バイデン大統領とプーチン大統領の電話会談は物別れに終わり、ウクライナ侵攻に対処するため各国の動くが非常に慌ただしくなっている。
参考:The latest on Ukraine and Russia tensions
前例のない支援で強化されたウクライナ軍はロシア軍にどこまで抵抗できるのだろうか?
現地TV局Prvaの番組に登場したセルビアのブチッチ大統領は「全世界がロシアとウクライナの間で何かが起きることを強く期待している時期に“何も起こらない”と装うのは難しい」と語り、政府当局に3,000万kgの塩、3,000万kgの小麦粉と粉ミルク、100万kgの豆類を確保するよう指示したと明かし注目を集めてる。
さらに「大使館をポーランド国境に近いリヴィウに移転させる」と米国が表明したことを受けオーストラリアとカナダも「現地スタッフの安全を確保するため大使館をキエフからリヴィウに移転させる」と発表、大使館閉鎖や移転に言及していない国々でもキエフからのスタッフ脱出が始まっているが、逆にイスラエル政府はウクライナに住むイスラエル人(推定10,000人~15,000人)の国外退避を支援するため大使館や領事館に追加スタッフを送り込んでおり、現地のユダヤ人コミュニティがロシア軍の侵攻によって危険に晒されれば「速やかに移民として受け入れるなど支援を行う」と表明。
このような諸外国の動きに対してウクライナのレズニコフ国防相は「2014年の時は準備不足だったが、現在のウクライナ軍は攻撃に対する反撃準備が完全に整っているので再び領土を失うことはない。侵略者はキエフ、オデッサ、ハリコフなどの都市を占領することは不可能だ。特に多くの友好国から受けた前例のない支援(独立以来最大規模)のお陰でウクライナ軍は大幅に強化されている」と付け加え、自国民に落ち着いて行動するよう促した。
ゼレンスキー大統領も「友好国からロシア軍に関する情報を受けているので全てのリスクを理解している。警告なしに何かが起こる可能性もコレに自力で対処しなければならないことも十分理解している。したがってウクライナにとって最も重要なのは準備が完了していることだ」と語ったが、問題を解決するための外交交渉も続けられていると強調している。
ウクライナ政府にとって最も恐れるのは国民がパニックに陥ることなので最後まで強気な姿勢を崩すことは無いと思うが、ゼレンスキー大統領も「警告なしに何かが起こる可能性を理解している」と述べているので「近いうちにウクライナ侵攻が始まる」と認識しているのだろう。
果たして前例のない支援で強化されたウクライナ軍はロシア軍にどこまで抵抗できるのだろうか?
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※アイキャッチ画像の出典:Defence of Ukraine
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>イスラエル政府はウクライナに住むイスラエル人(推定10,000人~15,000人)の国外退避を支援するため大使館や領事館に追加スタッフを送り込んでおり
そういえば戦後イスラエル人になったアシュケナージの半数以上は東欧出身で、さらにその中で最大多数を形成しているのがウクライナ出身者のグループでしたね。今イスラエルに住んでる人々も祖父母の代はウクライナ人という人多いんでしょうし、親戚がウクライナに居るイスラエル人も居るんでしょうね。
今の時代にポグロム起こるか?っていうと微妙な気もしますが、14年の侵攻ではロシアは「ウクライナ系の民兵組織がロシア系住民を虐殺している」というデマを流して国内向けに侵攻を正当化しているので、偽旗作戦の展開次第では何が起こっても不思議ではないんですよね(ドネツクやルガンスクのロシア系分離主義勢力の民兵は一時、デマを信じて報復としてウクライナ系市民への攻撃などを実際にやっていた)。
