欧州関連

EU首脳会議、500億ユーロのウクライナ支援に27ヶ国の首脳全員が合意

EUによる500億ユーロのウクライナ支援はハンガリーの拒否権発動によって不発に終わり、2月1日の特別首脳会議に向けて加盟国はオルバン首相の説得を試みていたが、欧州理事会のミシェル議長は「27ヶ国の首脳全員が500億ユーロのウクライナ支援策に合意した」と発表した。

参考:EU summit agrees on Ukraine aid, overcoming Hungary objections

ウクライナに対する長期的で安定的な資金供給が確保された

ロシアと戦争中のウクライナは税収以上の資金を軍事分野の支出に割り当てているため、政府機能の維持や経済分野など「非軍事分野への支出」は米国、カナダ、EU諸国からの金融支援やIMFの融資で賄われており、ゼレンスキー大統領も「もし社会保障への財政支援が途切れると我々は軍事分野の支出を減らすか、社会保障への支出を全く行わないかを選ぶしかない。いずれにせよ危機的状況に陥ることは確実で戦争の行方に大きく影響を及ぼすだろう」と述べていた。

経済支援に最も大きな額を提供しているのが欧州(米国は全体の1/4程度)で、EUは2024年~2027年をカバーする500億ユーロ(補助金170億ユーロ+融資330億ユーロ))の経済支援策を打ち出したもののハンガリーの拒否権発動によって不発に終わり、2月1日の特別首脳会議に向けて加盟国はオルバン首相の説得を試みていたが、欧州理事会のミシェル議長は「27ヶ国の首脳全員が500億ユーロのウクライナ支援策に合意した」と発表。

ミシェル議長は「(今回の決定で)ウクライナに対する長期的で安定的な資金供給が確保された」と付け加えており、欧州はウクライナ支援に関する山場を乗り越えた格好だ。

関連記事:ウクライナ支援に関するハンガリーの妥協案、支援阻止の権限を増やすだけ
関連記事:EUのウクライナ支援、加盟国の全会一致が必要ないBプランを準備中
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関連記事:ハンガリー首相、拒否権発動で500億ユーロのウクライナ支援を阻止

 

※アイキャッチ画像の出典:European Union

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コメント

    • ウクライナに栄光あれ
    • 2024年 2月 01日

    欧州はウクライナと共に在り続けることが証明された。ロシアの思い通りにはいかないよ。ロシアを滅ぼすまでウクライナは戦い続ける!

    18
      • 歴史と貧困
      • 2024年 2月 01日

      戦わせ続ける、の間違いでは?
      援軍は出さずに金を出すだけで、手を汚すのは他人に押し付けることを「共にあり続ける」と呼ぶのが欧州なら、中東やアフリカの人達は友人になりたいとは思わないでしょう。次は自分達が「ウクライナ役」を押し付けられる。

      「ウクライナに栄光あれ」=「欧州の肉壁となれ」

      49
        • ゲストさん
        • 2024年 2月 01日

        別に欧米も日本もウクライナに戦えなんて言ってませんよ?
        そも軍事同盟も結んでいない上に、核戦争の危機もある国に、援軍を出す国家とかかこの世に存在しませんよ。
        結論ありきで批判をすると、過程がおかしくなりますよ?

        66
        • NHG
        • 2024年 2月 01日

        ある意味では正しいけど悪く言いすぎでしょ
        ウクライナには戦う意思があり、ウクライナ目線では(西側に)戦わされているわけじゃないんだから

        44
          • 匿名さん
          • 2024年 2月 01日

          戦う意思ってなんなのでしょう。

          本土決戦中に、損耗した50万人の補充がなかなかできない。
          なぜゼレンスキーは、それほど動員に後ろめたさがあるのでしょうか。

          本当にウクライナに戦う意思というものがあるなら、
          動員問題がこれほど長期化することもないと思います。

          21
            • irokoi
            • 2024年 2月 01日

            何か勘違いしてますけどロシアの目的がウクライナの土地でなくウクライナの属国化である以上、戦うのを止めるって選択肢は無いですからね

            35
            • da5g
            • 2024年 2月 01日

            >本土決戦中に、損耗した50万人の補充がなかなかできない。

            まずこの認識が誤っているかと。
            「45万人~50万人の追加動員が必要」との話は出ていますが、損失補填のためだけに動員するのではなく、侵攻初期から戦い続けてきた兵士の交換要員確保も動員理由の一つです(先月に管理人さんも述べていましたが)。
            そして50万人動員しても訓練や装備が必要になります。
            ロシアみたいに素人に銃を持たせて突撃させるなら動員は簡単ですが、今のウクライナにロシアと同じやり方はできないでしょう。
            動員に後ろめたさを感じていないロシアが異常なだけかと。

