第5世代戦闘機「TF-X(Milli Muharip Ucak/MMU)」プログラムの主契約者であるトルコ航空宇宙産業(TAI)は「2023年3月18日にプロトタイプが公開される」と述べて注目を集めている。
参考:Turkish defense firms join forces for 5th-gen combat aircraft
今のTF-Xの開発は順調に進捗しており2023年3月18日にプロトタイプを公開する予定だとトルコ航空宇宙産業が明かす
トルコ航空宇宙産業(TAI)によれば国内の防衛産業企業がもつ技術と経験をフル活用してTF-Xの開発を進めており、同機の機体設計と各種コンポーネントやソフトウェアの統合をTAIが担当、搭載する高度なレーダーはアセルサンがミッション・コンピューターは国家の研究機関が開発を進めており、動翼を動かすアクチュエータは複数のトルコ企業とウクライナ企業が共同で開発、コックピットを覆うキャノピーや降着装置などの主要コンポーネントについても現地生産にむけた準備が進んでいるらしい。
補足:TAIの開発責任者によればTF-Xのユニットコストは1億ドル(約110億円)で同社はTF-Xを月2機製造して年間24億ドルの収益を上げだろうと明かしている。
2022年末までTF-Xを構成する約2万点の部品加工を終えてプロトタイプを製造、2023年3月18日に公開して搭載エンジンのテストや地上試験を開始するとTAIは明かしたが、本格的な戦闘機開発はもちろんステルス機の設計経験がないトルコにとって「第5世代戦闘機」を開発するのは非常に高度な挑戦だ。
しかしTAIは「超音速軽攻撃/訓練機ヒュルジェットの開発経験、無人機アクサングルの開発経験、F-16のライセンス生産やアップグレードを通じて得られた経験、F-35の部品製造を通じて獲得した加工技術がTF-Xの開発に役立っている」と主張しているが、第6世代戦闘機「テンペスト」の開発を主導するBAEシステムズが同機の開発をサポートしていることも忘れてはならないポイントだろう。
英国は安全保障や防衛産業を中心としたトルコとの二ヶ国関係を急速に強化しており、昨年末にトルコを訪問した英空軍参謀総長のマイク・ウィグストン大将は「BAEによるTF-X開発への協力は二ヶ国間関係の力強さを象徴する」と発言、英空軍のタイフーンとトルコ空軍のF-16C/Dによる初めての共同訓練が実施されたばかりだ。
参考:British air force chief visits Turkey

出典:Royal Navy / OGL v1.0 空母クイーン・エリザベス
さらにトルコは強襲揚陸艦フアン・カルロス1世の準同型艦「アナドル(2万4,600トン)」にF-35Bを搭載して空母運用する構想が御破算になったため国産空母計画が浮上しており、トルコの民間企業がスクラップとして落札したブラジル海軍の空母サン・パウロを調査して国産空母建造への足がかりにするのではないかという噂や英国がクイーン・エリザベス級空母の開発経験やノウハウをトルコに売り込んでいるとも噂されている。
実際、この噂が流れた直後に英国はトルコのアカル国防相をクイーン・エリザベス級空母の2番艦「プリンス・オブ・ウェールズ」に招待してベン・ウォレス国防相自ら艦内を案内、さらに噂レベルだった韓国の軽空母「CVX」へのクイーン・エリザベス級空母の開発経験やノウハウの売り込みは現代重工業と組むことで実現(韓国海軍に採用されたという意味ではない)しているので本当にクイーン・エリザベス級空母をトルコに売り込んでいたとしても不思議ではなくなってきた。
このように英国はトルコの安全保障や防衛産業を強力に後押ししているので、もしかするとBAEシステムズを通じたTF-X開発への協力は予想よりも相当力強い内容なのかもしれない。
関連記事:英国、トルコにクイーン・エリザベス級空母の設計図売却と建造支援を提案か
関連記事:ブラジル海軍の空母を落札したトルコ、国産空母の建造に利用する可能性が浮上
関連記事:韓国の軽空母に英伊企業が関与、現代重にバブコックが大宇にフィンカンティエリが協力
関連記事:トルコが開発中の第5世代戦闘機「TF-X」、調達コストは1億ドルで試作機は2023年完成
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※アイキャッチ画像の出典:TURKISH AEROSPACE トルコが開発中のTFX
イギリスから見たらトルコはヨーロッパ大陸挟んで反対側だから、EU離脱からの英土接近は十分に考えられるな。米土関係が落ち着けば日本も無人機開発等で関係強化したい国ではある。
英国はトルコにかつての日英同盟みたいな関係を見出してそうだな
売り込む空母がトルコの戦艦金剛みたいになったりして
トルコ「昔うちらに売るはずだった戦艦踏み倒したよなブリテン、かわりに空母よこせ」
やっぱりそれは対ロシアのためなんかね。他にもシリア・イランとかいるけど。
でもギリシャにフランスがコンタクトしているから、下手すりゃ間接的な英仏戦争?
