欧州関連

ルーマニア陸軍は戦車300輌を調達予定、エイブラムスとK2が競合か

米国はエイブラムス(M1A2×54輌)のルーマニア売却を承認し契約交渉を進めている最中だが、ルーマニア国防省は新たに300輌の戦車購入を考えていると述べ、韓国軍関係者も「来月K2の射撃テストをルーマニアで行うことが決まった」と明かした。

参考:ROMANIA – M1A2 ABRAMS MAIN BATTLE TANKS
参考:K2 tanks for Romania? South Korea enters the “battle for 300 tanks” and raises the bar to break the Abrams monopoly
参考:현대로템 K2, 내달 루마니아서 실사격…최종 테스트

ルーマニアにおけるHyundai Rotemの受注目標は約500輌=約10兆ウォン規模らしい

ルーマニア国防省は2022年末に韓国との防衛協力に関する基本合意書に署名、これに基づいてルーマニアのディフェンスメディアは「TR-85を更新するためのK2、牽引式の旧式榴弾砲を更新するためK9、MLI-84を更新するためのRedback、火薬工場の建設が含まれている(4つの分野で交渉を開始するという意味)」と報じ、チウカ首相率いる交渉団が韓国を訪問、ルーマニア軍関係者もHyundai RotemとHanwhaを訪問してK2、K9、Redbackの試乗を行っていた。

出典:Photo by Polish Armed Forces Public Affairs

ルーマニア国営企業のRomarmは2023年2月にHanwhaとの防衛産業協力に関するMOUに署名したものの、インチカシュ軍備局長はルーマニア国防省が発行する機関紙(Observatorul Militar)の中で「大隊規模のエイブラムスを調達するため事前承認を議会に要請している」と明かし、議会も5月にM1A2×54輌調達案を、米国務省も11月にM1A2/SEPv3=M1A2Rのルーマニア売却を承認、 現在売却に向けた契約交渉が進んでいるものの、どうやらルーマニアの戦車調達は2段階に分かれているようだ。

インチカシュ軍備局長は昨年7月「我々は新たに300輌の戦車を購入したと考えている」「購入時期は陸軍によって決定される」と述べ、ルーマニアのディフェンスメディアも「エイブラムスを調達したからといって新しい戦車にエイブラムスが選ばれるという意味ではない」「既に合意済みのエイブラムス調達は産業協力を必要としない政府間交渉で進められている」「我々が積極的な産業協力を求めてK2を選択すればルーマニア軍の戦車はエイブラムスとK2の混成になり、ポーランドの戦車導入に近いものになるだろう」と報じていたが、韓国経済新聞はK2の現地テストが決まったと報じている。

出典:16 Dywizja Zmechanizowana

韓国経済新聞は5日「ルーマニアでの射撃テストが確定したと軍関係者が明かした」「5月10日~16日の間に行われるK2の射撃テストには両国の政府関係者とHyundai Rotemの実務者が参加する」「現地での射撃テストは契約締結前に行われる性能評価の最終段階で、このテストをクリアすれば具体的な契約内容(金額、調達数、納期など)が出てくるだろう」と報じ、防衛産業界の関係者も「ルーマニアでの受注目標は約500輌(恐らく各種支援車輌を含めた数量)=約10兆ウォン規模だ」と述べた。

Hyundai RotemはK2生産に関連した技術移転を提案し、戦車に使用される素材、部品、サブシステムの製造を現地企業に任せることを検討しており、ルーマニア陸軍の需要を巡ってエイブラムスとK2が再び激突する格好だ。

因みに火薬工場の建設にはRheinmetallがパートナーに選ばれ、Romarmは東欧最大の火薬工場を建設してセルビア依存から脱却するらしい。

関連記事:ルーマニア国防省、大隊規模のM1エイブラムス調達に動いていると明かす

 

※アイキャッチ画像の出典:16 Dywizja Zmechanizowana

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コメント

    • 無印
    • 2024年 4月 05日

    多分K2が選ばれるんだろうけど、エイブラムスもこの時期に需要が上がってるんだから、再生工場を強化したら良いのに
    今エイブラムスを選んでも、台湾、ポーランドの後だし、かなり待たされるぞ

