インド太平洋関連

中国軍がインドとの国境沿いに大量の戦力を配備、印軍も対抗措置を明言

インド空軍のシン・バーダウリア大将は29日、人民解放軍がインド北部の国境沿い近くに航空機を含む大規模な戦力を移動させて配備したと明らかにした。

参考:‘Chinese air force heavily deployed in Ladakh theatre in support of PLA’: IAF chief
参考:Heavy Chinese missile, radar deployment near Ladakh, IAF ready to handle situation

中国が再び戦力を移動させてインドとの軍事的緊張を狙う理由とは?

インドと中国の間の国境線は完全に確定していない地域が多く、両国が互いに自国領土だと主張する地域の総面積は約12万7,000㎡(北海道と東北地方を合わせた面積に近い)にも達しており、1962年の中印国境紛争後に策定された実効支配線(LAC)によって何とか小康状態が保たれていたが今年になって中国軍がカシミール州ラダック地域の実効支配線を無視して侵入、インド側支配領域内に中国軍の恒久的な拠点構築を始めたためインドも軍を派遣して対抗、両軍の兵士が至近距離で睨み合う状況に発展することになる。

出典:Peter Hermes Furian / stock.adobe.com 航空万能論GFが制作

何度か話し合いが行われたが問題の解決に至らず今年5月に物理的衝突(インド軍兵士20人死亡:中国軍兵士30~40人死亡?)が発生して両国の緊張感は極限まで高まったが、今年9月に両国の外相がモスクワで会談を行いラダックの国境未確定地域で睨み合いを続ける双方の軍を後方に下げることで合意、話し合いによる問題解決を図ることになった。

しかし何度も両国は会談を重ねたが中国側はインドにラダック地域のインフラ開発停止を要求しているのに対して、インドは自国領のインフラ開発に中国が口を挟むことを拒否しているため再び膠着状態に陥っていたのだが、ここに来て中国は再びインド北部に大規模な戦力を移動させているらしい。

インド空軍のシン・バーダウリア大将は29日、人民解放軍がインド北部に展開する地上部隊支援の目的で大量のレーダー、地対空ミサイル、地対地ミサイルを同地域に配備したと明らかにして「私達も必要なあらゆる対抗策を講じた」と明らかにした。

出典:public domain カナードを装備したインド空軍の戦闘機 Su-30MKI

中国は沿岸部に優先配備していた複座型の戦闘機爆撃機「J-16」をラダック地域を担当する西部戦区(司令部は成都市)に回し始めたと今年11月に報じられていたが、これとは別に中国はインド軍が展開するラダック地域に影響を与える場所に大量の防空システムや地対地ミサイルを配備して軍事的圧力の強化に乗り出したという意味だろう。

恐らく中国側は行き詰まった交渉を打開するため再び軍事的緊張を利用して譲歩を迫る=ラダック地域のインフラ開発停止を受け入れさせることを狙っているか、印中の問題にバイデン氏が首を突っ込んでくるのか大統領就任前に試しておくつもりなのかもしれない。

どちらにしても緊張状態が再び高まっている両国の国境地帯は2021年に再びスポットライトを浴びることになるかもしれない。

関連記事:クワッド同盟を警戒? 中国とインドが軍を後方に下げることで合意
関連記事:中国はクアッド同盟成立を黙認? インドと14時間話し合うも成果なし
関連記事:沿岸部に集中していた戦力が分散? 中国がインド方面にJ-16配備を開始

 

