欧州関連

米国とトルコの対立で利益を得るギリシャ、装甲車もヘリも無償で獲得

ギリシャはトルコがロシア製防空システム「S-400」を導入したお陰で米国から相当量の軍事支援を受け取っている。

参考:Greece to Receive 350 Bradley IFVs from US Surplus

1,200両のM1117装甲警備車と350両のM2ブラッドレー歩兵戦闘車を無償で受け取るギリシャ

ギリシャ陸軍は2,000両近く保有しているM113A1/A2装甲兵員輸送車の更新用として、米陸軍が余剰装備として保管している1,200両のM1117装甲警備車と350両のM2ブラッドレー歩兵戦闘車を導入する予定だ。

M1117装甲警備車は水陸両用軽装甲車「V-100/V-150コマンドウ」をベースに開発された装輪装甲車で、アフガニスタンやイラクでゲリラが米軍の後方部隊をRPG-7やIEDで襲い始めたため急いで大量導入(計1,386両)して補給部隊や基地の警備、後方地域のパトロール任務に投入され活躍したのだが両地域から撤退が進み余剰装備となっていたもので、さらにギリシャ陸軍に導入するM2ブラッドレー歩兵戦闘車は最新のアップグレードパッケージ「M2A3」を受けていない「M2A2 ODS(湾岸戦争の教訓を取りれたタイプ)」で、これも余剰装備として保管されているものだ。

出典:public domain M1117装甲警備車

ここまでなら単純なギリシャ陸軍の装備調達話で終わるのだが、本題はここからだ。

米国はトルコがロシア製防空システム「S-400」を導入したことで様々な手段を用いて圧力を掛けているのだが、その中の一つにトルコが対立しているギリシャへの軍事支援強化が含まれており昨年は米陸軍で余剰装備となっていた観測/軽戦闘ヘリコプター「OH-58Dカイオワ」70機をギリシャに無償譲渡(輸送費のみギリシャが負担)している。

出典:public domain OH-58D カイオワ

今回導入する1,200両のM1117装甲警備車も無償譲渡(輸送費のみギリシャが負担)だ。

ただM2ブラッドレー歩兵戦闘車に関しては情報が無いので良くわからないのだが、ギリシャが導入する余剰分のM2A2 ODSは米国が軍事支援に活用している装備として有名で昨年にはクロアチア(60両)とレバノン(32両)に対してM2A2 ODSを無償で譲渡しているため、恐らくギリシャ向けのM2A2 ODSも「無償譲渡」である可能性が高い。

これら中古装備の価値については不明だが、レバノンに32両のM2ブラッドレー歩兵戦闘車を譲渡した際の報道では約1億ドルの価値があると報じられていたため、これを元に計算するとブラッドレーだけで約11億ドル(約1,200億円)相当の価値があり、これを無償でギリシャに譲り渡すのだから何とも太っ腹な軍事支援だ。

米国としてはトルコが対立しているギリシャに軍事的な肩入れすることでトルコに圧力を掛けているのだろうと思われるが、ギリシャにしてみれば完全に棚ぼた的利益に違いない。

 

※アイキャッチ画像の出典:public domain M2ブラッドレー歩兵戦闘車

米国、韓国のKF-X試作機に搭載されるエンジン「F414-GE-400K」を納品前のページ

日本の零戦は選ばれるか? 米メディアが選出した史上最高の艦上戦闘機次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    イタリア空軍、ビーストモードで訓練するF-35AとF-35Bを初公開

    イタリア空軍は27日、ビーストモードと呼ばれる状態で初めて訓練を実施し…

  2. 欧州関連

    フランス、2027年までに次世代戦闘機の技術実証機開発で3ヶ国合意と正式発表

    フランスのパルリ国防相は17日、未来戦闘航空システム(Future C…

  3. 欧州関連

    空母への無人機統合に動く英海軍、開発予定の無人早期警戒機に関するアイデアを募集中

    英国防省は電磁式カタパルトとアレスティングワイヤに関するRFIを発行に…

  4. 欧州関連

    ラインメタル、130mm滑腔砲を搭載したデモ戦車の動画を公開

    ラインメタルは7月31日、研究に取り組んでいる「主力戦車先進技術 :M…

  5. 欧州関連

    トルコ、スキージャンプと射出装置の組合せで強襲揚陸艦から「バイラクタルTB3」を運用か

    Baykar社でゼネラルマネージャーを務めるハルク・バイラクタル氏は今…

  6. 欧州関連

    レーダー照射問題、NATO調査を乗り切ったトルコがフランスに謝罪を要求

    何とかNATOの調査を「お咎めなし」で切り抜けたトルコは虚偽の報告を行…

コメント

    • ハヤタ
    • 2020年 6月 08日

    セカンド品でも完全整備済でしょう
    保守パーツ買ってくれたらokと言う事で

    • 匿名
    • 2020年 6月 08日

    M1117いいですね
    歩兵は載せられないけど、最低限の砲弾破片防御あって12.7㎜機関銃と40㎜グレネーダー積んでるし、サイズもそこそこ。
    こういうの空自の基地警備に1、2両あると有事の破壊工作対応が捗りそう。

