欧州関連

開発を進めている無人戦闘機の出来次第? テンペストの調達数に関する決定は2024年末

タイフーンの後継機として開発を進めている第6世代戦闘機「テンペスト」は無人戦闘機と組み合わせて運用する前提なのだが、果たして英国はテンペストを何機調達するつもりなのだろうか?

参考:UK defence secretary wants ‘volume’ Tempest production

ウォレス国防相は「まとまった数」のテンペストが必要だという認識を示したが、生産数や有人機と無人機の組み合わせに関する重要な決断は2024年末

英国が開発を予定している未来戦闘航空システム(Future Combat Air System:欧州の計画と被るためFCAS/UKと呼ばれることも多い)とは無人運用も可能な有人戦闘機「テンペスト」を中心とするファミリーシステムの総称で、このプログラムには複数の無人戦闘機(空軍主導のランカプログラムと海軍主導のビクセンプログラムが確認されている)が含まれているのだが、英国の関心事は「無人戦闘機が実用化された世界で有人戦闘機のテンペストが何機必要になるのか」という点だ。

出典:BAE Systems

空軍のテンペストはタイフーン(同機の発注数157機/現役数136機)の後継機として開発されるため、これまでの常識から言えば最低でもタイフーンと同数を調達する可能性が高いといえるのだが、空軍はテンペストよりも先に無人戦闘機を実戦投入することを目標(技術実証機モスキートが2023年に初飛行予定で量産機は2030年までに投入予定)に開発を進めているため、仮に有人機1機と無人機2機のエア・チーミングが有人機3機と同じ戦闘効率を示すとタイフーンとテンペストを1対1で置き換える必要性が無くなってしまう。

英国防省は今のところテンペストの調達予定数について何も語って来なかったのだが、テンペスト・プログラムの概念設計や評価フェーズに関する2.5億ポンド/約382億円の契約を発表したベン・ウォレス国防相に記者が「有人戦闘機のテンペストはタイフーンの調達数(157機)を大幅に下回るのではないか?」と質問、これに対してウォレス国防相は「テンペストはブティック製品ではなくボリュームが重要で具体的な生産数や有人機と無人機の組み合わせに関する重要な決断は2024年末に行う」と述べて注目を集めている。

出典:英国空軍

つまり英国は無人戦闘機が実用化されても今のところ「ある程度まとまった数」のテンペスト製造を予定しているが、結局のところ技術実証機モスキートの結果次第で「まとまった数」は上下するという意味だろう。

空軍参謀総長のマイク・ウィグストン大将は今年5月「例えば今日の戦術ユニット単位であるタイフーン×8機に相当する戦力は将来的に有人機のタイフーン×2機、無人で自律的に作動する戦闘機×10機、群制御に対応した小型ドローン×100機に置き換えることが可能だ」と発言、これを基準に考えるとタイフーン×136機の戦力はタイフーン×34機、無人戦闘機×170機、小型ドローン×1,700機に置き換えることが出来るため英国人記者は「タイフーンの調達数を大幅に下回るのではないか?」と心配しているのかもしれない。

まぁ有人機と無人機のエア・チーミングがどれだけの戦闘効率を示すのかは今のところ確たるデータが無いので議論しても仕方ないが、次期戦闘機=1種類の有人戦闘機という概念は「次期戦闘機=有人機と無人機を組み合わせたファミリーシステム」に移行するので有人戦闘機のテンペスト調達数はタイフーンを下回ることだけは確実だと管理人は思っている。

勿論、英国政府が空軍の航空戦力を拡張させると決断すれば話は別だが、、、

果たして日本は次期戦闘機F-Xと並行開発する無人戦闘機の調達数をどの段階で決めるのだろうか?

関連記事:英空軍参謀総長が語る将来の戦力構造、無人化技術が量と質のトレードオフを終焉させる
関連記事:英国防省、無人戦闘機の技術実証機「モスキート」を2023年までに開発
関連記事:ノースロップ・グラマン、英国初の無人戦闘機開発にパートナーとして参加
関連記事:英空軍、第6世代機「テンペスト」と無人戦闘機導入でパイロット削減
関連記事:英海軍、2030年まで無人航空機「Vixen」をクイーン・エリザベス級空母に統合か

 

※アイキャッチ画像の出典:BAE Systems テンペスト

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コメント

    • 匿名
    • 2021年 8月 03日

    痛し痒しですねぇ、有人機の調達数が減れば自ずと機体単価が上がり、それは長期的にはさらなる無人機化を推進する根拠とされてしまう。
    しかも必要なパイロットの減少という側面もあり、それは組織にとってはプラスマイナスが同時進行するんだが、どのような展望で対処するんですかね

    6
      • 匿名
      • 2021年 8月 03日

      かといって有人機数据え置きで無人機数増やしたら整備の手間やコストもかかるからバランスが難しそう
      有人機より高い損耗率を想定しているものの、ミサイルみたいな完全消耗品ではない無人機の立ち位置をどう見るかで政府内・軍部内でも大きく意見が分かれもめていそうではある

      4
    • 匿名
    • 2021年 8月 03日

    日本の場合、並行開発すると言っても無人戦闘機が空自にとって充分な性能を発揮出来る装備になるのか不透明だから、その結果が出るまでの間は、次期戦闘機(F-3)自体はF-2装備の3個飛行隊の代替分を着実に整備すると思うよ

    13
    • 匿名
    • 2021年 8月 03日

    F-15jsiが2040年頃から退役し始めるのと現在の戦闘機の定数を考えると150機前後調達すると思うけど防衛費をかなり増額するかもって話と一応低成長とはいえそれなりにGDPは成長する事を合わせて考えると多分200機以上になるのかな?

