ウクライナ戦況

ハルキウで反撃が続くウクライナ軍、イジュームで前進を見せたロシア軍

ウクライナ軍のハルキウ州における反撃はボルチャンスクに向けて順調に進んでいるが、イジューム方面ではロシア軍がVelyka Komyshuvakhaを全て占領することに成功してウクライナ軍は後退した。

参考:В Луганской области украинские бойцы разбили врагов, которым удалось форсировать местную реку

スラビャンスクとセベロドネツクの間のドネツ川渡河の試みは失敗、一部上陸に成功したロシア軍部隊への掃討戦は継続中

ウクライナ軍のハルキウ州における反撃は依然として続いており、遂にRubizhneを奪還してボルチャンスクに近いStarytsyaに迫っている。但しボルチャンスクにウクライナ軍が向かうにはドネツ川を渡河する必要があるので橋の確保に失敗すればハルキウ州東部での反撃はドネツ川東岸で停止するかもしれない。

出典:GoogleMap 大まかなハルキウ周辺の状況/管理人加工

州都ハルキウ周辺のロシア軍は塹壕を掘って防衛力を強化しており、ハルキウ攻略を再開する可能性は低いものの同地域のウクライナ軍を釘付けにするため粘るつもりだ。

逆にイジューム方面ではロシア軍がVelyka Komyshuvakhaを全て占領することに成功、ウクライナ軍はHrushuvakhaとBarvinkoveに向けて後退した。

出典:GoogleMap 大まかなイジューム周辺の状況/管理人加工

ロシア軍によるスラビャンスクとセベロドネツクの間のドネツ川渡河の試みは失敗、舟橋を破壊される前にBilohorivka付近へ上陸したロシア軍部隊の一部(約80人規模らしい)に対してはウクライナ軍による掃討が続いており、これを完全に殲滅したという報告は今のところない。

他の戦線(ムィコラーイウ州、ヘルソン州、ザポリージャ州、ドネツィク州)については大きな変化は確認されていないが、ロシア軍はクリミア方面に追加のS-300やMLRSを持ち込んだことが確認されており、一体どこまで装備補充が続くのだろうか?

追記:国防総省は10日、ジャーナリスト向けのブリーフィングで「ロシア軍の第二段階作戦は計画で予定されたスケジュールから2週間遅れている」と明かしたらしい。

関連記事:ロシア軍部隊の一部がドネツ川の渡河に成功、ウクライナ軍と交戦中
関連記事:ポパスナを手中に収めたロシア軍、イジュームで反撃に出たウクライナ軍
関連記事:ハルキウで前進するウクライナ軍、スラビャンスクで前進するロシア軍

 

※アイキャッチ画像の主張:Сухопутні війська ЗС України

お知らせ:記事化に追いつかない話題のTwitter(@grandfleet_info)発信を再開しました。

マリウポリで戦うアゾフ連隊、負傷者を公開して治療の必要性を訴える前のページ

ベネズエラと軍事的緊張が高まるコロンビア、M1A2調達を米国に打診次のページ

関連記事

  1. ウクライナ戦況

    ザポリージャ州とドネツク州でウクライナ軍に動き、反攻作戦に向けた前哨戦か

    ウクライナ軍とロシア軍がザポリージャ州オレホボの南で交戦中という報告が…

  2. ウクライナ戦況

    ザポリージャの戦い、ウクライナ軍がロブコべに続きプヤティハツキーを確保か

    ロシア側情報源は「ロシア軍がザポリージャ州カムヤンスキー方面の集落から…

  3. ウクライナ戦況

    英国防相、ロシア軍を追い出すためウクライナ軍に長距離砲供給を決定

    ウォレス国防相は31日、戦いが進軍阻止から奪われた領土の奪還に変化した…

  4. ウクライナ戦況

    ウクライナ軍がリシチャンシクを解放したという噂、まだ視覚的裏付けはない

    ジャーナリストのニール・ハウアー氏は「リシチャンシクがウクライナ軍の管…

  5. ウクライナ戦況

    ウクライナ軍参謀本部、オデッサ方向でSu-30SMを撃墜したと発表

    ウクライナ空軍のオレシュチュク司令官は24日「マリウポリ方面でSu-3…

  6. ウクライナ戦況

    ウクライナ軍は南部で前進し、ロシア軍は東部で反撃の度合いを高める

    侵攻567日目の戦況はザポリージャ方面でウクライナ軍が前進、南ドネツク…

コメント

    • や、やめろー
    • 2022年 5月 11日

    ヘルソンあたりはどうなったんだろ。マリウポリまで辿り着けるかどうか…いずれにしよ、ドネツク川で、睨み合いが始まった場合、ウクライナ軍の方が有利ということはロシア側もわかっていると思うが強行突破した結果がこれだしな。

    10
    • h4
    • 2022年 5月 11日

    戦争研究所(ISW)の発表では衛星画像OSINTで煙の量を評価するなどの手法で激しい戦闘が起きてる地域を毎日発表しているが、ヘルソン付近は断続的に小競り合いと相互の小攻勢が起きてる程度でにらみ合いに近い膠着状態の様子。ただ、ロシア軍がクリミアから兵器の搬入を続けているので、どこかで大攻勢があるかもしれない。

    3
    • トト
    • 2022年 5月 11日

    ロシア軍は大規模な包囲というよりもとにかく補給線をあちこちで寸断させるような動きに見えますね。
    ポパスナで対地攻撃を行ったSu-25の動画がありましたがミサイルが枯渇していると言われるロシア軍において攻撃機は重宝されそうですね。

    1
    • zerotester
    • 2022年 5月 11日

    イジュームのロシア部隊は本来はスラビヤンスクに行きたいが、正面からは無理そうなのでバルビンコブに迂回しようとし、それも跳ね返されたのでさらに西側に回ってる感じですね。どんどん遠ざかって東側から攻めている部隊との連携が難しくなっていますが。Velyka Komyshuvakhaは小さな集落ですがバルビンコブを攻めるための拠点を作ったということなのでしょう。

    ハルキウで攻めあがっているのはハルキウの領土防衛隊みたいですね。市民兵の部隊だと思いますが強いな。砲兵の支援は受けているのでしょうけれど。損害を被ったロシア部隊の一部はロシア領内に撤退したそうだけれど、予備部隊から回された増援も来ているのでこの勢いがいつまで続くかですね。

    6
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  2. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  3. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  4. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  5. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
PAGE TOP