※アイキャッチ画像の出典:Jian Kang / CC BY 3.0 中国の防空システムHQ-9

英国軍、バイラクタルTB2の成功を受けて安価なUAV調達を検討前のページ

世界で最も非常識な兵器、ロシアが極超音速ミサイル「ジルコン」の大規模量産を開始次のページ

関連記事

  1. インド太平洋関連

    原潜建造を進める韓国、米国に低濃縮ウラン供給を要請

    韓国メディアは6日、原子力潜水艦建造計画を進めている韓国政府は米国に核…

  2. インド太平洋関連

    インド版F/A-18E/Fを開発? 印政府が海軍向け双発戦闘機の開発承認

    インド政府は国産戦闘機「テジャス」の海軍仕様機が空母「ヴィクラマーディ…

  3. インド太平洋関連

    インドネシア、KFX開発費負担減額と潜水艦導入契約キャンセルを韓国に要求か

    韓国メディアは今月2日、インドネシア側がKF-X滞納分の支払いを実質的…

  4. インド太平洋関連

    再掲載|タイ空軍に手酷くやられた中国空軍、グリペンがSu-27に圧勝

    中国空軍がロシアから導入した戦闘機「SU-27SK」と、タイ空軍がスウ…

  5. インド太平洋関連

    中国封じ込め戦略、日米印豪同盟の成立は豪州にとって戦略的勝利の瞬間

    豪メディアは、もう間もなくオーストラリアに外交・戦略的勝利の瞬間が訪れ…

  6. インド太平洋関連

    韓国大統領府の高官が注目発言、次世代潜水艦は原子力推進と断言

    最近どうも韓国が騒がしい。韓国大統領府のキム・ヒョンジョン国家安全保障…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 12月 30日

    中共の力による現状変更は2021年も加速していくだろうな
    でも日本は憲法9条に守られているから心配要らないよね

    18
      • 匿名
      • 2020年 12月 30日

      当然!

      3
      • 中華民國是合法政府
      • 2020年 12月 30日

      来年は、西側がより団結して中共包囲網を発展させて欲しい…あと武漢肺炎いい加減に収束して下さい!

      11
    • 中華民國總統
    • 2020年 12月 30日

    中国大陸の共匪どもは、なぜ自分に対する包囲網を自分で強化するんですか?世界と戦っても勝てる位の自信があるのか?

    13
    • 匿名
    • 2020年 12月 30日

    ソ連もだけど(むしろ第一世代がソ連の薫陶を受けてるからかもしれないけど)東側の外交方針はは基本的に踏み越えて反応を試すことの繰り返しだからほとんど緊張が解けることがない
    統治機構が革命という冒険主義を思想の主軸に置く人物の集団になるからだろうか

    10
      • 匿名
      • 2020年 12月 31日

      旧正月を祝う漢民族は今のうちに仕事を進ませときたいのさ、奴らの祝いには爆竹が欠かせないしw

      1
    • 2F幹事長
    • 2020年 12月 30日

    2020年は、中国大陸発のパンデミックで始まり、戦狼(チンピラ)外交、マスク(不良品)外交、南シナ海対立、インド兵殺害、尖閣領海侵犯、香港の自治破壊など、中国共産党による災禍が各地を襲い、年末も中共の軍事挑発で終わる模様。

    8
    • 匿名
    • 2020年 12月 30日

    中国は世界を壊す気か?

    9
    • 匿名
    • 2020年 12月 30日

    習近平が病気という記事もありますので、内側の問題もあるかもしれませんね。

    3
    • 匿名
    • 2020年 12月 30日

    やっぱ「対抗措置」は大事だよね
    もう何年前か記憶にない大昔のテレビの取材だけど、台湾軍の人が対岸が戦闘機を飛ばしたらこちらも必ず戦闘機を飛ばす
    演習をするなら似たような演習をするって言ってた

    8
    • 匿名
    • 2020年 12月 30日

    前回の印パの空中戦の際は印の空軍基地のインフラが整って無かったためmig21vsjf-17となっていたが、このエリアは大丈夫だろうか。

    1
    • 野嘗
    • 2020年 12月 30日

    中国の戦略はよくわからない。海洋国家(アメリカ、日本、オーストラリア)だけでなく大陸国家のインドまで敵に回して何をするのかね。まあ海だけでなく陸にまで力を入れるのであればいずれ破綻するであろう。一人っ子政策も相まって人口減少で経済も怪しいし、、、

    2
      • 匿名
      • 2020年 12月 30日

      経済も内政もズッコケてるから外向けにイキり続けるのを止めたくても止められないんだぞ。最近はトルコもその「症状」が悪化してるが。

      3
        • にわかミリオタ
        • 2020年 12月 31日

        トルコって経済悪くないはずですよ。
        私もそうだと思って、おんなじこと言われましたから。

        5
          • A
          • 2020年 12月 31日

          そのお話を記憶しております。
          しかしトルコの主産業は観光業や不動産でコロナ禍でかなりの影響を受けたとも聞きました。
          難民への対応もありますから火の車ではないかと。

