欧州関連

燃料詐欺に引っ掛かったルーマニア空軍、MiG-21が故障して飛べなくなる

ルーマニア国防省は今年4月「事故率が異常に高い」という理由で空軍のMiG-21に飛行停止を命じていたが、これは機体の老朽化だけでなく「契約していた企業による燃料詐欺」も影響しているらしい。

参考:Armata Română nu a mai putut apăra flancul estic al NATO după ce a fost înșelată de o grupare de crimă organizată. Mai multe avioane MIG-21 au fost avariate

燃料詐欺で引き起こされたMiG-21に飛行停止、国家の安全保障と防衛力に及ぼした影響は金額以上に深刻

ルーマニア企業のJETFLY HUBは2018年2月「戦闘機向け燃料の供給契約(期間は4年間)」を国防省と交わしたのだが、現地の捜査当局は「軍の信頼を得るため3つパラメーター(凝固点、芳香族炭化水素の濃度、メルカプタンの濃度)と各種添加剤の要求基準を満たしていたものを最初だけ納品、その後は基準を満たさない低品質の燃料を供給したためエンジンの燃料ポンプが破損、5機のMiG-21が故障して飛べなくなった」と結論づけた。

最終的に軍が燃料詐欺で被った被害額は650万ユーロ以上で、ルーマニアの裁判所は「これが原因で空軍は領空保護の任務を行えなくり、国家の安全保障と防衛力に及ぼした影響は金額以上に深刻だ」と指摘している。

出典:U.S. Marine Corps photo by Lance Cpl. Abrey Liggins/Released アップグレードされたルーマニア空軍のMiG-21

因みにアップグレードされたルーマニア空軍のMiG-21は第4世代並(大型のヘッドアップディスプレイ、EL/M-2032、西側製ミッションコンピュータ、多機能ディスプレイ、INS/GPS複合航法システム、NATO規格の通信システム、レーダー警報受信機、ライトニングポッドの統合等)の性能を有しており、空対空と空対地の両方を実行可能だが2024年に退役予定らしい。

関連記事:ルーマニアは事故率が高いMiG-21を飛行停止、中古F-16の取得を急ぐ

 

※アイキャッチ画像の出典:Alan Wilson / CC BY-SA 2.0

アルメニア、ナゴルノ・カラバフをアゼル領と認め和平条約に署名する方針前のページ

ウクライナ最高議会が日本支持、ロシアには北方領土の返還義務がある次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    ロシア軍がGrom-2を迎撃、ウクライナ軍はクリミア大橋に届く隠し玉を保有か

    ロシア国防省は30日「ウクライナ軍が発射した戦術弾道ミサイル『Grom…

  2. 欧州関連

    トルコ、新型フリゲート艦に米国製Mk.41VLSではなく国産の垂直発射装置を採用

    トルコ海軍は艦艇近代化の一貫として15隻の国産艦艇建造プログラム「Mİ…

  3. 欧州関連

    英国、第6世代戦闘機「テンペスト」開発費用の捻出のためF-35B調達数を削減?

    英国は調達中の第5世代戦闘機「F-35B」の一部を、開発中の第6世代戦…

  4. 欧州関連

    ウクライナ国境の封鎖33日目、ドローンや暗視装置の輸入に数週間の遅れ

    ポーランドの運送業者による国境封鎖は33日目に突入、ロイターは「ウクラ…

  5. 欧州関連

    トルコの第5世代戦闘機開発にロールス・ロイスが復帰、エンジンを共同開発か

    トルコの第5世代戦闘機「TF-X」のエンジン開発にロールス・ロイスが復…

  6. 欧州関連

    人々の力になりたい、75歳の日本人がウクライナでカフェを開き食事を無償提供

    ウクライナメディアは21日「日本からやって来た75歳のおじいちゃんがハ…

コメント

    • そら
    • 2022年 10月 07日

    こういう燃料って世界の軍隊はどうしてるんだろ?
    燃料が納品される都度検査したりしてないのか?
    いずれにしてもお粗末としか言えない。

    27
      • ななし
      • 2022年 10月 07日

      米軍は納品されるときにチェックしてたはず

      24
      • らっしー
      • 2022年 10月 07日

      某少年「うちのは混ぜ物なしなんだぜ、旦那もなんとか言ってやってよ!(だったっけ?」

      農作物ですらサイロに入れる前には乾燥状態をチェックする為に、
      潰して湿度計測してたのを思い出しました。
      高価い機体や部品がパーになるリスクを考えたら、
      仰る通りあり得ないほど雑な仕事振りが想像されますね…。

