kyiv Independentの記者はチャシブ・ヤールへのアクセスを許可され、最前線での取材を通じて「ここでの防衛戦は本来ならウクライナ軍側に有利な戦いになるはずだったが、人員不足のため強固な防衛戦を展開できるか不明だ」と報じた。
この状況下で「絶対にチャシブ・ヤールを守りきれる」と言えるのは相当の楽天家だけだろう
“チャシブ・ヤールはコンスタンチノフカ、ドルジュキーウカ、クラマトルスク、スラビャンスクへ進むための玄関口で、周囲よりも標高が高く、南北に伸びる運河が天然の防衛ラインとして機能するため、ここでの防衛戦はウクライナにとって有利なものになるはずだった。しかし、多くの戦闘旅団がローテーションなしで前線に留まり続けたため消耗が激しく、強化された防衛ラインの建設が遅れているため、仮に有利な条件であっても強固な防衛戦を展開できるか不明だ”
“ロシア軍の突撃戦術は消耗品と見なした歩兵を敵陣地に集団で送り込み「素早く塹壕を掘って足場を固める」というもので、人海戦術や肉弾攻撃といった粗悪なレッテルを貼られることが多いが、それでもウクライナ軍を疲弊させるのに効果的だと戦場で証明されている。外交政策研究所のロブ・リー氏も本紙に対して「ウクライナ軍陣地の近くまで掘り進めて突撃する戦術はワグネルのものだ」「ロシア軍の戦術はワグネルのやり方から学んだ可能性が高い」と、取材に応じたウクライナ軍兵士も「敵は攻撃グループが全員死んでも気にしない」「何故なら1時間後には同数の攻撃グループがやって来るからだ」と述べた”
“チャシブ・ヤールの野戦病院に運び込まれる負傷者や治療状況も1年前と様変わりし、ここで働く医師は「運び込まれる兵士の約90%はFPVドローンかドローンから投下された爆弾で負傷した者だ」「車輌による負傷者の移送も以前なら簡単に行えたが、暗視機能を備えたドローンが増えたため衛生兵や歩兵が徒歩で負傷者を移送している」と述べ、FPVドローンの認識力と射程が支配する戦場では装甲車輌の移動ですら安全が保証されず、殆どの車輌には電子戦装置が搭載されている”
“本紙の取材に応じた専門家や兵士らはウクライナ軍が直面している最大の問題に「マンパワー」を挙げた。人員不足がローテーションの実施を難しくさせ、前線での長期に渡る戦闘が兵士を疲弊させ、発揮できる戦闘効率を低下させているという意味で、ロシア軍が突破に成功したアウディーイウカの状況もローテーションの失敗が原因だ。さらに効果的な予備戦力を持っていないウクライナ軍は突破口を塞ぐことが出来ないでいる”
“予備戦力が欠如した状態では「ある戦線の損失」が他の戦線の防衛を危うくすることがあり、ロブ・リー氏は「限られた戦力で複数の攻撃を撃退する場合、攻勢方向に戦力を抽出しなければならず、他の戦線への負担が増大する」と指摘した”
以上がkyiv Independentの記事の要約で、今のところチャシブ・ヤールの守りは決定的な破綻を来していないものの、アウディーイウカ方面のロシア軍はオチェレティネ方向の防衛ライン突破に成功し、未だにウクライナ軍は戦線に空いた穴を塞ぐことが出来ず、ここに余裕のない戦力が吸い寄せられれば他の戦線=チャシブ・ヤールの戦いにも影響が出てくるかもしれない。
因みにウクライナ人ジャーナリストのユーリイ・ブトゥソフ氏は今年1月「最近訪れたバフムートでは歩兵が著しく不足していると断言できる。現在の前線は並外れた自発性や道徳性を備えた兵士の自己犠牲で支えられており、ここで出会ったある兵士は1年間もバフムートで戦い続けていた。彼が取得できた休暇は年10日間(法律では30日の休暇が義務付けられている)過ぎず、2023年もローテションなしに4ヶ月間も前線で戦い続けた。2週間に1度の頻度で街に入浴しに行くが、朝までには自分のポジションに戻り、3日~4日ほど前線で過ごして後方の小屋で眠る生活を繰り返している」と指摘したことがある。
