NATO首脳会議が行われていたマドリードで英国のジョンソン首相は「10年後にまでに国防費をGDP比2.5%に増額する」と明かしたが、国内からは「10年後までに0.5%の増額なんて少なすぎるし遅すぎる」と批判を浴びている。
参考:Johnson vows defense budget hike by 2030, but critics want it sooner
この臆病までの国防費増額は地政学的な状況の変化や脅威の規模を正確に理解していない証拠
英国のウォレス国防相はジョンソン首相へ宛てた書簡の中で「2028年までにNATO加盟国の国防費を2.5%に引き上げるよう働きかけて欲しい」と要請、先月28日に英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)で行う講演の中で国防費の増額を訴える予定だったが、これに難色を示したジョンソン首相は「具体的な国防費増額の数値に言及するな」と指示したためウォレス国防相は「平和への配当は終わったのだから安全保障への投資を増やすべきだ」と発言内容を修正している。

出典:UK Ministry of Defense
しかしウォレス国防相は演説の中で「ここ数年の間に国家への脅威が増大しているにも関わらず、あまりにも長い間、国防計画は空想上の効率の下で進められてきた」と指摘して過去数年間に行われた軍事力削減を批判、同じくRUSIの講演に登場したサンダース陸軍参謀総長も「脅威が増大しているの陸軍の削減(8.2万人→7.25万人削減)を進めるのは馬鹿げている」と述べて、2020年の国防政策見直しを今直ぐ撤回すべきだと主張した。
結局、ジョンソン首相はNATO首脳会議が行われていたマドリードで「次期戦闘機のような装備や能力を獲得するため長期的な投資を行う必要があり、より危険で競争の激しい世界に適応してく必要がある。我々が今後行う投資の論理的結論は10年後までにGDP比2.5%を国防に充てることだ」と述べ、ウォレス国防相が要請した国防費増額を政府方針として採用した格好だが、直ぐにこの発言は国内から批判を浴びることになる。

出典:NATO
労働党の影の内閣で国防相を務めるヒーリー氏は「10年後まで難しい決断を避けては通れないし、公約を守るため首相が2030年まで現在の地位にあるとは誰も思っていない。欧州で戦争が勃発して脅威が増大しているのだから英国は直ちに国防費を引き上げるべきだ」と主張。
国防委員会のエルウッド委員長も「10年後までに0.5%の増額なんて少なすぎるし遅すぎる、この臆病までの国防費増額は地政学的な状況の変化や脅威の規模を正確に理解していない証拠だ。これまでに削減した兵士の数、戦車、艦艇、戦闘機を元に戻すには10年後ではなく今直ぐ資金が必要なんだ」と批判。

出典:British Army
保守党の議員からも「首相は陸軍の削減を決めた2020年の国防政策見直し結果を直ぐにでも撤回すべきだ」と声が上がっており、ジョンソン首相は国防費の増額幅について再考を余儀なくされた格好だ。
因みに10年後に国防費をGDP比2.5%に引き上げると英国の国防予算は550億ポンド=約9兆円になるらしい。
関連記事:英国防相がNATO加盟国の国防費増額を要請、2028年までにGDP比2.5%
出典:Royal Navy
ジョンソン首相とウォレス国防相の一連の発言は、議会周辺の国防費増額への反応をみる観測気球でしょう。
威勢がいいのは結構だけど英国ってそんな財政に余裕あったっけ…?
イギリスは医療や社会福祉をかなり充実させすぎたため、まだ日本ほど高齢化社会になっていないのにも関わらず関係費用がかなり財政を圧迫していたと思います
ただウクライナ侵攻は日本以上に衝撃的だったはずなので、福祉関係などの費用(サービス内容)を抑えて軍事予算にまわすことを国民に納得させることができる可能性はあるかと
本邦でも同じことが言えるが、人手・人口が減少することを前提にした政策ではいつまでも戦力的な問題は解決できないのにな。やはり数々の次世代兵器の導入に失敗していたり長期的な目標を達成できないのを見て、政府は軍上層部や士官を信用できないんだろうか。
今の軍拡は教育費や少子化対策老朽インフラ修繕などの絶対必要な予算を軍事に回して成されるために昔のように軍拡すれば景気が拡大するなど単純な話ではないはずで、今後はどの国も人口減少と安全保障を秤にかける複雑な判断を強いられるはず。それ差し引いても英軍の弱体化は危機的なので増やした方がいい…。
本邦と違って第二次産業が瀕死のイギリスの場合は、
軍拡による国内の企業の保護と雇用維持の効果が見込めるから悪い話とも一概に言えないかも。
日本もそうだけど防衛費の増額なんか必要あるとは思えないわ
ウクライナで戦争起きたから上げましたって今から上げて即効性があるわけじゃなし…
いや真逆でしょ
即効性が無いから今すぐに上げたいし、(強)欲を言えば2012年から上げて置きたかった
即効性が無いから上げず、抑止力が崩壊して戦争が起きてから増やすの?
