ドイツ海軍の次期水上戦闘艦艇「Mehrzweckkampfschiff 180(MKS180)」受注を巡る戦いに決着がつき、裁判所による建造差し止め回避に成功した。
参考:German Naval Yards, Lürssen Announce Merger
ドイツ海軍のMKS180建造受注を逃したことが国内造船業界再編の起爆剤に
ドイツ海軍は今年1月、世界中の海で運用可能で水上戦、対空戦、対潜戦、海賊や小型ボートなどとの非対称戦闘にも対応でき約2年間の連続運用が可能な次期水上戦闘艦艇「Mehrzweckkampfschiff 180(MKS180)」調達を行うため入札を実施したのだが、ドイツ海軍のMKS180建造を受注したのはドイツ企業ではなくオランダのダーメン・グループだったため国内の造船企業から一斉に批判が噴出した。
要するにドイツの造船業界や防衛産業界はドイツ海軍が発注する約7,000億円規模の契約をオランダ企業に盗まれたと言いたいのだ。
ただ実際にMKS180を建造するのはダーメンと提携したドイツのルーセン(の子会社であるブローム・ウント・フォス造船所)なので大半の建造作業はドイツ国内で行われるのだが、受注を逃して怒りの収まらないドイツ海軍造船所はMKS180入札結果ついて「合法性に深刻な疑念がある」と主張し、あらゆる法的手段を行使すると言い出した。
万が一、裁判所がドイツ海軍造船所の主張を受理し裁判が始まればMKS180建造は裁判の結果が出るまで差し止められることになる。そうなればMKS180調達は年単位の遅れが発生するだけでなくコストの上昇も避けられないだろう。
果たしてドイツはこの問題をどのように解決するのか注目されていたが、ようやく決着がついた。
なんとドイツ海軍造船所はルーセンと合併すると発表して国防省への訴訟も取り下げたのだ。
MKS180建造を受注したダーメンもこれを受け入れワークシェアを再調整すると発表しているためMKS180建造は予定通り着工すると思われるが、問題はドイツ海軍造船所と同じようにMKS180受注を逃したティッセンクルップ・マリン・システムズ(TKMS)の動きだ。
Gestern verpasst? #Mehrzweckkampfschiff 180 – Nach der abgeschlossen Auswertung der Angebote steht der Ausschreibungssieger fest: https://t.co/WiwotyuOr8 #MKS180 #DeutscheMarine #BAAINBw pic.twitter.com/bhKcAmd6Df
— Bundeswehr (@bundeswehrInfo) January 15, 2020
一時はドイツ海軍造船所とルーセンの合併に合流して巨大な単一の造船企業が誕生するのではないかと噂されていたがTKMSは合流せず、いまだ選択肢を検討中だと報じられている。ロイター通信によればTKMSの有力な選択肢の一つに浮上しているのは最近、米海軍から次期フリゲート艦「FFG(X)」プログラム受注に成功したイタリアのフィンカンティエリとの合併で両者は水面下で合併交渉を進めているらしい。
最終的にドイツ国内の造船業界が一つにまとまるのか、ドイツ海軍造船所はルーセンVSフィンカンティエリと組んだTKMSという構図になるのかは不明だが、MKS180受注をオランダのダーメンに取られたことが造船業界再編の起爆剤になったことだけは確かだ。
ただTKMSがドイツ海軍造船所とルーセンの合併を妨害するため、MKS180入札結果ついて「合法性に深刻な疑念がある」と主張して訴訟を起こせば再びMKS180建造は振り出しに戻ることになる。
※アイキャッチ画像の出典:michelsass / stock.adobe.com TKMSが受注したバーデン・ヴュルテンベルク級フリゲート
最近のドイツから見ると今後も悪い予感しかないのは穿った見方だろうか
ドイツ企業が受注できなかったのはバーデン=ヴュルテンベルクのせいでは
MKS180って多目的戦闘艦って紹介さててるけど、あのクソのバーデン・ヴュルテンベルク級フリゲート(F125)と同じく、非対称(正規軍との戦闘は想定していない)、対テロでしょう? お値段もF125の3倍だし
建造計画が潰れた方が幸福では? で、普通のフリゲートなり、デストロイヤーを建造する・・・
バーデン・ヴュルテンベルク級よりはマシな戦闘力を備えるらしい。
無論、マシ程度かもしれないが……
ドイツに海軍て必要なのでしょうか?
そりゃイギリスに陸軍が必要なの?問うぐらいの愚問だね
「大陸国家に海軍が必要か?」と「海洋国家に陸軍が必要か?」は全く別の問題だと思いますが。
ドイツ版ブリティッシュ・レイランドかな?
そりゃまあ、護衛艦の建造を現代重工や大宇造船が受注したとしたら、思い切り不愉快でしょうね。
ドイツとオランダってそんなに仲悪いの?
確か、オランダがユーロに移行する前は通貨ギルダーの為替相場をドイツマルクの90%にペッグしていたなあ。
つまり、ドイツマルクペッグ制といっても過言じゃないほど。
ドイツ経済に依存しているのは今も変わらないだろうね。
そこから想像するとドイツ産業界がオランダに対して印象悪いのは本当なのかもしれない。
ドイツ人の思考のヤバさに笑ってしまった。
わけのわからない左翼ばっかりかと思えば異常なほどの国粋主義者が割と大勢いたりで意味がわからない。
受注逃すと訴えてやる!とかどうなっているのやら。
そりゃF/A-18E/F/G調達で揉めるわけだ。
タイフーンなんかよりよほどいい選択肢だと思うんだけどな。