欧州関連

ポーランド参謀総長、ロシア軍のミサイルが領空を侵犯した可能性に言及

ポーランドのドゥダ大統領は「正体不明の飛行物体」がウクライナ領からポーランド領に飛来したことを受けて緊急会議を招集、これに出席したククワ参謀総長は「ロシア軍のミサイルがポーランド国境を越えて飛行した可能性」を報告した。

参考:Pilna narada u prezydenta. Chodzi o “niezidentyfikowany obiekt” [RELACJA NA ŻYWO]

技術的エラーの可能性もあるため地上捜索を行っている

ポーランドのRMF24は29日「ロシア軍のミサイル攻撃が行われていた時間にウクライナ領から正体不明の飛行物体がポーランド領に飛来した」「物凄いスピードで移動する飛行物体はルブリン地方ドウホビチュフの住民によって目撃された」「今のところ爆発があったという報告はない」「正体不明の飛行物体はフルビエシュフのレーダーにも検出されていた」と報じており、ドゥダ大統領は領空侵犯を受けて軍司令部との緊急会議を招集した。

ポーランド軍のククワ参謀総長は「ウクライナにとって29日は困難な夜だった。無人機による飽和攻撃で防空システムに過剰な負荷がかかったもののウクライナは比較的上手く対処した。その後に開始されたのが長距離ミサイルによる攻撃で、我々は大半のミサイルを追尾して飛行ルートを監視していた。この中の1発がポーランド国境を越えて飛行し、再び国境を越えていったことを地上から確認している」と、クリシュ作戦司令官も「この飛行物体がポーランド領内に滞在した時間は3分未満(約40km)で全ての飛行経路の全体は追尾されていた」と発言。

但し、ザモシチ上空で目標を見失ったという情報もあるため「このミサイルがロシアのものである」「ポーランド領外に飛び去った」と断定するのは時期尚早という声もあり、ククワ参謀総長も「技術的エラーの可能性もあるため地上捜索を行っている」と述べているが、クリシュ作戦司令官は「29日の攻撃に備えてポーランド軍とNATOは航空機を上空で待機させ、この事態の全てを監視していた」とも述べている。

出典:Dmitry Terekhov/CC BY-SA 2.0

まだ確定した訳ではないものの、ポーランド領空を侵犯した物体は「ロシア軍のミサイル」である可能性が高まっている。

昨日と今日で仕事納めだという方も多いと思います。今年も大変な年でしたが苦労さまでした。ここから年始年末モードに入るので更新が止まるかもしれませんが、酒を飲みながらダラダラと更新するかもしれません。

とにかく航空万能論GFを覗いてくれた多くの方に感謝を、そして良いお年を!

関連記事:ウクライナ領から飛行物体がポーランド領に飛来、ドゥダ大統領が緊急会議を招集
関連記事:ロシア軍に大規模なミサイル攻撃、ウクライナ軍は158発中114発を撃墜
関連記事:ポーランド法務相、着弾事件のミサイルはウクライナ軍が発射したものと発表
関連記事:ポーランドメディア、着弾したミサイルがウクライナ軍のものと立証された
関連記事:ポーランド、ウクライナ人専門家による爆発現場での調査を許可してない
関連記事:ポーランド着弾のミサイル、ウクライナ空軍が自軍のものだった可能性を認める
関連記事:ミサイル問題、ゼレンスキーはNATO加盟国を第三次大戦に引きずりこもうとした
関連記事:NATO加盟国の外交官、ウクライナは公然と嘘をついて我々との信頼関係を破壊した
関連記事:ポーランド領に着弾したのはウクライナ軍が発射したS-300の迎撃弾か

 

※アイキャッチ画像の出典:Russia MoD

ウクライナ領から飛行物体がポーランド領に飛来、ドゥダ大統領が緊急会議を招集前のページ

ドイツ軍の現役少将、ロシアが制裁下で軍需生産を増加させたのは予想外次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    ロシアを前に団結できない欧米、制裁の米英、対話の仏独、商売のイタリア

    英メディアのtelegraphは25日、ドイツとの首脳会談を行ったマク…

  2. 欧州関連

    ポーランドの運送業者と政府が合意、ウクライナ国境の封鎖は17日に解除

    ロイターは16日「ウクライナ国境を封鎖し続けてきたポーランドの運送業者…

  3. 欧州関連

    ドイツ軍トップ、いつかロシアとの戦争を余儀なくされる可能性に言及

    ドイツ連邦軍総監のカルステン・ブロイアー大将は「我々はいつか(ロシアと…

  4. 欧州関連

    ロシア軍のEW能力が効果を発揮、GPS誘導兵器は目標を外しドローンも制圧

    The Economist紙は23日「静的な接触線が出現したことでロシ…

  5. 欧州関連

    ギリシャメディア、まもなく政府はF-35A調達を正式に決定する

    ギリシャのΗ Καθημερινή紙は「水曜中に政府はF-35A調達の…

コメント

    • akakishim
    • 2023年 12月 30日

    誰が得をするのかを考えれば、誰の仕業かはおのずとわかるのではないか

    9
      • Artillery
      • 2023年 12月 30日

      この世には偶然が溢れています。
      誰が得するのかというのは重要な視点ではありますが、それだけで誰がやったのかは分かりません。
      特に軍事分野では技術的・人為的エラーも多いので、尚更です。

      28
        • 匿名
        • 2023年 12月 30日

        「タバコの不始末」で、いくつもの弾薬積載所が爆発炎上した件もまだ記憶に新しい話ですからね!

