネツク全州支配に繋がるという意味ではウクライナにとってかなり痛手では?
そもそも無価値と言っていた時と今の状況が同じなのかで変わってくる。ロシアがバフムトで戦力消耗して息切れし、その先は何処にも行きようがないから無価値って話だったと思うが。
こんなところ放っておけと言い放った西側の軍事関係者がいたのは確かな様です。
しかし、バフムトを手放してもバフムトを包囲する形で道路を固め展開しないといけない訳で…それは結構な兵力を使います。結局、何もしない訳にはいかないじゃないかという事で言い合いになってた様ですね。そりゃまあ、本気で無防備でいたら絶対にロシアが進軍してきますからね…他の地域で前進に苦労してるんだから、弱いところに押し寄せて来ますよね。
逆側の話では、バフムトを破ったから敵がすべていなくなって周辺都市や川まで行ける訳ではないので、プリゴジン氏が当初主張していたバフムトさえ落とせばこの地域一帯をすべて制圧し終えてドニプロに迫れるなんてのは寝ぼけた話だ。そんな重要性はあり得ないということをロシアの参謀達は批判してました。
プリゴジンもそうした批判を懸念して、途中からは「ロシア軍の度重なる妨害とサボタージュによって最早チャンスは失われた。残念ながらバフムトを破ってもドニプロに辿り着く事は数年がかりでも難しくなってしまった。」として、責任をロシア軍高官側に押し付ける方針に転換してました。
口惜しいけど大幅に引いて戦線整理しないと収拾つかないでしょ
一部の楽観主義者が説いてるような敵が力尽きるまで何年何十年でも延々遅滞戦闘し続けるなんて現実的じゃないし
ロシアは1年前の9月にハリコフ(損害多数)で、11月にヘルソン(損害軽微)で戦線整理を行いました。今度はウクライナが同様に実行できるかですね。
バフムート、アウディーイウカもそうですが、反転攻勢で進んだロボティネなども、後退して戦線整理を行う必要があると思います。これ以上は、兵力が削られ負担となる土地(不良債権)にしかならない。
こういう時、第二次大戦なら防御側であるウクライナは反斜面陣地を築いて
持久戦を挑むと思うのですが、誘導爆弾やドローンが発達した現在でも有効なのでしょうか?
有効かどうか以前に砲弾が供給できるのか。その補給線の維持に戦力を割くのが妥当といえるのかが議論されていると思いますよ。
ウクライナの平原は、ドニエプル川を除くと自然障害物が少ないため、戦闘の難しさを感じます(戦闘による消耗が激しくなります)。
第二次世界大戦では、ウクライナでの戦闘は、突出部の攻撃や迂回攻撃が繰り返されており、包囲・殲滅・防衛・後退・反撃などを繰り返していました。
スロビキンラインは、2線目3線目の塹壕強化を続けており、塹壕の天井にドローン除けが設置されたり、コンクリートによる永久要塞化が一部で進められています。
ウクライナの地形の特徴・過去の戦訓を考えると、大規模な防衛線を構築するのは、重要であると感じます。
ロシア軍が、戦争中の占領地+最前線に近い場所で、工事を行えた理由は研究対象になりそうですね。
バフムト・クリシェイフカ周辺はアゾフ旅団を主力にウクライナが反攻作戦で最も前進した地域。
ここを失うことは、チャシブ・ヤールが無事ならば俯瞰した戦略的には大した影響を与えないかもしれないが、「戦略的に大したこと無い成果」を誇示してきたウ軍にとっては反攻作戦の失敗をこれ以上なく見せつけてしまう結果に。
また、南部戦線でロ軍は反撃に出ている所もありロボティネ周辺の陣地をいくつか奪還したとロシア情報源は報告。
スームィ州では露軍によるDRG(妨害工作活動)も長く報告されている。
気温が十分に下がったため、伸びすぎた戦線を整理し戦線崩壊を防ぐフェーズに入った。
クピヤンスク(オスキル川沿い)、リマン、チャシブ・ヤールのラインで永久要塞化を進め、建設期間を稼ぐために春の泥濘到来まで遅滞戦闘を行うことが望ましい。
しかし、ザルジニー派とゼレンスキー政権で内紛を抱え、追加動員には失敗し、国境封鎖の影響も受ける中でどれほど一致団結した対応が可能かは不明。
戦線の安定、本当の意味での拠点・策源地の構築は大事ですよね。
仰る通り、戦線が、あまりにも広すぎます…。
南部戦線の情報ありがとうございます。
ウクライナの外交的・政治的に、南部奪還部の維持は重要ですが、突出部を形成して陣地構築を行いにくいため防衛としては最悪な状態ですよね…
記事にある標高地形図を見ると、よくロシア軍とワグナーはバフムトを占領することができましたね…。 アウディーイウカの第2防衛ラインの話を聞くと、バフムト方面も有利な地形に慢心して後方の防衛ラインの構築を怠っていそうなのが不安要素です。
バフムト戦線で強い存在感を示してきた元アゾフの第3分離突撃旅団が既に前線から撤退していて後方で装備、人員補充に入るそうです
リンク
もうウクライナ軍のバフムト奪還の試みは終わったと見ていいかもしれません。
シルスキーも相変わらず「東部戦線は厳しい」と泣き言を言っています。
このまま東部のロシア軍の勢いが続くようならばゼレンスキー派筆頭と言えど、シルスキーの首も危うくなるかもしれません。
それを恐れてか最近シルスキーはやたらとロシア軍の損失を強調しています。
つい先日も「ロシア軍はウクライナ軍の8倍の損失を出している」と発言しています。
>ロシア軍はウクライナ軍の8倍の損失
失笑されるから止めようって側近はいないのかね?
攻撃側の方が損害が大きいとは思うけど8倍はないでしょうに
バフムトは諦めきれない。しかし、重要でもない。
これを両軍が触れているので、係争地としてはやりあいながら主戦場は他ってのが続くんでしょうね。