ゼレンスキー大統領は6日「冬にロシアがエネルギーインフラへの攻撃を再度試みるだろう」と述べ、ドイツやスペインが追加の防空システム提供に応じる予定だが、ウクライナが被ったエネルギーインフラの被害は甚大で昨年の冬より状態が悪い。
参考:Этой зимой россияне будут пытаться уничтожить украинскую энергосистему – Зеленский
参考:Ukraine heads into winter with a hobbled energy system
参考:“There will be retaliation”: intelligence chief on potential Russian attacks on Ukraine’s energy infrastructure
まもなくエネルギーインフラを巡る戦いが開幕、今年の冬は「昨年の再現」で終わらない
ゼレンスキー大統領は6日「冬にロシアがエネルギーインフラへの攻撃を再度試みるだろう。これを阻止するためウクライナはパートナーと協力して多くの措置を講じている。特にドイツとは追加のパトリオットシステム提供で、スペインとも追加のホークシステムやエネルギー設備の支援で合意した。イタリアとも新たな安全保障パッケージについて話し合っている」と明かし、気温が低下する10月下旬から11月上旬に「エネルギーインフラ」を巡る攻防が再び発生すると主張した。
ロシアが冬に向けて弾道ミサイル、巡航ミサイル、自爆型無人機をどれだけ準備しているのかは不明だが、米当局者は7月時点で「ロシアはイランの協力を得て無人機工場を建設している。この工場が稼働すればイラン調達分とは『比べ物にならない数』の無人機をロシア軍に提供できるだろう」と警告、9月下旬までに従来とは弾頭、エンジン、バッテリー、サーボモーター、機体構造が異なるShahed-136が見つかっており、ロシアで製造されたShahed-136のカスタムバージョンである可能性が高い。
さらにロイターも6日「ウクライナはエネルギーインフラの被害を機密扱いに指定して情報共有を拒否しているものの被った被害は甚大だ。国連は6月『ウクライナの発電能力が侵攻前と比較して約半分まで減少した』と推定し、約37GWのうち19GW分の施設が破壊、損傷、占領されている。現地の研究機関もエネルギーインフラの被害額について88億ドル(6月時点)と見積もっている」と報じ、今年の冬は昨年よりも厳しいものになると予想している。
EUのエネルギー担当者は「破壊された施設の多くは修復されつつあるが『エネルギーインフラの復元力」を強化するには至っておらず、ウクライナのエネルギー事情は昨年の冬より状態が悪い」と指摘、前線から遠く離れたリヴィウ市長も「我々は最大60日間の停電を覚悟する必要がある」と述べた。
昨年の冬は比較的温暖で、迅速な修理、原発の電力供給、欧州からの電力輸入に助けられ、前線から遠く離れたウクライナ市民の平均停電期間は35日で済んだが、ウクライナ最大のエネルギー企業「DTEK」は「大規模な修理を行っているものの(被害が甚大なので)まだ復旧に時間がかかるだろう。さらに復旧したエネルギーシステムの信頼性も昨年より低いはずだ」と、送電システムを運営するウクレネルゴも「復旧した送電網は冬場の需要に応える準備が出来ているが、エネルギーシステム全体の信頼性は低く予備容量も少ない」と述べて厳しい冬を示唆している。
因みにウクライナ国防省情報総局のブダノフ中将はエコノミスト紙の取材に「再びエネルギーインフラへの攻撃を受ければ報復する」と主張しているため、ロシアもエネルギーインフラに問題を抱える可能性があり、今年の冬は「昨年の再現」で終わらないはずだ。
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※アイキャッチ画像の出典:PRESIDENT OF UKRAINE
かなり重要なポイントだと思う。
今年の冬が暖冬かどうかも大きい。EU向けの天然ガス減少の影響も暖冬かどうかに左右される。