        2
    • 分析
    • 2023年 12月 30日

    ポーランド軍の実運営上のトップがロシア軍の可能性に言及したとなると確度は高そうですね
    ミサイルの領空侵犯を理由にウクライナ支援をしやすくなったのでしょうか?
    例えばウクライナのF16の発進基地をポーランドにすれば、ランセット等で地上撃破されることは無くなりますね
    まあどこまでロシアが譲歩するかですが…

    17
      • 幽霊
      • 2023年 12月 30日

      明確に攻撃する意思を持ってロシアが攻撃したのならそこまで踏み込んだ支援をする可能性も有りますが、そうで無いのならする事は無いでしょう
      そこまでするとNATOとロシアの全面戦争に発展しかねないので他のNATO諸国が反対するでしょうし。

      29
    • 名無し
    • 2023年 12月 30日

    ウクライナ軍が使うミサイル残骸は入手しづらいだろうが、ロシア軍が使うミサイルの残骸は、ポーランドもたんまり入手出来てるハズだから、まあどちらを出してくるかですね。

    7
      • たら
      • 2023年 12月 30日

      何をおっしゃっているのかがよくわかりませんが。

      48
      • zeema4
      • 2023年 12月 30日

      それこそ陰謀論では…

      16
      • jols
      • 2023年 12月 30日

      こういうのはヤフコメやXでやってほしいものだ。
      相手はあなたの母親ではないんだよ

      16
    • 折口
    • 2023年 12月 30日

    昨年の件でも指摘されていたベラルーシ発ポーランド経由西ウクライナ着のコースを今回も使っていたということなんでしょうね。誘導兵器の本土上空の通過については国際法上定まった例がある訳でもなく(日本も北朝鮮の弾道弾の本土上空通過を過去何度か許しています)、即座に撃ち落とせとも言えない訳ですが、やはり見過ごすのは癪ですよね。いっそウクライナの演習場で射撃演習をするという名目でモスクワ上空を経由してやろうか…なんて子供じみた事したらロシアと同レベルになってしまいますね。

    13
      •     
      • 2023年 12月 30日

      目撃地点が昨年ポーランドに着弾したのと同じあたりですね…
      地図で見ると丁度リヴィウの真北にせり出している国境の街なので、ベラルーシからリヴィウのあたりを狙うと変則軌道でなくても通過する可能性がありそうです。

      4
      • 樺太
      • 2023年 12月 30日

      北朝鮮の飛翔体は日本上空通過時点では高度100km以上の宇宙空間であるので国際法規では領空侵犯ではない(北朝鮮のミサイル・ロケット開発を禁止した国連決議違反ではある)が、今回の場合ポーランドの事例は弾道弾ではなくポーランドの発表が事実だとすれば領空侵犯に当たるので撃ち落としても国際法上は問題ない

      27
    • モノリス
    • 2023年 12月 30日

    リビウのようなポーランド国境に近い都市にもロシアはミサイル攻撃を加えてるからこのような事は起こり得ますよね

    13
    • Rex
    • 2023年 12月 30日

    なんだかんだ平和で今年も生き残れて良かった。来年はアメリカ大統領選挙などもあり荒れそうな1年。。
    色々あるかもしれませんが、皆様生き残りましょうぜ。
    管理人様も今年もありがとうございました!!

    9
    • 暇な人
    • 2023年 12月 30日

    ポーランドはNATO巻き込まず参戦したいなら自ら参戦していいんやで

    7
    • 58式素人
    • 2023年 12月 30日

    ポーランドは準備が足りないのでしょうか。
    レーダーとパトリオットと自動警戒管制組織が足りない印象ですね。
    当該飛行物体は、他所の記事では、K h-101またはKH-22と書いたものがあります。
    彼らの言う3年以内に対策ができるのでしょうか。

    3
      • 58式素人
      • 2023年 12月 31日

      色々な記事が出てきて。問題の領空侵犯は、ポーランド南東部のベラルーシと
      ウクライナに挟まれた部分だったみたいですね。キーウ狙いみたいですね。
      迎撃の成果を見てみると、超音速ミサイルの撃墜がないみたいですね。
      以前のウイッシュリストにTHAADミサイルが入っていましたが、これ対策でしょうか。
      ポーランドは、どうも、パトリオットは1セットしか持っていない様ですね。
      当然、ワルシャワ近辺でしょうから、今回の領空侵犯には手が出なかったでしょう。
      米軍の配置したパトリオットはポーランドの北側、ドイツの配備したそれはリヴィウ方面
      の配置であった様ですから、ポーランドのミサイル防空は、まあ、ガバガバでは。
      ミサイルもSA-3(ゴア)が主体の様ですし。

    • zeema4
    • 2023年 12月 30日

    しっかりレーダーとパトリオットと自動警戒管制組織があったから今回問題が発覚したのでは。
    ポーランド領内に着弾したわけではないから残骸が確認できないし、目視できてないなら飛行速度と大きさから判断してある程度目星をつけることくらいしか基本的にできないと思う。

    7
    • はる
    • 2023年 12月 30日

    ポーランド領内に侵犯したけど…これでなにか変わるとは思えないんだが
    ポーランド国民の民意がウ支援支持に傾くといいなぁくらい?

    2
      • 匿名
      • 2023年 12月 30日

      ウクライナ側はポーランドに誤射してまで死傷者出してるから、恐らく相殺にもならないでしょうね
      未だに認めようともしてませんし

      1
        • 匿名
        • 2023年 12月 30日

        ✕  ポーランドに誤射してまで死傷者出してる
        ◯ ポーランドに誤射して死傷者まで出してる

        書き間違えでえらく意味が変わってしまった…😰

        1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  2. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
  3. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  4. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  5. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
PAGE TOP