ウクライナ国防省は13日「提供を約束したCaesarがデンマークから到着した」と明かしたが、デンマーク国防省は自走砲戦力を埋め戻すためCaesar、ATMOS、K9の調達を検討し「納期が最も早いATMOSを導入する」と発表した。
参考:19 гаубиц Caesar от Дании уже в Украине
参考:Danmark køber israelske våben for 1,7 milliarder kroner
コロンビア陸軍の受注でもCaesarはATMOSに敗北しているため、フランスの自走砲輸出においてイスラエルは天敵になった格好だ
デンマークはNATO即応部隊に対応する強力な部隊を構築するため第1旅団(4,000人)を再編、2014年に廃止した砲兵連隊を再建するためCaesarを19輌調達したもののイェンセン国防相が「19輌全てをウクライナに提供する」と発表したため、デンマーク軍は保有する自走砲戦力を全て失ってしまった。
Denmark has given Ukraine all of its CAESAR self-propelled howitzers. A true friend who knows that our fight is Europe’s fight. Tak, Danmark! pic.twitter.com/x4MP65Yvfo
— Defense of Ukraine (@DefenceU) February 13, 2023
イェンセン国防相は「この支援が原因で第1旅団の強化に遅れが生じるため新たなシステムの取得検討に着手する」と述べていたが、この需要(自走砲19輌)にフランスがCaesar8×8を6億6,500万クローネ、イスラエルがATMOSを8億520万クローネ、韓国がK9を9億8,800万クローネで提案したが、デンマーク国防省は「調達コストではなく納期を最も重視したためATMOSを選んだ」としている。
エルビット・システムのATMOSは2024年秋までに19輌全てを納品可能(2024年春までに12輌+残り秋までに納品予定/2023年春にトレーニング用のATMOSをリース)だが、Caesarは2025年春頃(24ヶ月後)、K9は2025年秋頃(30ヶ月後)になるらしい。

出典:Ronite/CC BY-SA 4.0
さらにデンマーク国防省はエルビット・システムから多連装ロケットシステム「PULS(Lynxの発展型)」を9億4,270万クローネで8輌調達する予定で、これも「納期が重要な決め手(競合が存在したのかは不明)になった」と報じられている。
因みにコロンビア陸軍の受注でもCaesarはATMOSに敗北(この時は金額が原因)しているため、フランスの自走砲輸出においてイスラエルは天敵になった格好だ。
関連記事:最終金額で躓いたフランス、コロンビアから自走砲を受注したのはイスラエル
関連記事:続々と発表されるウクライナ支援、デンマークは保有するCaesarを全部提供
※アイキャッチ画像の出典:Rowielip/CC BY-SA 3.0 Elbit SystemsのATMOS
カエサルって結構順番待ちが多かったような
そこに「納期第一」って言われたら、カエサルには不利な気がします
カエサルは搭載砲の製造能力は年間100門と、ちょっと前にフランスのニュース(NHK BSの朝の国際ニュース垂れ流し枠の中だけど)でやってた。
工場も郊外の中規模施設で、生産方法も機械化されてると思ってたら、熟練の職人がまさに手作りで作ってたので、
急激な生産能力の増強は難しいのでしょうね。
イスラエルも自国製装備の移転に厳しい国でウクライナへの供与も認めていないけれど、そういった制約やコストを考えてもとにかく一刻も早く欲しいということなんでしょうかね。
同じNATO加盟国でもあるフランス製の方がいい気がするけれど。
どのウクライナ武器支援国も主要装備の提供は余剰/旧式保管品や当面許容できる備蓄範囲で行っているわけですが、デンマークはNATO即応部隊構築のため調達した砲兵連隊再建用Caesar19輌を全て提供したわけです。
戦力の長期空白は国内批判やNATOの懸念もあるでしょうし、代替調達に早期納入が何より優先するのはしかたないのでしょう。
納期優先と言われれば仕方ないが、トラック自走砲が
そんなに良いのか?
ぬかるみのような悪路を通り、敵砲撃の至近弾や歩兵からの銃撃にさらされるような運用を想定するのでしたら装軌式のほうが良いと思います
しかしある程度以上の悪路は利用せず、敵砲の射程外で運用する想定でしたら装軌式と比較して購入・運用コストが安い、整備しやすい、重量が軽い、燃費が良い、速度が速いといったメリットがありますのでこの違いは大きいかと
そも現状の牽引砲でも、砲も牽引車もタイヤで走っている訳でね
牽引砲から比べれば、トラック自走砲でも格段にアップグレードされる訳ですから
そして現在の砲兵の射程は伸びている訳で、前線から離れて射点を選べる自由度が増える分、砲撃でグチャグチャになった悪路や泥濘に遭遇する可能性も減るかとは思いますが
本文中に「NATO即応部隊に対応する」って書いてあるので機動性重視なんじゃないんですかね?
韓国も155㎜榴弾砲搭載のトラック搭載型自走砲を輸出向けのラインナップに入れるべきでしょうね。
考えてそうだけど他の受注でどのみち納期がそれなりのものになってそう。
カエサル 6.5億
atmos 8億
K9 10億
dkkは19円で19両なら換算簡単ね
納期はともかくK9安いな
何気に重迫・ロケットがイスラエル製を選択しているし、信頼性含めた性能にも問題無く納期考えると順当な選択だろうな。
他の候補であるカエサルやK9はウクライナ関連の状況次第で短縮は無理で遅延もあり得るだろうしケツをしっかり決めた選択をした感じだと思う。邪推かもしれないがウクライナにこれ以上の砲兵戦力は提供しないという意思もあるように思う。