ギリシャ政府が提案していたトルコに対する武器禁輸措置はEU主要国の支持を得られなかったため、首脳会議後に発表された声明文に反映されなかったと報じている。
参考:Five countries blocked EU sanctions against Turkey
NATOやEUの「口だけの支持」に踊らされたギリシャが馬鹿だったのか?用意周到なトルコのエルドアン大統領が一枚上手だったのか?
トルコと東地中海問題で対立しているギリシャのミツォタキス首相は先週ブリュッセルで開催されたEU首脳会議で「トルコに対する武器禁輸措置」を強く要求、これをフランス、オーストリア、スロベニア、キプロスが支持したが、経済的な理由やトルコのエルドアン大統領が政治目的で制御している不法難民を恐れたドイツ、スペイン、イタリア、ハンガリー、マルタが反対したため首脳会議後に発表された声明文に「トルコに対する武器禁輸措置」は反映されなかったとギリシャメディアが報じている。
補足:ドイツはリビア内戦介入を理由にトルコ向けの武器輸出を表向き禁止したが、実際にはリビア内戦に使用されない武器や軍需物資に関しては輸出を継続したため昨年の対トルコ武器輸出の総額は約10億ドル(約1,100億円)に達し、トルコはドイツ防衛産業界における最高の顧客(ドイツ武器輸出額の1/3はトルコ向け)になった。 さらに政府の許可が必要ない軍事転用可能な装備品や物資まで含めると対トルコ向けの輸出額は80億ドル(約8,600億円)を越えると中東系メディアが指摘している。
ギリシャメディアによれば、東地中海問題でトルコとの協議を控えた時期に武器禁輸措置を持ちだせば協議自体が壊れてしまう危険性をギリシャは十分理解しており、トルコに対する武器禁輸措置を即発動するのではなく「武器禁輸措置発動もあり得る」とトルコとの協議を控えたギリシャに「交渉材料」を与えて欲しかったとミツォタキス首相の狙いを説明、今後もEU加盟国に対して粘り強く説得を行うしか無いと指摘した。
管理人の個人的な感想だが、恐らくギリシャは今回の結果について相当落胆してるはずだ。
トルコとしては東地中海の海底に眠る天然資源開発を進めるため早急に排他的経済水域(EEZ)策定したいのだが、ギリシャはエーゲ海の島々に大陸棚設定を認めず領海12海里以外の海域はトルコ領土から伸びた大陸棚上にある主張しているトルコと話し合っても無駄(ギリシャはエーゲ海の島々にも大陸棚設定を主張して中間等距離線でEEZ設定を要求)だと考えているため、トルコのEEZ策定交渉に応じてこなかった。
そこでトルコはギリシャとの軍事的緊張を意図的に演出することで両国の衝突を懸念するEUを動かすことに成功、ギリシャはEUの説得でトルコとの協議に渋々応じることになったのだが、トルコは意図的に軍事的緊張を作り出したにも関わらずEUから何のペナルティも課されなかった=ギリシャばかりトルコの主張に歩み寄らされている状況と言える。
ギリシャとしてはEUの説得でトルコとの協議に応じるのだから、せめて交渉の切り札として「交渉が決裂したら武器禁輸措置発動もあり得る」ぐらいの言質が欲しかっただろう。
果たしてNATOやEUの「口だけの支持」に踊らされたギリシャが馬鹿だったのか?用意周到なトルコのエルドアン大統領が一枚上手だったのか?
管理人的にやり方は好かないが後者の可能性が高いと思っている。
※アイキャッチ画像の出典:Christiaan Colen / CC BY-SA 2.0
やっぱり、エルドアン大統領様のことをただの頭おか志位独裁者、トルコ版文災害などと考えていたのは大きな間違いだったか…
そこはあながち間違いではないと思うけど、EUは対ソ連を主眼において創設された共同体ではあるからねえ
あとギリシャとそれに全力で乗っかってるフランスの主張が本当に正当性のある物なのかというのもあるし
トルコはクリミア問題でウクライナ寄りの姿勢を打ち出していて、この前軍事協定も締結してたしな
対ロって意味じゃあちゃんとEU&NATO(&アメリカ)の意向に沿ってるとも言えるんだよね
このギリシャとの領海問題もそうだけど、独裁傾向が強いとはいえエルドアンはそういう政治力学はまともってのが不思議
あとはこの火事場泥棒的な外交が長くは続かないと理解して引き際を心得ているかどうかだな
あまり世間の評価に踊らされて風呂敷広げすぎると失敗した独裁者の仲間入りするとは思う
反トルコで親ロシアのキプロスが加盟してる時点でちょっと…
キプロスとギリシャはヨーロッパ内の親ロシアですよ、文化的、歴史的、経済的結び付きもある
この件でヨーロッパは内部で分断されたとは、言い過ぎだろうか?
