ドイツを代表する防衛産業企業のKMWとRheinmetallは「ロシア軍の戦いに投入が決まったレオパルト2」の開発・製造で協力関係にあるものの、両社は法廷で「レオパルト2は誰のものなのか」を争っている真っ最中だ。
参考:Rüstungskonzern zieht vor Gericht: Wem gehört der Leopard 2?
当時の連邦調達部門はシステム全体の知的財産権をKMWが所有していると回答
独仏はレオパルト2(約300輌)とルクレール(約200輌)を更新するため次期主力戦車=Main Ground Combat System(MGCS)の開発を共同で進めており、この計画にはKMW、Rheinmetall、Nexterの3社が参加しているのだが、MGCSと競合するパンターを独自に開発したRheinmetallにKMWは激怒、同社でCEOを務めるラルフ・ケッツェル氏は昨年末「MGCSのパートナーに残れない」と主張したことがある。
ケッツェル氏は「MGCSの開発体制にRheinmetallは割り込んできたのに、これと競合するパンターを発表してしまった。MGCSの開発に関わるRheinmetallが独自にLeopard2の後継モデルを提示してきたのだ。開発体制の枠組みを壊す行動なのでMGCSのパートナーには残れないだろう」と指摘、さらに「RheinmetallはKMWと共同でプーマを開発したのに独自のリンクスも開発して競合関係に陥ってしまった。RheinmetallはKMWとの協調関係を無視している」と批判。
さらにRheinmetallでCEOを務めるアーミン・パッパーガー氏は今年3月「レオパルト2A4までの権利は同社にある」と発言したため再びKMWが激怒、発言の撤回を要求したたもの拒否されたため、この問題は法廷に持ち込まれ「レオパルト2は誰のものなのか」を争っている真っ最中だ。
1980年代に生産されたレオパルト2はミュンヘン、カッセル、キールで生産され、キールの生産拠点をRheinmetallはMaschinenbau Kielから引き継いでいるため「ライセンス生産されたレオパルト2A4は自社の権利に基いている」とパッパーガー氏は主張しているのだが、スペインが1995年に「レオパルト2の権利は誰が所有しているのか?」と当時の連邦調達部門に問い合わせて「システム全体の知的財産権はKMWが所有している(各コンポーネントの知的財産権は開発企業が所有)」と回答している。
そのため裁判所は「レオパルト2はKMWの製品でRheinmetallはサプライヤーの立場に過ぎない」と判断する可能性が高く、そうなるとレオパルト2A4の車体を使用しているパンターは「KMWの権利」を無断で侵害していることなり、キーウに提案している「ウクライナでのパンター生産」は御破算になるしかない。
因みに本件を報じたノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥングは「最高の戦車がロシア軍相手にどのような戦いを見せるか世界が注目する中、レオパルト2を共同で生産するKMWとRheinmetallは戦車の権利を巡って争っている」と書いている。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Army photo by Visual Information Specialist Markus Rauchenberger/released
大人気ないなあ。
パンターをLeopard2A8と言い張って共同で売るとか、砲塔をユニバーサルターレットにして、M1、ルクレール、M48/60に搭載出来るようにして売るとか。
上手く商売しないとね。
チャレンジャー1/2にも載せよう。
大人気ないかね?今後の展開や収益に関わる事だし当然と言えば当然なのでは。
ユニバーサルターレットにしたとしても流石に砲塔ポン付けなんてノーリスクで出来るわけもなく、将来の投資としてラインメタルが各車両に合わせた改造するかに成功の鍵が有るだろう。
M1だって元が120mm前提で作られたんで初期型はその分バランスが悪かった筈だし、砲レベルでそれなら砲塔まで行けばより影響が大きいのは目に見えている。
当然クラウスマッファイのだと思ってたわ。こんな議論が発生するなんて意表をつかれた。
勝手にリンクスなんか作りやがっては草。プーマで外需相手に商売しろとか無理ゲーだろし独軍に無縁の仕様で社内で別モン作るの当たり前すぎるんだが、KMWは協業を省かれたとか思ってんですかね。
ラインメタルは独製AFVのブランド価値を保護すべく立ち回ってるように見えるが社内開発での新型を出す事もないKMW様って何様なんだろって感はあるぞ。
ここでパンターの計画が潰れても、K2戦車とアルタイという競合相手が、MGCSのローンチより早く欧州内に進出するし、最悪これからレオパルト2から大砲が無くなるか、おフランス製の大砲を搭載するかになるかもしれない。
システム全体での財産権はKMW社が持っているかもしれないが、各コンポーメントの財産権が各社にあるのであれば、ポルシェ社が車体関連の権利を持っているのではないだろうか?