まあフランスはあっさりギリシャのはしご外しそうだけど。
英・土共通のライバルはEUだろう
マクロンはNATOから自立したEU軍を目指してるみたいだし
それへの対抗措置かな?
アメリカと揉めてF-35プログラム追い出されてまでS-400買ったのに対ロシアってことはないでしょうよ
トルコは、アメリカやギリシャだけでなく、ロシアとも揉めてた様な。
そういえばそうだったね。忘れてました。
アメリカの代わりにイギリスが、トルコを対ロシア陣営に引き戻そうとしている、とも考えられるけど。
あるいはやっぱり対EU(フランス)なんかね。
そう考えると、離脱してすぐに対EUの牽制を始めるっていうのは、やっぱイギリスはすげえな。
維持費はどうなるんだろうなと昨今のステルス機事情を見て思う
トルコって無人機でも成功してるしけっこう技術力あるよね
これも手堅くまとめてきそうだしKF-21より性能良くて価格も控えめないい機体になりそうな気がする
なんにせよまず完成させろと言うしね…手堅くまとめる事が大事なんだろう
ポラメ相対的に爆死しそうwww
英国はEU抜けたからトルコとギリシャとのゴタゴタは無視できるのか
フランスはギリシャ側に着くみたいだから相変わらず訳わからんな
まあ外交やら兵器商売なんてこのくらい厚顔無恥じゃないと出来ないのだろう
お人好しというかのほほんと平和ボケし過ぎておる日本および日本人に同じ事できるかな?
あのフランスやイスラエルのギリシャに対する節操の無さを見てると。純粋に気分が悪い。ここまでやらんと兵器は売れんのかと。
そうやって火種を煽るような外交を続けた結果が、自国のイスラム教徒による復習に怯える、今の西欧の姿でしょうよ。
たとえ平和ボケと言われても、他所の国の紛争に首を突っ込むような売り込みを、日本にはしてほしくないね。
因果応報ってやつだ
長年、旧植民地から吸い上げ続けた結果、利益のみならず負の遺産までしょい込んでるもんな。
大陸に手を出して今でも痛い我が国もそうなんだよ
光には影が伴うことを理解して行動しないのは愚か
トルコに戦闘機開発や空母建造を同時進行出来るだけの財力ってあるのか?
前に経済なんとかしないと不味いからそっちに力を入れるというニュース見たからその余力があるかはちょっと疑問、その成功次第だろうね
うまく言っていない経済を、軍事的な成果でごまかしているだけじゃないだろうか。
だから無理をしてでも同時進行させるんじゃないか?
そんなこと続けると、日本みたいにどっかで爆発(エーゲ海侵攻とか)しそうだけど。
経済のテコ入れに軍事産業の活性化を・・・
GDPは普通に伸びてるような。経済が死んでるわけではないと思うよ
2011年をピークにGDPは下降してますね。
一方で去年あたりからようやく回復傾向なので、今年も継続的に上昇できれば行けるかもしれない。
しかもトルコ製無人機の人気が高いから、軍事産業の活性化による経済のテコ入れが、ワンチャン可能かも。
失敗したら、やっぱアカンことになるような気もするが。
トルコはアメリカやロシア・EU(フランス/ギリシャ)と色々揉めたこともあって、多少無理してでも軍事面で自立したいんだろう。
TF-Xのエンジンのベースになる供給元って決まってるんだっけ
RRは断ったよね、ウクライナと組むの?
エンジンの目処たってないはずなんだよな
わりと本気で謎
記事原文だと、試作機はは既製のエンジン(以前の記事によればライセンス生産したF110)を使用、量産機はTRMotorの国産エンジンを使用とにこと。
イギリスは空母での技術協力が触れられているけど、エンジンでも再度接近しているとのトルコ記事があった。あと、パキスタンの国産戦闘機PF-X(Azm)をTF-Xに統合する話が出ていて、パキスタン経由で中国エンジンの技術が入るなんて噂も。
確かにTRMotorがエンジン作るって書いてるな。中国ですらエンジン手こずってんのにようやるなあ
おお、元記事情報ありがとう!
多方面に可能性を見出す姿勢は流石ですね
ライセンス生産って、目的﹙F-16用途だっけトルコの場合﹚外で勝手に使っても良いのかな?
ライセンス契約を機体とエンジンで別箇に結んでいれば可能かと。
輸出したり第三国に譲渡したりを目的しないなら試作機や国内開発機に採用するのは自由な契約なんじゃないですかね。
契約違反になるなら堂々と公表したりしないでしょ。
トルコだと契約違反でもやりそうな気がしたけど、GEから警告ナシなのなら仰る通りなのかな?
下手すればF-3より早いか…
よっぽどな事がなければF-3よりは早いだろ。
元々はF-3より10年近く先行する計画だぞ?
むしろF-3と競ってたら不味いってF-3の方が後発だし
すまんミスった、これ大元に対するレスな
レスずれあるある。気にせんでえーよ。
しかし本来のスケジュール無視して早いの遅いの騒ぐ奴は
何がしたいのかねぇ。
2023年に試作機公開だともう本開発は始まってるのか?