現在、夜の衛星写真を見ると、ロシア占領地域は明るく、ウクライナ側は暗い。電力インフラの破壊と復旧のいたちごっこと思われる。
ロシア側はウクライナ側の送電システムの破壊、ウクライナ側はロシア側の水力発電や原発への攻撃の、激かが予測される。
なにしれっとウクライナが原発攻撃することにしてんねん
露骨すぎるわ
原発は、ザボリージャ原発のことです。こちらの方は、もし、1回でも攻撃が成功したら、かなり大きな影響があります。
なぜがわからないてすが、ロシア側の攻撃は変電所や送電システムへの攻撃が多く、ウクライナ側は西側からの修理支援もあり、現状は破壊と修理のいたちごっこになっています。
どういうこと?ザポリージャ原発への砲撃、ミサイル攻撃はウクライナ軍によるものだとかいう、ロシアのプロパガンダを信じちゃってる系???だめだこりゃ
話題からずれますので、この件は最後にしますが、
ウクライナの昨年冬の発電量の過半は、原発です。リウネに4基・フメリニツキーに2基・南ウクライナ原発に3基などです。
これらは健在ですが、ロシア軍による各地の送電施設への攻撃とその修理があり、昨年並みに電力を送ることができるかは分かりません。
しかし、冬の暖房に関しては、ノルドストリームとは違い、陸上を通るロシアからの天然ガスのパイプラインの方は健在であり、プラスしてウクライナ産の天然ガスを含めて、暖房にはかなり有効と思われます。
また、ザボリージャ原発の6基に関しては、確か開戦当初からロシア側の占領地域になっていて周辺もロシア軍が展開し原発自体もロシア軍が守っています。
この原発が過去何度か攻撃を受けています。この原発は送電経路が変更され、ロシア側の占領地域に電力を供給しているようです。
今ロシアの方が発電施設が複数箇所でドローンで派手に燃やされている。
ベロゴルド辺りのロシア国境はザルでウクライナドローンがフリーパスらしい。
防空ミサイルの枯渇だとか、S-400が無能だとか哀れだした。
ロシアはカフェやアパートなどの施設を攻撃し、ウクライナは軍事施設を目標にする。
ロシアの民間施設破壊はロシア支援に向けてのプロパガンダになるので、戦場での武器供与だけではなく情報戦でもウクライナの味方らしい。
記事読んでますか?
あなたがそれを言う ?
読んでるから空爆の話してるんじゃん。
インフラ破壊はウクライナもやってる。
まあ戦力にかかわる燃料インフラと輸送トラックの破壊だけど。
おかげでロシア南部は燃料不足。
変電所も破壊していてやったら報復するぞと警告はしてるな。
電力インフラについては潰しあいになるかも。
報復するとあらかじめ言ってる上に、ある程度報復できる能力を備え始めた相手にロシアがインフラ攻撃するのか気になるところ
守らないといけない範囲は圧倒的にロシアのほうが広いわけだし
記事にある通り、ウクライナのインフラは深刻なダメージから回復していない。
ポーランドを筆頭に東側のインフラに精通している東欧諸国との関係が悪化していることは重大な懸念材料である。東欧諸国からのエンジニア支援がインフラ復旧に必要だ。
米議会やスロバキア選挙の結果から明らかなように支援国の意欲は落ち込み、昨年の冬ほどの大規模支援は見込めないためウクライナにとって厳しい冬となるだろう。
そもそも去年は対空システムのほとんどなかったところに、民間インフラ目標で攻撃されたから、急遽、防空システムの支援が求められ、あれだけ大規模なものが必要になった。
今年は昨年からの積み上げもあるし、昨年ミサイル攻撃を主導したスロヴィキンも不在で、仮にロシアが去年以上の物量を用意できたとしても、去年程の被害にはならないと思いますけどね。
相手があらかじめ対策を打ってる所に、想定通りの攻撃をしたところで、あまり効果的ではないのはウクライナの反抗作戦もよく示しているでしょう。
むしろ今年は、ウクライナによるロシアへの反撃の方が、どういう影響を与えるか気になりますね。
昨年は東側ADが残存していたため、ある程度抵抗できたという点を無視できません。ウクライナのS300迎撃弾の深刻な不足については既報です。供与された西側ADはそれを代替するほどの規模ではありません。