本文でもある通り「ロシア軍が攻めてきたら首都防衛も無理ですヤバイです」とはウクライナは公式には言えんだろうからなあ。
弱気な姿勢じゃ交渉にも影響出るだろうし実際の戦力差はともかくギリギリのラインまで強気ではいくんだろう。
ただロシア軍による侵攻が起きた際、ウクライナ政府の発言とロシア軍の侵攻状況のギャップが大きければかえってパニックが大きくなるリスクがある上、ウクライナ政府が危険と認識していながらも住民に避難を勧告しなかった地域があった場合は民間人を人間の盾として使ったと見なされかねないので、今後の公式発表の内容やタイミングは厳しいものになり続けると思われますね
>>ウクライナ政府にとって最も恐れるのは国民がパニックに陥ること
首都キエフでの街頭インタビュー動画(ガナイケさん)を見ましたが、現地人は驚くほど落ち着いています。
7年前の侵攻以来、国境付近にはロシア軍がいるので現状に慣れてしまっているようです。できる範囲で備えてほしい
現職のゼレンスキー大統領は元コメディアン俳優
ドラマ「国民の僕」で大統領役を演じ、その姿がよほどカッコ良かったのか国民が既存の政治家の腐敗に
うんざりだったのか、本物の大統領を目指して2019年の大統領選に打って出たら圧倒的大差で当選してし
まった異色の大統領。
ただし俳優時代からウクライナ社会への問題提起も行う社会派であり、政治的な活動もしてはいるのだが、
基本、政治家としては全くの素人であり現実の世界ではなんら成果を出せていないとも聞く。
(よって支持率も急低下中)
ロシアによるクリミアの併合が2014年だから、2019年と言えばロシアの脅威の前に国家的危機真っ盛り
の中で国民が彼の様な政治素人の人物を圧倒的多数で大統領に選んだ事は(そしてこの事態を迎えた)
典型的な衆愚政治、国政指導者を国民の人気投票で選ぶ民主主義の自滅事例とならなければ良いのだが。
「国民の僕」 (Wikiより抜粋)
2015年、ウクライナの国営放送「1+1」でゼレンスキーが主演する政治風刺ドラマ「国民の僕(英語版)」
(Слуга народа)が全24話で放映された。一介の歴史教師がふとした事から素人政治家として大統領に
当選し、権謀術数が渦巻く政界と対決する姿をユーモアを交えながら描いた同作はウクライナで大流行した。
非常に不謹慎な事を言うがロシア軍による侵攻が始まって結果が失敗しようが成功しようがワンチャン改憲の機運に繋げられるのでは?クリミア半島の時と違い今回は陸海空の三軍そろった10万人規模の正規軍だし、しかも先進国の気合い入った正規軍に最新の各種無人機が何処まで通用するのかといったデータも取れる
非常に不謹慎だが…
改憲?日本の改憲ですか?
全く影響しないでしょうね。
不謹慎以前に不見識ですね。
興味津々ですが所詮は他所でやる戦争ですからね。
アメリカはアメリカでロシアの最新兵器のデータ獲ろうと裏で動いてますよ。絶対に。
やっぱり一番気になるのは、大規模な正規軍同士の戦闘でドローンがどの様に組み込まれるのか、だな。
素人考えですが、
① 偵察(画像情報、電波情報)
② 撹乱(囮、軽攻撃、自爆攻撃、嫌がらせ・・AN2でやっている安眠妨害)
でしょうか。
対策は、
① 電波管制(ECMのこと)
② 偵察部隊による策源の制圧(前線用ならあまり離れてはいない)
③ 対空火器(飛行高度と大きさで区別、スティンガー・M163バルカン)
④ 自立徘徊型対策(無差別攻撃の要素があるので見つけ次第に戦争犯罪として提訴)
でしょうか。
対空火器はとにかく低コストの必要があるので、将来的には、例えば、
ハイドラ70ベースのミサイルとM134ベースの対空砲が必要でしょうか。
ウクライナの情勢如何では台湾も駄目かもなぁ、友人が居るんだ、勘弁してくれ…。
中国からすれば背後の憂いが少ない、またとない好機だし。
台湾の場合はアメリカに台湾関係法があるし、米陸軍の大半も本国に留まったまま、米海軍も別に欧州方面に追加派遣とかしてないから、中国にとっては何のチャンスでもないと思う。