    2
    • 匿名
    • 2021年 8月 03日

    無人機を1000機単位で調達するのはいいが整備はどうするんだ?
    明らかに有人機100機と比べて兵站面での負担がデカくなるぞ

    2
      • 匿名
      • 2021年 8月 03日

      グロホ級1000機だとパンクするが、バイラクタルTB2級1000機ならそうでもない。
      軽整備以外はメーカー送り、なんて運用も有人機よりやり易いし。

      4
        • 匿名
        • 2021年 8月 04日

        ここでいう無人機は有人機の随伴機だろうからステルス性を持つ高価で高性能(高メンテコスト)なものじゃないかな
        F-35がステルス性あっても随伴無人機がステルス性のない鈍足機じゃ、かえって有人機の足を引っ張り有人機を危険にさらすだけだし

        >英国が開発を予定している未来戦闘航空システムとは無人運用も可能な有人戦闘機「テンペスト」を中心とするファミリーシステムの総称で、このプログラムには複数の無人戦闘機(空軍主導のランカプログラムと海軍主導のビクセンプログラムが確認されている)が含まれているのだが~

          • 匿名
          • 2021年 8月 04日

          記事中にもあるけど現行戦力を単純計算で置き換えると

          >タイフーン×34機、無人戦闘機×170機、小型ドローン×1,700機

          1000機とかの単位で導入するのは小型ドローンの方だよ。
          高価で高性能な無人戦闘機を1000〜1700機ならそりゃ兵站面での負担がデカくなるだろうけど、そんな想定は誰もしてないのよ。

      • 匿名
      • 2021年 8月 03日

      「群制御に対応した小型ドローン」だからAAM以下のメンテで済むことが要求されるでしょ。
      運用速度次第だが小型故に航続力も大きくはないはずで、戦闘空域侵入前に展開させるのかと。
      そこまでの運搬方法には言及されてないけど。

      1
    • 匿名
    • 2021年 8月 03日

    本当にファンネルやフィンファンネルみたいなものが大空を舞うようになるんだなぁ…
    いや隔世の感があるね

    2
    • 匿名
    • 2021年 8月 03日

    有人戦闘機を中心に無人機との混成飛行隊を編成したとして、有人機にある程度バッファがないと1機損耗したときの影響が大き過ぎるから理想値通り34機ぎりぎりまで減らすって事は無いんでしょうね
    とはいえ予備機を従来より多めに確保したとしてもタイフーンと同数装備は流石に余分だろうからほぼ確実に総調達数は下回ると思う

    • 匿名
    • 2021年 8月 03日

    有人戦闘機は無人戦闘機に対して今後どうなるんだろ?
    機銃とミサイルみたいな相互補完で落ち着くかな。
    ミサイルが発展しても、
    機銃を搭載して推力偏向ノズルとか格闘戦が未だに重要視されているし。

      • 匿名
      • 2021年 8月 03日

      機関砲ってのは空対空より対地攻撃の手段として重要なんすよ
      ベトナムでF4が空対空で無くてーなんて話はよく知られてるけど、近接支援で爆弾投下し終えたら敵地上部隊への圧力がかけられないって問題もありまして

      欧州では対地攻撃重視して30mmがデフォですし

      1
        • 匿名
        • 2021年 8月 03日

        なんで枝葉の方に食いつくんだ…

    • 匿名
    • 2021年 8月 03日

    一応日本も無人機を開発しているらしいけどどれだけの能力になるんだろう 先方哨戒任務に止めるかとそれともミサイルなどで武装するのか もしくはそれを放棄して米英の無人機を輸入するという手もあるな
    無人機をF-2後継機に何機組み合わせるのかも気になる

      • 匿名
      • 2021年 8月 03日

      以前言ってた通り、まずはセンサー機、開発が順調に進めばミサイルキャリア、で良いのでは。
      F-3配備時点で無人機自体は最低限センサー機がシンプルな指示通りに飛べれば十分。
      ミサイルキャリア機が欲しければまずは少数輸入すれば良いでしょう。
      有人機と違って30年40年使い続ける訳じゃなし。

      それよりも、それ(=ひとまず輸入で済ませる)が可能になる様に米英豪の無人機との相互運用性の確保と、国内の法整備を進めて欲しい。

    • 匿名
    • 2021年 8月 04日

    アメリカは随伴無人機を戦闘機ではなく消耗品扱いする予定だとどっかで聞いた気がする

    • 匿名
    • 2021年 8月 05日

    今回も前回と同じになる予感

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