インド太平洋関連

マレーシア空軍の軽戦闘機入札にインド、ロシア、韓国、イタリア、中国、トルコが応じる

現地メディアのEdge Media Malaysiaは最近、マレーシア空軍が発行した軽戦闘機調達の提案依頼書(RFP)にインドのテジャスMK.1A、ロシアのMiG-35、韓国のFA-50、イタリアのM-346FA、中国のJL-10、トルコのヒュルジェットが応じたと報じて注目を集めている。

参考:Six companies bidding for RMAF LCA contract

約40億リンギットの半分はパーム原油やパーム油製品などカウンタートレードで支払われるマレーシア空軍の戦闘訓練機/軽戦闘機プログラム

マレーシア空軍はパイロットの戦闘訓練や対テロ作戦に使用している英国製の「ホーク108/208」やイタリア製の「MB-339CM」の後継機を調達するため戦闘訓練機/軽戦闘機(FLIT/LCA)プログラムを2018年に立ち上げたのだが、このプログラムで要求されている後継機は単純な訓練機ベースの軽攻撃機ではない。

マレーシア空軍はホーク108/208やMB-339CMの後継機に視界外戦闘能力、空中給油能力、超音速飛行、30%の国産化を要求しており、今年7月に発行された提案依頼書(RFP)に応じたのはインドのテジャスMK.1A、ロシアのMiG-35、韓国のFA-50、イタリアのM-346FA、中国のJL-10、トルコのヒュルジェットの6社だ。

出典:РСК «МиГ» MiG-35

入札に参加した6社の中からEdge Media Malaysiaが「最もマレーシア空軍の要求を満たしている」と評価しているのはインドが提案しているテジャスMK.1Aで、次に有望なのがロシアのMiG-35なのだが「メンテナンスコストが高いことを理由に最近退役したMiG-29の派生型なので現地にメンテナスデポを開設するなどの対策が必要だ」と指摘している。

Edge Media Malaysiaは韓国が提案しているFA-50について「マレーシアと運用環境が良く似ているインドネシア、タイ、フィリピンから契約を獲得しているので魅力的だ」と評価しているが、この実績が入札にどれほど影響を及ぼすのかについては未知数だと指摘しているものの韓国側は最近「輸出向けに供給される軽攻撃バージョンFA-50を真のマルチロール戦闘機に進化させる」と明かしてアップグレード計画の詳細を発表した。

出典: Republic of Korea Air Force / CC BY 2.0離陸中のFA-50

開発元の韓国航空宇宙産業(KAI)によればマルチモードの新型レーダー、大型コックピット用ディスプレイ、電子戦システム、目標照準ポッド、目標指示に対応したヘッドマウント・ディスプレイ、新型の戦術データリンク、三重の冗長性をもたせたフライトコントロールシステム、空対地巡航ミサイル(ノルウェー製のJSM、トルコ製のSOM、ドイツ製のKEPD350-2、KF-21向けに開発中の国産巡航ミサイルが統合候補に挙がっている)、視界外空対空ミサイルの統合が含まれており、航続距離延長のため300ガロンのコンフォーマル・フューエル・タンクと空中給油能力も追加されるらしい。

トルコのヒュルジェットも軽戦闘機バージョンならマレーシア空軍の要求を満たすと思われるが特に触れておらず、中国は最近マレーシアの排他的経済水域に調査船を無断で侵入させたためJL-10は入札で不利になるだろうと指摘、イタリアのM-346FAはマレーシア空軍が要求する超音速飛行能力が欠如しており何らかの対応が必要になると思われる。

出典:Turkish Aerospace Industries, Inc

Edge Media Malaysiaは入札参加が確実視されていたパキスタン/中国のJF-17が参加を見合わせてきた点に驚いているものの「来年の4月頃までに勝者が発表され18機分/約40億リンギット(約1,090億円)の契約が締結されるだろう」と言っているが、この入札の勝者は後日実施される追加調達分(18機)も受注する可能性が高いらしい。

