日本関連

KC-46A受け入れ準備が進む空自、米国に派遣中の第405飛行隊が訓練が完了

米空軍は10日、航空自衛隊の第405飛行隊(美保基地)から派遣された隊員12名が空中給油機「KC-46A」の運用方法を学んでいる様子を公開した。

参考:Strengthening U.S.-Japan alliance through pilot training at Altus Air Force Base

空自の隊員によるKC-46Aの訓練が完了して1号機の受け入れ準備が整う

日本は米空軍が導入を進めている新型の空中給油機「KC-46A」を6機導入する予定(2017年に1機、2018年に1機、2020年に4機分の予算を計上済み)で、1号機の引き渡しは年内中(本来は今年6月に引き渡し予定だったのだが新型コロナウイルスの影響で遅延)に行なわれ美保基地に配備されることになっている。

出典:U.S. Air Force Airman 1st Class Amanda Lovelace

このKC-46Aを受け入れる美保基地に新設されたのが第405飛行隊(昨年12月編成)で同隊からパイロットと給油オペレーターが6人づつ米国のアルタス空軍基地に派遣されており、KC-46Aの運用に関する座学やシミュレーターを使用した模擬訓練を経て実機を用いた計8回の訓練を実施、米空軍は「3ヶ月間に及ぶ全ての訓練メニューを無事パスした航空自衛隊の隊員達は日本に帰国する」と明かして訓練の様子を収めた幾つかの写真を公開した。

恐らく空自向けのKC-46Aは米空軍のパイロットによって日本に運ばれるので訓練を受けた第405飛行隊の隊員達は日本でKC-46Aの到着を待つことになると思うのだが、問題はF-35への空中給油をKC-46Aは制限を受けている点だろう。

出典:U.S. Air Force Airman 1st Class Amanda Lovelace

この話は何度も取り上げてきたので詳細は割愛(関連記事を参照)するが、米輸送軍司令部はKC-46Aが空中給油を受ける機体表面に損傷を与える問題が解決するまで同機によるステルス機(F-22A、F-35A、B-2)とA-10への空中給油を制限されている。

ただ昨年9月にまとめられた中国四国防衛局によるKC-46Aの資料によると「当該技術的課題発生時には空中給油を開始しない、中止するという手順を定めることで安全な任務遂行が可能」と説明しているので、もしかすると空自は米輸送軍司令部の運用基準とは別の基準でKC-46Aを運用するのかもしれない。

しかし米輸送軍司令部はリモートビジョンシステム(RVS)とフライングブームの問題が解消するまでKC-46Aの運用制限は継続すると言っているので、少なくとも問題解消が見込まれる2024年まではKC-46Aによるステルス機(F-22A、F-35A、B-2)とA-10への空中給油は何らかの制限を受ける可能性が高いと管理人は思っている。

関連記事:日本が導入する空中給油機KC-46A、当面はF-35Aへの空中給油が不可能?
関連記事:KC-46Aの欠陥は空軍が原因、国防総省が空軍の開発体制を批判する報告書を発表

告知:軍事関係や安全保障に関するニュースが急増して記事化できないものはTwitterの方で情報を発信します。興味のある方は@grandfleet_infoをフォローしてチェックしてみてください。

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force Airman 1st Class Amanda Lovelace

オーストラリア、B-21導入は豪州の長距離攻撃における最高のオプションだと主張前のページ

トルコ、第5世代戦闘機TF-Xのプロトタイプ公開を2023年3月18日に設定次のページ

関連記事

  1. 日本関連

    空母「いずも」に電磁式カタパルト採用でF-35C運用? 米国発「いずも型護衛艦」改造案

    米海軍の「ジェラルド・R・フォード級空母」に採用された「電磁式カタパル…

  2. 日本関連

    日本政府、次期戦闘機のエンジンと機体の一部を英国と共同開発する方向で最終調整

    日本政府は次期戦闘機F-Xのエンジンと機体の一部を英国と共同開発する方…

  3. 日本関連

    国産か海外か?陸上自衛隊、次期装輪装甲車の座を巡って三つ巴の争い

    防衛省は9月10日、陸上自衛隊の96式装輪装甲車の後継車両(次期装輪装…

  4. 日本関連

    改修工事を終えた「いずも」が横須賀港に入港、米強襲揚陸艦に類似したマーキングを追加

    改修作業を終えて横須賀港に入港した「いずも」を写した写真がTwitte…

  5. 日本関連

    中国版イージス艦「052D型」と並走する護衛艦「さみだれ」、日中両海軍が親善訓練を実施

    海上自衛隊は、令和元年度自衛隊観艦式に参加する予定だった中国海軍の昆明…

  6. 日本関連

    自民党、海外輸出を見据えた次期戦闘機「F-X」開発を日本政府に提言か

    自民党関係者は25日、戦闘機F-2の後継機は将来的な海外輸出を見据えて…

コメント

    •   
    • 2021年 6月 13日

    A10は機首に給油口があるから、干渉すると姿勢に影響が出るとかキャノピーを傷つけるかもしれないという事か?

      • 匿名
      • 2021年 6月 13日

      フライングブーム使用時に時々バグるという欠陥があるけど、それとは無関係にそもそもA-10の給油システムが他の空軍機と比べて独特で、物理的にA-10に給油不可能なんだよ。

      4
    • 匿名
    • 2021年 6月 13日

    まあ、普通に考えて、改修終わるまで何年かはKC-46はF−15/F-2用、F-35はKC-767から給油ってなるんじゃん。
    KC-767はKC-46の7割くらいしか燃料運べないから、多少は不便だろうけど、F-35の機数とか、既にKC-767を保有していることも考えると、管理人が連呼しているほど困らず、オペレーションが煩雑で面倒くさかった、レベルで済む気がする。

    19
      • 匿名
      • 2021年 6月 13日

      確かに
      現状、空自の保有機でKC-46Aから給油出来ないのはF-35Aだけだし
      それと中国四国防衛局の資料の内容から考えると、もしかすると空自は問題把握の為、KC-46Aを美保に配備した際にF-35Aへの空中給油のテストを米空軍とは別個にやるのかも知れない

      17
      • 匿名
      • 2021年 6月 13日

      KC767とF35の組み合わせはイタリア空軍が既に実証しているし、F15Jの大半は退役間近のボロだから少々傷がついても諦めがつくから、その組み合わせで当分は問題なさそう。

      14
    • 匿名
    • 2021年 6月 13日

    訓練完了てことですがフライングブーム給油の訓練も含んでるんですかね?
    自動制御は不具合あって当面使えない=手動制御で行えるよう訓練した、てことでしょうか。

      • 匿名
      • 2021年 6月 13日

      やってるんじゃないの?自動化してても何かしらのアクシデントで使えない場合も想定して、最初から手動操作も訓練のスケジュールに入ってるんじゃないかな

      10
      • 匿名
      • 2021年 6月 13日

      KA-46の給油システムは自動化されないぞ。

      テレビカメラを通じた映像に歪み発生してムーブの先端も見えない不具合仕様だから機体に映り込む影を頼りにムーブの先端位置を把握してるから天候が悪かったり夜間だと給油作業が困難になるんだ。

      2
        • 匿名
        • 2021年 6月 13日

        過去記事で確認・把握してきました。
        RVSリモート操作/デジタル制御フライングブームなんですね。
        問題解決になんで3年もかかるのか良く分かりませんでしたが。

        1
    • 匿名
    • 2021年 6月 13日

    次の大統領専用機も順調?に納入が延期されたし、
    悪い意味で予想を裏切らないボーイングさん。

    3
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  2. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  3. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  4. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  5. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
PAGE TOP