クロアチアが旧ソ連製戦闘機「MiG-21bisD/UMD」の後継機調達のため実施した次期戦闘機の入札に応じた国が判明した。
参考:Croatian fighter jet purchase: Delegation to visit all bidders
クロアチアに提案されたのはグリペンC/D、F-16V、ラファール(中古)、F-16(中古)の4機種
クロアチアは空軍の旧ソ連製戦闘機「MiG-21bisD/UMD」8機を更新するため、イスラエル空軍から中古のF-16を12機導入しようとしたが米国の承認を受けられなかったため後継機調達計画が頓挫したが、今月9日に再び次期戦闘機の入札を実施した。

出典:Lipnopower / CC BY-SA 3.0 クロアチア空軍のMiG-21UMD
この入札に参加を予定していた国はスウェーデン、米国、フランス、イタリア、イスラエル、ギリシャ、ノルウェーの7ヶ国で当日に入札に応じたと発表したのはスウェーデンのみと情報が少なく、残りの国が入札に参加したのか謎だったのだが、ようやく入札に参加した国が判明した。
現地メディアによれば、今月9日の入札に応じた国はスウェーデン、米国、フランス、イスラエルのみで、中古のF-16を提案する予定だったノルウェーは入札基準を満たせなかったため撤退、同じく中古のF-16を提案する予定だったギリシャと中古のタイフーンを提案する予定だったイタリアは9日までに入札に応じなかったらしい。

出典:public domain スウェーデン空軍のグリペン
そのためクロアチア空軍の次期戦闘機調達を巡って激突するのは新規製造のグリペンC/Dを提案したスウェーデン、新規製造のF-16Vを提案した米国、中古のラファールを提案したフランス、中古のF-16を提案したイスラエルに決まったのだが、クロアチア空軍の次期戦闘機調達条件(導入機数やプログラム予算等)が不明のため、どの国の提案が有力なのか予想することが困難だ。
一応、クロアチアの年間国防予算約8億ドル(約850億円)から考えると買取方式による調達では中古のF-16ですら厳しいと言わざるを得ないので、もしかするとリース契約での調達を予定しているのかもしれない。
仮にリース契約で4機種ともクロアチアの年間国防予算内で調達可能な場合、次に問題になるのがメンテンナスコストや1時間あたりの飛行コスト(CPFH)だ。

出典:public domain ラファールB
メンテナンスコストについては数値が出せないので比較が難しいが、1時間あたりの飛行コスト(CPFH)なら推定値が公開されているため比較可能で、グリペンC/DのCPFHは4,700ドル(推定値)と言われており、F-16C/Dは7,000ドル(推定値)、ラファールは1万6,500ドル(推定値)と言われており、最もコストが安価なのはグリペンC/Dということになる。
因みに今回の件とは関係ないがタイフーンのCPFHは以前8,200ドルと言われていたが、これは消費燃料のみしかカバーしていない数値なので現在は1万8,000ドル(推定)と言われている。
そのため最も採用に近いのはスウェーデンが提案したグリペンC/Dで、政治的配慮で軍事援助がセットになれば米国が提案したF-16Vと言ったところだろう。