これから南キプロスとギリシャがロシアにいっそう接近するとみて良いです
ローマ帝国崩壊後の東欧地域の変遷を上辺だけでも知ればわかることだが、現在のギリシア人は”スラブ系”。現在を視るとき、昔を知っておくことは大切。
聞こえは悪いがうまくは行ってる。
問題はどう着地させるかだと思う。
EUにおけるギリシャの立場も関係ありそうでな…世知辛いわ
ギリシャは経済危機で足を引っ張ってたりEU内の劣等生だし
ドンパチやりたい時だけ共同体に頼ろうとすればまあそうなるとしか言えない…
ECに見捨てられたギリシャは悲惨ですね。
こうなると中国が出てくると思っていたのですが動きないさそうです。
中国はトルコの東進を警戒しカスピ海東岸を押さえに入ったのかしらん。
訂正です。
>ECに見捨てられた・・。
EUに見捨てられた・・。
でした。
もうトルコの時代来てるだろこれ。バイラクタルTB2でギリシャやロシアはもちろん周辺国みんな粉砕できそう。
エルドアンのやってる事はかなり危険な外交だけど得てしてこういう為政者は魅力的に見えるもんだ
そして高い代償を払わされるのはいつだって祭りの後
ナチス……ヒトラー……うっ頭が
国境開放されて難民がトルコ素通りするようになったらそれこそEU破滅しちゃうししょうがない
エルドアンはイケイケドンドンですな
トルコもトルコでコロナ禍以前から経済しくじってるしな。対外向けにイケイケドンドン()を半ば止めたくても止められない状態。そうして最期は破滅した国・権力者なんて歴史上枚挙に暇が無い。
まあ、コロナ禍やアメリカ大統領選でどこの国も身動き取れない間だけかもな
その間に固定化しちゃえば勝ち組とか思ってるんじゃないんでしょうか。
まあ大陸棚問題も結局はオスマン帝国を追撃したギリシア側が悪いわけで
EUはやっぱりEUだなあ…。
モンゴルに押されたゲルマン人に次々と侵入された暗黒時代と、不思議とイメージが被るんですよね。
むしろ、ヒトラーの台頭を傍観してミュンヘン会議で妥協した結果、第二次世界大戦を招き寄せた英仏を連想させる
個人的には、本当に馬鹿だったのはエルドアン大統領よりも彼を止めなかったEUだったとしか思えない
これで、エルドアンだけでは無くアゼルバイジャン辺りの跳ね上がり国家も勢い付いただろうから、欧州は何れ滅茶苦茶になってしまう未来しか見えなくなった
トルコも最終的にはロシアと直接衝突コースなんだろうな。通算12~13回目の露土戦争か。
そこはどうだろう…もしかしたら、あのエルドアン大統領なら逆にロシアと組んで黒海と地中海周辺の覇権を狙うって選択肢も有る様な気がするので、今後のトルコ周辺の勢力図は本当に読めないよ
上でも言及されてるが、ナチスとソ連も当初は世界から爪弾きにされた者同士で手を組んでた筈が結局はあの戦争だったしな。。。
ドイツとロシアみたく、トルコとロシアも本来なら地政学上は不倶戴天の宿敵同士。
難民問題と中国に入れ込みすぎたドイツ、そして内部対立。
EUはもうだめかもわからんね。
ブレグジット大正解だったな、さすがイギリス、先を読む目だけは確かだな。
日本はTPP+アメリカでブロック経済をやるしかない。
まあ、そのイギリスも今後の経済の見通しが読めないし、アメリカは今度の大統領選の結果次第では大混乱が待ち構えているかも知れない上、我が国も経済と少子化の行方次第ではお先真っ暗になる可能性が有るので、果たしてブロック経済が出来るかどうか不安なんだよね……
イタリアはリビアでトルコと同じ側を支援していて、スペインはトルコ海軍の揚陸艦建造に参画していて、ドイツには数十年前から数百万人のトルコ系移民が居て、ハンガリーはトルコのパイプラインの経由予定地の上、終身大統領制を模索するなど強権政治なのでトルコにもベラルーシにも寄り気味
EUもNATOもバラバラである
もし、トルコがEUに加盟していたら
難民についてはトルコの責任で面倒見る義務が生じていたのかな
EUじゃないから、難民を政治的武器として使えるようになっているわけ?
