ゼレンスキー大統領は今年8月「ウクライナに対するF-16の提供数でオランダと合意した。首相と42機という数字を話し合っている」と発表したが、オランダのルッテ首相は22日「ウクライナに初納入するF-16(18機)の準備開始をゼレンスキー大統領に伝えた」と明かした。
参考:Netherlands to deliver 18 F-16 fighter jets to Ukraine
参考:Russia Is Glide-Bombing Ukraine With Impunity. Ukraine’s New F-16s Could Change That.
仮に9週間後なら3月上旬に最初のF-16をウクライナは受け取るという意味だ
今年8月にルッテ首相と会談したゼレンスキー大統領は「ウクライナ人パイロットの訓練完了後に提供されるF-16の数で合意した。提供数については話したくないが、首相は42機という数字を話し合っており、これは航空機の提供に関する共同決定だ。正確な提供数について話すのはもう少し後になるだろう」と発表したが、ルッテ首相は22日「ウクライナに初納入するF-16(18機)の準備開始をゼレンスキー大統領に伝えた」と明かした。
📞: I spoke with President @ZelenskyyUa again this morning. Naturally, we discussed the European Council’s important decision last week to launch accession negotiations with Ukraine. I’m impressed with Ukraine’s progress so far, and the Netherlands stands ready to help Ukraine as…
— Mark Rutte (@MinPres) December 22, 2023
オランダ空軍が保有しているF-16AMは「現役機として本国に配備されている24機」「運用から外され保管中の18機」「訓練のため米国に配備されている12機」の計54機で、2021年にオランダと米Drakenは米国に配備されているF-16AMの売却(+28機の追加購入に関するオプションを含む)で合意したものの、機体の状態が思わしくなかったため合意内容は12機→6機(ベルギーで引き渡し前のオーバーホール中)に削減されている。
つまりオランダは買い手が決まっていないF-16AMを46機持っている計算で、18機という数字は「運用から外され保管中の機体」と一致するため「これをウクライナに納入するための準備が始まった」という意味かもしれないし、もしかすると「本国で運用中の機体を納入する準備が始まった」という意味かもしれない。
どちらにせよ納入前にオーバーホールを実施し、ウクライナに引き渡せない部分(米国が機密に指定する機器やNATO加盟国向けの通信装置など)を削除する必要があるため、一括納入ではなく「オーバーホールが完了した機体の順次納入」が濃厚で、Forbesも21日の記事で「ウクライナは今後『数週間以内』に最初のF-16を受け取る予定だ」と報じており、仮に9週間後なら3月上旬に最初のF-16をウクライナは受け取るという意味だ。
因みにロシア人ミルブロガーが運営するRYBARは22日「既に1個中隊分のF-16がウクライナに駐留(単座12機+訓練用の複座3機)しており、2024年3月までに別の単座12機が引き渡される予定だ。12月にはリヴィウ経由で同機の精密機器が運び込まれている。これを妨害するためスタロコスティアンティニフ、ドニプロ、クリヴィー・リフを攻撃している。F-16の訓練はルーマニアとウクライナ西部の空域で実施中でイヴァーノ・フランキーウシクとウジゴロドの基地が使用されている」と報告しているが、これを裏付ける証拠やウクライナ側の報告は見つかっていない。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Jovan Banks
待ち望んだ貴重な西側戦闘機なので、巡航ミサイルによる攻撃が少ないウクライナ西部に配備され、ストームシャドウか滑空爆弾によるヒット&アウェイ戦法で使用されるのかな。前線近くではロシア軍の地対空ミサイルに狙われるので戦闘機同士の夢の一騎打ちは見られなそう。
今の米軍に使い勝手の良い滑空爆弾はないですよね。
ストームブレイカーはF-16で使えないし、JSOWはミサイルと同じような価格になりました。
ミサイルでロシアの安価な滑空爆弾に対抗するのはいつものように資金で撃ち負けますな。
ロシア軍を馬鹿にするような記事や動画は沢山あるけど、滑空爆弾や自爆ドローン、車両の金網防御など成果を挙げている兵器も多い。滑空爆弾はアメリカ軍も開発しているがコストの問題で大量配備されてない。しかし今回の戦争で「対空火器を持った正規軍に近接航空攻撃を行うのは無謀」であることが教訓となったので、ミサイルよりは安価で既存の爆弾から改造可能な滑空爆弾は見直されると思います。
未だに「戦車同士・戦闘機同士の接近戦」や「歩兵による銃剣突撃」を夢見る自衛隊もウクライナの現実を直視して欲しい。
そろそろ、でしょうか。
他に、フランケンSAMの状態も知りたいものです。
東側製の発射機を改造して西側製のミサイル機体を使うSAMでしたね。
AIM-9/AIM-7/PAC-2があると言われていますね。この冬提供予定だったと思います。
元々の東側製発射機の数が多いですから、改造が順調に進めば、前線に濃密な防空網を築けると想像します。
濃密な防空網と組み合わせれば、F16もある程度の結果は期待できるでしょうか。
まだ、A-50/Mig-31/R-37の組み合わせに対する対抗策が必要と想像しますが。
後もう少しでウクライナが言うようにF16ゲームチェンジャーになるかどうか分かりますね。
仮にF16が期待通りの働きをしなかったらウクライナは最新型のF16の提供やF15などのより高性能機の提供を求めるでしょうか?