KFXは2016年に本開発に移行して、2019年に詳細設計終了、2021年に試作機公開。
一応、去年の8月にTAIの敷地内にTF-Xの組み立て工場が完成したそうだ。
Turquia inaugura nova fábrica para produzir o caça TF-X
完成したといって公開したKF21は直後に分解した、あれが飛ぶわけでもないし本当に試験飛行できるのは多数年後だろう、それさえ怪しい。
なんで2023年3月18日公開なのかと調べてみたら
1915年3月18日は第一次世界大戦中のガリポリの戦いでトルコ海軍が連合国海軍(英仏)に勝利を収めた記念日なんですね。
そして2023年はトルコ共和国百周年とか。
政治的匂いがプンプンですが開発はBAEの協力大なのに良いのかな?
最近は各国戦闘機の自国開発にシフトしていて
軍事オタクとしては嬉しいけど、実際は国際情勢が荒れ模様だからこそこのシフトが発生しているんだよねぇ…
色んな国の戦闘機が見られるのは嬉しいけどあまりバチバチ過激化しないで欲しいってのも本音
イギリスはトルコの野心がコントロール可能だと誤認してるような気がする。香港でやられたようなことをまたやられるのかも。
トルコ航空宇宙産業(TAI)が作った戦闘機ならタイ・ファイターですね
何だかタイ
タイ国産戦闘機と勘違いされそうな名称ですね。
TIEファイターだぞこいつは反乱軍のスパイだ!
帝国軍では?
帝国軍のTIEファイターの名前を間違えてるので正式名称言えない=反乱軍のスパイって事でいいんじゃね
ああ、なるほど。
ただ元コメはそこ違うからこそカタカナ表記にしてるのでいまいちピンと来ないな。
近年のトルコなら不思議ではないけど、ヨーロッパ?で最初に第5世代つくるのがトルコなの意外
>>英国は安全保障や防衛産業を中心としたトルコとの二ヶ国関係を急速に強化しており
本邦と英国でレーダーの共同開発案件があるが、英国が戦闘艦や戦闘機用を開発して色んな国にバラ蒔かれるのはチョットイヤな感じがする。
建前上はですが、日英共同開発は所謂「日英防衛装備品・技術移転協定」に則って行われますので、互いが行う第三国への海外移転に際しては相互政府の事前承認が必須で、日本は「防衛装備移転三原則」に反する場合は承認できません。
まあ、英国が日英間の公な二国間協定を遵守すると信じるか否かなんですけどね。
どうしても遵守しない行動をとりたい場合は英国側から協定破棄或いは延長しないてことになるでしょう。
(追伸)
トルコはクルド人問題等で防衛装備移転三原則に適合しないせいかトルコとは防衛装備品・技術移転協定を結んでいませんし結ぶ動きもありません。
ですから英国が日英共同開発の結果完成した成果品をトルコに移転することは承認されないと思います。
協定を維持した状況で輸出や技術移転が露顕すれば協定違反で日英関係がまずいことになりますね。
アメリカやヨーロッパを含めいよいよ各国の次世代戦闘機が形になってきたが、最初に飛ぶ期待、実戦配備される機体はどこの国だろう。
次世代機開発レース、色々と楽しみな状況になってきた。
日本はゆっくりと進んでいるが、最初にゴール(実戦配備)するのはカメの日本だったりして。
世界レベルでの「次世代戦闘機」という括りでは、今のところ高度なネットワーク戦対応と自律的UAV連携運用が示唆されているので、従来の運用レベルを技術的に超える航空戦術戦闘システムと捉えるべきなのかと。
そのイメージを提示しているのは、現状NGAD,テンペスト,FCAS,日本のF-Xぐらいじゃないですかね。
米のUAV技術と実績は一歩二歩先を行っていますし、ステルス機開発の技術基盤から言っても予定就役時期が最も早いNGADが先行するんだろうと思います。
そこはトップ集団と第二グループで分けるとか。
んー、今明らかになってる開発計画だと第二グループは第4.5~5世代機になりますよね。
ブロック4完成以降は現状最強じゃね?のF-35(個人の意見です)がG5と言われそのままで、G5として開発中の機体でF-35を越えるのは無いんじゃないか(個人の意見です)と。
Su-57MはG5でG5-の改良型(個人の意見です)ではないかと。
F/A-XXはどの位置を占めるのか(G6?)まだ全体像がよく分からないんで保留中。
陸軍国家のトルコが空母に固執するのは、ヴェネツィアとやり合った時代への憧憬なのかな。扇動政治家でロマン大好きのエルドアンらしい戦略だけど、合理的では無いよね、国父のアタチュルクも泣いてると思う。
脱イスラム西欧化を実行した国父ケマルからエルドアンはどう見えるかな
トルコの大国化という方向性は同じであっても、周辺とのあつれきを増やす有り様はお叱りの対象でしかないような