kyiv Independentも記事の中で「我々の取材に応じた第56自動車化歩兵旅団の兵士もローテーションなしで1年以上も戦い続けている」と報じており、この状況下で「絶対にチャシブ・ヤールを守りきれる」と言えるのは相当の楽天家だけだろう。
関連記事:ウクライナ軍、チャシブ・ヤール崩壊はアウディーイウカと同じで時間の問題
関連記事:ウクライナ人ジャーナリスト、勝利を妨げるのは最高司令官の無能さと無責任さ
関連記事:ウクライナ人ジャーナリスト、兵士の自己犠牲で前線が支えられている
※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС Україн
十分な準備砲撃して少し進んだらすぐに穴ほって隠れるようにする
兵隊もすぐにローテーション組んで交代させるというんはわりと人員を大事にしていると思うのですけどねえ。
少子化している補助金まで出しているロシアで兵隊をむやみに消費させるとは思えませんし。
囚人兵とかならまあ全員死んでくれたほうが助かると思って突っ込ませているでしょうが
あっ、君、今から囚人兵ね、とか言われたらやだな。
仰る通りです。
戦争はまだまだ続くでしょうから、兵士は貴重になります。
長期戦を想定、火力の優勢を生かして、戦術を組んでいると考えるべきなのでしょうね。
囚人兵だって、本当に必要なときに足りないとマズいので、何も考えずに消費するのではなく、結構ドライに補充ペースを見ながら消費すると思いますぜ。
一方で弾薬と違って、手元に集積しすぎると管理コスト(食料や警備コスト)が掛かるので、多く溜まりすぎると、多めに消費しよう、とかのインセンティブが働くかもしれませんが。
>兵隊をむやみに消費させるとは思えませんし
むやみに消費させようとは指揮官も思ってないだろうけど、必要な犠牲として受け入れてるんでしょ。
実際に戦果を上げてるんだし。戦果が無しなら単なる無謀な戦術なんだけど。
そして兵士もそれを強制でなく義務として受け入れてる。
従軍した時から覚悟決めてるんでは?生きて帰れりゃラッキー位のもので。
皆で生きて帰るぞ!の現代の西側の兵士とは死生観が違う。
負傷して自決するロシア兵を何人見たことか。
NATOもウクライナも彼らに勝てないのは根本的な覚悟の違い。
だから怖いんだよ。いざとなったら核のボタンを押しかねんから。
>従軍した時から覚悟決めてるんでは?生きて帰れりゃラッキー位のもので。
>皆で生きて帰るぞ!の現代の西側の兵士とは死生観が違う。
そうやって妄想に逃げてるから改善もされず敗退するんだと思います。
ロシアがやってる事って砲爆撃で叩いて弱ったと思ったら歩兵隊を陣地に寄せる、まだ相手が元気なら歩兵隊は逃げて砲爆撃と言うまっとうな事をやってるだけでして、無謀な突撃かどうかは直近の戦況見れば分かる通り敗退したウクライナ軍が戦果を盛っていただけです。
無謀な突撃をしたかどうかと現在の戦況は関係ないのでは?
そもそもの地力が違うので、多少やらかそうがロシア軍が優勢なのは当然のことです。
まあウクライナ軍も話を盛ってたりするとは思いますが、ロシア軍が勝ってる=ロシア軍は不適切な戦術を採っていないということにはならないと思います。
不適切な戦術ではなく突撃分隊が全滅するリスクは高いが成功したら小隊が無抵抗で進めるという大きなリターンが得られる合理的思考。
もちろんリスクを最小化するために突撃分隊をあらゆる手をつくしてサポートするが、ピクニックのように敵陣にたどり着けるわけじゃない。
突撃が失敗し負傷しても後送も不可能でドローンに喰われるのはよくある光景。
でもこれを不適切な戦術だとか無謀とか言っても、じゃあ他にどのような方法があるのか?ってことになる。
最近公開されたステポベ地区のロシア突撃兵の死体の山は衝撃的だった。
圧倒的火力があっても最終的に陣地をとるのは生身の歩兵の仕事。
優勢であっても攻撃側の犠牲は大きいのはロシアが無謀ということでなく戦場において当たり前のこと。
弱ったとはいえウクライナ軍もまだまだ強力だよ。
すいませんどこで見れますか?
消されてなければTwitterで見れるよ
あれウクライナでしょ?
