インド海軍が実施する潜水艦入札にドイツが復帰、ショルツ首相もモディ首相と潜水艦調達について協議するなど受注に積極的で、韓国メディアも「7兆ウォン=約7,500億円の受注戦でドイツと真剣勝負になる」と大きな期待を寄せている。
参考:Germany to pursue $5.2 bln submarine deal with India during Scholz trip
参考:Germany to propose its Dolphin AIP submarine for India’s Project-75I
参考:Scholz-Besuch in Indien soll milliardenschweren U-Boot-Deal einfädeln
参考:Deutschland und Indien wollen Wirtschaftskooperation ausbauen
参考:한화오션, 인도에 3000t급 잠수함 제안…7조 수주전 정면승부
双方とも受注に自信満々の様子なので、提案する潜水艦以外の部分でも抜かりはないのだろう
インド海軍はまもなくカルヴァリ級潜水艦の調達を終える予定(2024年3月に6番艦ヴァグシールを引き渡し)で、新たに6隻の通常動力型潜水艦(プロジェクト75-I)を調達するため2021年に提案依頼書(RFP)を発行、インド海軍は新しい潜水艦にAIP機関の搭載、計30発の巡航ミサイルと魚雷を搭載できる弾庫容量などを要求しており、これにドイツ、フランス、スペイン、ロシア、韓国が手を上げたもののAIP機関に運用実績を要求されたためフランス、スペイン、ロシアが撤退。
さらにインド企業と提携して現地建造される潜水艦の性能や不具合に30年間の無制限保証を要求したためドイツは撤退、最終的に韓国の大宇造船(現在のハンファオーシャン)だけが入札者に残り、このまま競争原理が機能しない入札を進めるのか?要求要件を修正して入札を仕切り直すのか?注目されていたが、インド国防省は2022年8月にプロジェクト75-Iの要件変更を承認。
新しい要求要件では「30年間の無制限保証」を取り除くため連帯責任と重大責任の条項が削除され、海外企業の責任範囲も「自社が請け負った作業範囲のみ」に限定されたためドイツが入札に復帰、ショルツ首相もプロジェクト75-Iへの参加に積極的で「インド訪問中にモディ首相と協議した」と報じられていたが、イスラエル向けに建造しているドルフィン級潜水艦(209ベースのカスタムバージョン)を提案すると報じられている。
一方の韓国では「ハンファオーシャンがKSS-IIIのBatchIIをベースにしたDSME3000(燃料電池方式のAIPを採用/SLBM10発搭載)を提案した。BatchIIは鉛蓄電池からリチウムイオン蓄電池に変更されているため連続潜航能力が大幅に向上している。韓国は7兆ウォン(52億ドル)=約7,500億円の受注戦でドイツと真剣勝負になる」と報じられているが、ドイツが提案するドルフィン級潜水艦の弾庫容量は30発に届かない可能性(20発前後)が高く、インド向けのカスタムバージョン=船体の大型化を施さないと要求要件を満たせないかもしれない。
まぁ双方とも受注に自信満々の様子なので、提案する潜水艦以外の部分(技術移転や現地建造などインド国内への直接投資や政府の政治的後押し)でも抜かりはないのだろう。
果たしてどちらがインドからの受注を獲得するのか注目される。
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※アイキャッチ画像の出典:Thyssenkrupp ドルフィン級潜水艦
SLBMから無人機を発射させたりとか可能性が広がる幅が広い韓国が採用されるに一票
あとイスラムの人権とか余計な事を言わなさそうだし
KSS-IIIのBatchIIの設計はバブコック社絡みと聞いている
設計がイギリスで、発注施工が韓国が言った所
英独対決とも言える
英インド関係からするとその面ではKSSに分がありそうに見える