因みに約40億リンギットの半分は現金で支払われるが残り半分はパーム原油やパーム油製品などカウンタートレード(現物支給)で支払われる。

関連記事:インドがマレーシア空軍の軽戦闘機調達に挑戦、テジャスMK.1Aを4,150万ドルで提案か
関連記事:マレーシア空軍の軽戦闘機調達に新たな競合機、ロシアがYAK-130ではなくMiG-35を提案か
関連記事:韓国で開幕したADEX 2021、FA-50のマルチロール機化や無人攻撃ヘリなど話題が盛り沢山

 

※アイキャッチ画像の出典:Venkat Mangudi / CC BY-SA 2.0 テジャス

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インドが開発を進めるテジャスMK.2、グリペンやJF-17といった競合機よりも支持を集めるか次のページ

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コメント

    • 匿名
    • 2021年 10月 31日

    俺たちのグリペンは?

    6
      • 匿名
      • 2021年 10月 31日

      サーブもグリペン後継機を作ってもいいはずなんだが、ステルス機はやはり予算と技術の壁があるのだろうか。
      F-3が完成し運用してXF9-1の性能と信頼性を十分に確保出来たら、XF9-1を利用した新型機を作ってくれるとうれしい。
      サーブに足らないものはF-2の頃の日本と同じで高出力のエンジンだけなのだから、使えるエンジンさえ手に入ればF-16をしのぎロシアのチェックメイトに対抗できる戦闘機も作れるだろう。

      2
        • 匿名
        • 2021年 10月 31日

        サーブはテンペスト計画に参加して経験値の獲得を目指しているからテンペストが終了するまで新型ステルス機の開発はできないよ

        9
          • 匿名
          • 2021年 10月 31日

          別にテンペスト全体が完成しなくても動けるだろ。

          2
        • 匿名
        • 2021年 10月 31日

        サーブはその辺の事も考えて、英国のテンペスト計画に参加しているんじゃなかったっけ?

        6
        • 匿名
        • 2021年 10月 31日

        色々と設計したBAEがテンペストいってるから無理やろ
        あと日本からF9買うよりもまだアメリカと話をつけて次期エンジンの負けた方使わせてもらった方が利があると思うぞ。

          • 匿名
          • 2021年 11月 01日

          アメリカのだとまたどでかいのでは?
          グリペン後継には合わなそうな気が

      • 匿名
      • 2021年 11月 02日

      初期のグリペンは当時のF-16と同等以上のコスパを誇る傑作機だったけど、拡張性が全くなかったせいで今のグリペンは全くの別物というか、名前こそ継いでいても中身と値段が違いすぎて軽戦闘機とは言い難いと思う

    • 匿名
    • 2021年 10月 31日

    これは恐らく、テジャスMK.1Aの勝ちかな?
    MiG-35はメンテナンスコストの問題があり、FA-50は要求を満たす為に更なるアップデートが必要だし、ヒュルジェットは実機が無い
    そしてM-346FAとJL-10は亜音速練習機なので要求性能が満たせないから、マレーシア側の要求を一通り満たしているテジャスMK.1Aに対して勝ち目は無いと思う
    尚、中国がJF-17では無くJL-10を提案したのはマレーシアとの関係悪化だけで無く、JF-17の製造を担当する成都飛機工業公司とJL-10を製造する洪都航空工業集団との間で何らかの綱引きがあったのかも知れない

    9
      •   
      • 2021年 10月 31日

      テジャスはまだ未完成だしなあ

        • 匿名
        • 2021年 10月 31日

        未完成と言っても、デジャスはMK.1が既に実戦配備されており、Mk.1Aも調達が承認済みで改修個所も比較的リスクが少ないんだけどね(これは中止になったMk.2から装備品を流用する為)
        残る4機種については上を読んで欲しいが、要求性能を満たしていて完成しているのはMiG-35だけ
        しかも、マレーシアは以前使っていたMiG-29がメンテナンスコストの問題で退役を余儀なくされた事からMiG-35に対しては不信感を抱いている様だと管理人さんが記事で書いているよ

        3
    • 匿名
    • 2021年 10月 31日

    軽戦闘機ならUAVでもよくね?

    1
      • 匿名
      • 2021年 10月 31日

      パイロットの戦闘訓練をするための機体の更新も兼ねてるのにUAVにしたら意味ないじゃん?

