ドイツはF-35A導入の見返りとしてF-35プログラムへの独企業参加を要求していたが、ラインメタルは4日「建設する新工場でドイツ空軍や同盟国向けのF-35A中央胴体を最低でも400機分製造し、ロッキード・マーティンに供給していく」と明かした。
トルコ企業に代わってドイツ企業がF-35Aの製造に参入、2025年から最低でも400機分を中央胴体を供給
ドイツは核兵器共有協定を維持するため戦術核兵器B61/Mod12を運用可能なF-35Aを35機導入すると発表、昨年12月に総額84億ドルの契約に署名した際「導入の見返りとしてF-35プログラムへの独企業参加を要求している」と報じられていた。
F-35プログラムへの独企業参加は各部品を製造するサプライチェーンへの参入を意味し、これに参加できるのはプログラム出資国に限定されているというのが建前で、FMS経由で先に導入を決めた国(日本/2012年、韓国/2014年、ポーランド/2020年)のサプライチェーン参入は認められなかったものの、2020年に契約を締結したベルギーは水平尾翼、2021年に契約を締結したフィンランドは胴体のフロントフレームの製造でサプライチェーンへの参入を果たしており、ドイツもこれに続くことを希望している。
独メディアは今年2月「F-35の中央胴体製造でラインメタルがロッキード・マーティンと合意した」と報じていたが、ラインメタルも4日「ノルトライン・ヴェストファーレン州に建設する新工場で2025年からドイツ空軍や同盟国向けのF-35A中央胴体を最低でも400機分製造し、ロッキード・マーティンに供給していく計画だ」と明かし、この動きについて米ディフェンスメディアは「ラインメタルの参入でF-35の年間生産量を引き上げられるかもしれない」と指摘しており、つまり米国はトルコの代わりを見つけたという意味だ。
2022年のウクライナ侵攻以降、欧州のフィンランド、スイス、ドイツ、チェコは計159機のF-35A発注を、イスラエルも今月2日に25機の追加発注を発表、この合計数はロッキード・マーティンが1年間に供給可能な数=156機を上回っており、受注済みの同盟国(カナダ、英国、ベルギー、デンマーク、イタリア、ノルウェー、ポーランド、日本、韓国、オーストラリア)分、正式発注が予定されているギリシャ分を加えると処理しなければならないバックオーダーの数は非常に多い。
しかし製造に参加していたトルコ企業がプログラムから追放され、特に中央胴体の製造企業はノースロップ・グラマンだけになってしまい、これを製造するパームデール工場はB-21の製造に関与しているため中央胴体の生産を拡張する余力がなく、ロッキード・マーティンが1年間に生産できるF-35は156機に制限されているのが、ラインメタルの中央胴体生産への参入で「この上限が引き上げられるかもしれない」と米ディフェンスメディアは指摘している。
航空産業や防衛産業の市場動向を分析するティールグループのアナリストは「長らくF-35ジョイント・プログラム・オフィスは生産量の引き上げを模索してきたが、トルコ企業に代わってドイツ企業のサプライチェーン参加が最終的な答えになるだろう」と述べており、F-35A導入の見返りを求めるドイツ産業界の中央胴体製造は両者にとってWin-Winの関係なのだろう。
因みに米国務省がF-35A売却を承認したチェコもサプライチェーンへの自国企業参加を要求しており、プログラム出資国に限定されたF-35サプライチェーンの参加=国際的な部品製造への参入はほぼ形骸化したと言っていい。
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※アイキャッチ画像の出典:Lockheed Martin
F-35のオフセット関連を見るとため息が出る。
プラモみたいな本邦向け最終組み立てで満足して、サプライチェーンに何の関わりも持てない。
日本は他国と遜色ない条件!っていう人もいるが、大企業が撤退している現状を見てよくそんなことが言えるなぁ、と。
日本の場合、F-35採用決定は2011年で武器輸出三原則の時代です。
その関係で、不特定他国が調達するF-35に日本製部品が組み込まれることが懸念され、部品の受注生産は空自調達分に限る前提でした。その前提は現在でも生きています。
グローバルサプライチェーン参加は日本の事情で出来なかったわけで、代わりにFACOと国際整備拠点を獲得したとも言えます。
当時の調達予定数は42機でしたから、BAEの下請で後部胴体の製造を打診されたMHIは、採算が取れないとしてこれを辞退しています。状況的に止む無しですが、当時から105機の追加調達が決定していたらMHIの判断は変わっていたかもしれません。
その後、空自納入機に日本生産部品が使用されていなかったことが発覚しましたが、日米の信頼関係に鑑み、この点は特例として問題化しないことになっています。
現在でも建前は空自調達分に限る部品下請生産ですが、移転三原則の見直しが成ればこの制限を撤廃し、他国調達分をも継続生産する可能性はあります。
日本の場合はF35ではなくF22を売れとアホ政治家やボケ幕僚長がぐだぐだ喚いていたので、ちょっとまた事情が違いますね。
当時、他の政治家や経産省や外務省も、F22導入派を否定しF35共同開発へ参加という当たり前な判断力を喪失していて、まともな仕事をしなかった無能でしょう。
法解釈や立法が必要だというのもそれが政治家や官僚の仕事だろうよと。
(アメリカが売らねーよって言ってましたが、アメリカですら量産できてないので”売れねーよ”というのを読み解け無い救いがたいアホとボケ共でした。)
