欧州関連

ウクライナに残るなら自己責任、米国に続き英国も軍用機による救出はナシ

米国に続き英国も「ウクライナから離れない選択を決断すならアフガニスタンで目撃した軍用機による救出の可能性を期待すべきではない」と主張して注目を集めている。

参考:UK tells British nationals in Ukraine not to expect military evacuation

生活基盤に起因する問題でウクライナを離れないと決断するなら相応の覚悟が必要になる

米国政府はウクライナへの渡航を中止して滞在する自国民は48時間以内に国外へ脱出するよう勧告しており、仮にウクライナ侵攻が始まり民間機による国外脱出が困難になっても「米軍がロシア軍と衝突すれば世界大戦に発展する可能性があるため軍用機による救出は行わない」と釘を刺して注目を集めたが、これに英国も追従したため今後多くの国が同じ方針を表明する可能性がある。

出典:Public Domain C-17

英国政府は12日「ウクライナに滞在する英国人は可能な限り早くそこから離れるべきだ、仮にウクライナから離れない選択を決断すならアフガニスタンで目撃した軍用機による救出の可能性を期待すべきではない」と声明は発表、さらに米国、ロシア、イスラエルがウクライナに駐在する大使館スタッフの退避を始めたため恐らく他国も外交スタッフも追従するだろう。

つまりウクライナに残る外国人は侵攻が始まっても駆け込む自国大使館は機能を失っており、本国政府と連絡をとっても軍用機による救出は望めないため自力でウクライナ西部まで移動しポーランド、スロバキア、ハンガリー、ルーマニアに逃げ込む必要があるという意味だ。

出典:航空自衛隊 C-2輸送機

当然侵攻が始まれば非戦闘要員のウクライナ人も隣国に脱出して難民化すると予想されており、ウクライナ西部に続く道や交通手段は大混乱するため「生活基盤に起因する問題等」でウクライナを離れないと決断するなら相応の覚悟が必要になる。

今回ばっかりは日本政府も政府専用機やC-2をウクライナに派遣するのは無理そうなので、同国に滞在する日本人は可能な範囲で早く国外に脱出して欲しいところだ。

関連記事:高まる侵攻リスク、ロシア大使館スタッフもウクライナからの脱出を開始
関連記事:首都キエフが緊急事態体制に移行、米国は全大使館スタッフの退避を間もなく発表か

 

※アイキャッチ画像の出典:Paul Crouch /OGL v1.0

お知らせ:記事化に追いつかない話題のTwitter(@grandfleet_info)発信を再開しました。

高まる侵攻リスク、ロシア大使館スタッフもウクライナからの脱出を開始前のページ

米露首脳による電話会談、失敗すれば直ぐにウクライナ侵攻が始まる可能性も次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    オランダが廃止した戦車大隊の復活を発表、Leopard2A8取得が有力

    オランダは5日に発表された防衛白書の中で「戦車大隊の再導入」を発表、現…

  2. 欧州関連

    スウェーデン、グリペンの後継機開発のため英国に次期戦闘機研究所を設立

    スウェーデン防衛産業企業大手のサーブは、今週中にも自国の次期戦闘機開発…

  3. 欧州関連

    ポーランド、米陸軍が開発した次世代防空レーダー「LTAMDS」を調達

    ポーランドは米国製MLRS「HIMARS」と米陸軍が開発した次世代防空…

  4. 欧州関連

    リトアニア陸軍の選択はレオパルト2、エイブラムスとブラックパンサーは敗退

    リトアニアではウクライナ侵攻を受けて「戦車大隊の創設=戦車導入」の噂が…

  5. 欧州関連

    エストニア、ドイツにクラスター爆弾のウクライナ移転を承認するよう要請

    エストニアのペヴクル国防相は26日、国営放送の取材に「クラスター弾頭タ…

  6. 欧州関連

    好みの角度で鑑賞可能、英空軍が第6世代戦闘機「テンペスト」の3Dモデル公開

    英空軍は17日、空軍の公式ホームページ上に好みの角度から第6世代戦闘機…

コメント

    • トーリスガーリン
    • 2022年 2月 12日

    空港とか開戦初日に叩かれるか下手したら空挺軍が突っ込んでくるからな
    悠長に他国の軍用機が離発着なんて出来るわけないわ

    18
      • ミリオタの猫
      • 2022年 2月 12日

      それどころか救援機なんて飛ばしたら最後、開戦直後にロシア空軍に撃墜されるか空港で撃破される運命が待って居る訳で……((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

