La Repubblica紙の取材に応じたアルメニアのパシニャン首相は「西側が南コーカサスからロシアの影響力を排除しようとしているのではなく自ら南コーカサスから撤退しつつある。ロシアに依存した安全保障政策の多様化に取り組んでいる」と明かして注目を集めている。
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南コーカサスで影響力を繋ぎ止めるような措置をロシアは講じていない=自ら南コーカサスを手放しつつある
パシニャン首相は「武器や弾薬の調達を含むアルメニアの安全保障はロシアに99.9%依存してきたが、ロシア自身が武器や弾薬を必要とする場合、アルメニアのニーズに応えることができないのは明白で、これは安全保障政策において1つの国に依存する体質が戦略的に誤りであると示している。この苦い経験に基づき我々は安全保障政策の多様化に取り組んでいる。ロシアは『西側が南コーカサスからロシアの影響力を排除しようとしている』と言うが、ロシアの話を聞けば逆に『ロシア自身が南コーカサスから撤退しつつある』と感じる」と述べた。
さらに「ロシア自身が南コーカサスから撤退する理由は分からない。コメントすることも出来るが言う事はできない」と、2020年の停戦合意についても「ロシアの平和維持軍はラチン回廊を管理するという使命を果たしてない。これはロシアがラチン回廊を管理できないのか、管理したいくないのかのどちらかで、どちらの理由にも問題がある」と付け加えている。
アルメニアは新たな武器や弾薬の調達先としてインドに接近、2022年10月に多連装ロケットシステム「Pinaka」の購入契約を2.45億ドルで、155mm榴弾砲「ATAGS」の購入契約を約1.55億ドルで締結したと報じられており、イラン最高指導者の軍事補佐官を務めるジャアファリー少将は昨年10月「アルメニア、タジキスタン、セルビア、アルジェリア、ベネズエラなど約22ヶ国がイラン製無人航空機の購入を要請してきた」と明かしているため、イランも新たな武器調達先の1つになるかもしれない。
因みにアルメニアがロシアを見限った決定打は昨年9月に発生したアゼルバイジャンとの武力衝突で、両国は停戦で合意したもののアゼルバイジャン軍が侵入したアルメニア領から撤退しないため、パシニャン首相は集団安全保障条約機構(CSTO)の第4条に基づき「軍事行動を含むあらゆる支援」を加盟国に要求したが、CSTOで主導的な立場のロシアはウクライナとの戦争に手一杯、他の加盟国も両国の紛争に関わることを敬遠(カザフスタンは平和維持軍の派遣すら拒否)したため調査団の派遣でお茶を濁す結果となった。
この不本意な結果を受けてアルメニアはロシアやCSTOと距離を置き始めており、パシニャン首相は「南コーカサスで影響力を繋ぎ止めるような措置をロシアは講じていない=自ら南コーカサスを手放しつつある」と言いたいだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:The Prime Minister of the Republic of Armenia
そらロシアが守ってくれないなら他頼るしか無いですわ
世の中自力だけで自衛できる国の方が少数ですしね
だとしてもわざわざ「脱ロシアします」と
公的に宣言する必要あった?黙って独自の
軍拡をすれば済む話なのに、そんなことを
言ったが為にメンツを潰されたと恨まれて
刺客とかテロリストとか放たれたら損でしょ。
パシニャンはただでさえ停戦合意で立場が危ういので国内向けメッセージなのでは?
