Financial Timesは30日「チェコが取り組むウクライナ向け砲弾の域外調達はロシア人との競争に晒されており、支払いが遅れると砲弾はウクライナでなくロシアに送られる可能性がある」「さらに入手した砲弾の約半分は品質不足で、そのままウクライナへ納品することが出来ない」と報じた。
参考:Russia sources ammunition faster than west, says Prague
参考:Перша партія снарядів за чеською ініціативою прибуде в Україну в червні – представник уряду
旧ソ連規格の152mm砲弾や122mm砲弾はロシア側の代理人とウクライナ側の代理人による奪い合いになっている
チェコ政府はウクライナ向け砲弾を欧州以外から調達するため「砲弾の域外調達を仲介してほしい」と国内企業に依頼、Czechoslovak Group(CSG)などのチェコ企業はアフリカやアジアで砲弾を調達したものの、Financial Timesの取材に応じたCSGのストルナド会長は「砲弾価格は毎週のように上昇し、砲弾を構成する部品にも問題があるため簡単な仕事ではない。見つけてきた砲弾の約半部は品質が不十分で、我々が生産した部品を追加する必要がある」「それでも政府のイニシアチブ自体は順調に進んでおり、CSGも割り当てられた供給分を届けることに全力を尽くしている」と述べた。
この発言を受けてチェコのウクライナ復興特別大使を務めるトマーシュ・コペクニー氏は記者団に「ロシアとウクライナに備蓄から砲弾を供給している国(企業)がある。ロシア人よりも早く前払い金を支払えば砲弾はウクライナ側に供給され、手元に現金が無ければ砲弾はロシア側に渡ることもある」と述べ、恐らく市場に出回る旧ソ連規格の152mm砲弾や122mm砲弾は「ロシア側の代理人とウクライナ側の代理人による奪い合いになっている」という意味で、先に金を支払った方が砲弾を手にするのだろう。
因みにストルナド会長は「欧州で調達可能な砲弾が限られているため、域外市場で調達できる砲弾価格が高騰している」「欧州の全砲弾企業は生産能力の増強に尽力しているものの、2031年までの生産枠は既に満杯で、仮にウクライナとロシアの戦争が今直ぐ終結したとしてもNATO加盟国の戦略的備蓄を補充しなければならず、我々の前には膨大な仕事が待ち構えている」「ウクライナに砲弾工場、トラック組み立てライン、西側諸国が提供した武器のメンテナンス施設を建設するため数億ユーロの投資を行う用意があり、今年中に建設に関する合意をウクライナ側から取り付けたい」と言及。
Financial Timesも「ウクライナが戦場で苦戦しているのは兵士と砲弾の不足が原因で、ストルナド会長は2年前『砲弾の入手性が戦局を左右する』と政策立案者らに警告していたが、当時の政策立案者らは砲弾が重要な役割を果たす戦争は起こらないと考え、ドローンや人工知能など新しいトレンドに関心が集中していた」と報じているあたりも興味深い。
追記:ウクライナ復興特別大使を務めるトマーシュ・コペクニー氏は「6月に初回バッチとして5万発~10万発の砲弾がウクライナに到着する」と明かした。
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※アイキャッチ画像の出典:Photo by Dori Whipple
EU域外の国はEUほど支援に熱心ではないので、売れと言われたらロシアにもウクライナにも売る、当たり前といえば当たり前の話ではある
ロシアに売ったら経済制裁されなくない?
経済制裁は魔法の杖でも何でもないのですよ。欧米がやたらと力を振りかざしても問題ないような世界情勢でもないですし。
今、経済制裁されていない国が売るとは思えないな。
既に制裁を受けてる中東やアフリカのテロ組織とかじゃないの?