      17
        • 無無
        • 2022年 2月 12日

        マレーシア航空を撃ち落としたのは誰だったかなw開戦したら何が起こるかわかんないのに飛ばせないよな、ロシアもウクライナも信用ならん

        3
          • クローム
          • 2022年 2月 12日

          ウクライナはシベリア航空機を撃墜した過去があるからねぇ。
          シリア上空のロシア籍民間A320の近くで対空ミサイルが爆発したこともあるし戦場の上空は油断できない。(パイロットが回避して無事だったらしいけど、政治的な意図の作り話という説もあるので話半分で)

          10
    • 名無しの熊
    • 2022年 2月 12日

    ベラルーシや中国、トルコにインドとかの在ウクライナ領事館(があるのかどうかすら知らないが)はどうなってんでしょうね

    9
    • 伝説のハムスター☆☆☆
    • 2022年 2月 12日

    でもNHKとか報道関係のジャーナリストは現地に残るんでしょ?
    覚悟決まってるよね
    冷戦後初のロシアの本気。身の安全を守りながら詳しく報道して欲しいな

    12
      • hiroさん
      • 2022年 2月 12日

      いや残らないでしょう。
      日本の大手メディアは社員の殉職は避けますから。
      実際の取材はフリーランスや海外通信社に任せて、記事や映像を買い上げると思いますよ。
      ベトナム戦争以来の伝統ですから。

      25
        •  
        • 2022年 2月 12日

        大手新聞社の海外特派員は直ぐに撤収
        先に仰っている方が居ますが、フリーのジャーナリストを突っ込ませて後で買い上げが大昔からのセオリーです

        19
    • 58式素人
    • 2022年 2月 12日

    意外なのは、イスラエルと英国の大使館員退去の発表が、米国よりも後だったこと。
    特に英国は、前回(?)アフガニスタンで似たようなことをしている。
    イスラエルと英国は情報弱国だったのかな。
    事態の急変についていけなかったのか、ロシアが巧みだったのか、米国べったりだったのか。
    不思議だ。
    日本については、ああ、またか、と思うのみ。残念なことだ。

    7
      • 諦日親米保守
      • 2022年 2月 13日

      この国はいつまでたっても負け犬の敗戦国家
      いっそアメリカに併合してもらいたい

      4
        • おっさん
        • 2022年 2月 13日

        日本がアメリカに併合されるのか。福音派と右翼の戦い、見ものだな。

        6
    • L
    • 2022年 2月 12日

    フランスとプーチンの交渉は何の成果も得られなかったようだな

    12
    • 戦略眼
    • 2022年 2月 12日

    何か、ロシアは引かせて貰えなくなっていないか?
    侵攻を強いられているように見える。
    交渉は、どうなる?

    1
      • ダヴー
      • 2022年 2月 12日

      初めから交渉する気なんてなかった。
      ロシアが自ら進んで引けなくなるところまで勝手に突き進んでるだけ。

      18
    • hiroさん
    • 2022年 2月 12日

    民間機もほとんど飛んでいないという報道もあるけど、事実なら数万人の外国人は陸路で脱出するのかな?
    脱出する人達も大変だけど、見送るウクライナ国民は辛いだろうね。
    プーチンの急逝でも祈るしかないのか?

    1
      • きっど
      • 2022年 2月 13日

      核保有国の、正真正銘の独裁者が後継者も決めずに急逝とか、マジで勘弁してくれとしか
      正直、プーチンが一番マシってレベルだからな
      独裁国家ってのは、どうしても独裁者以下の人材しか表に出て来られないものだからね。ナンバー2は、独裁者への最大のリスク要因として排除されますから

      7
    • 内務大臣
    • 2022年 2月 13日

    ロシアなら逃げ遅れた民間人を人質にしたり殺害することもあり得るか…?

    2
    • 無無
    • 2022年 2月 13日

    それは敗ける側の手口だから、ロシアはやらない
    ただ、先のクリミア半島でも占領反対派が拉致され行方不明とか起きてるから、占領地ウクライナ住民への弾圧は確実だろう
    チェチェン紛争のときと同じく、西側が騒がない程度にジェノサイドをやるのがロシア

    4
    • ファッツ
    • 2022年 2月 17日

    そういや英米も飛ばせんと発表する中で検討始めたって段階だけど飛ばすかもと言った韓国は今回に関しては気概有るなぁ。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  2. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  3. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  4. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  5. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
PAGE TOP