今のウクライナの戦争のためじゃなくて次の戦争のためでしょう。遅いんじゃなくて早いだけ。
即効性がなくてもいるんだよ。将来のためにも今から貯めておく必要あり。まあ、空母は作って欲しいが原潜は微妙。
つまり小手先の対応じゃなくて、さっさと核武装しろということですね!(過激な解釈)
でも抑止力としては、確実で手っ取り早い。
感情的にも法制的にも難しいし、絶対に持て余すだろうが、それでもなお、国があってこそ。
核兵器は製造費・維持費・処分費も配備場所・処理場所いずれもがめんどうであり、イギリスのように通常戦力用の防衛費を圧迫してしまうため、少数の核戦力に多額の費用をかけるよりは在日米軍への核配備(「持ち込ませず」の廃止)を認めたほうが効率的な気が
即効性はないけど、素敵な未来を目指して毎日リアップ頑張ってます。
そういうことだぞ(´;ω;`)
妄想に逃げるのはいい加減やめよう、な?
ますます惨めになるぞ…👴
欧州と日本は別ですよ。今回のウクライナ戦争でロシアは軍備をそれなりに消費していて、今後もそう簡単には経済制裁が終わらないでしょう。向こうはぶっちゃけNATOの主敵ロシアの弱体化が確実に進んでいるんですよ。なので、ぶっちゃけ英国含む欧州NATO各国が今さら慌てて軍事費急拡大に舵を取る必要がどの程度あるのか無いのかわりと異論もあるかとは思う。
しかし。日本の場合は主敵中国が膨張の一途であり、ウクライナ戦争によって日頃は国防意識が無いに等しい我が国国民が国防に関心を示した今この瞬間の機を逸することなく抜本的な防衛費増額に向かうのは現実的に考えればやむを得ないと思う。なにせ我が国は2004年辺りから 減 額 してきた国なのだから。で、2014年辺りで10年前と同額に戻し、以降はわずかながら増額しつつ、今を迎えている。防衛費増額は無駄?いやいや、尖閣・台湾で戦争が発生するよりは100倍1000倍マシでしょうよ。
ロシアが弱体化すると思ってるとしたら楽観過ぎじゃね?
確かに侵攻初期では無駄死にしまくってるけど、今じゃウクライナ兵の減りも早い。
学徒動員し始めたらしいとも聞くがね。
経済制裁は中国の傘下になることでそこまでダメージもないでしょ。
ロシアの軍備の話をしているんですよ、軍備。AFVを数千損耗したらその数を生産しないと元の水準に戻らない、冷戦時代からの備蓄弾薬を消費し続けたら、その消費分を生産しないと元の水準に戻らない。大量の半導体が必要でしょうが経済制裁はいつ終わるんでしょう?そもそもウクライナとの戦争はいつ終わるんでしょう?さらに言えばウクライナ軍の内情や被害もここでは今、関係ないです。経済制裁に関する最後の簡潔な一文についてはコメントを控えさせていただきますが。
とりあえずロシアの兵器産業が競争力無くすまで制裁し続けるべき
それ今は何も起きてないし、自分だけは大丈夫だから保険とかも何も要らない発想
そして、問題が起きてから、なんで言ってくれなかったのかと文句を言い出す
それ違うでしょ
防衛費の増額の是非の話であって、軍備(保険)は不要だなんて誰も言ってない
しかも2行目なんて完全に不要な文だし
ロシアに行け行けドンドンなジョンソン首相が国防費増額に慎重なのは興味深いですね。
しかし、恐ろしいロシア軍と戦ってみたら意外と弱くてウクライナでも勝てそうだ、と思っている場合にはそういう結論になるのが当然で、自信があるから増額不要なんだと思う。
どこの国も財布は厳しいなぁ。
でもやらないとやられるのは自分だけど、いざって時までその実感はなかなかでるもんじゃ無いし、、、
国民全員が共通の未来を見てるわけでもないしねぇ。
日本も何とか現実的な政策を果たして欲しいな。
現実的に考えるなら、無駄な抵抗はさっさと辞めて中国に付くべきでしょ
それが嫌だから非効率的であっても何とか足掻いている訳で…
中共につくのが現実的?
