ゼレンスキー大統領は8日夜の演説で「バフムートやソレダルではロシア軍の攻撃で街の大半が破壊されが、敵の攻撃を撃退して持ちこたえている。陸軍のシルスキー司令官が同拠点を視察し追加戦力の投入や砲撃の強化を指示した」と明かした。
参考:Зеленский рассказал о ситуации в Бахмуте и Соледаре и о визите Сырского
シヴェルシクとバフムートを繋ぐ唯一の幹線道路方向に突破するロシア軍の目論見は失敗か
ウクライナ軍東部司令部は7日に「血なまぐさい戦闘にも関わらずソレダルを保持しており、現地の詳細な状況を後日明かす」と述べていたが、ゼレンスキー大統領は8日夜の演説で「バフムートやソレダルではロシア軍の攻撃で街の大半が破壊されが、敵の攻撃を撃退して持ちこたえている。陸軍のシルスキー司令官が同拠点を視察し追加戦力の投入や砲撃の強化を指示した」と明かした。
ソレダルの状況も中心部Ⓐ=48.6968, 38.068をウクライナ軍が保持しているのを視覚的に確認、ワグナーが街の大半を支配しているピドロドネも「ウクライナ軍が東区画を保持して交戦中」という報告があるので「シヴェルシクとバフムートを繋ぐ唯一の幹線道路(T0513)方向に突破する」というロシア軍の目論見は達成に至っていない。
ここに追加戦力の投入と砲撃の強化が加われば「ロシア軍の前線は今以上に困難になる」と思われるので、個人的に「ひとまずバフムート方面は落ち着きを取り戻す(戦闘自体は激しい)」と思っている。
因みに8日時点のバフムート周辺は「衛星写真によって雪化粧に覆われている」と確認されており、視覚的な証拠の日時を判断するのにとても役立つ。
As promised, Bakhmut power dance from @georgian_legion fighter Giorgi @GeorgeK05740845 #BakhmutHolds pic.twitter.com/imteDaj4D8
— Georgian Legion (@georgian_legion) January 8, 2023
🛰️ Satellite image of Soledar, nearby surroundings and Pidhodorne settlement. January 8, 2023.#UkraineRussiaWar pic.twitter.com/PiVNMtUnzX
— MilitaryLand.net (@Militarylandnet) January 8, 2023
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600人以上のウクライナ軍兵士を殺害したというロシア国防省の発表、直ぐに嘘だったことがバレる
ロシア国防省はHIMARSの攻撃で大晦日に何百人もの兵士が死亡した報復として「ウクライナ軍が兵舎として利用していたクラマトルスクの大学寮(第28寮と第47寮)を攻撃して600人以上の兵士が死亡した」と発表、ウクライナ軍は直ぐに「これはロシア軍のフェイクニュースだ」と反論していたが、複数の海外ジャーナリストは「ロシア軍の攻撃があったのは事実」とした上で「ミサイルは目標を外している」と報告している。
Italian journalist in Kramatorsk here. Russia allegedly killed 600 Ukrainian soldiers “in dormitories 28 and 47”. I’m checking the first place, dormitory 28: the missile missed the target, made a big hole in the soft terrain and didn’t touch the buildings around /1 pic.twitter.com/um9Oh0CzlA
— Daniele Raineri (@DanieleRaineri) January 8, 2023
La Repubblica紙のダニエル・ライネリ氏は「第28寮と第47寮をチェックしたがミサイルは目標を外して何もないところに大きな穴を開けただけ」と述べており、クラマトルスクに滞在していたフィンランド国営メディアのアンティ・クロネン氏も「攻撃の爆発音は聞こえたが1台の救急車も見かけたことがなく、ロシア軍の攻撃(S-300の迎撃弾が使用されたらしい)は建物から約50m離れた地点にクレーターを作っただけで、建物内には軍関係者が滞在していた痕跡も死体も血痕も見当たらなかった」と指摘した。
さらにクロネン氏は「現段階において私自身の見たものとウクライナ側の見解の方が(ロシア国防省より)正しい」と述べており、少なくとも大学寮への攻撃で「ウクライナ軍兵士は1人も死ななかった」という意味だ。
Venäjä väittää, että se tappoi satoja ukrainalaisia sotilaita ohjusiskussa tähän kouluun Kramatorskissa. Olen paikalla ja vähän outoa, että rakennusta ei ole edes eristetty. Paikalliset eivät myöskään nähneet ambulansseja täällä aamulla. 1/3 pic.twitter.com/YHGxVy1ca6
— Antti Kuronen (@YLEKuronen) January 8, 2023
ロシア人してみれば嘘だと指摘されたところで「ウクライナ人が真実を隠蔽した」と言っておけば済む話なので、国民向けのアピールに真実は必要ないのだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
弾薬庫の隣を宿舎にして数百人もの兵士を詰め込んだロシアと違って、
そもそもウクライナ軍は1つの建物に1300人も寝泊まりさせないでしょう。
>国民向けのアピールに真実は必要ない
それはそうでしょうけど、「報復で600人殺害した」と明言した以上、
ロシア軍の被害はそれに匹敵するほどであったことを自白したことになりますね。
メンツで何もない所を攻撃するとは無駄の極みだな
どこまでも政治的な戦争だ
バフムートの気温は、1/7に-16℃、昨日は―15℃だった。
屋外で休息(睡眠)できる環境ではなく、今日はさらに気温が下がるらしい。
守備する方厳しいが、攻撃する方は一層厳しいだろう。
新年一発目の重戦力の大規模供与が確定したので今ここで重戦力を消耗する事が可能になったはずです。機甲増強反撃が展開される前にロシア側は決着つけようとかなり無茶してくると思います。しかもお得意のマンパワーで。
方やウクライナ側は暖冬から一変して路外凍結で機甲戦力の投入時期になって来ました。バフムトは文字通りワグネルの墓場になりそうです。
ウクライナ軍の立場に立てば、ここで引いたら一気に劣勢になることは明らかであり、とにかく動ける戦車や歩兵、撃てる榴弾砲をかき集めて救援のための旅団や大隊を再編成、急編成し、T0530道路、そしてその先に続くM03道路の遮断、制圧を何としても阻止せねばなりません。
ソレダルや、バフムトも重要ですが、ロシア軍はさらにその間のピドロホネ、クラスナ・ホラへも向かっており、その先にはT0530道路とM03道路を結ぶ重要な交差路があるパラスコヴィーフカがあります。
もちろんロシア軍の方も、この地区に増援の部隊をどんどん送り込んでくると思われ、後はウクライナ軍とロシア軍のどっちが局地的、相対的な優勢を確保できるかにかかってくるでしょう。