しかし、インドが絡むと一気に難しい案件となりそうでもある
インド人とのビジネスはホンマに大変やで
まーじで難解なヒングリッシュまくしたてられたら交渉もへったくりもない
個々人では優秀な人が沢山いるんだけど、国家や企業の単位で見るとカオスそのもの
>まーじで難解なヒングリッシュまくしたてられたら交渉もへったくりもない
ヒングリッシュとジャパングリッシュは、どっちも同じくらい聞き取れないと聞きますよ。
その両者が会話するなら、どちらも同じことを感じている可能性が高い。
捲し立てるってすごいっすね
訛りを自覚したら日本人は遠慮しそう
メンタリティの違いが面白い
CAたちの間では、インド行きの航空便を動物園に例えることもあるそうですよ。
そういう世界に生きていると、感情的に訴えるのが手っ取り早いのかもしれませんね。
フィリピン人と英語で会話したことがありますが、双方なまり丸出しで互いに聞き取れず、筆談を交えて意思疎通できたという経験があります。
互いに諦めず粘り強くやれば何とかなりますよ。習慣の違いもあったりで誤解が生じないようにするのは大変ですが。
筆談って憧れますねぇ。
>フィリピン人と英語で会話したことがありますが、
セイムセイム。
私は単語を並べることしかできませんので、あとはジェスチャーですね。
無制限保証にも手を挙げるというのが、
よく言えばなりふり構わず
悪くいうと、またぞろ後のことは考えていない
という感じですね。
意外とAIP潜水艦の運用実績がある国って少ないんだな。
ロシアはラーダ級やアムール級へのAIP搭載もペーパープランで終わってるし、スペインはこれからってところだし。
潜航可能時間は伸びる
が、エンジンと同性能ではない上に貴重なスペースも食う
価格も上がる
それなら、潜水艦を複数隻あるいは単に妥協するというのも選択肢
最近、流行りの潜水艦対地攻撃能力もいくつか潜水艦のメリットを損なうモノでどこまで普及するか不明
巡航ミサイルはブラモスなのでしょうね。
直径が60cmですからVLSを使わざるを得ないと思うのですが。
30本は場所塞ぎな気がします。使えば、後は用のないスペースですから。
比較的小型の潜水艦には無理がありそうな気がします。
あと、耐圧殻に30個の穴を明けるわけですから、強度的にはどうだろう。
他所の国ことを考えると、SSBNの潜行深度は300m程度だし。
それとも、魚雷発射管を4本くらいに減らして、機械装填装置に頼るかな。
どのみち、30本の斉射はあり得ないだろうと思うので。
そうだとすると、発射管は24インチ(約610mm)になるのかな。
インドの要件は巡航ミサイル✕12,魚雷(533㎜)✕18の合計30発の搭載ですね。
間違えましたね。
ご指摘ありがとうございます。
>インド向けのカスタムバージョン=船体の大型化
むやみな巨大化は失敗フラグ…
日本はともかく外国だと潜水艦に求められるのが潜水艦狩りってより対地攻撃なんだろなぁ
つまりアーセナルシップは全てを解決する
通常型の巡航ミサイル潜水艦みたいなのがあれば売れんじゃね(素人感
北はそう言う運用でSSBを既に持っているらしいですね。・・・日本も噂のトマホーク搭載艦がいずれSSB(いきなりNはハードルが)になるのでしょう
要件変えたということはドイツで確定でしょう
韓国は当て馬かと
思い切り叩き売りで難題に前向き(≠可能)な交渉術は韓国もやりますからねえ
世界の艦船や軍事研究に投稿してる元海自将官達からは頗るAIP機関の評判悪いのに世界的には望まれてる国が多いって面白いよな
あの辺の人達は「米軍とシステム共有するならリチウムでも電力足りない原子炉が発電のため必要」ってスタンスだから。スタンドアロンのインドには無縁な悩み
要望がいつものガラパゴス?だからな。個人的には速度重視の海中移動や遠距離展開に重きを置いている感じはするし母国以外や島嶼での補給でもAIP用の燃料考えなくても良いなら、メリットじゃないかね?AIPは出力が微妙で専用の機関と燃料有って初めて意味がある物で海自はそれがお気に召さなかった。