空母クイーン・エリザベスは2021年1月4日、予定よりも少し遅れて初期作戦能力(IOC)の獲得が宣言された。
参考:The UK’s Carrier Strike Group reached Initial Operating Capability say the Ministry of Defence.
クイーン・エリザベス級空母は英国が世界に示す「力の象徴」になりえるだろうか?
英国防省は「空母クイーン・エリザベスを中心とする空母打撃群は戦闘機からレーダーシステム、対艦兵器に至る構成要素が全て統合され運用が可能になった」とコメントを発表、国防省のジェレミー・クイン次官も「この偉業は一握りの国だけが達成可能なもので重要なマイルストーンだ。今年に予定されている作戦展開に向けて英空母打撃群が順調に進んでいくことを願っている」と語っており、正確に言うと空母クイーン・エリザベスのIOCでなく英空母打撃群のIOC獲得を宣言した。
これにより空母クイーン・エリザベスを中心とする英空母打撃群は今年予定されている極東派遣に向けて幸先の良いスタートを切ったといえるが、2番艦の空母プリンス・オブ・ウェールズで発生した致命的な配管破裂による水漏れ事故の影響で1番艦クイーン・エリザベスも配管破裂を防止するための工事を受ける必要があり極東派遣に影響が出ないか心配される点だ。
補足:ポーツマス海軍基地に停泊中のクイーン・エリザベス級空母2番艦「プリンス・オブ・ウェールズ(基準排水量45,000トン)」は今年10月、機関室の配管が破裂して数千ガロン(1,000ガロン=3,785リットル)の海水が機関室に流れ込み電気系統の設備が24時間以上塩水に浸かってしまい、これを修理するため最低半年間はポーツマス海軍基地に留まる必要がある。今回の配管破裂はクイーン・エリザベス級空母に共通した問題なので1番艦クイーン・エリザベスも配管破裂を防止するための工事を受けなければならい。
因みに英空母打撃群は現在、空母クイーン・エリザベス、45型駆逐艦×2隻、23型フリゲート×2隻、アスチュート級攻撃型原潜×1隻、タイド型給油艦×1隻、フォート・ヴィクトリア型補給艦×1隻で構成され、英空軍第617中隊「ダムバスターズ」と米海兵隊第3海兵航空団から派遣されたF-35Bを計15機、英海軍の対潜ヘリ「マーリンHM.1」を8機搭載している。
本来クイーン・エリザベス級空母は航空機を最大72機搭載することが可能なので極東派遣の際に搭載するF-35Bを増やすことも可能だが、英空軍が保有するF-35Bは現時点で21機(累計発注数48機)しかないため恐らく空母の格納庫を航空機で埋めることは出来ないだろう。
英国はF-35Bを138機調達する事になっているが、英空軍は「クイーン・エリザベス級空母を運用するためのF-35Bの在庫を増やす必要性があるのは認識しているが、最終的なF-35Bの調達数はテンペスト計画への投資に依存している」と語り当初目標の138機調達を下回る可能性を示唆している。英海軍もF-35Bや空母打撃群を構成する艦艇(補給艦を含む)の不足を理由に1隻だけしか艦隊に配備しない方針で、これについて国防委員会のトバイアス・エルウッド委員長は「我々は素晴らしい空母を持っているのに中身は空だ」と皮肉っているほどだ。
補足:23隻しか主要な水上艦艇(駆逐艦6隻、フリゲート13隻、揚陸艦2隻、空母2隻)を保有していない英海軍にとって1/4に相当する艦艇を空母打撃群に回すと、本国に残されるアクティブな戦力は両手で数えるよりも少なくなる。
さらに国防予算の大半を空軍と海軍に持っていかれる英陸軍からは「空母不足に悩む米海軍にクイーン・エリザベス級空母を貸し出してリース代を稼げ」と皮肉られており、果たして約76億ポンド(約1兆円:2020年時点のプログラムコスト)も投じたクイーン・エリザベス級空母は英国が世界に示す「力の象徴」となるのか、それとも「予算不足の象徴」となるのかは近日中に発表される英国の新たな外交や国防に関する統合戦略方針で明らかになるだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:Royal Navy / OGL v1.0
イギリスは基本的価値を共有する準同盟国なので、QE級がならず者国家を抑える「力の象徴」になれる事を心から祈っていますよ。日本にも来るだろうから、こんなご時世だが盛大におもてなしをしましょう。
まあ、これで中共が言っていたことは「残念でした」となったと。
「空母不足に悩む米海軍にクイーン・エリザベス級空母を貸し出してリース代を稼げ」ってのはいいアイデアw
海兵がQEに出向してるんだから、強襲揚陸艦が揃うまでの穴埋めにはQE型の出向と実運用における洗い出しって言うのは結構良いかも。
【空室あり】って表示しとけば、そらじがありがたく使わせてもらうから安心して
本題とは関係ない話題で恐縮なんですが、空自や海自を『そらじ』『うみじ』って言う一部の風潮ってなんなんでしょう?