ウクライナ兵の死体もあるけどほとんどロシア兵。
あの場所でロシア兵が殺られる動画も出てるから間違いない
私もこの点ではMarkllさんの観察と同じです。
今のところ、ロシア軍は砲爆撃中心で、手強いとみたらすぐに引きますね。引くのは過敏なくらいですね。平均的な観察ですが。
ウクライナ軍は、それに対して兵力の圧倒的優位を生かして人海戦術をやってきて対抗してきました。基本的には損害が大きくてもウクライナ兵はそれで良く戦ってきました。しかし、昨年の終わりくらいからウクライナは兵士の供給数が減っていて、戦況の悪化に繋がっているようです。
そのため現在のウクライナでの兵士の数は、ロシア軍が数十万人でたぶん5、60万人、それに対してウクライナ軍は100万人弱で80万人くらいではないでしょうか。
そうなると兵士の数は拮抗していて、砲爆撃では数倍の差があるので、ウクライナ軍は厳しいのではないでしようか。
ロシア内のニュースで前線任務を務め終えて恩赦を貰った元囚人兵により殺人事件の件数が増えてる問題があったので、囚人兵もそれなりの数が恩赦貰えるまで生き残ってるみたいなんだよね
ロシア(ソ連)が兵の命を軽視するってイメージは戦後にドイツ軍の将校が自分たちの再就職のためにばらまいてただけで少なくとも大戦後期からは結構大事にしてましたけどね(そもそも余剰戦力が枯渇してた)
だからこそ今回の戦争でも逃げるときは重装備も何もかも置き去りにさせて思いっきり逃げさせたわけで
いい加減70年前の宣伝に引っ張られるのはどうなんかなあと
ウクライナ戦争が始まってからの、メディアの宣伝の影響かと思います。
ウクライナもロシアも旧ソ連のような人海戦術はやれません。
強いて人海戦術と言うならウクライナの方だと思います。
ロシアの囚人兵も、軍に入れば恩赦が受けれるという選択制度だと思います。それで他の詳しい方がおっしゃられたように、自由になった囚人の再犯罪がロシアでかなり問題になっていました。その問題が大きくなり、たぶん恩赦の制度はなくなり、実質的に新たな囚人兵はなくなったのでは?
まあ、ロシアの方は一般人の動員をやってないので、囚人や外国人も含めて色々と勧誘する必要があるわけです。
一方、ウクライナの方は、一般人の動員を続けていて、極端な場合、街角で拉致をして戦場に送るような形になる場合もあります。
動員の実態や人海戦術の実態という面では、ウクライナの方が厳しいと思うのですが、多くの日本人が逆のイメージを持っているようです。これはメディアの影響だと私は思います。
いつから挽肉用のロシア兵がロシア人だと錯覚していた……?(ネタです)
ウクライナ軍は弾薬不足により、ロシア軍の突撃を止められず近接されている話があったため、(1)の言及は近接されやすくなっている事が問題に感じています。
FPVドローン大量投入は、管理人様が過去記事で兵士1人でも攻撃対象になっている事に言及されていましたが、(2)の負傷報告に現れていますね(砲撃よりも、かなり割合が大きい点)。
Youtubeの動画を拝見しましたが、塹壕が浅く・物資搬入シーンは交通壕が不足しているように感じるため、厳しい防衛戦になりそうですね(全てを見せているわけではないのでしょうが…)。
(1)>「ウクライナ軍陣地の近くまで掘り進めて突撃する戦術はワグネルのものだ」
(2)>「運び込まれる兵士の約90%はFPVドローンかドローンから投下された爆弾で負傷した者だ」
(2023.12.6 砲兵の優位性を揺るがすFPVの大量投入、兵士1人であっても攻撃対象に 航空万能論)
(2024.02.15 ロシア軍がバフムートで成功した理由、FPVドローンの大量使用と防衛陣地の欠如 航空万能論)
戦術的にFPVと滑空爆弾が補完関係にあるのも見逃せない変化ですね。
すなわち、滑空爆弾によって主たる防御拠点を破壊し。そこから追い出された個々の兵士をドローンによって1人づつ仕留めていくという構図になっています。
これはロシアの得意とする航空部門の強みを最大限に発揮しつつ、これまで弱点だった攻撃効率の悪さを克服しているわけです。
これはもう非常に厄介で、ウクライナ軍のキルレートが著しく悪化してる原因でもあり。せめてこの両輪のどちらかを無効化しないと、兵士がいくらいても足りないことになりますね。、
まさに仰る通りです、どうにもならないですよね…
強化トーチカ破壊されれば、天蓋がない塹壕で丸見えになったりしますよね。
いつの間にか、近接航空支援のような形で、前線部隊=空軍の連携が強化されているように感じています。
ウクライナが継戦を望むなら、パスポート更新停止・徴兵年齢引き下げなど好きにすればいいとは思うのですが。
敗走・降伏・命令拒否・徴兵忌避が起きている中で削られる続けると、ウクライナの行く末・戦後の反動が心配になりますね…。
「お~い!砲弾が来たぞ~!」となっても、いったい誰が撃つんだよという状態。最近、物資不足よりも兵員不足が語られるようになったので、もしかしたら、数少ない砲兵が撃つ程度には備蓄があるのかもしれませんが、どちらが重要かと考えた場合、やはり柔軟性がある兵が重要ということになると思います。今後この傾向が強くなってくると予想します。
ロシア兵を肉壁のように使用しているとよく書かれていますが、ロシアはそんなに人口多いのですか?
