英空軍参謀総長を務めるマイク・ウィグストン大将は「独自に開発を進めてきた戦闘用クラウド「Nexus」の運用が正式導入の段階に到達した」と発表、さらにスウォーム(群れ)ドローン技術も運用状態に限りなく近づいていると明かして注目を集めている。
参考:Multidomain cloud ready for operational use, drone swarm nearly there, says British air chief
長年の先行投資がようやく実を結んだ英国、分散型の戦場通信環境技術が実用レベルに到達したと表明
英空軍は分散型の戦場通信環境を構築するため「Babelfish7/バベルフィッシュ7」プログラムを立ち上げ、仮想通信ノードシステム「Raven」と戦闘用クラウド「Nexus」を組み合わせて柔軟に移動可能な指揮統制システムを実現させようと開発を行っており、簡単に例えるなら強力な衛星通信機能を備えた空中給油機「A330MRTT」は戦場周辺空域で空中給油と戦術通信中継を担当できるようになるため戦闘機とNexusがリアルタイムで情報を供給できるようになるという意味だ。
つまり戦闘用クラウド「Nexus」に接続していれば何千キロ離れていても戦場状況を共有することができ認識力拡張に繋がるという寸法なのだが、実際には中継機のA330MRTTと見通し通信で繋がる範囲に存在する全ての戦力が収集した情報がNexusに統合されることになるので戦場認識力の拡張は範囲は膨大になる。
さらに通信の中継範囲は有人機だけでなく無人機なども活用できるため見通し通信で繋がる範囲は必要なだけ拡張することが可能で、米空軍は空中給油機だけでなく高高度偵察機U-2やRQ-4も衛星通信の起点として活用する分散型の戦場通信環境の開発・整備を進めている最中なのだが、英空軍はこの通信環境が「正式導入の段階に到達した」と言っているのだ。
ウィグストン大将は「Nexusの導入が進めばあらゆるレベルで戦場認識力が拡張され敵よりも優れた判断を素早く下せるようになる」と語っており、アニメやSF映画で登場するような戦場認識力が現実にまた一歩近づいたとも言える。
ただしNexusの正式導入が始まってもRavenの普及、通信中継機能を搭載した無人機やテラバイト級の通信が可能な軍事衛星の整備などを進めて行く必要があるので、圧倒的な戦場認識力を広範囲で利用できるようになるのは当分先だと思うが、これを可能にする基盤技術が正式導入の段階に到達しているので普及は「時間の問題」とも言い換えることが出来るので何十年も先の話ではないことだけは確かだ。
あと興味深いのはスウォームドローン「Alvino/アルヴィーノ」にもウィグストン大将が触れた点だろう。
ウィグストン大将は以前、今日の戦術ユニット単位であるタイフーン×8機に相当する戦力は将来的に有人機のタイフーン×2機、無人で自律的に作動する戦闘機×10機、群制御に対応した小型ドローン×100機に置き換えることが可能で「発展した無人化技術のおかげで空軍は戦力の量と質の同時追求が可能になる」と明かしたことがあるのだが、この群制御に対応した小型ドローンが正に「Alvino/アルヴィーノ」だ。
アルヴィーノは現在極秘裏にテストが行われているとしか分かっていないのだがウィグストン大将は「もうすぐ正式な運用を宣言できるとこまでプログラムは進んでおり、これまでは敵の防空網を混乱させ圧倒することに重点を開発してきたが現在は異なる用途に用いることを検討中で破壊的なミッションになるだろう」と語っており、スウォームドローン戦術の実戦投入が目前に近づいていることをアピールしている。
恐らくアルヴィーノプログラムとは固有のUAVやドローンを指しているのではなくスウォーム制御を実現するための技術自体を指していると思われるので、将来的の戦術ユニットに組み込まれる小型ドローンが完成したという意味ではないと認識しておかなければならない。
ただスウォーム制御のプログラムが完成してしまえばUAVやドローンの機種を問わず応用が効くので、アルヴィーノプログラムが正式運用できると宣言されると英国軍はスウォーム戦術を駆使した戦いが出来るようになるという意味なので中々恐ろしい内容だ。
因みに英国のこのような取り組みは最近開始されたものではなく、2010年代に投資が始まったものばかりなので長年の先行投資がようやく実を結んだと言えるのかもしれない。