本職の人が使うんですか?
個人的にはあまり好きな響きではないのですが……。
日本もうっかり7万トン級の正規空母なんか作るより足の長い誘導弾と潜水艦を増勢した方がいい。
コロナ後に国防政策の大転換もありそうな気がする
すでに英国はギリギリで軍を回してるし
艦載機が少ないのは、艦の規模的にもったいないなぁ。
英空母打撃群は、いつ来るのかな
EU離脱後の英国経済の未来はコロナのせいで不透明です、歴史的に裏取引の得意な英国人が、人権にやかましいEU縛りから逃れたのを好機として一気に中国寄りに路線変更して、チャイナマネーを引き出そうと画策することも、
ないわけじゃないんだよ(笑)艦隊のアジア派遣は最後になるかも知れない
英国が新造空母をもったことより、これから何をしようとしているのか、のほうが気になる。
グローバル・ブリテン戦略といってアジアでの存在感を高めようとしてるので、今回の空母派遣もその一環だけど、
紳士は腹黒いから、日本に貸しを作って貿易交渉の再締結やTPPへの加入を目指してそうだし、
ついでに中国に対して圧力をかけて、タイミングを見て国益に見合った取引に持ち込んだりするのが狙いな気はするけど。
しかし、空母自体は元々フォークランド諸島を中心とした海外領土防衛のために作ったんだろうけど、
歴史とは面白いもので、EU離脱と空母保有のタイミングが重なってしまったので、英国の外交に予想以上に必要な存在になりつつあって目が離せないね。
なるほど、勉強になった。英国はEUにではなく、「インド太平洋」に自国の未来を賭けるらしい、ということのようだね。QE級を2隻造ったのも、1隻は「アジア」へ、もう1隻は本国から機動運用という考えか。
二隻作ったのは、メンテナンスを考慮しても常時一隻を運用可能なようにするためかと。
結構真面目にアメリカ交えず英国空軍と空自でクロスデッキ運用出来るようにしてほしい
クイーンエリザベスは同等以上の戦力を持つ相手と対峙するための兵器ではないんだと思う
F-35の運用機数を最大化し、それによって得られる大きな投射能力を用いて格下を黙らせる運用思想なのだろう
一方で、高度な戦力を持った相手との戦闘を想定した装備は乏しい
排水量が4.5万トンもあるのにCATOBAR空母でなくSTOVL空母だからE-2が運用できない
自衛用の対空装備はSeaRAMすらなく貧弱
クイーンエリザベスが極東に配備されることになれば日本にとっては有意なことだとは思う
けれども戦力として有効活用するには日米と強く連携して、弱いところを上手くカバーしなければならないのだろう
自衛隊法95条の武器等防護をオーストラリア軍にも実施する事になったが、更にイギリス軍も対象にするのだろうか?
「23隻しか主要な水上艦艇(駆逐艦6隻、フリゲート13隻、揚陸艦2隻、空母2隻)」
これに原子力潜水艦も加えると維持費が結構な額なんでしょうね
キンペーくんの首元に空母を置くと、キンペーが困って、ドイツが困って、イギリスが得をするとか。そういう、理由があるんだろうか。
空自とクロスデッキしてほしいが、食事は大丈夫かな?食事メニューを見てみたい。
後、イギリス艦だと航海中でもラム酒が飲めると思うが、クロスデッキの場合
自衛隊員は禁酒でイギリス人は飲酒可になるんだろうか。
米英と違って日英は文化ギャップがそれなりにあると思うので、気の長い取り組みが必要かと思う。
ダメです。断言できます。
イギリス人は牛を二度殺す人種。あわよくば生で食べたい日本人と同居できる訳なし。
交換留学生でロンドンに行ったが、ここの飯は食えねぇと素で思ったおもひで。
クロスデッキする際はパイロットと整備士以外に
給養員と必要物資も派遣する必要がありそうですね
英海軍にもギンバエの習慣は今でもあるのだろうか?
まあ、取り敢えず無事にアジア訪問を成功させて欲しい
日韓への技術売り込みプレゼンも兼ねてるね
お漏らしが売り物かは疑問だが、何事も拙速を尊ぶ韓国人が食いつく可能性はかなりある
い、一兆円もかかるの空母って・・・
それに加えて、搭載する航空機たくさんと、護衛役の艦を何隻か、セットで買わないと使い物にならない。
イギリスは核も持ってるのによく金が回せるなあと思う
(というか、回ってないという記事か…)