      7
      • 匿名
      • 2021年 10月 31日

      マレーシアの求める要素に戦闘訓練があるので、UAVではマレーシアの満足を満たせないだろう

      3
      •   
      • 2021年 10月 31日

      超音速出せたりパイロット育成できるのか

      2
    • 匿名
    • 2021年 10月 31日

    >因みに約40億リンギットの半分は現金で支払われるが残り半分はパーム原油やパーム油製品などカウンタートレード(現物支給)で支払われる。

    日本がインドネシアから、もがみ型の件でこう言われたら対応できるのかね?

    5
      • 匿名
      • 2021年 10月 31日

      天然ガスとバナナなら考える余地はある

      6
      • 匿名
      • 2021年 10月 31日

      日本のパーム油製品の消費量考えたら別にそうなったらそうなったでその方向で対応するんじゃないの

      7
      • 匿名
      • 2021年 10月 31日

      パーム原油は急騰してて、在庫ももちなおさないようなので
      条件次第では、お得かもしれない

      15
        • 匿名
        • 2021年 11月 01日

        ついでにヤシ柄も貰おう。
        あれ、バイオマス燃料。

      • 匿名
      • 2021年 10月 31日

      日本はパーム油どっさり輸入してるんだけど…?

      7
      • 匿名
      • 2021年 10月 31日

      一応それなりに需要はあるし。
      元々購入しているメーカーの仕入れ先変更とかになるだけなら十分いけるとは思うぞ。

      3
    • 匿名
    • 2021年 10月 31日

    インドとロシアが条件次第ってところかな。対価にパーム油が入ってるから損して得取れって感じになるけど。
    FA-50はそんなに改修項目があるなら調達時期と費用に響かないか?

    3
    • 匿名
    • 2021年 10月 31日

    チェックメイトはダメなんですか?
    UACの発表通りならコスト面でも有力だと思うんですが。

      • 匿名
      • 2021年 10月 31日

      チェックメイトはこれから本格的な開発に入る段階なので、今回のマレーシア空軍の戦闘機選定には間に合わない
      (今年のMAKSで公開されたのは実機では無く、開発用のモックアップと見られている)

      3
    •   
    • 2021年 10月 31日

    韓国は利益出るのか怪しい案件にも平気で飛びつくからなあ…

    1
      • 匿名
      • 2021年 10月 31日

      今回の入札に参加した国全てが利益を見込んでいないということ?

      1
        • 匿名
        • 2021年 10月 31日

        利益にも種類があるから。
        金銭的利益だけを求めるなら半額分がパーム油の現物だから(相場次第で)困っちゃうけど、納入実績や技術的蓄積、国同士の繋がりなんかが金より大事と思ってるなら、戦闘機とは言えバーゲンセールも辞さないと思うよ。だからって足元見過ぎたら怒られて御破算になるけども

        車や携帯電話みたく、上手くいけば次の買い替えの話があるかもしれないしね

        2
        • 匿名
        • 2021年 11月 01日

        1機あたりの調達予算が6000万円位なんだからFA-50の改修機でも利益出るんじゃないの?

          • 匿名
          • 2021年 11月 28日

          桁一つ違わないかい?

    • 匿名
    • 2021年 10月 31日

    日本もそろそろ練習機を更新する時期だし軽攻撃機として使える国産練習機を開発して海外輸出を目指す可能性はあるのかな?

    1
      • 匿名
      • 2021年 10月 31日

      ない
      日本はハイエンドしか作れなくてこういうローエンド領域は致命的にへたくそだから作ったところで国際競争力は一切ないぞ

      4
        • 匿名
        • 2021年 10月 31日

        というか、日本がローエンド機を開発する意味ないしな
        自衛隊に配備できないようなもん作ったところで意味ねえし

        10
        • 匿名
        • 2021年 11月 02日

        というか日本では空海用ローエンド兵器開発したところで使い物にならず、金と時間と人手の無駄にしかならないから作る理由がない

      • 匿名
      • 2021年 10月 31日

      わざわざ海外向けに売るまではしなさそう>開発しても

      1
    • 匿名
    • 2021年 10月 31日

    日本も空自向けにコンペを開催して、候補機をとことん調査するといい。勉強になるだろう。

    1
    • 匿名
    • 2021年 11月 02日

    しかし、パーム原油は、何でも買えるなwww

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