自分が言ってるのは周辺諸国と共闘し易くするための改憲をして欲しいって事で、戦わず頭を垂れるのは選択肢にもないよ。
普段味方だから気にもとめてないがアメリカ軍を敵に回すとか正気か?GDP比5%は軍備に注ぎ込む事になる
中国についた一帯一路勢や、何より中国国内の状況を見てたら
「中国につくのが現実的」なんて結論には絶対ならんと思うが。
増額に移行期間を設けるのはむしろ必要だと思うけど(目標年数を提示してない日独のほうが何か怖いなと個人的には思います)、年2.5%増がしょっぱいという批判はもっともですよね。10年かけるなら倍増とは言わずとも5割増しくらいの目標でやってほしい。
まぁこのGDP比ってGDP変動に引っ張られて金額ベースで結構変わるので、英国の経済見通しを考えると25%増やしたところでインフレ率や物価上昇を考慮すれば金額ベースでは増減なし、戦力ベースでは減少までしてても驚かないですね。
(これは日本にも言えることで失われた30年がなければ1%枠でもこれからやろうとしている投資増は達成出来ていた可能性がある)
そうなったら、財務省が0・5%ぐらいに減額してたと思う。
1%にしてたのだって、法律じゃなくて、財務省の差金だし。
これからも世論を無視して、シレッと1%のままにする気じゃないかな?
>これからも世論を無視して、シレッと1%のままにする気じゃないかな?
もしそうなったら、今度は米政府から日本政府へ「教育的指導」が行われると思いますよ。
いや大蔵省財務省は日本の国力を潰れない程度に縛るアメリカや他国の首輪だから。プラザ合意以降は日本の弱体化で一貫してる
>目標年数を提示してない日独のほうが何か怖いなと個人的には思います
一応日本は「5年以内」と提示してるかと。
「5年以内に2%以上」とは明言してないところと5年という数字、後そもそも本気でやる気がある様には見えない点に不満はありますが。
現実的にロシアの脅威が迫る東欧北欧諸国と違って
イギリスは危険が遠いので国民からのウケはあまり良くないでしょうね
むしろ対中国や対ロシアで
なぜイギリスが他の西欧諸国より前のめりなのか不思議なくらい
イギリスが国際的な課題が発生するたびにどこでも首を突っ込む理由は簡単で
先進国として残り続ける為ですね。
首を突っ込まないと
・首を突っ込むことでしか得られない「生」の情報を得る事が出来る
・その「生」の情報を使って国際世論を操作できるし、外交カードになる
・次に策定される国際ルールの策定に自国の利益を編み込めなくなる
簡単な例で例えますと、学校のクラスで男子と女子の橋渡し役をしてるのがイギリスです。
誰が誰を好きかとか、誰が誰と隠れて付き合っているかを首を突っ込んで全体像を把握し続けてるから
喧嘩は今は決して強くなくてもクラスの中でプレゼンスが確保できますし、女子の相談役になり続ける事で
「美味しい思い」もする事が出来るわけですわ。
逆に国際的な紛争・課題に積極的に首を突っ込まない積み上げが今の日本の発展途上国入りという結果に繋がってます。
西洋技術のキャッチアップに続き、技術的イノベーションを連発させてきたから日本は先進国の位置に入れましたが、技術イノベーション力はイギリスを見ても分かる通り、いずれ起こせなくなります。
その際に誰にも相談しない陰キャの振る舞いをしてきた日本は
次の時代が来た時にストンと世界史から消えるでしょう。
世界史から消えてアルゼンチンみたいに農業国になるだけであれば良いですが、
日本は海を挟んで中国とロシアという覇権をもくろむ国がある日本が世界史から消えた際は
この2国に手を出されて壮絶な悲劇が発生しながら消える事になります。
先進国の地位に居続けるというのは肉食系で他国よりも努力をし続けていないといけません。
日本が技術イノベーションが枯れた後も、今のように先進国の地位に居続けるたいのであれば日本こそが債権国の地位にいる今の間に国際紛争に頭突っ込みまくって情報を集めて情報に尾ひれ(日本にとって都合の良い嘘)つけて世界世論を引っ掻き回す事をしていかないといけません。
兵力数が不利なのだからオタワ条約を無効にする道筋を腹黒英国さんが主導してくれよ(我が国も乗れるように)
タイトル読んで「へー、額が少ないんだ」
本文読んで「へー、10年かけるのは遅いんだ」
釣りタイトルに萎えました…