役立たずのロシアより国内の主戦派のほうが政治的にも生命的にも脅威と判断したのでしょう
CISやCSTOに加盟しているロシアの友好国でロシアと距離をとるのが流行してますからね
距離をとる国も、中国に着こうとする国 西側に着こうとする国 第三極を目指す国などに分かれますが
ロシアとの良好な関係を継続しようとしてる国はベラルーシくらいしかありません
カザフスタンですら塩対応し始めてるのはロシアにとって深刻でしょう
単独であれば目立ちますがみんなで渡れば怖くないってやつでしょうね
一方でアフリカの国はロシアとの関係強化してるのが勢力図の変化を感じますね
立場を明確にしないと脱ロシアと言う事はロシアとは違う立場の国々に支援して貰う必要がありますが、受けられませんからね。
ウクライナが侵略を受ける前にEUやNATO諸国と距離があったのと同じ理由です。
ロシア製からの移行なら近似中国?安価西側な韓国?と思ったらインドにイランですか
アルメニアによる侵略は国連安保理はじめ国際社会に認められてないのでそりゃ味方する国はいないわな
ロシアにしてもナゴルノ=カラバフからアルメニア軍を撤退させるよう国連安保理から仲介を委託されていた立場
ロシアが撤退しろ言うても拒んできたのがアルメニアだし、ロシアが守ってくれないって見当間違えてんね
ナゴルノカラバフについてはそうですが、停戦協定のあったラチン回廊やアルメニア本国部分に属するアゼルバイジャンによる現状変更はロシアとしては防衛しなきゃいけないはずです。
ロシアがそれを果たせていないから、アルメニアが抱く不満も正当です。
何で?停戦協定に第三国による強制履行条項はないよね?
何でロシアがアルメニアに一方的に肩入れしなきゃいけないの?
アルメニアがロシア依存をやめると言っても、西側を引き込むのはロシアを刺激して危険なので、他となると西側とロシア両方に関係がよいインド辺りになるんだろうなぁと
イランはアゼルバイジャンとの関係が微妙で、味方してくれそうという期待があるのかなと
記事の途中「ラチン回廊」が「ランチ回廊」になってる?
ピクニックかな
直ってる! 管理人さんありがとうございますm(_ _)m
ウクライナやジョージアもアルメニアみたいに賢い頭があれば良かったのにね
隣国が反露大同盟に参加しようとすればロシアが何するかぐらいわかるだろうに
arさん
アルメニアがロシア側なのが賢い…
記事の一部を都合良く我田引水したか、釣りのように見えますね
誘いに乗らせていただいて、arさん平和ですねとコメントします
アルメニアが賢い……?
ロシアに頼って仲良くしてたら結局何もしてくれず何の役にもたたずアゼルバイジャンに完全敗北して領土取られたぞ(アゼルバイジャンから見たら奪還)。
2020年のナゴルノカラバフ戦争以降はパシニャン大統領が冴え始めてるけど、それ以前はとても…。
なんか一応ロシアが悪いと口では言いながら、ウクライナが愚かで無能で救いようが無い政府だということにしたい勢力が居る気がする。
在大阪中国総領事館「弱い人は絶対に強い人に喧嘩を売る様な愚かをしては行けないこと!仮に何処かほかの強い人が後ろに立って応援すると約束してくれてもだ。」
この勢力の主張に似てますね
この人の言う賢い頭ってそういうことでしょう
それぞれ経緯をきちんと追って欲しいですが、乱暴に言えば以下の通りで三つとも全く違う話です。
・ジョージア(南オセチア)問題は親米政権の分離独立と少数民族の反対(残留希望)の衝突にロシアが介入
・ウクライナ問題はガス供給や経済支援、軍事支援などでミルク供給していた国が完全に西側軍事勢力圏に行こうとしていたのでロシアが侵攻
・アルメニアはロシアとの実質的な同盟関係があるにも関わらず、ロシアの支援が小さかったことへの不信感からの多様化
いずれもロシアの行為が正当化されるものではありませんが、
反露に行ったと一括りにするのは乱暴すぎます。
この多「多様化」ってのが賢い証拠だよ
ロシアと一緒にいても価値がない、じゃあ金持ってる西側に使うっていう短絡的な思考が国を破滅に追いやると思うけどね
外交ってのはどんなクソみたいな相手でも多少は思いやらなきゃいけないってとこから始まるでしょ
まずNATOは反露大同盟だからそこに行こうとすればそりゃそうなる
トルコとか見習った方がいいね
面倒見ない宗主国なんて必要ないわな
中国でさえ金だけは出すのに