で、結局F35しかまともな選択肢はないので導入することになりましたが、FACOやMRU&O誘致は運用上で必要だっただけですのでぶっちゃけ功績かは微妙ですね。
たまたま日本が韓国より先に導入することにしましたが、韓国が先にF35買うことになってたらマジでヤバかった案件です。
F-22に関しては、米政府は提供許可の方針で交渉が進んでいたと言われています。F-22には日本が供給したCMCが使われており開発に貢献があったからとも。
それが米議会で否決され、突然ぽしゃったという経緯だったかと。決して実現性皆無のF-22導入に固執していたわけでは無かった。
突然と言うには語弊がある思います
当時海自隊員の中国人妻から米国機密情報が流出した結果、アメリカが我が国の情報保全体制に不信感を抱いた事が発端であり、どちらかと言うと原因は我が国の意識の低さが招いた結果だと記憶していましたが
まぁ結果的F22を調達しなくて済んだのは不幸中の幸いでしたけど、いくら同盟国と言えどアメリカの善意をあてにして主力戦闘機採用を目論んでいた時点で目算が甘かったかと
結果論として、F-22を導入できなかったのは逆に僥倖だったと同意します。
原因がどうあれ、米議会で海外移転が否決されるまでは導入の方向で政府間協議が進められていたわけで、導入計画が端から甘かったとは思いませんが。
F-35については、SDD未参加である日本がFACOと国際整備拠点を獲得したのは(採算性の評価は別として)「当時としては」破格の待遇と見るべきでしょう。
繰り返しますが、FACO及びMRU&Oはアメリカやヨーロッパと離れすぎているという”地理的な理由”で導入や運用上のため、小規模なFMS導入という以外では必須です。
無くて導入や運用ができるというものではありませんので、東アジア地域最初の大量導入国は必然的にFMSだろうとセット契約になります。
日本だけではなくアメリカ自体も相当お漏らししていた時期だけどな
F-4の老朽化が差し迫っていたとはいえ契約情報も何も見えない時に焦って莫大な金を払って大した価値もないFACOを誘致したのは後から見れば悪手だったね
今から契約更改出来るわけでもないから言っても詮無きことだけど多国より不利な条件で働かされてノウハウも得られず完全にカモだ
自国にFACOすらなくてアップデートの問題すら解決出来ていない韓国よりマシと考えるしか。少なくとも今の韓国兵器産業の勢いならフィンランド並みの待遇与えられても不思議じゃ無いと思っているけど、条件変更は今更出来ないのか能力はあったとしても技術流出とかパクりとか考えると作りたくないんだろうなって気はする。
トルコ追放前追放後で考えろや。
日本は追放前なんでオフセット枠が当事はそこまでなかった。
トルコ追放時に「日本が代わりを…」みたいな事を言ってる人は軒並みボロカスに叩かれてたからね。
現状を見れば当時ダメ元で動いてみるべきだった様に思うけど。
まあどっちかってーと諸々の国内問題を解決するのが先だろうけどね。
普通に文句言われてたと思うよ>日本が出てきたら
ネックになっているエンジン関係ならさておき
?
「しゃーねーなぁ。エンジンだけだぞ」でみんな幸せじゃないですか。何の問題が?
プログラム出資国とはなんだったのか
金だけ出して購入国と同等の地位しか与えられなかった国は怒っていい
まあ一番F-35の開発が炎上していた時期に調達数削減や調達延期で足引っ張って居たのが彼らなので…
正直者がバカを見る。
国際社会では、良くあること。
まあ、だいたい最初に飛びつくと何でも高くつきますからね。
初期不良や後で買った方がマイナーチェンジで性能アップなどのオマケも付きます。
F-35はエンジンが不透明ですから、これから買う国は待てるならば待った方が良いでしょうね。
日本がF-35の導入を決めてから10年以上経ったのか…
当時のF-35は炎上してたなぁ
「F-22じゃなく欠陥機を買った」
なーんて事が当たり前のように言われてた
残なのはその頃から情報がアップデートされてない奴がまだまだいる事
エンジンの問題が解決されていないから欠陥機というのもあながち的外れな言葉では無いんですわ
F22とF35、どちらがマシかという話だと思うんですが・・・
F22を採用したほうが問題が少なかったと?
F-22J MSIPとかいう迷走したものも見てみたかったw。
日本のF-35のサプライチェーン参加って米国側から打診されたのを三菱が断ったって話じゃありませんでしたっけ。アジア太平洋地域は需要数自体は程々あっても顧客が少ない(シンガポールのような少数採用を除くと実質日韓豪&在留米軍だけ)ですよね。韓国は日本との整備合同を拒否していて、同じ理屈で言えば部品供給も受け入れる可能性は高くないです。豪州に至っては日本に行くのもテキサスに行くのも距離が変わらないですから、日本に生産拠点を集約するメリットが大きくない=生産ラインを設置しても顧客は実質空自のみで採算性が確保できないという話だったような。
対する欧州は比較的狭い範囲で採用国が集中していますから、一国あたりの採用数は小さくても一点に集約するメリットは大きいのでしょう。後発のうえ今まで散々欧州のF-35採用国を野次ったり妨害する側だったドイツが一番美味しいところをかっさらって行くのは納得できないという気持ちは分かりますが、その辺りで納得いってないのは北ヨーロッパ諸国やイタリアも同じでしょう。こんなんだからEU(第四帝国)とか言われるんですよね…
一番いらっとしてるのは、とられたトルコなきもしますが。
こうしてみると日本がサプライチェーン参入できてないのは不公平感を感じるなぁ。今からでも参入を要求してもいいのではないか。
政治的に要求するとしても、F-35のFACOと重整備をしている三菱とエンジン整備に関わっているIHIが首を縦に振るだろうか?