出典:Zachi Evenor and MathKnight / CC BY 3.0 イスラエル空軍のF-16
逆に買取方式による調達の場合は、イスラエルが提案した中古のF-16が最も採用に近いのかもしれないが、製造から15年経過すると戦闘機のメンテナンスコストは毎年3%~7%づつ上昇するらしいので中古のF-16はメンテンナスコストの面では新造機に敵わないので、この辺りのコストまで計算すると買取方式による調達でもグリペンC/Dの方が優秀なのかもしれない。
果たしてクロアチアは提案されたグリペンC/D、F-16V、ラファール(中古)、F-16(中古)の中からどれを選択するのだろうか?
関連記事:スウェーデン、国防予算8億ドルのクロアチアにグリペンを提案
おまけ:1本分の記事にするには情報が薄く取り上げにくいニュースも興味深いので是非どうぞ
ロシア政府は新型コロナウイルスの影響による歳入不足や社会福祉関連の予算を手厚くするため新たな予算を議会に提出したのだが、注目すべきは6年ぶりに国防支出を削減するという点だ。
参考:Забытое слово «секвестр»: на что не хватило денег правительству
予算案によれば今後の3年間の国防支出は2021年に約3.1兆ルーブル(約4.2兆円)、2022年に約3.2兆ルーブル(約4.4兆円)、2023年に約3.1兆ルーブル(約4.2兆円)を割り当てると言及しており、以前承認された予算割当と比較すると約5%削減される方針だが、この予算削減は主要プログラムの推進には影響を与えないらしい。
因みに国家予算の削減は広範囲に渡り実施され、今後3年間の予算削減総額は約9兆ルーブル(約12兆円)に達するという前例のない規模だ。
そのためロシア政府は歳入不足を補うため大規模な増税を予定していると報じられており、特に富裕層に対する所得税の引き上げ(13%→15%)やタバコに対する増税、化学・重金属産業に対する大幅な増税が検討されている。
ブルガリア国家安全保障局は、空軍のF-16V導入に関する情報収集に関与したとしてロシア人外交官を2人国外追放にしたと報じられている。
参考:Двамата изгонени руски дипломати събирали информация за покупката на F-16
このロシア人外交官はブルガリア人の協力者を通じて空軍が導入を決定したF-16Vに関する契約情報や、軍事用途の無人航空機購入に関する軍の意図や要求性能についても情報を収集していた疑いがあり、他にも軍施設や軍需工場に対する工作活動の疑いも報告され、最終的に国家安全保障局は駐ブルガリア露大使館勤務のロシア人外交官を2人を国外追放することを決定したらしい。
この決定に対してロシア側は「ブルガリアの主張には証拠がない」と話している。
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Emerson Nuñez
やはり双発機の飛行コストは厳しいですね
外国に売ろうと思ったら双発機よりも断然単発機
F-3・・・外国に売るのは諦めた方がいいかも
むしろ売らなくていいと思うのよ
F-3はかつてのF-22やJ-20みたいによくわからない謎の存在であった方が抑止になる気がする
同感かな
分解すれば得られる技術は割とあって特許如きでは掠取を阻止できないのも痛い
単発ステルス機だとF-35との勝負になるので価格ではどう頑張っても勝負にならんでしょ。
大型双発ステルス機の方がまだ戦える余地があると思うけど。
単発と双発でこれだけ飛行コストに差が出るとは・・。
大推力単発のF-35(F-16もそうですが)は合理的なんですね。航続距離でも有利だし。安全性も現在は上がっているし。
それに比較して、ラファール、タイフーンは厳しいですね。
国際市場でF3がKFXに勝てる訳がない
韓国製兵器に対する信頼と実績の壁は絶望的に厚いよ
双発は商業的に厳しい、って話題にあえて輸入エンジン双発のKF-Xを持ち出してくる勇気は評価しようw
ラファールはクルマに例えるとカローラクラスの車体に適当なエンジンがないから軽自動車のエンジン2つ搭載しましたって話しで非常に不合理ですね。
とても解りやすい解説に感謝致します。
以下は戯れ言です。
昔、スズキがその手を使って優勝したという記憶が…。
曖昧な記憶で申し訳なし。m(_ _)m
本命はグリペンリースとして、
ブルガリアの西側寄りはロシアを緊張させるね、ロシアにはベラルーシとブルガリアはスラブ傘下って意識があるから
今のロシアはガス次第だからなぁ
東欧はガス価格が高ければロシアの行動に目をつぶってくれるけど、今みたいにガスが安いと強気に出てくるし
ロシアは国家予算もエネルギー産業頼みだから、ガスが売れないと聖域たる軍事予算にもメスを入れなきゃならない
ソ連時代から主力産業が何も変わっていないところがもうね
シベリアも広いし何かしら資源あるから今後も変わらないのだろうなあ
現代ギリシア人はスラブ族の末裔だよ。古代ギリシアの人々は歴史の彼方だ。
東ローマ帝国時代に、ギリシアは北方スラブ族に乗っ取られた。
その後、オスマン=トルコ帝国に蹂躙された。
今のマケドニアが南下したスラブ系だからマケドニアじゃねえよ!ってギリシャと揉めてた話と矛盾しないか?
それにしても派手なMig21だね。
国旗のカラーリングだと思うが、最初は標的機かと思った。
国章かな。国旗にもワンポイントで入ってるけど。
それ以上に代表ユニのイメージが強いね。
グリペンなりラファールなりF-16なりを調達したらやっぱりこのカラーに塗るのかな?さすがにロービジ?
多分、楳図かずおバージョン
応札した国でギリシャってあるけれど、そんな余裕あるのかな?
ラファールなりF-16E/F/Vなりを融通してもらった分の古いF-16を処理する気だったのかと。
とにかく即戦力が欲しいけど乗員はそんなにいないから古い機体がダブつくギリシャと
とりあえず旧式のF-16に切り替えて後でゆっくりアップグレードすれば良いクロアチアの需給が噛み合えばワンチャン、ってとこですか。
クロアチアの戦闘機って他にどんな機体があるのかな。
Mig21だけってわけではないだろうからその絡みも出て来るんじゃないのかな。
まさかMig21を魔改造しちゃったりして。
英語wikiを見ても、MiG-21bisD/UMDが8/4機の1個飛行隊しか居ないようですので、この入札が今後のクロアチア空軍戦闘機の全てを決めると思われ
こんな小国の戦闘機選定にも寄ってたかって大騒ぎ
日本のF-Xに「同盟国だから」って理由で毎回フリーパスしてる米帝はもっと本邦に感謝しろや
ロシアは売りに来ない?
中国は売りに来ない?
韓国は売りに来ない?
み~んな、コロナで却下!
戦闘機中古は導入は安いけど、近代化と維持費でコストかかって、新規購入しとけば良かったになるイメージ。
性能的な問題だけじゃなく、MiG-21bisD/UMDも相当な古物だから維持が大変だと思います。限界にきているのではないでしょうか。
国防予算8億ドルの国家に維持運用が金食い虫の戦闘機は負担が大き過ぎますが、国防に必要不可欠となれば更新せざるを得ないのかと。
グリペンC/Dは未完成保管機体があるということで割引可能wかと思えますし、分割払いが条件ならスウェーデンの提案は本命ですかね。
ライン維持のために作っちゃった、って奴ですね。
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SAABとしても在庫腐らせててもいい事ないし、
未搭載のアビオを「スウェーデン空軍機をAESAレーダーに交換したお下がり」とかで妥協すればかなりのディスカウントが見込めそう。
おい、おまえらw
大丈夫、F-35が買えなくたってFC-31があるじゃない!
クフィルNGを売ればいい。