この際、アルメニアもNATO入りを目指そう
欧州にとって、アルメニアの宿敵アゼルバイジャンが天然ガス供給元なので、それはナシ。
いつものようにフランスが空気読めない行動をしそうだけど、基本的に欧州はコーカサスには首を突っ込まないかと。
NATO加盟国の隣国トルコとアルメニアは仲が悪い
アゼルバイジャンの石油とガスに比べてアルメニアには戦略物資が無い
既にNATOとの関係を強めている隣国ジョージアはアゼルバイジャン側(BTCパイプラインを参照)
地理的に言って、トルコ以外のNATO軍がアルメニアに到達できる経路が無い
現状では世迷い言としか言いようがない
アルメニアは、資源も何もない国ですから、経済的にも極めて不利ですね。
アゼルバイジャン・バクー油田を中心に、カスピ海権益を抱える資源国家で、ガスパイプラインの重要ルートです(資源が枯渇したら違ったでしょうね)
日本は、アゼルバイジャンとの方が経済関係は深いです。
どちらとも良好な関係を続けながら、資源が湧く国と仲良くした方がいいので上手くやっていると思います。
ロシア・トルコ・イラン・アメリカの文化的背景や利害が絡んでおり、昔のバルカン半島みたいに複雑な地域になっていますね。
コーカサスでのロシアの影響力が決定的に退潮していく以上、後ろ盾を失ったアルメニアは、地域大国に挟まれて単独では存立が困難な現実の中、新たな味方を得て生き残りを図らなければならないわけですが…
イランとは、対アゼルバイジャンで便宜的な共闘を組めるでしょうが、介入力も供給力も疑問で全面的には依存できませんし、自動的に西側と隔意が生じます。イラン・トルコ間の角逐でイランサイドに付くというのもいかにも拙いですね。
今のアルメニアの戦略環境の上で、武器の調達先の多角化は、やっても良い事ですが本質的な解決はもたらしません。
基本は、対トルコで調停者になり得る勢力が必要なわけです。
全般状況的には、欧米との外交的関係の改善・軍事協力(武器輸入・軍事顧問の受け入れ等)を模索しつつ、民族的仇敵トルコとの関係改善、というか地域でのトルコの主導権を認める方向に向かわざるおえないでしょう。
敗戦と国際環境の激変が重なって、ちょっと想像するだに困難な苦汁の道ですが。
というか、パシニャン政権の命運も気がかりな所です。
素人がテキトーを言うと。素人の知る範囲では。
アルメニアはトルコにもロシアにも恨みがあると思います。そして、英米仏に対しても。
19世紀の頃から、帝政ロシアとオスマントルコの間で小突かれ、WW1終戦時の
混乱時に独立を果たそうとして、ソ連とトルコ共和国の両方に否定され、
「アルメニアの独立は血の海に沈んだ」と評される扱いを両者から受けていたと。
トルコによって、ソ連に押しやられた形だったと思います。
そして、アルメニアから見て、英米仏は傍観をしたことになります。
ですから、調整のしようもないのではと想像します。
となると、アルメニアの自助努力によるしかないのでは。
周りの国の信用を少しずつ得る形で。少なくも彼らは、今は、独立国家ですから。
ついでに言うと、アルメニアは、イスラエルにも嫌われているようです。
アルメニア商人の実力はユダヤ商人を上回る、とユダヤ人が言っていたような。
しばらく、成り行きを見るしかないのでは。
この戦争でイランはずいぶん株を上げましたよね。イラン製ドローンが密輸やブラックマーケット経由じゃなくて普通に売れているというのを見るだけでもなんか不思議な気分です。
まぁ最近は前ほど悪いことはしてないので勝手に上げてどうぞって感じですが、来年の米大統領選で共和党が勝ったらまたより戻しが来るんですかね…。いっそ米国が本腰で関与してくれるくらいのほうがアルメニアにとっては安心かもしれませんが…
西側諸国としては戦争前状態のモルドバと上手く西側諸国と友好関係を無んでいるグルジアだけで現状精一杯で、アルメニアと対立しているアセルバイジャンの方が現在進行中のウクライナ紛争のおかげで石油う天然ガス資源の貴重な供給国としての地位が上がり、西側諸国の投資も拡大中ですので何もないアルメニアを抱え込む必要がありませんですしね。
それにキリスト教系のアルメニア人ロビー活動はアメリカを動かせると言われながら、動かせていない現状もありますし。
アセルバイジャンが領土獲得で戦争を仕掛けない限りはお互い停戦順守してね(ロシアをチラ見)という形で見守るしかないですね。