現代のポルシェ社が軍事産業に関わっている話は聞かないので、その権利がどこに行ったのかまではわからないが、ゼロじゃないだけで可能性は低いだろうが、ラインメタルにも勝ち目があるのではないだろうか。
うわっ、シャレにならない……
と言うのも、ドイツでは陸軍の次期小銃コンペに当初ヘーメル社のMK556を採用すると決めていたものの、コンペに敗れたH&K社が自社の特許をヘーメル社が侵害しているとして裁判を起こし、昨年H&K社が勝訴してHK416A8がドイツ軍の次期自動小銃に選定されたばかりだって言うのに
しかも、今度の裁判の行方次第ではRheinmetallの存続が危ぶまれる可能性があるし(上記の裁判で敗訴したヘーメル社は過去に製造したMK556を回収・廃棄しなければならず、廃業の危機の可能性も有ると言う)
コンペで勝ったのには性能やコスト面で理由が有るでしょうにそれを回収破棄させてまで次点を採用なんですね。。
さすが官僚主義のドイツといった感じですが、これもポリコレを求め過ぎてにっちもさっちも行かなくなる西側諸国の悪い面に見えますね。
独裁や国営で何でもありは勘弁して欲しいですが、ルール一辺倒のがんじがらめも国益に害があるので、まだまだ民主主義資本主義にも欠点があることを思い知らされます。
上の方でも書きましたが、ヘーメルMK556の採用が撤回された理由はH&Kが持つ特許を侵害していた事が裁判で実証された為です
因みに問題となった特許については出典の方で詳しく解説されていますが、オーバーザビーチ能力と言って銃器内に浸透した水を逃がす設計原理についてであり、ドイツ国内では適用されないものの欧州の特許である種、EUの他の国へ輸出された場合に有効になるのだそうです
後、特許権侵害はどの国でも重罪だと言うのを忘れて欲しく無いと思います
尚、H&Kは今回のドイツ陸軍次期小銃コンペで当初HK433を提示していましたが、裁判中にHK416A8に変更して採用を勝ち取っています
【出典:ドイツ陸軍は紆余曲折を経て次期小銃にHK416A8を採用する事を決定】
リンク
済みません
誤記が有ったので訂正します
誤:ドイツ国内では適用されないものの欧州の特許である種、
正:ドイツ国内では適用されないものの欧州の特許であり、
以上、大変失礼しました
今やらなきゃ駄目?と言いたいが、NATO所属国が戦闘に巻き込まれてからよりはいいのかな。いいのか?
まあドイツのグダグダは今に始まったことじゃないし、徹底的に膿を出しておくのもいいかもね。
アメリカはこれからは軽い戦車だと言わんばかりにエイブラムスXとか発表してるし、今まで戦車輸出で強かったロシアは戦車で内需重視になり、輸出は弱くなるだろうし、イタリアは共同開発相手探しに忙しく、イギリスはドイツに開発委託でドイツはお家騒動で内輪揉めと‥これって新規参入のチャンスなのでは?日本が軽い本格派戦車のシェアを取りにいけるのでは?と思えてくる。
参考
これからは戦車も忍者にならないとね。
リンク
エイブラムスxは燃料半減を謳っているがそれでもレオパルド2と同等という😭
軽いのだったら10式ではだめですか?
素直でいい戦車ですよ~。
ポーランドでライセンス生産するK2PLの車台に新型パンターの中身を詰め込めばいいんじゃない?
どっちもパンターだし。
ミリタリー界隈を齧り始めた時はドイツへには憧憬の視線を向けていたのになぁ…
ウクライナ情勢により購入後もあれこれ束縛されるのが可視化されたというのに、ますますドイツ兵器購入に対する不安要素が高まるだけなのでは…と
レオ2A4の知的所有権は、まだ有効だったのかな。
普通、20年だったと思うけど。
1990年にソ連が崩壊しているから、その時点でA4であれば、
現在は43年目が過ぎつつあるように思うのだけど。
間違えました。
33年目ですね。恥ずかしい。
まぁこういう話になりますよね。兵器輸出産業におけるドイツ政府の消極的姿勢や欧州産業界の護送船団的な同調圧力に縛られず、自社工場で作った製品を海外に自由に売りたいというラインメタルの思想は以前から一貫していたと思います。ただこのサイトで過去散々触れられているように、政府から完全に自由になってしまった、国家のサポートを全く受けられなくなった兵器メーカーに明るい未来なんて無いのはラインメタル自身も承知のことでしょう(そもそも自由になったところで最大の顧客は地元ドイツなのだし)。KMWとラインメタルの争いは単に陸上兵器メーカーの納入覇権争いでなく、欧州兵器産業の全体主義と商業主義の争いという見方もできるのかもしれないですね。