欧州関連

ポーランド製MANPADSに注文が殺到、Grom-Mの生産量を3倍以上に増強

ポーランド製の携帯式防空ミサイルシステム(MANPADS)に注文が殺到しており、Mesko社は生産能力を3倍以上に引き上げて1,000発の「Grom-M」を2023年に生産すると発表した。

参考:w przyszłym roku 1000 Piorunów. Przygotowania do nowych Spike

もしかするとスティンガー調達を予定していた国がGrom-Mに流れているのかもしれない

PGZ傘下のMesko社が開発した「Grom-M」は旧ソ連製イグラを国産化したGromの改良版で、赤外線センサーの感度向上(Gromと比較して約4倍)、近接信管を追加した指向性弾頭への変更、目標捕捉を容易にする照準器など幾つもの変更が加えられており、有人機だけでなく低空を飛行する小型UAVとも効果的に交戦することが可能だ。

米軍も2022年にGrom-Mを調達(非公式な購入で用途は不明)するなど注目を集めていたが、ウクライナ軍がGrom-Mを使用してSu-34、Su-25、Mi-24を撃墜したことで「実戦で証明された性能」という肩書きも手に入れ、Mesko社は「各国からの問い合わせが殺到している」と明かしている。

Mesko社によれば「Grom-Mの生産能力を2倍に引き上げて約600発を年内に顧客へ届ける予定だが、これを3倍以上に引き上げて来年は1,000発のGrom-Mを顧客に届ける」と発表、米陸軍のスティンガー更新プログラムにも「Grom-Mで挑戦する」と表明しているので現在最も注目を集めるMANPADSと言って過言ではない。

主張:U.S. Marine Corps photo by Lance Cpl. Rachel K. Young スティンガー

多くの国がウクライナにMANPADSを提供したことで在庫の埋戻し需要が発生、米軍在庫を埋め戻すため米レイセオンが増産に取り組み始めているが、米軍はスティンガーを15年近く調達してこなかったためレイセオンの生産ラインは非常に低水準で稼働しており、年間製造量を720発に引き上げるのに2年は掛かると見積もられている。

台湾国防部は発注済みのスティンガー×250発(2026年までに引き渡し完了)について「需要が急増しているため引き渡しが遅れる可能性が高い」と明かしているので、もしかするとスティンガー調達を予定していた国がGrom-Mに流れているのかもしれない。

関連記事:ポーランド、米陸軍のスティンガー更新プログラムにGrom-Mで挑戦
関連記事:M109A6を製造するBAE、台湾に予定通りパラディン供給が可能と主張
関連記事:ウクライナ支援で減少した米軍備蓄、ジャベリン7,000発の補充に最低でも3年

 

アイキャッチ画像の出典:Gov.pl / CC BY 3.0 pl

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コメント

    • 折口
    • 2022年 5月 16日

    >年間製造量を720発に引き上げるのに2年は掛かる

    米軍って訓練で割りと頻繁に在庫消費してるイメージだったんですけど、それでもあんまり作ってないんですね。まぁ過去の在庫とか込み込みの供給数なんでしょうけど、まとまった数のMANPADSを市場に供給できるメーカーがこんなに希少なものだとは思いませんでした。

    34
      • samo
      • 2022年 5月 16日

      MANPADSに限らず、装備品の備蓄量と生産能力の重要性を、今回のウクライナ戦争で見せつけられてる感じですね
      文字通り、世界中から装備をかきあつめて戦っているって形ですし

      30
        • ダヴー
        • 2022年 5月 16日

        少し気になるのが西側(というか事実上アメリカ)が供与可能な通常弾薬の備蓄がどれだけ有るのかですね。
        アメリカも過去20年は非対称戦ばかりが続いていたから、通常弾薬の生産ラインも縮小していたでしょうし。

        9
      • 名無しさん
      • 2022年 5月 17日

      アメリカ軍は航空機や長距離砲といった、相手のアウトレンジから攻撃する戦術を重視しているので、歩兵の携帯武器にはあまり力を入れる必要がないのでしょう。
      どちらかと言えばアフガニスタンやウクライナのように、支援する対象国家に「戦車の代わりにこれでも持って戦え」という目的で生産し、供与しているので、そこまでしっかりとした生産ラインも用意していないのだと思います。

      4
    • ラルフ
    • 2022年 5月 16日

    MANPADSの需要だいぶ増えそうだな…陸自の91式もなんだかんだでもう30年前の装備だしそろそろ後継開発するか海外輸入するか決めても良い頃合いでは?