そういうこと。EU加盟国じゃないから国境で足止めすることが出来る。EUにとって加盟国でないトルコは不法難民の防波堤になっているで、EUはトルコの機嫌を損ねることができないのよ。
ギリシャがEUから支援されないのは長年にわたってEUの足を引っ張っていた問題児だったからって言うのもありそう
ドイツなんて一番迷惑かけられてたからその仕返しじゃないけど思うところはありそうだな
地球の反対側の話だからエルドアン持ち上げていられるが、やり方は日本の位置・目線から見た中国や北朝鮮の恫喝外交とあんまり変わらないよな。「全面戦争だ!」「難民送り付けてやる!」「貿易してやらないぞ!」と恫喝繰り返して一時的な成果を出しても周辺国はよりトルコを警戒するだけ。
結局そこだわな…近隣諸国だったら間違いなく周辺諸国から仮想敵にされるやり方だと思う
中国はやりすぎて世界の敵になりつつあるけどトルコはどうかな?という所
西欧諸国との歴史的因縁とは切り分けて降ろすべき所で拳を下ろせるか破滅まで行ってしまうか
エルドアンのイケイケドンドン路線()って暴落した経済に代わって、オスマン帝国復活のナショナリズムだろうな。経済よりもその「切り分け」が困難だと思う。
トルコリラの価値が大暴落しているのが証拠よなぁ
ちょっと前までは順調だった経済もズッコケたし
ドイツwww
綺麗事を言いつつ裏ではやることやってるのな。
チェンバレンの失敗から82年。欧州は何も学んでないな
覇権主義国家を野放しにしてこれほど周辺が燃えているのに…
チェンバレンでググってみたが、当時はソ連への体のいい防波堤兼鉄砲玉にする魂胆で放置・黙認して更に増長させた点までそっくりだわ。
全く違う所と言えば、当時のドイツは第一次大戦でボコられたと言っても世界有数の科学技術と工業力を持った大国で、トルコは地域大国どまりと言う所くらいかね。
さすエルドアン。野望を隠しきれないな!このままスルタンにでもなるつもりかね。
対ナチスもそうだし対中国もそうだけど自分とこに被害が及ばなきゃ日和見決め込むのは民主国家の弱点だな
にっちもさっちも行かなくなってから慌ててドタバタすることになる
まあ国民全員が賢くて大局的に物事を見るなんて事が不可能な以上どうしようもないんだろうけどさ
おかげで上手く状況にはまると独裁国家が伸長してしまう
ではトルコを追いつめても、今度は中国と手を組みかねない
それはロシアにもEU、NATOにもますます面白くないし、日本にもかならずマイナス効果が波及する
中国、ロシア、イラン、トルコが組むことはありえそうです。
頭文字をとってCRIT(くりっと)とかいうのかな。
しかし短期間で分裂しそう。
かつての三国同盟なんぞより危険な感じ
自由の無い国ばかり
メルケル独裁政権の綻びがあからさまに露見してきた。これまで歯の浮くキレイ事を並べ立て、EUを操ってやりたい放題だったドイツの”僭主”が求心力を失った結果だろう。今月ドイツのマース外相が、トルコの急進的な動きを公式に非難し、ドイツはギリシア側に立つと表明していた矢先に、ドイツは自国の利益を優先してトルコにおもねった形だ。ギリシアはEUの裏庭にすぎないかもしれないが、邪険に扱われる謂れはないはず。エルドアンはメルケルと似た者同士だから、メルケルの考えや出方が丸わかりなんだろう。ふたりの関係も濃密。
そもそもEUに散々迷惑かけてこうゆうときだけ頼ろうとしても上手くいくわけない
まぁそうなんだけど
一応互助組織でもあるのに助けなかったらEUの意味有る?ってなっちゃうわけで
EU懐疑派が勢い付いちゃう
まあ、8月末にポンペオ国務長官が来て合同演習もやっていたし、ギリシャも最後はアメリカに泣き付くんだろうな。
ギリシャ人がスラブ系?
地中海系のギリシャ人とスラブ系であるロシア人の顔は違うと思うが?