      29
        • 無無
        • 2022年 10月 07日

        軍とかお役所仕事の不始末の背後には、癒着と汚職を疑いましょう
        天下りだのは日本人だけではない

        7
        • とぶとり
        • 2022年 10月 07日

        「払ってやれフィオ」ですね

        ガソリンスタンドでも安すぎるところは混ぜ物してるんじゃないかと思ってしまう
        ちょっとけちっただけでエンジンイカレルのはかんべん

        6
      • ブルーピーコック
      • 2022年 10月 07日

      最近の西側諸国はバイオ燃料に熱を上げてますね。石油への依存を避けるという目的のようですが。グリペンみたいに100%で飛ばしてみたり、B−1ランサーみたいにバイオ燃料を半分混ぜてみたり。

      7
    • zerotester
    • 2022年 10月 07日

    古いエンジンなのに結構上等な燃料を要求するんですね。ロシア製だからそのへんの灯油を入れても動きそうなのに意外。古いからこそ添加剤などで労わる必要があるのかな?

    7
      • けい2020
      • 2022年 10月 07日

      出力不足じゃなくて燃料ポンプ破損だから、不純物だらけの灯油でも納品したのかも
      日本の灯油なんか不純物ほぼないけど、それが世界標準って訳でもないし

      42
    • 伸縮性のあるボクサー型のスパッツに近い装甲車
    • 2022年 10月 07日

    インド空軍もかなりの数のmig21運用してるよね(機体寿命来てるのに無理やり飛ばしてるから事故率半端ないけど)

    肝心の代替機のデシャスの開発が遅れた分mig21にのって事故死したパイロットかなりいるからようやっと配備されたデシャスへの更新すすんでほしいな

    5
    • ななし
    • 2022年 10月 07日

    マッコイ爺さん「燃料ポンプ?純正品じゃなくったって口金のサイズさえあれば何でもいける。機械なんてそんなもんさ」

    25
    • L
    • 2022年 10月 07日

    そうか案外検品しないのか

    5
    • hiroさん
    • 2022年 10月 07日

    日本企業が材料·部品を中国企業から調達してやられる手口ですね。
    サンプルは極上品を提示し、取引開始当初は規格通りで納入して、日本側の受入検査が甘くなった頃にとんでもないモノを納入して利益を稼ぐやり逃げ。

    50
      • TA
      • 2022年 10月 07日

      これはあるあるですね。

      14
      • NHG
      • 2022年 10月 07日

      ブーメランにならない方法「悪いことは書かない・言わない」

      8
    • aaa
    • 2022年 10月 07日

    このサイトで日々この手のしょうもない海外軍事ネタを楽しんでいた頃が懐かしい。
    この半年、ウクライナの凄惨すぎる情報ばかりで気が滅入る。
    (いや、管理人さんには大変感謝しています。単に現実が衝撃的すぎてついていけない・・・)

    34
      • 2022年 10月 07日

      これも事故が無ければ、ほのぼのネタ。
      管理人さんの手元に、沢山のほのぼのストックがあるんでしょうね(希望)

      12
        • 戦略眼
        • 2022年 10月 07日

        墜落して、パイロットや住民に死傷者が出れば、犯人は死刑くらいでは甘過ぎる。

        5
    • 2022年 10月 07日

    旧共産圏でお馴染みの、書類上燃料は供給したように見せかけたけど、受け取る側も機体は書類上存在するだけだから誰も損しなくてwinwinよりずいぶんマシな事件だな

    7
    • やうやう
    • 2022年 10月 07日

    2016年に在韓米陸軍に灯油混じりの軽油が納品されていたことが発覚した。
    韓国人軍務員が納入業者と結託して米軍に納入する軽油の一部を抜き取り、足りない分を灯油を入れることで胡麻化してた。
    この行為は2014年12月から2016年5月にかけて行われ盗まれた軽油は435万リットルだった。

