インド太平洋関連

製造が大幅に遅れているF-16V、台湾発注分も引き渡しが1年遅れ

発注が相次ぐF-16VはCOVID‑19と半導体不足の影響で製造が大幅に遅れており、スロバキアに続き台湾発注分も引き渡しが1年遅れると現地メディアが報じている。

参考:空軍採購66架F-16 C/D 戰機延遲1年交貨 2025年第三季首批6架返台

台湾よりも先に発注していたスロバキア分が遅れていたので順当に1年引き渡しが遅れてしまうのだろう

ロッキード・マーティンはテキサス州フォートワースにあるF-35の最終組立ラインを拡張するため、F-16の最終組立ラインをサウスカロライナ州グリーンビルにある新工場に移転。

出典:Lockheed Martin Corp. courtesy photoグリーンビルにあるロッキード・マーティンの工場

この新工場は月産4機(年48機)というスピードでF-16を組み立てることができ、各国がから受注(バーレーン16機/スロバキア14機/モロッコ24機/ブルガリア8機/台湾66機)が相次いでいるF-16Vの新造機を2022年に初出荷することを予定していたのだがCOVID‑19の影響で全ての予定が狂ってしまう。

F-16Vを構成する各コンポーネントの製造は国際的なサプライヤー(主翼はイスラエル企業、F-16Vの中央胴体、後部胴体、コックピットの構造体はポーランドのPZLミエレツなど)に依存しており、これらの製造ラインの立ち上げ・生産・納品がCOVID‑19の影響で遅延、ここに世界的な半導体の不足も加わってF-16Vを組み立てるために必要なコンポーネントが揃わないらしい。

出典:台湾空軍

そのため米国政府はスロバキアに「F-16Vの引き渡しが予定よりも1年遅い2024年になる」と今年3月に通知していたが、台湾が発注したF-16Vも引き渡しが1年遅れる=2023年末→2025年と現地メディアが報じている。

台湾は中国の軍事的な圧力を受けて「2023年に予定されていた初号機引き渡しを2022年に前倒してほしい」と要請してたが、台湾よりも先に発注していたスロバキア分が遅れていたので順当に1年引き渡しが遅れてしまうのだろう。

関連記事:米国、スロバキアにF-16Vの引き渡しが1年遅れて2024年になると通知
関連記事:台湾がF-16Vの早期引き渡しを米国に要請、100発以上のJASSM購入も交渉中

 

※アイキャッチ画像の出典:Lockheed Martin

ドイツの装備交換が実現、ギリシャがウクライナへBMP-1の移送を開始前のページ

エジプトがそうりゅう型潜水艦に関心、調査団が神戸を訪れ潜水艦を視察か次のページ

関連記事

  1. インド太平洋関連

    インド海軍の潜水艦戦力拡張、次期潜水艦調達と新型原潜の共同開発計画に動き

    インド国防省は今月4日に実施する会議でカルヴァリ級潜水艦の次に調達する…

  2. インド太平洋関連

    韓国との「KFX」共同開発は中止? インドネシア、仏戦闘機「ラファール」を購入か

    インドネシアがフランスから戦闘機「ラファール」を含む大規模な兵器購入を…

  3. インド太平洋関連

    インド洋における利害が一致しない? クアッド参加に積極的ではないインドの本音

    オブザーバー研究財団でシニア研究員を務める元インド海軍士官のアビジット…

  4. インド太平洋関連

    マレーシア空軍の軽戦闘機入札にインド、ロシア、韓国、イタリア、中国、トルコが応じる

    マレーシア空軍が発行した軽戦闘機調達の提案依頼書(RFP)にインドのテ…

  5. インド太平洋関連

    日中韓の戦車と比較? 台湾が導入するM1A2T「エイブラムス戦車」は最強

    台湾立法院の国防委員会で、同国が導入するエイブラムス戦車は、周辺国が使…

  6. インド太平洋関連

    韓国の野党、文大統領の選挙公約「原潜建造」は全く進んでいないと暴露

    韓国の原子力潜水艦調達事業が全く進んでいない事実を最大野党「国民の力」…

コメント

    • HY
    • 2022年 10月 19日

     F-16vが台湾の手に渡る前に、習近平が一戦仕掛けてくる可能性が高い。

    15
    • あばばばば
    • 2022年 10月 20日

    さて、本当に納期が一年延びるだけで済むだろうか……

    後、米国製の兵器を注文した国々の皆様においては、WWI戦後のドイツのカフェに入ったような緊張感があるのではないだろうかと思っている

    4
    • 2022年 10月 20日

    もう数ヶ月で重爆撃機数100機作ってた時代には戻れんのやろなぁ。

    9
    • 航空太郎
    • 2022年 10月 20日

    2030年頃までには保有艦艇数が460隻にまで到達するとの見通しで、米軍よりも戦力増になるという。ロシアの例もあるので、その実力がどの程度かはわからないが、台湾侵攻作戦だけに限定すれば、その戦力は十分強大と言えそうだ。

    習近平もプーチンと同じ69歳。3期目には入ったものの、中国の平均寿命は77.3歳。そろそろ終わりが見えてくるお年頃だ。

    中国の人口も2021年がピークで、今後は減少傾向が続いていくことから、いつまでも拡大路線も取れる訳でもなし。

    中国海軍の増強具合は、国力から考えると、大日本帝国の頃の八八艦隊(戦艦八隻、巡洋艦八隻を整備する)と同じで、造るまではよくても、維持費で破綻しそうなほど過剰だ。

    ロシアのウクライナ侵略がなければ、動いていただろうが、今は、ロシアの張子の虎なのも露呈して、気勢が削がれていると思う。

    ウクライナの発言で来年の夏にはロシアを追い出せる、といったのも出てきたので、そのペースで行けば、ウクライナに割いていたリソースを対中国に回せるようにもなるだろう。