ロシア軍需産業を支援する第三国の金融機関に対して、去年の12月から米国が二次制裁出来るようになった。
この結果、今年に入ってからトルコ、UAE、中国の金融機関ですらロシアとの取引停止の公表が相次いでいる。
おそらく今年の第二四半期位から貿易額に現れてくる。
・・・位には効いている。
経済制裁と言う名の幻想
過去の植民地政策で欧米は世界から
嫌われている自覚を持った方が良い
アフリカ・中東・南米などすべてが被害者だろ
迂回輸出くらいはするでしょうね。当の西側製の部品なんかがいまだにロシアに入っているので、単にそこ製の砲弾がロシアに入っているのが見つかっても知らぬ存ぜぬをされたら制裁は難しいのではないかと思います。
以前の報道だとチェコの砲弾の調達先には南アフリカなんかが入ってましたよね。
ロシアくんとは一緒に軍事演習する「お友達」じゃなかったのかよとか思いましたが。
西側諸国にはここでもうちょっと頑張って欲しいところです。
ここで買い占めることが出来ればウクライナへの砲弾の目処がつくだけでなく、ロシアも多少なりとも困るということですから。
なんでそこまでして西側に頑張ってほしいのか謎。
ウクライナが困ろうが日本の知ったことではない。
”ドローンや人工知能など新しいトレンドに関心が集中していた”
対テロ戦争の弊害でしょうね。私自身も、開戦以前は錯覚していました。ローテクは、正規戦ではハイテクには勝てないと。
ドローンは確かに、防空システムと並んで、大きな役割をはたしていますね。戦争を先祖返りさせるという意味で。
ハイテク重視というよりも、ローテク軽視、塹壕などの基礎,基本軽視が問題かな。
今だに、自衛隊の戦闘ヘリ全廃が正しいのか悩ましい。
「ドローンや人工知能など新しいトレンドに関心が集中していた”」
なんか第二次世界大戦前の機甲戦がトレンドになって砲兵関連が廃れる流れみたいだなぁ
(一次戦が膠着したのと予算縮小の背景もあって金かからず早めに戦争が終わりそうな戦車で速く動いて敵を倒す的な機甲戦がトレンドになった)
ちなみに2次戦で戦車部隊は普通に砲兵部隊にボコられたから結局砲兵火力で殴り合う火力主義に戻ったゾ(航空機は一応砲兵の役割を担ったけど天気とか制空権に左右されて火力を全力で発揮できない場合もあって不安定)
詳しくは砲兵からみた戦争って本見て(投げやり)
ドローンや人工知能は未開拓市場であると同時に、突然戦争が終わっても民需に転換することが比較的容易な分野ですからね。
生産拠点や企業を国営・半国営状態にせずとも回る可能性があり、法的な資金調達の縛りも抜け道が多いのである程度企業任せにも出来ます。
開戦の最初期ならともかく、それ以降も本当に消耗品の生産力を軽視していたのかと言われると。
砲弾を転売したり先物市場が出来上がったりしそうで死の商人大儲けやなあ。
武器商人ネットワークはボウト氏を輩出したロシアのほうが強そう。
2年前に先見の明があれば、砲弾を量産して、今頃大儲けできたのに。
ということで、155mm砲弾ETFとか作れば金が流れ込んで、あっという間に大量の砲弾が出回りそう。
サプライヤーが放置されて錆びた砲弾を高値で売ろうとしたり、あるはずの弾薬はリストを二重に計上していただけだったりしたのでしょうかね。
こう言うことが起こるので商取引は現物を見るまで最後まで確認を怠ってはならないのです。
自前で生産手段を持たない欧州が、金を出すのすら遅いとなれば舐められますよね。
『Cash is King!』現金がなければ、チャンスを逃します。
20世紀のヨーロッパ諸国を考えれば、お金がなくて買えないのは屈辱的な話かもしれません。
北朝鮮製砲弾、品質の悪い事がYoutubeなどで笑われていましたが、やはり数量があることが大事ですね。
別の言い方をすると、ロシアに高く砲弾を買わせることができるわけだ。
別の言い方をすると、金を払うだけでウクライナの砲弾不足状況をさらに深刻化させることもできるわけだ。
開戦時に大量にウクライナに居た「義勇兵」も殆ど居なくなっちゃいましたしね。
対するロシア側は傭兵達が高い報酬を目当てにドンドン集まっています。
結局勝っている軍隊に人もモノも集まると言うのは戦争の残酷な現実ですね。
仰る通りです。
貧乏な負け馬にベットしても、得られるメリットがありません。
別に金で買う必要もないかもしれません。物々交換、バーター取引というのもあります。石油や天然ガス、お魚や穀物、岩塩などでもいいわけです。
食うのに困っている国にとって重要なのは、金銭よりも食い物や燃料なのです。穀物や石油です。現物ならば金利や為替にも影響されません。ロシアには豊富な現物があります。
ドローンや人工知能でも存在感を示せてない・・・
>>砲弾価格は毎週のように上昇
>>砲弾の約半部は品質が不十分
溺れる者に腐った藁を高値で売りつける奴の多いこと
それと
某国「そちらの手元にある腐った152㎜売ってあげてよ。代わりにピカピカの152㎜送るから。あと一緒に”特別な”152㎜や122㎜も送るから一緒に売ってげて」
こうならなければいいけど
それ有り得ますね。
ピカピカの152mm砲弾を、さらに高値で売りさばこうとするのも、ちらつきました…
チェコ政府とチェコ企業の先見力と努力は表彰ものでは?。
また、不足をカバーできるチェコの工業力は◎では?。
やはりこの記事よんでると、戦争は金ですね。
民主主義や権利の建前論なんていらないですね。儲けさせてくれるほうはどっちなんだ!
「手元に現金が無ければ砲弾はロシア側に渡ることもある」というのは送金の遅い国への遠回しな催促でしょうが、実際に起こり得る話でもあるのでしょうね。前金も払えない状態で契約はできない。