            23
              • baka
              • 2024年 2月 02日

              ロシアが素人に突撃させる証拠はなにもないですよ、異常なのは
              前線の状況ではないですか
              ロシアよりの動画を多く見てるんですが
              最前線の塹壕にいるウクライナ兵は
              無抵抗で降ってるほうが多く
              素人ぽいんですよね

              7
            • NHG
            • 2024年 2月 01日

            動員解除デモはあっても即時停戦デモはないことで証明されてるのでは?
            「動員解除デモは官製のガス抜きデモで即時停戦デモは許可されず弾圧されている」いう可能性は否定しないけど、国民に継戦の意思がないと想定するには政治が安定していて違和感(むろん同町圧力で言えない/言わないだけという人は相当数いるだろうけど)

            動員の問題は、動員されていない国民の市民活動が欧米からの財政支援の受け皿になってる面があるそうなので(日経の記事で読んだ記憶だけど探しても見つからない)、動員とそれらのバランスをとるのが難しいんじゃないかな

            15
              • 匿名さん
              • 2024年 2月 02日

              >国民に継戦の意思がないと想定するには政治が安定していて違和感

              西側諸国がゼレンスキーを祭り上げたことで、
              ゼレンスキーを変えるという選択肢を、ウクライナ自身が取りづらい。
              (西側諸国からの支援の関係が壊れかねない)

              それに、戒厳令中であり、領土損失を伴う停戦は親ロ派認定されてしまう。

              それに、日本の例でいえば、支持率20%台でも、
              選挙がなければ、民意は反映されない。

              あと、私が思うところとしては、
              戦場に行って戦う意思のある人と、
              国の継戦は支持するけど、自分は戦いたくない人。

              現在、生き残っている国民の中で、どちらが多数派なのでしょう。
              ウクライナの民意も、西側諸国と同じく、移ろいやすいものと思います。

              13
        • れんちゃ
        • 2024年 2月 04日

        欧州は何度もロシアと妥協しようとしたんだよ。でもロシアはウクライナを手に似れたらその兵力を用いて次はお前らだという話をやめなかった。そんなんじゃウクライナも欧州も抵抗を続けるしかないでしょ…
        仮にロシアに降ったとしても、ロシアの為により装備が充実した欧州へストームZの様に攻め込まされる話になるそんなのやってられんよ。ロシアがそういう事をのたまう言動を止めないとお話にならんのだな。

        2
      • あるまじろ
      • 2024年 2月 01日

      ロシアが滅びるまではちょっと盛りすぎじゃない?
      気持ちはわかるけどね

      14
      • コンビニ
      • 2024年 2月 01日

      twitterの同名の方ですか?

      4
      • 西側こそ鬼畜
      • 2024年 2月 02日

      ウクライナを滅ぼすまでロシアや反西側連合諸国は戦い続ける

      12
    • kame
    • 2024年 2月 01日

     これは朗報ですね。ハンガリーとしてはこの辺りが潮時と考えたのか、裏で自国有利になる条件でも引き出したのかは分かりませんが、満場一致で支援について可決出来たことはEUの一定の結束を世界に示すことになる。
     残るは本丸のアメリカですが、こちらもなあなあで支援について議会を通せることが出来ればウクライナとしては一安心できるでしょう。支援が継続されることが分かれば、追加の徴兵についての理解も得られやすくなるでしょうし、一歩前進ですね。

    24
      • ななしびと
      • 2024年 2月 01日

      しかしここにきてザルジニー解任されたいや待ったがかかってナシになった
      みたいな情報あったりとかで肝心のウクライナの中がゴタついてそうですねぇ…

      8
        • kame
        • 2024年 2月 01日

         ザルジニーさんの件については、私個人は政権側の言い掛かりだと考えているので擁護のしようがないですね。ザルジニーさん本人との対話をした上なのか、はたまた言動から勝手に憶測を立てた上でなのかによって、印象は大分変わるとは思いますが、流石にその辺りは分からないままでしょうし。

        2
    • 古銭
    • 2024年 2月 01日

    ハンガリーが要求していた毎年の再承認に対してEU側が妥協案として出した年次報告と首脳会合、二年以内の計画修正で着陸した形ですね。ハンガリー向けの凍結資金もある程度動きましたし、決着としては妥当なところではないでしょうか。

    27
    • 思い付きだけど
    • 2024年 2月 01日

    ここで「EUも金を出して見せたぞ」というところを示した結果、アメリカ側(特にトランプとか下院)も「よし、それでは本気を見せてやろうじゃないか」となればいいんですけどねぇ。

    14
      • 無名
      • 2024年 2月 02日

      寧ろアメリカの共和党とかは「EUが面倒を見るのだから放っておいてもいいだろう。国内とイスラエルの方に専念しろ!」とか言いそうでは?