パトリオットなどは首都近郊に集中しており、それ以外の防空が恐らく手薄で迎撃効率が落ちている可能性は過去の管理人氏の記事で指摘されています。
対策を打つために必要なリソース(AD・インフラ復旧強靭化)が著しく不足している訳ですから、予想はできても対策が難しいことが問題なのです。決して楽観できる状況ではないでしょう。
反撃についてはウクライナの能力が未知数なので現時点では結果を予測することはできませんが、これも支援国からの資金・物資が滞った状況が続くと影響を受けるでしょう。
対空システムが増えていて去年と状況が違う、というのはわかるのですがウクライナ全土をカバーできるかというと出来ていないのが実情です
ここ最近はロシア軍の長距離ドローンがウクライナ全土を変則的な軌道で飛んでから目標に向かうという事をやっており、冬期に向けて対空システムのカバー範囲の洗い出しをやっているのではと言われています
そして、その軌道を見る限りだとキーウ周辺と北部は対空カバーがありますが、その他地域は素通しか対空砲撃をしてもドローンを全部は落とせずに被害を出しています
この状況で昨年よりも多くなると思われるロシア軍のドローン攻撃をどこまで防げるかは怪しいと思います
だからこそ、ドイツ・スウェーデンが追加で対空兵器を融通してるのだと思います
インフラエンジニアの融通支援、視点になかったです。勉強になります。
やはり、ウクライナは穀物輸出は妥協して、外国関係の改善、継戦能力向上を優先して欲しいですね。
電力インフラが麻痺すれば、軍事工場も当然、麻痺する訳ですから。酷い場合は、対空レーダー網=対空ミサイル=防空網も麻痺してしまいます(ディーゼル発電で別にしてるとは思いますが…)
関連記事に今年の3月にインフラ攻撃に対する勝利宣言してたけどめちゃくちゃ効いてたし回復しきれてないし現在まで引きずってるってオチ
エネルギーインフラの被害を機密扱いしてるのでインフラ被害に対する支援も曖昧なまま
ウクライナのエネルギーインフラの被害を支援国が把握できてればそれに合わせた大型発電機の増産・提供や支援物資の準備もできてただろうけど隠されたら分からないよね
というかエネルギーインフラの被害を機密扱いにする必要あります?
隠しきれれば意味はあると思うんですけど隠しきれてない上に実際にめちゃくちゃ効いてるってバレてるから隠す意味ないでしょう
インフラ攻撃に関しては機密扱いにせず大きな被害だとして防空システムの強力な要請や発電設備や避難場所への支援体制とかの強化に努めた方が良かったのではないかと思います
エネルギーインフラの完全な防衛は、不可能に近いですからね。
発電所、燃料貯蔵施設ともに、目標が3次元に大きすぎるからです。
ドローンにより、飽和攻撃の同時攻撃数が2桁程度増えてり、防御側が圧倒的に不利です。
迎撃率80%の2段式としても、100発撃たれれば数発命中します。
日本も、発電所、石油備蓄タンク群、ガスタンクが剥き出しのため、他人事ではないですね…
北朝鮮とロシアの協力のニュースを軽く考えている人が多すぎると最近ますます思うようになってきています。
シャヘドの射程は最低でも1,800kmで我が国全土が射程であり、工業力が未熟な国でも安価に量産可能、実戦を経験したドローン運用ドクトリンと教習人材をロシアが提供すれば日本全土を継続して攻撃する能力を北朝鮮は手にします。
重大な極東軍事バランスの変化が予想できます。
仰る通りです。
北朝鮮から、ドンピシャの射程です。
公海から、改造バラ積み船などにランチャーを積載しても、ほぼ確実に奇襲攻撃に成功します。
日本は、最近少し変わりましたが、まだまだ専守防衛ですからね。
ロシアと北朝鮮の接近を、笑っている方々は無知ですが、内容によっては悪夢です。
日本のパトリオット配備状況、防空範囲を見れば、絶望しそうですね(そもそもドローン飽和攻撃に対抗できない数ですが…)
ウクライナが開発量産している長射程自爆ドローンが今年の冬に大活躍しそうですな
キーウもモスクワも今年のクリスマスは停電で過ごすことになるのでしょう
ブダノフさん進級したのね。