実戦配備に向けて準備を進める英海軍のクイーン・エリザベス級空母2番艦「プリンス・オブ・ウェールズ(R09)」だが、機関室に大量の海水が流れ込んだ影響で2023年に設定されたスケジュールが遅れるかもしれない。
参考:Repair bill to fix Royal Navy’s leaky aircraft carriers is set to hit £5.5m
F-35B運用適合テストがキャンセルになったことは英海軍にとって非常に大きな痛手
ポーツマス海軍基地に停泊中のクイーン・エリザベス級空母2番艦「プリンス・オブ・ウェールズ(基準排水量45,000トン)」は今年10月、機関室の配管が破裂して数千ガロン(1,000ガロン=3,785リットル)の海水が機関室に流れ込み電気系統の設備が24時間以上塩水に浸かってしまい、これを修理するため最低半年間はポーツマス海軍基地に留まる必要がある。
そのため2021年に予定されていた米国でのF-35B運用適合テストに間に合わなくなり、英国防省は空母プリンス・オブ・ウェールズの米国派遣をキャンセルしたと現地メディアが報じている。
あまり知られていないがF-35Bを運用する空母や強襲揚陸艦は米東海岸で米海兵隊のF-35Bを使用した「運用適合テスト」にパスする必要があり、これは空母クイーン・エリザベスがテストをパスすると2番艦の空母プリンス・オブ・ウェールズは同一設計なのでテストを受けなくても良いと言うわけではなく、手続き上個別に運用適合テストを受けなければならないのだ。
要するに空母に改造された「いずも型護衛艦」は1番艦いずもが運用適合テストに合格しても、2番艦かがも同じテストを受けるため米東海岸まで出向く必要があると言う意味だ。
話を本題に戻すと空母プリンス・オブ・ウェールズは以前から準備されていたF-35B運用適合テストが受けられないため、修理完了後に再び関係各所とスケジュールを調整して運用適合テストの予定を組み直す必要があり最悪、年単位で空母プリンス・オブ・ウェールズの実戦配備に遅れが発生するかもしれない。
さらに今回の配管破裂はクイーン・エリザベス級空母に共通した問題なので1番艦クイーン・エリザベスも配管破裂を防止するための工事を受ける必要があり、来年に予定されている極東派遣に影響が出ないか心配される。
因みに空母プリンス・オブ・ウェールズの修理費用は330万ポンドで空母クイーン・エリザベスの修理費用は220万ポンドに設定されており、金額的には大きなものではないが失った時間と予定されていたF-35B運用適合テストがキャンセルになったことは英海軍にとって非常に大きな痛手となるはずだ。
クイーン・エリザベス級空母の水漏れ事故の歴史
- 2017年12月:1番艦のスクリューのシャフトからの毎時200リットルの海水が艦内が流れ込む
- 2019年01月:1番艦のスプリンクラーシステム誤作動により艦載収納庫が水浸し
- 2019年06月:1番艦の配管が破裂して約250トンの海水が艦内に流れ込み乗組員3人が溺死寸前
- 2020年05月:2番艦の配管が破裂して居住区画が水浸し
- 2020年10月:2番艦の配管が破裂して機関室が水浸し
※アイキャッチ画像の出典:Royal Navy / OGL v1.0 クイーン・エリザベス級空母
あらためて、ただ空母を保有するのと、それを戦力化して維持するのは別の段階なんだと確認しないと、完全に観艦式用のお飾りになってる国もあったし。
それにしても、やがていずもも大西洋まで出張ることになるんだ、なんか凄い
これ、英国防省はどこに補償させるのでしょうね。
2隻揃って水難続きなので、船体に構造的な問題があることは間違いない。
配管の材質に問題があるのか、圧の数値を読み間違ってる、配置、なんにせよミスだ
就役したばかりとはいえ、これで問題が終わりとも限らない
いろんな状況で運用していく中で次々と起こる問題を洗っていくことで戦力化が完成するのに、出だしからつまずきすぎてる
陸自のチヌークとかアパッチもそのまま乗せれるヘリ揚陸艦として使えるから、F35B積んでなくても日本に来たら戦力になったのにねー……
前カワサキが修理部品製造したみたいに協力してあげればいいのに。
可能性はあるんじゃない?
記事では「極東派遣に影響が出ないか心配される」としか言ってないんだし。
日本にとっても造船苦境打開の一手になるかもしれん。
結局、来れるのかなぁ。
今頃中国は「それ見た事か、国力が我が国より小さい英国ごときが空母を建造しても使いこなせまい」とか思って高笑いしていそう
中国も色々苦労して、漸く国産空母作ったばかりだしねえ
意外と修理に手を上げそう。
確かにそれも有りそう(笑)
なんか違くね?
別に中国の苦労を否定しようってのでないけど国力が直結するのは数&量の問題であって、この手の問題は時間やら仕様やらが運用条件やらが絡んでくるから国力さえあればどうにかなる問題じゃないのよ、複雑な兵器はここが難しい
う~ん、でも技術力も国力と言う観点から言うと、時間のスケジューリングや運用条件と仕様の策定も国力(国民の力、かな?)の内に入るんじゃないですかね?
まあ、中国と英国の空母は性能がかなり違いますから直接比較出来ませんが
いや、表向きはそうでも、内情はわからんよ
不具合あっても解決するまでは絶対に隠しまくる秘密主義国家ですからね
無断改造ウクライナ産空母も、当初から不具合頻発が噂されてたが、中国がそれを認めたのは数年後だし
秘密主義もなにもこのレベルのトラブルなら軍事的には隠し通した方が合理的で正しいでしょ
2、3日練習しただけで高圧配管の溶接任されたりしてるのでは
あるいは粗悪な電縫管使ったとか
毎時200リットルというとお風呂一杯分くらいか。うちの全自動湯沸かし器でも20分くらいでお風呂が満たされるから、最初の事故は結構ちょろちょろ漏れてる感じだけど、破裂の前兆だったと
逆流防止弁を逆に付けたとか、ネジの強度が足りないとか思わず、えー、と言いたくなる理由なんじゃないかな。
一箇所の造船所で作らないから…
「いずも」と「かが」って、パナマ運河を通れるの?
飛行甲坂がひっかかりそうな気がする
政治的には、マラッカ海峡からインド洋、スエズ運河から地中海を抜ける大回りルートで威風堂々と諸国を圧して欲しい、で戻りは南米ぐるりとまわってオーストラリアに寄って帰れば世界一周旅
パナマ運河は50mまで拡大されてるから、いずも程度なら余裕で通れるようになった。
水難案件が空母だからではなく、造船の核なのがまたエグいね。
ダイヤモンドに英国が来るのは心強いが、今のQEにはあんまり来てほしくないかなぁ。
米国が英国の、豪州が独逸の面倒を見るらしいのでホント助かるね
配管は水道管と同じだからね、安い中国製配管を船舶に使用すると大きな銭を失うことになる。
特に潜水艦の配管なんか傷1つあるだけで沈没事故につながるし。
まさかの単位系間違えとか?(psi?Pa?)
QEの西太平洋遠征、「治してやるからこっち来い!」だったら面白いのだが。