      15
    • 匿名
    • 2024年 2月 01日

    来年度以降の資金ショートによる経済破綻リスクを回避出来そうな見込みが立ったという報告であり、肝心の軍事資源の不足に対する合意形成はこれからの様なので、現時点では時間稼ぎの延命処置と言う印象ですね。

    16
    • 暇な人
    • 2024年 2月 01日

    拒否権はく奪とかになるとおそらくスロバキアとかブルガリアもそれには流石に反対するでしょうから、経済制裁をちらつかされて譲歩を迫ってましたね。
    一か国だけ反対のようみ見えますが、欧州の世論調査やればもう半分くらいは反対なんじゃないでしょうかね。
    フランスドイツイタリアなどの経済力に余裕ある国ですら農民が反乱しているわけですし

    25
    • 123
    • 2024年 2月 01日

    サムネのハゲが気になって記事の内容が頭に入ってこない

    2
    • nmb
    • 2024年 2月 01日

    フィナンシャルタイムズの記事によりますとEUがハンガリーに「ウクライナ支援に関して譲歩しなければ、ハンガリー経済を弱体化させる用意がある」と脅迫したとされています。
    更にポリティコによりますとEUがハンガリーの投票権を剥奪する可能性があると報じています。
    ウクライナ支援が確立されたという聞こえの良いニュースではありますがその過程に関しては正直疑問が残ります。

    25
      •    
      • 2024年 2月 02日

      一か国が妨害するのはOKで、多数決で議決権を剥奪したり制裁を課したりするのは駄目って事ですかね?
      民主的な考えじゃないな

      9
        • 名無し
        • 2024年 2月 02日

        多数決と民主主義は似て非なるものですからね。
        ヒトラーだって民主的ではあるけどあれを民主主義国歌とは言わない

        少数派の意見も尊重して反映させて合意を得るのが大事
        発言権の停止はやりすぎ

        2
          • zeema
          • 2024年 2月 02日

          多数決って民主主義の最も根幹な部分だよ。選挙が正にそれだし。
          その点で言えばヒトラーだって立派な民主的な政府よ。

          「選ばれた過程」だけに限って言えば(だからドイツは反省してる)。

          5
    • たむごん
    • 2024年 2月 02日

    EU各国、内政・外交ともに課題があるわけですから、速やかに解決できてよかったですね。

    政治ですから、妥協できる所はドンドン妥協して、重要な政策を進めるのが好ましいと思います。

    4
    • 58式素人
    • 2024年 2月 02日

    ハンガリーはハブられなくてよかったですね。
    EU議会での決議もあったし、そうなる可能性は高かったと思います。
    他にも何ヵ国か候補がいそうですが、素人個人の感想では、旧二重帝国
    の版図内に全員が居るような気がします。
    これは、ロシアとの関係について何かしらあるのか、と思わされます。

    • Easy
    • 2024年 2月 02日

    ウクライナにとって地獄のような冬が終わり。
    ようやく明るい春がやってきた、という感じですね。
    これで50万人動員の資金も出来たので、あとはF-16の到着を待って2024年版の大反攻作戦を開始するだけです。
    資金としては2025年.2026年.2027年と後4年分もあるので、毎年50万人づつ戦場に送り込めばトータル200万人、これだけの兵士で削り合いの歩兵の消耗線を挑めば流石にロシアも屋台骨が揺らぐでしょう。

    5
      • 名無しの悪夢
      • 2024年 2月 02日

      日本もこれで安心して2月19日のウクライナ復興会議に10兆円支援を提示できますね

      1
      • 理想はこの翼では届かない
      • 2024年 2月 02日

      50万人に月10~40万円に相当する給与を支払うだけで、500~2000億円/月
      訓練・装備・衣食住を手配する事を考えるともっと金が掛かるので「支援金が無いと年金が支払えない」という状況で「支援金が入る見込みがついたから50万人動員できる」というのは無理があるのでは?
      やらないとどこかで兵員不足で戦線が破綻するのでしょうけど、動員するにしても一気には無理で段階的にならざるを得ないと思います

      10
    • あるまじろ
    • 2024年 2月 02日

    結構な金額だけど赤字を埋めるには、割と不足してないか?
    いやすごい助かるとは思うけど

    4
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