関連記事:英空軍参謀総長が語る将来の戦力構造、無人化技術が量と質のトレードオフを終焉させる
※アイキャッチ画像の出典:AIRBUS Babelfish7
有人機が複数の無人機を操って戦闘するのって、ガンダムでいうところのサイコミュに似てますな。
こういうデジタル分野の記事が出ると日本は遅れれいると
イキイキしたコメントが湧いてくるが、その勢いに期待
話自体が小難しいのでコメントの書き込みが盛り上がらないに1000ペリカ
難しいというかコメントしたい事は大抵記事内で言われちゃってるからコメントしようがない
将来、この技術が民間レベルにおりてきて自動運転とかが飛躍的に向上しそう
残念だが、自動運転の難しさは、ごちゃごちゃした街並みと人を正しく見分けるだとか、この記事とは別のところにある。
もっと先の話だと思う。
リンク先記事から
>「私たちは、ボイジャー航空機の1つにシステムを搭載しました。空中に浮かぶと、ラップトップとタブレットは、さまざまな情報フィードから地上のNexusノードに取り込まれたデータから構築されたリアルタイムの共通状況図を表示するように構成されました」と彼は言いました。
画面イメージないかと探したが、当然ながらなかった。
こんなやつかな?(笑)
無人機とF-35が連携!?将来のステルス機の戦い方とは?【軍事シミュレーション】
リンク
Command Modern Operationsというゲームらしいですが。
動画の11分ごろから、ステルス機とドローンを組み合わせたシミュレーションやってて、それはそれで面白かったです。スウォームじゃないですけどね。
私は動画投稿者とは何の関係もありません。
ネーミングがGoogleとの親和性が高そうなイメージ。
RavenとかNexusとかいうと、フロムのゲームを思い出してしまうな。
なにかされたようだ。
この調子で技術が進めば早くて数年後には既存の空戦スタイル「制空権確保等」は根本的に一変しているんでしょうね。
マジで英国って最先端行かないと気が済まないよな
それでしくじっても良いとすら思ってるよね
羨ましい様な、羨ましくない様な
俺個人としては羨ましいと思いますよ。
失敗は成功の元と言いますし。
しくじったとしてもこの技術は確実に糧になるんで無駄にはならんすよ
次世代の戦闘戦術にとり、この方向性は各国で共通していて形が違っていても目指すゴールは一緒ですからね
米英以外からすりゃ「日本が言うな」だと思いますけどね。
戦闘機にAESA積むわ、主翼複合材一体成形で作るわ、
潜水艦にリチウムイオン積むわ…
日本のは新しい技術を用いた既存システムの高性能化,つまり単なる改善・改良の域を出ていない.
今回の英国のは戦い方を既存のとは根底から変える革命.
全くレベルが違う.
英国の国力(経済規模)でも10年のタイムスパンでこれだけの革命に先行投資できるなんて本当に羨ましい限りだね.
単に「最先端」の話でしかなかったはずだが?
後付けの条件で他人の話を否定するのは感心せんな。
荒れるのを期待してるおバカさんがいるのは判った
自己紹介は結構ですよ。
日本は、AI制御によるスウォーム戦術を行えるドローン兵器を開発しているのでしょうか?
また日本の次期戦闘機には、スウォーム戦術を遂行できるドローンが搭載されますか?
あと、日本は徘徊型兵器の開発をしているのでしょうか?
詳しい人、教えてください。
>AI制御によるスウォーム戦術を行えるドローン兵器を開発しているのでしょうか?
①;F-Xと所謂クラウドシューティングシステムを構成する戦闘型UAVが相当。将来無人機開発ビジョンのロードマップ上にある。開発に必要な技術レベル(特にAI)が未達で開発開始はだいぶ先になる。その前段階になる群制御に対応するセンサータイプUAVは研究開発に着手した。
>次期戦闘機には、スウォーム戦術を遂行できるドローンが搭載されますか?
②;恐らく①の戦闘型はF-Xに搭載できるサイズにならない。搭載型はセンサータイプになると思われるが英構想のような使い捨て型を含め研究の段階でしょ。
>日本は徘徊型兵器の開発をしているのでしょうか?
③;調査研究はしてるだろうが運用構想含め研究開発を検討している様子は無い。必要になれば米等から導入ぐらいのスタンスでいるかも。
皆もJetsonとかから開発用基盤買ってドローン作ろうぜー
ここで話してるより、実際に手を動かしたほうが楽しいよ
ドローン関係の補助金が出てるうちに手を出したほうがいいしね