その前に大量の外泊許可書が必要でしょう
まぁ、空対空戦闘は無理だと思うけど、対地攻撃、SEAD,スタンドオフ戦力は増えるから戦闘機不足の
ウクライナからしたら良いニュースだと思う
関係ないけど、この前の百里航空祭でF16見たかったな〜
もはやF−16は呪いに見えてきました。
F35を提供しない欧米のダブルスタンダードを批判しないわけにはいきません。本当に戦争を終わらせるつもりなら一番ベストなツールを提供するのが筋なのに中古の世代遅れの廃棄予定戦闘機を出すとはどういう事か?戦争を一層激化長期化させてウクライナすらも苦しめるでしょう。日本のパトリオット提供も問題だが欧米の戦争支援も大きな問題を抱えている。
経営者名乗る割には、予算とか政治力学とか考えないの?
F35は価格や操縦訓練以上にメンテナンスが凄まじく面倒なんです。ステルスコーティングは頻繁に塗り直さなくてはならないし、ネジ1本の凹凸でレーダー反射率が変化します。世界一の予算と整備能力を持つアメリカですら稼働率は5割程度です。またウクライナへの軍事支援は価格ベースなので安価な機体でないと数を揃えられない。
ウクライナに必要な戦闘機は安価で整備が簡単、かつ高度なセンサーと通信機能を有した機体です。航空機の接近戦は自殺行為であることはロシア軍が証明したので、センサーとデータリンクで目標を補足したら武器を放ってさっさと退避する運用になるでしょう。F16以外にもグリペン、FA50辺りが供与の候補に挙がると思います。
仰る通りですね、外国の援助で戦争継続する難しさを感じます。
アメリカ・東欧・西欧・日本、スポンサー国を細かく見れば、それぞれロシアに対しての考え方が違う訳です。
ロシアを削る事は、上記各国の目的で、ある程度は共通している部分になっているものの。
東欧・西欧、それぞれの地域内部でも、ロシアからの資源依存に関する部分で大きく異なっています(天然ガスなどの資源輸入を続けています)。
アメリカは、ヨーロッパに対する安全保障上の支配力を、EU=ロシアの切り離しにより高めていますね。
日本は、北朝鮮=ロシアの関係強化によるリスクの顕在化、米軍備蓄減少による極東アジアの抑止力低下に直面しています。
正直アメリカからしたら最新鋭の機体を提供して万が一撃墜などされて破片などをロシアに回収される方が困りますからね
ロシアが回収すれば中国に提供されるのはわかりきってますし、将来中国と戦う可能性があるアメリカとしては自国の最新軍事技術が中国に渡るような選択はしないでしょう。
ベレンコ中尉亡命(ミグ25)事件の再来を見れそう。
というかF-35を渡したら戦争が短期に終わると思えるのはのん気すぎやしませんか。
F16の配備地域・運用空域・使用用途が、気になりますね。
ロシア占領地域への侵入は、野戦防空部隊がいるわけですから、どのように対処していくのか注目したいと思います。
整備員もウクライナ人で済ませられる位の練度になっているのでしょうか?
42機全部が供与可能ではないと思いますが、第一陣の18機だけでも1個飛行隊に近い数なんですね。空軍のことあまり詳しくないので詳しい方教えて欲しいのですが、AIM-120の運用も出来るF-16が1~2個飛行隊ぶん充足して戦力化できれば、戦争に勝つ決定力とまではいかなくても出来る事は相応に増えるのではないでしょうか。
西側兵器運搬機としては有用ですが、MluベースですからAIM-120もフルスペックでは運用出来ないでしょうしどの型が送られてくるのかも報道はされていないですし。
それに米空軍が使用している外付けのECMポットもないと行動が制約されると思いますし、AWACS機の支援が無いですから地上管制という古の北ベトナム並の支援体制が出来ていれば、ウクライナ軍のSAM網の中の行動でしたら使えるかと思いますが、そこから外れるとSu-35に遠距離から狩られる状況は変わりが無いかと推察します。
うーん、同じF-16でも世代を跨いだ性能差は隠しようがないということなんですね。
ゲームチェンジャーにはほど遠いと思いますが,西側の有力戦闘機がどのように用いられるのか非常に興味深い状況ですね。