インド太平洋関連

インドネシア、導入するタイフーンを「トランシェ3A」にアップグレード?

インドネシアメディア「Intisari Online」は26日、中国からの攻撃を防ぐためインドネシアはアジア初のタイフーン運用国になると報じている。

参考:Jaga-jaga dari Serangan China, ‘Indonesia Akan Jadi Negara Asia Pertama yang Operasikan Typhoon,’ Rencana Beli 48 Pesawat dengan Biaya Per Unit Rp 890 Miliar

インドネシアはオーストリアから入手するタイフーンをトランシェ3Aにアップグレードする?

インドネシアはオーストリアが保有する15機の戦闘機「タイフーン(トランシェ1 Block5)」購入を打診、この提案を受け入れたオーストリアと交渉を開始する予定だが、インドネシアへのタイフーン売却は想像以上にハードルが高く本当に売却が成立するのかは謎に包まれている。

オーストリアがインドネシアにタイフーンを売却するためにはエアバス発行の「ユーザー証明証」をインドネシアが取得しなければならず、これに必要なのがタイフーン共同開発国(イギリス、ドイツ、スペイン、イタリア)4ヶ国から承認と米議会の輸出許可(GPS等)で、1つでも欠ければインドネシアへのタイフーン売却は不可能だ。

出典:Bundesheer Fotos / CC BY-SA 2.0

さらに売却条件をクリアしても一体幾らで売ってくれるのかがインドネシアにとって重要で、インドネシアメディア「Intisari Online」によればプラボウォ・スビアント国防大臣がオーストリアのタイフーンに目をつけたのは価格が理由で、恐らくオーストリア国内でも不要論が囁かれているタイフーンなら安く買い叩けると思っているのだろう。

しかしオーストリア空軍のタイフーンは諸事情により年間飛行時間が極端に短く、約11年運用しても5,200時間以上の寿命を残してるため極端な値下げには応じてこない可能性が高く、さらにタイフーン購入でオーストリアから引き継げる搭載兵器は数発の短距離空対空ミサイル「IRIS-T」しかない。

要するにインドネシアは限定的な対地攻撃能力しか備えていない「トランシェ1/Block5」をオーストリアから購入して、完全な対地攻撃能力を備えた「トランシェ3A」へのアップグレードを行い、タイフーン運用に必要な空対空ミサイルや空対地ミサイルなどを一から調達する必要がある=決して安くはないという意味だ。

出典:방위사업청 / CC BY-NC-SA 2.0 KR

さらに興味深いのはインドネシアメディア「Intisari Online」がタイフーンとは別に韓国と共同開発中のKF-Xを48機調達すると言及している点で、推定単価は5,000万ドル(約52億円)~6,000万ドル(約63億円)と報じている。

これが事実なら第4.5世代戦闘機F-16Vの初期発注価格(約5,490万ドル:約58.5億円)に近いので、ラファール(約7,000万ユーロ~1億ユーロ:85億円~120億円)やタイフーン(約9,000万ユーロ:110億円)よりも関心を集める可能性(スペック的なものは蓋を開けてみるまで分からないので触れないでおく)を秘めているが、米国・欧州・イスラエルの防衛産業企業からエンジン、アビオニクス、搭載兵器等を採用しているため海外市場で競合した場合に輸出許可を得られるのかが課題だ。

ただ米国の技術を採用しているグリペンやタイフーンが米国機と競合した際に輸出許可で妨害(政治的な足の引っ張りは日常茶飯事)を受けたという話は聞いたことがないので、米国・欧州・イスラエルの安全保障を害する国以外への輸出は基本的に問題がないのかもしれない。

 

※アイキャッチ画像の出典:Marek Olszewski / CC BY-SA 3.0 オーストリア空軍のタイフーン

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 9月 27日

    インドネシアの場合、途中経過は聞き流さないと疲れるよ
    決められない、決まらない、金足りないの3密だから

    13
      • 匿名
      • 2020年 9月 27日

      「密」とは…

      14
      • 匿名
      • 2020年 9月 27日

      それをいうなら3ないでは?

      4
        • 匿名
        • 2020年 9月 28日

        諸君のツッコミに感謝だ
        オヤジのボケもお約束で

        1
    • 匿名
    • 2020年 9月 27日

    F-16Vと大差ない価格ならKFXを選ぶ理由が無い

    19
      • 匿名
      • 2020年 9月 27日

      確かインドネシアもF-16Vを買う・買わないと言う話があったから、価格帯が似ているKFXを出汁にして価格交渉するつもりじゃないかな?
      だとすると、オーストリアのタイフーンを買うって話もその手の交渉のネタに過ぎないかも知れない

