欧州関連

ラインメタルとボーイングが提携、ドイツ空軍のCCA調達にMQ-28Aを提供

ドイツ空軍はCCAベースの無人戦闘爆撃機を導入して対地攻撃能力の獲得を目指しており、エアバスは今月13日「ドイツ空軍のCCA調達にXQ-58Aを提供する」と正式に発表したが、ラインメタルも31日「ドイツ空軍のCCA調達にMQ-28Aを提供をする」と正式に発表した。

参考:Rheinmetall/Rheinmetall and Boeing partner on German MQ-28 Ghost Bat
参考:Boeing Australia/Rheinmetall and Boeing partner on German MQ-28 Ghost Bat

エアバスに続きラインメタルもドイツ空軍のCCA調達にMQ-28Aを提供をすると正式に発表

米空軍のNGAD、米海軍のF/A-XX、仏独西のFCAS、英伊日のGCAPには有人戦闘機に随伴可能な無人戦闘機(自律的な飛行が可能なウイングマン)が設定され、有人戦闘機の代わりにリスクの高い任務の一部を肩代わりしたり、有人戦闘機の認識力や戦場に運搬するペイロードを拡張したり、価格高騰で減少傾向が続く航空戦力の量を補完できると期待されているが、無人戦闘機との協調能力は次世代戦闘機のみが利用できる固有要件ではなく、既存の第5世代機や第4世代機向けに実用化が相当前倒しされている。

出典:U.S. Air Force

米空軍は有人戦闘機に随伴可能な協調戦闘機=Collaborative Combat Aircraft(CCA)を1,000機~2,000機調達する予定で、CCA第1弾調達=Increment1としてYFQ-42AとYFQ-44Aの生産を2026年度に決定する見込みだが、フランスもラファールF5と協調可能なステルス無人戦闘機を2033年までに実戦配備すると発表、ドイツも「次世代戦闘機の実用化前に有人戦闘機と協調可能な無人機が必要になる」と表明、英国も「空軍の優位性に革命をもたらす自律型協調プラットフォーム=ACPファミリーの第1弾としてTekever AR3にBriteStormを統合したStormShroudの運用を開始した」と発表した。

有人戦闘機に随伴可能な無人戦闘機=ウイングマンの呼称は国やプログラムによって異なるものの、期待されている役割や能力は概ね一致しており、無人戦闘機は有人戦闘機が行使できる能力、状況認識力、ペイロードを間接的に拡張し「有人戦闘機1機あたりの効果を大幅に向上させるもの」「減少が続く航空戦力全体の量を補完するもの」で、米空軍以外で具体的に無人戦闘機調達に動いているのがドイツ空軍だ。

出典:General Atomics

ラインメタルのパッパーガー最高経営責任者は2025年8月「ドイツ空軍は約400機のウイングマンを要求している」と述べ、これまでに「アンドゥリルとYFQ-44Aの欧州バージョンを共同開発する」「ボーイングともMQ-28ベース無人戦闘機に関する協力について協議を行っている」と明かし、エアバスとクラトスも昨年7月「エアバス製ミッションシステムを組み込んだXQ-58A開発で提携する」と、ゼネラル・アトミックスも「欧州製ミッションシステムを搭載したYFQ-42Aをドイツで生産する」と、ヘルシングも昨年9月に有人機との協調と単独運用を想定した無人戦闘機=CA-1 Europaを発表。

ドイツのディフェンスメディア=hartpunktは今年2月「ドイツ軍は数年以内に敵地深部で危険な任務を遂行可能な無人戦闘爆撃機の導入を計画している」「この無人戦闘爆撃機のベースとなるCCAは主に空対空任務に焦点を当ててきた」「ドイツ空軍は無人戦闘爆撃機の導入で対地攻撃能力の獲得を目指している」と報じた。

“無人戦闘爆撃機は有人戦闘機と編隊を組んで飛行するCCAとは異なり、指揮機や地上ステーションとの通信が途絶した場合でも自律的に任務を完遂し、可能な限り無傷で帰還できる設計が求められる。この計画における課題は技術的要件だけでなくタイムラインにもある。ドイツ空軍は無人戦闘爆撃機の初期作戦能力(IOC)を2029年にまで達成する計画だ。ゼロからの開発は時間がかかるため、ドイツ軍は海外のCCAを対象とした市場調査を実施した”

“数週間前までの内部情報によれば、限られた時間を背景に「特定のCCAを直接調達した上でドイツ軍のニーズに合わせて追加開発する方針」が有力視され、その最有力候補と目されていたのがボーイングとオーストラリアが共同開発しているMQ-28Aだ。一連の高度な試験の成功、高い技術的成熟度、独自のミッションシステム実装が可能、さらにオーストラリアの広大な無人地帯もドイツ空軍の訓練を行うのに有利で「MQ-28A調達」を後押しする要因とされていた”

