インドネシアのプラボウォ・スビアント国防相は今年1月、私は大統領に24ヶ月以内に最大50隻の艦艇を獲得すると報告したと下院軍事委員会で明かした。
参考:Indonesia to Get 50 Warships by 2024: Defense Minister
参考:Indonesia’s $125B air, naval splurge may mean ’50 warships’ at sea in next 2 years
1,250億ドル成立を見越して各国が唾を付け状況を見守っている状況ともいえる
インドネシアのプラボウォ・スビアント国防相は今年1月、ジョコ政権と下院(国民議会)から防衛装備品の調達に多大な政治的支援を受けてきたと前置きして上で「インドネシアは東南アジア地域において強大な存在になり我々の海軍は再び栄光を得るだろう、私は大統領に24ヶ月以内に最大50隻の艦艇を獲得すると報告した」と下院の軍事委員会で明かした。
この50隻という数字が何を示しているのか詳細がないが、米メディアは関係筋から入手した情報を元に「一度に50隻の艦艇が海に出る準備が整っていることを意味しており、新たに50隻の艦艇を24ヶ月以内に調達する意味ではない」と報じているが、インドネシア国防省はイタリアのフィンカンティエリとカルロ・ベルガミーニ級フリゲート×6隻、英国のバブコックとアローヘッド140(31型フリゲート)×2隻の調達契約を結び、日本からもがみ型護衛艦を4隻調達するため資金要求案を財務省に提出したと噂されている。
さらにインドネシアが今後3年間で1,250億ドル/13.7兆円を軍の近代化に投資する計画を確認されており、空軍は韓国と共同調達するKF-21以外にもラファールかF-15EXのどちらかを調達するつもりで、空中給油機の調達計画も承認を受けたと報じられているのが、インドネシアの武器調達契約の締結と調達計画の承認は空手形なので本当に良くわからない。
一般的には武器調達の財源的裏付け(調達国の財務省が国家予算から資金供給を保証するか政府間で融資条件を確定させるなど)を確保した上で契約を締結するため直ぐに契約が発効するのだが、インドネシアの装備調達に必要な資金の大部分は海外金融機関からの融資で賄われており、これを実行するにはインドネシア政府による債務保証を財務省に発行してもらい海外金融機関と交渉する必要がある。
2020年末にインドネシアはフランスとラファール導入に関する契約を締結したものの結局、契約を発効させるのに必要な資金確保に失敗(国防省が財務省から債務保証を引き出すのに失敗したのか、融資を引き受ける海外金融機関が見つからなかったのかは不明)したため現在契約は失効していると言われており、フィンカンティエリやバブコックとのフリゲート艦建造に動きが見られないのも契約を発効させるための資金確保に目処がついていない可能性が高い。
つまりインドネシアが各国にバラ撒いている契約を発効させるための財政的裏付けは「既存の国防予算とは別財源の1,250億ドルが原資」という意味で、これが成立しなければインドネシア国防省は既存の国防予算から費用を捻出する必要があり、カルロ・ベルガミーニ級、アローヘッド140、もがみ型護衛艦、ラファールorF-15EX、空中給油機といった費用のかかる調達を同時に進めるのは恐らく不可能だ。
逆に軍の近代化計画が正式に承認され1,250億ドルという資金をインドネシア国防省が手にすれば上記の計画は一気に動き出す可能性を秘めているため、これを見越して各国が唾を付け状況を見守っている状況とも言えるので興味深いともいえる。
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※アイキャッチ画像の出典:海上自衛隊
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よく護衛艦輸出のハードルで日本語設備の話がでるんだけど、ことインドネシアに関しては問題ないのではないかな。と思います。
ASEAN諸国はほぼすべてが防大に留学生を5年間だしてて(一年日本語研修)、また海軍限定で防大卒業後は海上自衛隊幹部候補生学校、長距離演習航海、防大研究科にだしてて人によっては8年とか日本に留学する各国軍人がいるので、ASEAN諸国での日本語の理解は(人によっては)低くないのかなと思います。そういう人材を両国のカウンターパートに据えて活動すればスムーズな輸出/引き渡しにつながるのではないかと思いましたまる
正に地域覇権国への野心
南半球の王者を自称するオーストラリア、地中海の覇者を自称するイタリアの様に東南アジアの盟主になりたいんだろうねぇ
これは暗に、足りないのを融資してくれた国から購入しますよって示唆か
怖い怖い、新幹線を思い出すぞ。
多重債務に慣れきった君は筋だの責任よりも目先の金に飛びつくからな、
こちらも覚悟して挑まねば
もがみ型ってモンキーモデルあるっけか?