    最後に一花咲かせようと博打にでるかどうか。

    ロシアが潰れて、対中国包囲網が動き出せば、侵攻作戦のない未来に軟着陸する未来もあるだろう。

    ただ、このタイミングで1年納期遅れは痛い。

    5
      • dxvg
      • 2022年 10月 20日

      中共の目標は2049年までに「中国軍を米軍と同レベルにして※平和的に台湾を統一する」です。
      人口が減少傾向に入ってもまだ14億人いますし、中国は経済成長に近いパーセンテージで軍事費も増やしています。
      ちなみに、今の中国の軍事費の対GDP比率は1.75%です(米露と比べたら半分未満)。
      ロシア(プーチン)と違って中共は時間に余裕があるので、まだまだ動かないと思いますよ。
      ウクライナ侵攻でロシアとヨーロッパの国力が低下したのは、中国にとって「災い転じて福となす」でした。

      ※平和的の意味は政治的・経済的手段で台湾を従わせるということ(ただし、台湾が独立を公式宣言した場合を除く)。

      3
    • タカ
    • 2022年 10月 20日

     台湾自身もいくらか言っていたように
     良い戦闘機を持っていても、ウクライナと違って土地が狭く
     先制攻撃を避ける手段のあまりない台湾は、兵器の優先順位を変えたほうが良いのではないかと…。
     台湾侵攻では、中国製の大量のミサイルと各種ドローンの乱舞が来るのは間違いなく、滑走路が使えず、イラン製の格安ドローンが数で押し切るような戦法に対抗できないと、いけないのではないでしょうか?
     各種の対ドローン兵器の配備と、発想を変えて守り切れないのであれば、攻めるのもありだと思います。
     以前のこちらの記事にある通りイラン製のような格安で長射程ドローンは、戦闘機1機の予算で数千発用意できるようなので、中国の出撃拠点や沿岸のインフラを全て潰すくらいの数を用意すると、抑止力という観点からも良いのではないでしょうか。

    5
      • 匿名希望
      • 2022年 10月 20日

      そっちに比率会わせたら配備を変えて戦闘機の数と質で押しつぶすのでは?

      3
      • kitty
      • 2022年 10月 20日

      どこぞの研究所も真面目に台湾防衛考えるなら、高価な戦闘機を揃えるより、SAMの数を揃えろと助言していました。
      しかし、ドローンの数で潰されたらいくらSAMの数を増やしても焼け石に水…。

      1
    • タカ
    • 2022年 10月 20日

     先程の続きですが、滑走路はいくらバンカー付きでも中国の攻撃で長期間稼働できないでしょう。
     台湾は狭すぎてエリア88クラスの要塞滑走路でも、ドローン、衛星情報、ミサイルのコンボでは継戦能力は維持できないと考えます。
     中国に今回のロシアなみのマヌケさを期待するのも現実的ではない、とすると
     本当に台湾が戦闘機を戦力とするなら、中国の先制攻撃を避けられる滑走路を近隣国に求めるしかないのでは、とも考えられます。
     これは現実的でしょうか?
     

    1
    • 名無し2
    • 2022年 10月 20日

    台湾侵攻は共産党が100年かけて地道に築き上げてきた全てをふいにする。やめたほうがいい。

    6
      • 2022年 10月 20日

      日本人って時代の変化に適応するのが苦手だよね
      もはやアメリカの軍事的、経済的覇権は終わったんだよ
      日本円も終わり、人民元*を使いましょう
      中国を盟主としたアジアの新秩序を受け入れよう

      ※今後中国はドル覇権に挑戦するため国際金融のトリレンマのうち
      1つを犠牲に「自由な資本移動」を選択する可能性がある

      3
        • 惜しいんだよな
        • 2022年 10月 20日

        指導部を批判してはいけない、とか党の気に入らない文化を検閲する、みたいなつまらんことをしなければ受け入れる余地はあると思う。

        欧米なら忌み嫌われるような監視社会とか、犯罪取り締まりが苛烈だとかいった要素はむしろ好まれるんじゃないかと。

        1
        • 白髪鬼
        • 2022年 10月 20日

        経済崩壊目前で、内戦リスクの方が高い中国にねぇ。
        まぁ間違ってもコミィの言いなりにはならんよ、日本人は。

        ところでいい加減、土地売買も相互主義にすべきなんじゃ無いでしょうかね。自国の土地は買わせないけど、自分達は他国の土地を合法的に入手出来るって異常でしょ。

        共産国民による土地の購入は、使用権に限定し、敵対行為等有った場合は即接収できる様(つまり同等)にしないといけない。

        7
        • 煽りコメントやめましょう
        • 2022年 10月 21日

        中国の方ですか?そういう煽りコメントはこの場には不適切なのでやめましょうね。

        1
    • 匿名希望
    • 2022年 10月 20日

    正直ミラージュ2000退役させるために米軍中古のF-16Block50とF-15C提供してやればいいのに

    2
  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  2. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  3. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  4. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  5. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
PAGE TOP