出典:Boeing MQ-28

“しかし、有力な情報筋から得た最新の情報によると調達プログラムに急遽変更が生じたという。事実上、直接発注の計画は白紙に戻された模様だ。関係者は「追加の検討プロセスが導入されることになった」と明かし、無人戦闘爆撃機の候補として3機種が改めて精査される。MQ-28Aに加えてクラトスのXQ-58A、未確認の第3候補機が検討対象となっている。エアバスはクラトスと共同でエアバス製ミッションシステムを組み込んだXQ-58Aを提案し「2029年までに配備が可能」と発表していた。すでに2機のXQ-58Aがマンヒングに到着している”

“提案内容の審査方法や、それに伴うタイムラインの詳細は依然として不明である。さらに無人戦闘爆撃機が1機種に絞られるのかも分かっていない。アナリストは「仮に1機種に絞られたとしても、長期的には重量級や異なる能力を持つ多様なCCAが必要になる」と予測しており、これが事実なら他の無人機メーカーにもドイツ軍納入の機会が残されている”

出典:Airbus

パッパーガー最高経営責任者が言及した「約400機のウイングマン」は有人戦闘機と編隊を組んで飛行するCCAのことを指していたのか、それともhartpunktが言及した無人戦闘爆撃機のことなのか、CCAと無人戦闘爆撃機を合わせて約400機のかは不明だが、エアバスは今月13日「2029年までにドイツ空軍へ実用的な無人協調戦闘機(UCCA)システムを提供するため全速力で取り組んでいる」「年内にXQ-58A ヴァルキリーの初飛行を予定している」と発表。

ラインメタルも31日「ドイツ軍のCCA調達にMQ-28を提供する戦略的パートナーシップをボーイング・オーストラリアと締結した」「当社はドイツにおけるMQ-28のシステムマネージャーとなり、ドイツ軍の既存および将来の指揮・兵器システムへのシステム統合、国家要件への適合、運用、保守、および兵站支援の確保を監督する」と発表、パッパーガー最高経営責任者も「システムインテグレーターとして統合、運用、さらなる開発をワンストップで提供すると同時に、ドイツと欧州における産業拠点として産業価値の創造を強化していく。ラインメタルにとって本事業は数億ユーロ規模の収益を生み出す可能性を秘めていると考えている」と言及。

ボーイング・オーストラリアも「これは単なる両社間の提携にとどまらず、CCAを自国空軍に統合するという共通の戦略』を持つドイツとオーストラリアという二つの偉大な国間の提携だ」「この提携にによってドイツの産業基盤はオーストラリアが長年培ってきたイノベーションと投資を最大限に活用し、MQ-28をドイツ軍向けに実戦配備して進化させていくことになる」と表明し、エアバスとクラトスのXQ-58A、ラインメタルとボーイング・オーストラリアのMQ-28Aはドイツ軍のCCA調達に向けて準備を開始した格好だ。

ちなみに、ドイツ空軍の無人戦闘爆撃機は有人機に随伴して空対空任務をこなすCCAとは異なり「単独運用、複数の無人機による協調運用、有人機と無人機による協調運用が可能な空対地任務重視の無人戦闘機」で、これをタイフーンに搭載する目標照準ポッド=Litening5の通信機能を使用して制御し、制御インターフェイスにはF-22がCCAを制御するのと同じタブレット方式を採用する可能性が高い。

出典:Bundeswehr/Patrik Bransmoeller

hartpunktが言及した「検討対象になっている未確認の第3候補機」に関する確か情報はないものの、ヘルシングはCA-1 Europaについて「単独運用も可能」「低空を音速に近い速度で飛行し敵地の奥深くを攻撃できるよう設計されている」と説明しているため、CA-1 Europaは無人戦闘爆撃機を意識した設計に見えてしまう。

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※アイキャッチ画像の出典:Boeing

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コメント

  • コメント (5)

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    • たむごん
    • 2026年 3月 31日

    Andruil生産工場は広大な敷地でしたが、無人機のサイズが小さいのもあり、生産ラインを上手に圧縮しているのを興味深く感じました。

    ラインメタル=ボーイングが、いずれドイツで量産していくことになれば、どういった受注件数・生産件数になっていくのか見守りたいと思います。

    2
    • せい
    • 2026年 3月 31日

    無人機に関してはドイツは順調に見える
    日本は将来的にはどこの国の無人機を選ぶのか、或いは独自に開発するのかは分からないけど、現世代機での無人機とのチーミングを試したりする計画はあるのかな?
    イタリアに混じって、F-2やF-15とクズルエルマが共同作戦出来るか試してみて欲しい

      • 戦車
      • 2026年 3月 31日

      CCAには日本も参加してるので、XQ-58Aなどを将来的に導入するでしょうけど、現在三菱が二機、川崎、スバルが開発中で、去年三菱の一機は飛行してる筈なので、いずれはやりそうですかね。

      1
    • 58式素人
    • 2026年 3月 31日

    一番上の写真ですが。AIM-120を使えるのは良いのですが、
    せっかくのステルス形状なのに、外に吊って良いのかな、などと思います。

    1
    • pow
    • 2026年 3月 31日

    アメリカ政府の資金が投入されていない機体を購入できると良いですね。

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