人口がとても多い訳では無いが、囚人兵や、アジア人種系国民、外人傭兵など、命の価値が低いと見做されてる兵が多い。
そして、それら命の価値が低い兵の有用な扱い方が、ものすごく洗練されている。
危険だけどやらなければならない戦術ってありますからね
例えばSEAD任務におけるワイルドウィーゼルなど損失覚悟で突っ込むための部隊ですし、逆にロシア軍がこの戦争の初期に敵防空網制圧に失敗したのは過度な現存主義によって必要な攻撃を行えなかったためだと分析されています
陸戦においても同じで、突撃部隊はその損失を含めて必要なものですし、これを肉壁と呼ぶのはレッテル貼りにすぎないでしょう
複数方向からロシア兵が壁の様に迫ってる来てる、と言うのをミンチにされるだけの的が来たと言う侮蔑な意味合いを加えて表現してるだけだと思います。
陣地攻略も小銃ぐらいの距離になれば歩兵の戦いになるので、別におかしくも無く真っ当な戦術です
旧ソ時代から白人系は減少傾向のはずです。
ただ現在ロシアは死刑廃止で凶悪犯がみんなストックされていますから、フクロウや黒イルカの
最強終身囚あたりを引っ張り出して来ているのでは無いでしょうか。
現状の戦力を比較すれば嘘かホントか解ると思います
人口が4倍いますが、ロシアが総力をウクライナに向けてるわけでも無い訳で
兵を無駄に失ってたら今の優勢は考えられないと思いますよ
交代させるにも徴兵拒否でもめてるようでは訓練すらしてないのでは
資金もないという話も出てるし
倒しても後続が出てくるってマ○ラヴのBETAかよ
67旅団とかの話を見る限り、どんなに物資が足りず献身的に戦っても撤退すれば戦犯扱いされます、ファンタジーだろうがなんだろうが「ロシア兵を沢山倒したけどいっぱい来て負けちゃった、だから戦犯にしないで、罰をあたえないで(激戦地行き)」と言う他ないんですよ
人海戦術というのは朝鮮戦争で中国人民義勇軍がとった浸透人海戦術が語源だろうがウクライナでの露軍の戦術はそれとは全く違っている。朝鮮戦争では仁川上陸後の国連軍が低地の道路沿いに北進するのを人民義勇軍は尾根沿いに偽装して徒歩で南下して浸透、布陣して一気に攻撃を仕掛け国連軍を200KM潰走させた。その後態勢を立て直した国連軍は火海戦術と称して圧倒的な砲爆撃で前線を耕して直線に保ちながらジリジリ前進して38度線で膠着した。小火器と手榴弾が主力武器で火力で劣勢な人民義勇軍が大量の戦死者を出した映像も多い。しかし露軍の人海戦術なるものは映像がなく口先だけのプロパガンダだろう。むしろ火海戦術に近いと思われる。威力偵察・弱点突破・多方面への展開・包囲の組み合わせだ。ガダルカナル型の突撃が現代の戦場で通用するわけはないし露軍は其れを続けるほど愚かではない。ウクライナとしては露軍は優勢だが兵士の損害が多く我が軍にはまだ見込みがあると思わせたい一心なのではないか。しかし嘘でも枕詞にして繰り返していると言っていると、まず本人が騙されてしまう。
当初からウクライナを含めた西側は露を徹底的に過小評価して国民にも刷り込んできた。そのつけはこれからしっかり払う事になるだろう。
今の時点でkyiv Independentに現地取材が許されたというのは、状況をウクライナ国民に開示する事によって動員のハードルを下げるためなのかもしれませんね
手遅れというか後手感が否めませんが、なんにせよ動員をしないとどうにもならないのだと思います
そもそも終戦までの絵図は用意できてるんですかね?
人口規模が違う以上、どこまで行っても人員不足は付き纏います
反攻作戦頓挫までは、クリミア奪還すればロシアは政情不安に陥りドサクサで東部も…と薄いながらに見えるプランがありましたが
何の絵図も無しに動員掛けても、士気も上がらず降伏するだけでは
ミアシャイマーなどの批判された国際政治学者や、イーロンマスクなどが端的にウクライナは人口規模の違いで戦争に勝てないと評してましたね。ウクライナのキルレートや西側兵器の優位性の主張、ロシアが勝ってはいけないという論旨のすり替えでバッシングに遭ってました。
総力戦を覚悟した戦時経済であれば、人口問題は他国が直に干渉しなければ絶対不可避という正論が説明されてましたが、戦時経済というもの自体が70年間経験できなかった西側は理解できなかったのでしょう。
まあそれはロシアも程度の差はあれ同じなはずですが……一応ソ連は長年戦時経済のような異様な軍事関連費の捻出をしてきたので、ロシアは記憶が浅いというべきでしょうか。