    6
      • nachteule
      • 2024年 4月 05日

       提供する側からしたら納期が遅くて許容出来ない機会損失があるならば拡充するでしょうよ。そうしないなら投資に見合うリターンが無いだけで一時的な需要の為に拡充しろってのは乱暴な話だと思う。
       輸出したエイブラムスの面倒も見ると言うなら拡充はしても良いとは思うけど、どうせ現地で整備して終わりだろう。将来的にロシアみたいな状態になってラインが足りなくなる問題があるかもしれないが、直してまで戦車を投入するべきかの判断は有るだろうしアメリカが現場で満足して居るならそれで良いじゃん。

      7
    • nimo
    • 2024年 4月 05日

    ドローン対策で理想の設計が流動的な状態での大量発注はそれはそれでリスクがあるよね
    必要なときに何も手元にないようでは意味がないし
    追加装置で対応できるなら早い調達のほうがいいけど

    1
      • hoge
      • 2024年 4月 05日

      必要なときに存在しないと意味がないとはいえ、M1A3(仮)が数年以内に登場すると、それ以前の世代の戦車が一気に旧式化することは避けられないでしょうね(ハイブリッド動力による低燃費&一時的なエンジン停止によるステルス性の改善、無人砲塔による重量の削減、APS、RCWのドローン対策の改善 etc…)
      その関係で既存のM1A2 SEPv3の調達数は抑制されているようですし。

      1
    • たむごん
    • 2024年 4月 05日

    火薬工場建設は、素晴らしいですね。
    砲弾製造などのために、ニトロセルロースが取り合いになっていますから、火薬工場がサプライチェーン安定のために不可欠です。

    M1エイブラムスの調達数が、これだけまとまった数になれば、部品確保・整備人員の育成も安心できそうですね。

    6
      • kitty
      • 2024年 4月 06日

      取り合いになっているのはコットン(セルロース)では?
      いくら火薬工場を建設しても解決しないでしょう。

      4
    • ななし
    • 2024年 4月 05日

    これ問題は資金調達なんだよね
    ルーマニアが日本円で約1兆円という金をポンと用意できるわけもなく
    韓国の銀行から借りるという形になるんだが
    韓国の銀行もそんな金を用意できないからどうしようもない
    ポーランドとの契約もそれが問題になってるんだよね
    外国の銀行から借りればいいって?
    それやると貸しだす金利より借りる金利が高くなって逆ザヤになっちゃうんですよ

    24
    • 58式素人
    • 2024年 4月 05日

    先日、ポーランドが、導入する戦車の数量調整をするとか言ってませんでしたっけ?。
    M1を減らさずに、K2を減らすような話だったと憶えているのですが。
    アレも資金の問題ではなかったかしら?。
    引きずられないと良いのですが。

    3
    • Natto
    • 2024年 4月 05日

    大陸国だからか戦車を重視した政策になるね。
    ウクライナ戦争が始まるまでの戦車を削減する政策ってのも先進国だけの現象だったんだなと中東や南アジアの戦車の保有数をみると思う。

    2
    • jimama
    • 2024年 4月 05日

    ルーマニアの歴代主力戦車が旧ソ連系で約50t前後だったし
    国内の橋梁もそれ対応だとすると60t越えのM1系はちょっと分が悪いか?
    お世話の手間もかかるみたいだし

    10
    •  さ
    • 2024年 4月 06日

    K2しかないのでは?
    エイブラムズの(アメリカだからこそ運用できる)激烈に高い運用コストをルーマニアにどうこうできるとは正直思えない

    とはいえ、K2にしてもこんな大規模だと資金調達をどうするのか

    10
    • 2024年 4月 06日

    NATO軍事演習Dragon24でポーランド軍のK2がNATO同盟国の軍人たちに初めてお披露目されて好評だったのも影響しているかしらん。Dragon24でK2の登坂性能はM1やレオ2より良好である事を示したので山岳戦を配慮しなければならないルーマニアにとっては魅力的に映ってもおかしくない。(ちなみに中古M1の導入コストはK2の半額なので導入コストだけを重視するなら中古M1になる)

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