          3
            • にわかミリオタ
            • 2020年 12月 31日

            なるほど、難民ですか。
            調べてみたら問題が色々とあるようですね。
            丁寧な返信、ありがとうございます。

            1
    • 匿名
    • 2020年 12月 30日

    数日前、このブログの別記事に対する書き込みの中で「多分次期米大統領が就任する1月20日の前後に台湾侵攻が発生すると思う(後略)」と書いた人が居たので、「う~ん、1月前後の台湾海峡って南の地方とは言え寒い時期なので、上陸作戦をやるには適していないと思うのですが?(後略)仮に今年(註・2021年の誤記)戦争をやるとしても春以降、もしかすると台湾では無く今年(註・2020年)揉めたインドとの国境争いに武力投入と言う線もあると思います」と返事をしたのだけど、年を越す前に印中の国境地帯が緊迫するとは思わなかったな
    こうなると、中国の暴発が本当に近い兆候なのかと考えてしまう……

    11
    • 匿名
    • 2020年 12月 30日

    北京も上海も真冬に停電と断水とコロナ再爆発してる最中のクセにようやるわ

    1
    • 匿名
    • 2020年 12月 30日

    エネルギーすら国内で賄えないのに戦争なんて出来ないだろう
    …まぁ資源エネルギーの輸入元に戦争ふっかけた国が昔あったようですが

    6
    • 匿名
    • 2020年 12月 30日

    Su-30MKIの写真あってる?

    1
      • 匿名
      • 2020年 12月 31日

      記事の中のフランカーの写真、中国空軍のSu-30MKKだと思われます。

      2
    • 匿名
    • 2020年 12月 30日

    自分から2正面にしていくのか…(困惑
    まぁ我々としては有り難いのでどんどん対中包囲網を前進させたいところだけど、バイデンなぁ…どうなるかなぁ…

    6
    • 匿名
    • 2020年 12月 30日

    習近平が手術で居ない間に、中共は周辺国を巻き込んでバラバラに空中分解するのではなかろうか。

    1
      • 匿名
      • 2020年 12月 30日

      習近平入院手術ののニューズは、台湾を中国の一部とみなす新中国連邦による意図的な情報操作が疑われています。
      中国の情報に非常に敏感な台湾メディア(親中から反中まで)が一切報道していないのを見ると、ガセネタと推定されています。ガセネタに踊らされないようにしましょう。

      リンク

      8
    • 匿名
    • 2020年 12月 30日

    ガチで印中がやりあったらインドが負けそうな気がビシビシするんです

    3
      • 匿名
      • 2020年 12月 30日

      多分アメリカもイギリスも(あとロシアも)大喜びでインドを支持&武器供与&中国への制裁強化するぞ。

      11
      • 匿名
      • 2020年 12月 30日

      それ言わしたら台湾だって普通に中国が圧勝・占領だろうよ。やった途端に西側はじめ全世界を敵に回すから少なくとも今は出来ないだけで。

      8
      • 匿名
      • 2020年 12月 31日

      21世紀に中国発の戦争が起きるかどうかは
      「中国が何かやらかしたら世界中からボコボコにされるだろう」を
      「中国が何かやらかしたら世界中でボコボコにするからな?」まで持っていく事ができるか否かに掛かっていると思います

      6
    • にわかミリオタ
    • 2020年 12月 31日

    このまま続けると戦争かなぁ〜

    3
    • 匿名
    • 2020年 12月 31日

    西部戦区とかいう他の戦区を吸収し過ぎて大きくなった戦区。あれ担当地域広すぎやろ…

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 米国関連

    本当に笑えない、米空母ジェラルド・R・フォードを苦しめるエレベーターの呪い
  2. 欧州関連

    再掲載|英海軍の闇、原潜用原子炉の欠陥と退役済み原潜の処分費用
  3. 軍事的雑学

    ようやく本領発揮、世界最強の戦闘機F-22Aが「神の視点」を味方に提供
  4. 日本関連

    海外メディアも注目、横浜で護衛艦「いずも」の空母化工事が始まる
  5. 軍事的雑学

    リチウムイオン電池採用艦!日本のそうりゅう型潜水艦11番艦「おうりゅう」就役に世…
PAGE TOP