      5
      • 匿名
      • 2020年 9月 27日

      インドネシアのKFX開発参加は戦闘機の国内開発生産技術獲得が目的なんで、納得いく再合意ができれば導入の可能性は十分にあります。
      条件は技術移転の内容を当初合意に近づけつつ負担金と取得機数を大幅に減らしたいというところでしょうか。それを目的にゴネ続けるんでしょうが、KFXへの期待感低下が根底にあるのかと。
      仮にタイフーンを導入すれば米露欧の戦闘機が揃うことになるわけで、運用上は問題ありですが、インドネシアなりの将来を見据えた思惑があるんでしょう。

      4
        • 匿名
        • 2020年 9月 27日

        上の方で「KFXを出汁にして価格交渉するつもりじゃないかな?」と書いた者ですが、恐らくその辺の話も絡んでいるんじゃないかと思います

        具体的に言えば、F-16Vを推す米国には「オタクの価格では我が国が開発に参加しているKFXと大して変わらないので、此の儘だと開発生産技術が取得出来るKFXを買う事になりますわ…もう少し安くしてくれない?」と囁き、韓国側には「F-16Vは此れだけ安くなった。此の儘ではこれ以上開発に参画するのは難しいので、何かの形で良い条件を示して欲しい」とでも言うつもりじゃないかと
        其処へタイフーンの話を絡める事で、出来るだけ条件を良くしようとインドネシアは目論んでいるんじゃないでしょうか

        6
    • 匿名
    • 2020年 9月 27日

    F-16VとF-35のコストパフォーマンスが高すぎて
    双発信仰か反米でもない限り他の選択肢はない
    その場合はラファールかSu-35が選択肢になる

    3
      • 匿名
      • 2020年 9月 27日

      実はインドネシア、以前Su-35Sを11機導入する計画があったのだが(代金の半額をパーム油等の農産物の現物支給で支払う条件だった)、最近になってトランプ米大統領から「F-16Vを買え!」と脅されて計画が棚上げになったと言う黒歴史があってだな……
      【インドネシアのF-16V購入話は本物、米国の圧力とKFX開発費支払い停止が一致する偶然】
      リンク

      2
    • 匿名
    • 2020年 9月 27日

    ここまでフリーダムだとインドネシアを応援したくなるな。
    どれがダシでどれが本命なのかインドネシアの当局者ですら分からなくなってるのではあるまいか?

    日本はこのままま対岸の火事、もしくは高みの見物を決め込むべきですな。
    タイフーンに三菱のレーダー積みたいなどと言い出したらのらりくらりと返事を先送りして善処していただきたい。

    14
      • 匿名
      • 2020年 9月 27日

      三菱のレーダーは「開発費と初回生産分の調達費全額先払い」なら検討してやってもいいんじゃないかなwww
      JNAAMに積んでる水準の技術ならタイフーン陣営への流出気にする意味はないし、開発費全部インドネシア持ちならその他の国には安く売れるし、JNAAMの輸出にもつながるかもしれんし。
      まあインドネシアがそんな大金先払いなんてする訳ないけど。

      6
    • 匿名
    • 2020年 9月 27日

    インドネシア人は全体的に割と気分の起伏が激しくてプライドが高いので割と韓国を下に見ているのかもしれませんね。
    ただ、自己主張が強い方はあまり見かけたことがないので地域大国としてのプライドがそうさせているのかな。

    5
    • 匿名
    • 2020年 9月 27日

    現時点では、トランシェ3Aは完全なる対地攻撃能力は持っていないのでは? FOCどころか、IOCさえも。 対地ミサイルのテストが2020/01頃ですからねえ。

    3Aにアップグレードするってバカ高いはず? 
    電源(※2)、戦闘コンピューター(※)の両方の交換が必須と報じられてた
    ※  トランシェ2までは制空戦闘機 なので、3A/Bへのアップグレードなら交換が必須
    ※2 3BでのAESA対応、3A以降の新しい戦闘コンピューターへの対応
    過去記事:ドイツ、2023年迄に戦闘機タイフーンのレーダーを「Captor-E」に換装 2020.06.27
    リンク

    5
    • 匿名
    • 2020年 9月 27日

    インドネシアは仮想敵国のオーストラリアに戦闘仕掛けられない米軍機では無い戦闘機と技術転移を求めてるんだろうけど、そうそう上手く行く筈がない
    KFXだって同じ理由で対日本戦闘を可能にする為に韓国は自国産開発を強行しているが、結局レーダーやミサイルで米軍識別シグナルから自立出来なければ絵描いた餅でしかない

    6
    • 匿名
    • 2020年 9月 27日

    賄賂を一番払ったところの戦闘機買うんだろ
    これほどわかりやすい話もないわ

    6
    • 匿名
    • 2020年 9月 28日

    全方位味方アピールなんじゃないかと思えてきた
    インドネシアの防衛大臣、実は超小心者では?

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