    19
      • バーナーキング
      • 2022年 10月 08日

      チェック済みの燃料をGPS付けて輸送させてるのに途中でGPS偽装で一部すり替えしたんでしたっけ?
      そーゆー事には創造的かつ勤勉なんだよなぁ…

      10
    • 黒丸
    • 2022年 10月 07日

    不正軽油みたいなものでもつかまされたのかな。
    購買検査担当部門にわいろ渡され厳しい基準を骨抜きにされてしまうのがほとんどだが
    某国では期首設定予算を超過しないようになんとかしてください。という理由で官側からお願いがあり、
    高グレード燃料を低グレードの価格にして(・・・・・・)
    という美談?があったソウデス

    2
      • 台湾大好き
      • 2022年 10月 07日

      それは美談ではないかと、健全な商取引じゃない。一歩間違えば力関係を背景にした下請けいじめになりかねない案件。100歩譲って善意と愛国心だとしても、その価格実績は残り続けて競争を阻害してしまうものですよ

      18
        • バーナーキング
        • 2022年 10月 08日

        だから「?」がついてて〆がカタカナなんでしょ…

        6
    • ブルーピーコック
    • 2022年 10月 07日

    韓国のF-5もそうだが、新造じゃなくてアップグレードだとこの時代の航空機はもう限界だろうなあ。いずれF-16やF-15も直面する問題だが。

    5
    • ホテルラウンジ
    • 2022年 10月 07日

    この手の品質不正の話は、日本も無くは無いものの概ね高品質で、こういう話題になると日本ではあり得ないみたいな感じで受け取られますが、それがいつまで続くんかなあとかは思いますね。
    いつまでも続くに越したことはないですけど

    9
      • ミリオタの猫
      • 2022年 10月 07日

      いいえ、今回話題になっている燃料だと日本でも古くから軽油の不正が後を絶ちません
      これは、軽油に課せられる軽油引取税と言う税法上のルールを悪用した脱税行為で、軽油に重油や灯油を混ぜたり、場合によってはある種の薬品を混ぜる事で色を変える等して「(税法上)軽油じゃない軽油」にした物ですが、実際には水や泥・砂等が混ざっている等、粗悪品が多いそうです
      この詳細については「不正軽油」でググる事をお勧めします

      12
        • stg
        • 2022年 10月 08日

        いやさすがに日本で水や泥・砂混じりの軽油はないでしょ。

        6
    • ぽわうふふ
    • 2022年 10月 07日

    陸上自衛隊だと「滋賀産キヌヒカリ単一原料米」と偽って安価な混合米が納入された事件があった。
    炊事担当者が味がおかしいと気付いて調査した結果、偽物の納入が発覚した。

    16
      • 名無し
      • 2022年 10月 07日

      強い…

      11
      • 迷探偵
      • 2022年 10月 07日

      ペロッ…これは、混合米!

      (給食に出てきたご飯みたいな味がしたのかな、日本人なら意外と気がつくかも)

      7
      • 無無
      • 2022年 10月 08日

      食事だって士気に関わる、飯炊きの面目躍如ですな

      9
      • 匿名希望
      • 2022年 10月 08日

      せめて不正をするならおいしいブレンドぐらい開発しなさいって言う話やな・・・(食ならおいしければ本気でギリギリスルーされる可能性は出てくる)

      5
    • 名無し
    • 2022年 10月 07日

    軽戦闘機だから軽油を入れに来ました、軽油下さい!!

    18
      • dai
      • 2022年 10月 08日

      山田君、イジェクションシート取っていって!

      13
    • 折口
    • 2022年 10月 08日

    タイトルだけ読んで「燃料決済用のドルの為替予約で大損こいたのかな?JALも昔やったしその程度平気平気」と思ったらそんなレベルじゃなかった…東欧でビジネスやんのは大変ですねほんと。

    2
    • 58式素人
    • 2022年 10月 08日

    米国〜ポルトガル〜ルーマニアの順番で
    トコロテン式にF16A/Bを動かして、ルーマニアのMig21を
    ウクライナに渡せれば良いなと思います。
    ウクライナはMig21のOHができますから。修理はできると思います。
    そうすれば、西側のASMと爆弾類は、ほぼ全部使えるのでは。

    3
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  2. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  3. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  4. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  5. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
PAGE TOP