      • 匿名
      • 2020年 6月 08日

      そう思う、基地警備強化にM1117を100両くらい貰えないだろうか
      各基地に4両づつあるといいなあ

      • 匿名
      • 2020年 9月 29日

      それに加えてRPGにも耐えられる(乗員保護できる)ってのは良いですね。
      日本も導入しても良いと思うけど金の問題でダメか

    • 匿名
    • 2020年 6月 08日

    対戦車ミサイル搭載したM2が350両ってトルコからしたら地味じゃ無く派手な嫌がらせになるな。

      • 匿名
      • 2020年 6月 08日

      しかもレンタルの類いではないから、米国とトルコの関係が改善しても残り続けると。
      有形な教訓としてあり続けるのですね。

      • 匿名
      • 2020年 6月 08日

      東の要の第4軍団優先配備でしょうね
      正面装備のレオパルド2HEL(A6EX)もA7出るまで最強レオパルド言われたし、周辺国との関係的に東のトルコに兵力集中しやすいのもあって侮れない相手でしょう。
      これでF-35来たらエグい(財政的にも)

    • 匿名
    • 2020年 6月 08日

    なんだかんだ同盟の義務を果たそうとする国に対しては気前がいいんだよなぁ
    金にがめついのは間違いないけどやっぱり嫌いにはなれないな

      • 匿名
      • 2020年 6月 08日

      普段は傲慢さが鼻に付くけど、困った時は頼りになる兄貴分
      映画版ジャイアンみたいな国だよなw

        • 匿名
        • 2020年 6月 08日

        喩えが上手いなぁ。
        成る程と思いました。

      • 匿名
      • 2020年 6月 08日

      同盟・・気前がいい・・??
      今回のはトルコ憎しで「敵の敵は味方」でタガが外れてるだけのように思える

        • 匿名
        • 2020年 6月 08日

        正論
        かつて旧ソ連憎さでアフガンゲリラに援助して我が身を襲う怪物を育ててしまった二の舞三の舞になるのは目に見えてるわ

          • 匿名
          • 2020年 6月 09日

          流石のアメリカも今回は失敗しないだろ(慢心)

    • 匿名
    • 2020年 6月 08日

    ギリシャ神話を誇りにするギリシャ人も、ギリシャは古代から近代までに国は無かった・
    古代のギリシャ王朝系の分国も、自然消滅するぐらいだ。口だけやかましく、ゴネル半島気質は、いつまで国が持つんだろう。

      • 匿名
      • 2020年 9月 29日

      デフォルト寸前だったのも過去の話し・・・というか続報や現状報道されないけど財政は良くなったんだろうかw
      たぶんあんま改善してない気がする

    • 匿名
    • 2020年 6月 08日

    アメリカの気前の良さも際立つが、EUの約立たずぶりも際立ってる。
    トルコ批判は口だけ。結局は全てアメリカ頼りだ。
    ドイツとフランスはどこに消えた

      • 匿名
      • 2020年 6月 08日

      そうですね。
      今回に関しても存在感が薄いですね。
      いったいどうしたんだろう。

        • 匿名
        • 2020年 6月 08日

        日本のカスメディアはことある毎にドイツageに勤しんでるけど、実態は超絶ks国家だよなあ
        リベラル様にとっては理想のお国なのかねえ

      • 匿名
      • 2020年 9月 29日

      ドイツは財政も軍も崩壊レベル、フランスはなんか援助してたけど米レベルではない
      ・・・というか米の援助がキチガイレベル。 外交や保有の維持管理費とかトータルでの決断だろうけどね。

      M2ブラッドレーは改修も高額で金食い虫で今後の増産も予定が無い兵器だし。
      米の次期歩兵戦闘車は未だに未定で棚上げじゃなかったっけ

    • 匿名
    • 2020年 6月 08日

    こうやって甘やかすからいつまでたってもあの国は自立しない。

    1
    • 匿名
    • 2020年 9月 29日

    ドイツは財政も軍も崩壊レベル、フランスはなんか援助してたけど米レベルではない
    ・・・というか米の援助がキチガイレベル。 外交や保有の維持管理費とかトータルでの決断だろうけどね。

    M2ブラッドレーは改修も高額で金食い虫で今後の増産も予定が無い兵器だし。
    米の次期歩兵戦闘車は未だに未定で棚上げじゃなかったっけ

    • 匿名
    • 2020年 9月 29日

    デフォルト寸前だったのも過去の話し・・・というか続報や現状報道されないけど財政は良くなったんだろうかw
    たぶんあんま改善してない気がする

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 軍事的雑学

    ようやく本領発揮、世界最強の戦闘機F-22Aが「神の視点」を味方に提供
  2. 米国関連

    本当に笑えない、米空母ジェラルド・R・フォードを苦しめるエレベーターの呪い
  3. インド太平洋関連

    日米からのオファーがない? 韓国空軍、日本のF-35整備拠点利用を否定
  4. 軍事的雑学

    ロシア製戦闘機を買うと損をする? SU-30SMを導入したベラルーシの後悔
  5. 日本関連

    海外メディアも注目、横浜で護衛艦「いずも」の空母化工事が始まる
PAGE TOP