    20
      • samo
      • 2022年 5月 16日

      需要はMANPADSに限った話ではないかと。
      日本含めた西側を中心に国防費の急激な増加ということは、それだけ需要が増えるということですから…
      今後20年程度は、供給よりも需要が勝った状態が続き、武器の取り合いになりそうです。

      なので国産の重要性も高まりそうだとも思う反面、
      ウクライナでの戦争を見ていると、有事における海外からの装備調達の重要性を目の当たりにすると、
      国産一辺倒ではなく、海外製の同時調達もしくは、国際共同開発共同調達という選択肢もあっても良いのかもしれません

      28
        • 名無しさん
        • 2022年 5月 17日

        理想を言えば、平時から他国に輸出できるほどの生産ラインを整えて、有事には輸出分も国内に回して戦えるようにするのがいいのですが、政治的・法律的・技術的にハードルが高い話ですね。

        10
        • おっさん
        • 2022年 5月 17日

        ウクライナでの経験からは有事における武器調達の多品目化を見据えて、一定の物品については運用の共通化(製品の共通化までとは言わず、保守運用手順の共通化)が必要になるのじゃなかろうか。
        どこの製品でも似たような機能のものは使い方はこのガイドラインに沿ってね、とか。
        歩兵装備や弾薬系統には必要じゃなかろうか。もうあるのかな?

      • てつ
      • 2022年 5月 16日

      携SAMは2002年から調達の始まった91式携SAM(B)があるので、そこまで急がなくても大丈夫。
      寧ろ本当に30年ものになりつつある93式近SAMの更新を急ぐ必要があり、昨年から基地防空SAM改との同時開発で新近SAMの開発を始めています。
      これらは91式携SAM(B)をベースにしていますから、近SAMの開発が完了したら携SAM型の開発に移行するのでしょう。

      16
    • や、やめろー
    • 2022年 5月 16日

    日本のやつの後継はどうなっていくんだろう?

    8
    • たけやぶやけた
    • 2022年 5月 16日

    増産に必要な半導体を調達する見通しが立っているのだろうか?

    3
      • 名無しさん
      • 2022年 5月 16日

      まあ、民生需要に比べたら調達数など微々たるもんです
      政府の肝いりでメーカーと交渉すればなんとかなるのでは?

      6
    • ワルシャワ公国
    • 2022年 5月 16日

    ポーランドは気前良くウクライナに武器を供給しているイメージでしたが、したたかに自国の軍事産業の増強をしているんですね〜。独立国家としては当たり前の事ですけど。

    14
    • 名無し2
    • 2022年 5月 16日

    納品する頃にはむしろ要らなくなってそう

    • AAA
    • 2022年 5月 16日

    イギリス「みんな!ブリテンのトリプルダーツも買おう!(迫真」

    7
    • 2/5
    • 2022年 5月 16日

    一式18kg程度で射程5kmの射高3kmくらいが主流か
    もう一回りサイズアップして射程8kmの射高6kmくらいを狙いたい
    シーカーをレーダーホーミングに換えれば護衛艦や基地の近接防空ミサイルに

    3
    • 匿名
    • 2022年 5月 17日

    ウクライナへの供与で西側諸国の余剰兵器がほぼ枯渇した段階が、中国にとって台湾を手に入れる最大のチャンスとなりそうですね

    そのためにも中国的に、ロシアには(ウクライナにも)なるだけ粘って欲しいのでは?

    2
      • おっさん
      • 2022年 5月 17日

      「陸軍の装備は供与する余裕がとぼしい。ならば空海の装備と兵力を」

      藪蛇だったりして。もともと台湾はウクライナ程の縦深もないから空海の戦いだし。

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