レーダーとか射撃管制とか、グレードダウンさせなきゃ輸出できないんじゃね?
実現できればたいしたもんだが、どうもうさんくさい。
声をかけた国々のうち、数国とは決定的に断裂するようなことにならないといいが。
>政府は防衛装備品の輸出促進に向け、国際協力銀行(JBIC)の活用に乗り出す。政府系金融機関のJBICが相手国に低金利の融資を行うことで、防衛装備品を購入しやすい環境を作るものだ。
読売新聞5月15日の記事より引用
これがあるから、もがみ型を買おうという動きがあるのかもしれませんね。
今の日本には、あーだこーだ言ってる暇も資格もありませんから、死に物狂いで活路を開いて欲しいですね。
そろそろ本気で取り組まないと、税金積んでも撤退する大手が出てくるよ。
エジプトがK9を契約した決定打は、韓国輸出入銀行から80%の融資を受けて、残りの20%を払うだけという契約をしたからだとか
(朝鮮日報の記事リンク)
インドネシアもこういった「美味しい話」目当てで空手形を出しまくっているのかも。
上記の記事の事実や是非はこの際置いておくとして、実績や輸出に前のめりな国やメーカーに対してインドネシアと同様に、足元を見る交渉や手段を取ってくる国の話が続々と出てこないことを祈・・・いや、無理か。ユーロファイターですら賄賂だらけだったもんな
K9の場合、融資だから返済義務がありますけどね。
FMSなんかもアメリカがメーカーから大口で買って、後から購入国がアメリカへ払い込む形ですし、武器輸出では珍しくない形式かもです。
企業が儲かり、相手国が安く武器買えて、輸出国は無形の財産(実績とか政治得点とか)を得られたからヨシ。と言える相手なら良いんですけどね。エジプトのK9みたく、交渉の結果そうなったならともかく、この記事のインドネシアみたいに値引きと融資を引き出したいのを隠そうともしない相手だと、きちんと払うもの払ってくれるのか(しょぼい額の納税者だとしても)不安になるんですよね。
仮にもがみ型が輸出に成功したとして、船体の半分がカレールー、もう半分がシチュールーで出来てますとかじゃ呆れてしまいますがな。まあ、結局は日本政府や防衛装備庁が決めることなんですがね。
インドネシアは少なくとも現状よりかは軍備を拡張して東南アジアや南シナ海における軍事プレゼンスを強化する余地があるのは間違いないと思うんですが、それにしたってこの何年かの装備品調達は性急すぎると思うんですよね。それこそ戦時下並の覚悟で自国をとりまく脅威に対峙している点は評価できますが、節操なく兵器を短期にかき集めても従来なかった兵器体系を運用する部隊側の教育が追いつかないのではという気がしてしまいます。
インドネシアは近い将来何かあると思っているのでは?
その時のために片っ端から声をかけている可能性もある。
実際は早い者勝ちで、造船が遅れた国は何かしらのクレームをつけてキャンセルするんじゃないかな?
キャンセルされても世界的に戦闘艦は不足気味だからね。
中国向けじゃなくオーストラリアの圧力への対抗では?アメリカが舵取り誤って中国側行かせないといいが